転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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まあ、なんか、今のヨーロッパ問題も絡んでます。



62 外出??

翌日 マルタ島鎮守府前

 

 

「じゃあ、すまないけど、頼んだ」

 

 

「えぇ。気をつけてね」

 

 

「お土産、期待してるから」

 

高塚の乗る『マルタ島鎮守府』と白で所属名が書かれたマルタ島鎮守府工廠製の高機動車に乗って滝崎はカルメンとシェロンに見送られながら出発した。

運転席には高塚、助手席に滝崎、後部乗員スペースにはヴァリアント、大鳳、最上、三隈、鈴谷、熊野、雪風の7人が乗っている。

本日の名目は『鎮守府外外出に伴う事前視察』であり、よって、全員艤装を外しつつも普段の制服姿である。(そもそも私服が無い)

 

 

「で、先に何処行く?」

 

 

「先に近くの街に行って責任者に会ってくるよ。その後は出来る限り自由行動にする予定」

 

 

「ふーん、まあ、この高機動車の試験もあるしな。ゆったり行くか」

 

 

「まあ、別にいいが…大丈夫だよな?」

 

 

「大丈夫さ……多分」

 

 

 

暫くして マルタ島鎮守府

 

 

 

「だから! なんでこう言った大切な通知がその日の朝にくんのよ!」

 

そう言って大淀からの報告に不機嫌そうに言う松島宮。

両脇に建造が完了し、挨拶に来た皐月・長月・菊月を先程まで頭撫で撫でしていたのだが……この報告で不機嫌度がMAXになっていた。

 

 

「仕方ないわ。滝崎と高塚に連絡して、そっちで対応してもらわないと……ねぇ、カルメン、シェロン、なんでケータイ取り出してるの?」

 

 

「いや、ちょっと憲兵の出番かな、と」

 

 

「私も滝崎に戻って来てもらった方がいいかな、と」

 

2人を見送って戻って来たカルメンとシェロンが松島宮の状況に2人に電話しようとケータイを取り出す。

しかも…………

 

 

「ビック9の一角!長門型戦艦一番艦長門、ただいま推参した! 久し振りだな、松島宮提督!」

 

……ドアを盛大に開けて入って来たのは陸奥の姉である長門であった。

 

 

「きゃ〜! 長門も来たの!? 今日のお仕事終了! じゃあ……あれ?」

 

何故か後ろから霧島と鳥海に両腕を拘束され、更にカルメンとシェロンが近付いていた。

 

 

「「「「滝崎(副官)から貴女の事を頼まれてます。ちなみに資源はどれ程消費したか、お聞かせ下さいますか?」」」」

 

 

「あ、あれ〜…これ、ピンチ??」

 

……墓穴を掘った松島宮だった。

 

 

 

暫くして………

 

 

「ふう、やっぱり、貴女を同行させたのは正解でした」

 

 

「まあ、因縁なら数えられないくらい有るし…まさか、通訳も兼ねるとは思わなかったわ」

 

滝崎とヴァリアントがそう話ながら市役所から出て来た。

とりあえず、市の担当者と話をして来た滝崎に通訳役も兼ねてヴァリアントを連れて来たのは正解だった様だ。

 

 

「で、自由行動出来そうか?」

 

 

「あぁ、さて、先ずはみんなの私服だな。今日は仕方ないが、今度出る時に同じ格好はまずいしね」

 

特に雪風の服は問題有りなので、早急に私服を見付ける必要がある。

 

 

 

「手持ちは大丈夫か?」

 

 

「問題無い。両替済みだ」

 

そう言って高塚に財布を見せる滝崎。

それを見て高塚は納得して頷いた。

 

 

「スリに遭うなよ」

 

 

「遭わないよ。さて、行こう」

 

 

 

その頃 マルタ島鎮守府

 

 

 

「はい、マルタ島鎮守府…すみません、提督はいま御用心で……」

 

カルメン達が松島宮を尋問する中、電話が掛かってきたので素早く取る大淀。

しかし、段々と表情が重々しくなっていく。

 

 

「どうしたの、大淀?」

 

それに気付いたシェロンが大淀に訊く。

 

 

「はい、実は難民が武装して暴れているとマルタ共和国政府から報せが入りまして…」

 

 

「ウチ(フランス)でもあったのに、ここでも? で、現状は?」

 

 

「はい、具体的には…」

 

大淀の言った街の名の中に滝崎達が行く街の名があって大慌てになるのはこの直後だった。

 

 

 

その頃………

 

 

 

「ヴァリアントさん達は民間人の避難誘導を! 付近の警察官と協力して下さい!」

 

 

そう言いながら心中で『今日は厄日かよ!?』と呟く滝崎。

買い物に行こうとした瞬間、武装した難民に遭遇すると言う、正に『厄日』な出来事に遭遇していた。

 

 

「滝崎! どうやら、警察もアテには出来ないぞ」

 

 

「なに? どう言う事だ?」

 

高機動車に乗って警察署に向かっていた高塚の言葉に滝崎は訊き返す。

 

 

「警察署とさっき行った市役所は武装難民に包囲されてる。パトロールも大半がそっちに行ってるよ」

 

「くそ! 別の署だと時間も掛かるし、そもそも、この騒動がここだけとは限らないからな…マルタ共和国軍は?」

 

 

「総数2000で各所のあれを防ぐのはキツイな。多分、対応におわれてる」

 

 

「打つ手無しか」

 

そう呟きながら滝崎は懐から14年式拳銃を取り出し、初弾を装填する。

 

 

「護身用か」

 

 

「お前も64改かよ」

 

高機動車から出してきた物を見て、互いに苦笑いを浮かべる。

 

 

「……で、なんか策はあるか?」

 

 

「拳銃と小銃しかも持たない2人であの人数はな……鎮守府から援軍呼ぶ?」

 

 

「艦艇乗組員を武装させるのに時間かかるぞ」

 

そんな会話を交わしていたとき、背後からバイクのエンジン音が響いた。

2人が振り向くと……前がバイク、後ろがキャタピラの『車輌』猛スピードで近付いてきていた。

 

 

「あれは…ケッテンクラート!」

 

 

「ケッテンクラート!? おいおい、なんでマルタにドイツ製装軌バイクがあるんだよ!?」

 

漫才の様なやり取りを無視するかの様にケッテンクラートは2人の前で止まった。

 

 

「2人共、困りの様だな? 手を貸すぞ?」

 

装着していたゴーグルを外したながら言った操縦者に滝崎は思わす叫ぶ。

 

 

「エーディト!! マルタに来てたのか!?」

 

 

「つい数時間前にな。それが何故かいきなり治安出動だ、あとで本国に報告せねばならん」

 

 

「あー、滝崎と仲良かったドイツのエーディトさんですか、なるほど…でも、あの人数はどうするんだ?」

 

 

「憲兵腕章を付けているが、いやに詳しいな。それと、私1人で来ていないぞ。興味があるなら観に行くか?」

 

 

「高機動車で同行するよ。ケッテンクラートは乗ってみたいが、車は放置出来ないし」

 

 

「そうか、じゃあ、滝崎は乗れ。久々に飛ばすぞ」

 

 

「お、お手柔らかにお願いします」

 

 

 

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