今回でジブラルタル海峡奪還(艦これマップ2-4)が完了しました。
次号では暁が主になります。
暫くして……
「見付けた。敵と交戦中!」
「みんな、踏ん張りどころだよ! 突撃!!」
響の報告に那珂は脇目もふらず突撃命令を出した。
そして、その命令に響以下も最速で突入する。
「暁姉さん!」
「私は大丈夫! それより、アトランタをお願い!」
戦艦・巡洋艦の格上を相手に果敢に阻止方撃で対抗する暁は響の問にそう答える。
そして、その暁の後ろにいながらも健全な火砲で応戦する防空巡洋艦……アトランタ。
「援軍はどうなってるの!?」
「援軍なんて要請してませーん!」
「そもそも、この作戦は夜襲で引っ掻き回すのが目的だからね」
アトランタの質問に潮が答え、響が補足を入れる。
「大丈夫! あと少しの辛抱だよ〜!」
「なんで!?」
「夜が明けるから!」
「……神通の妹なのに大丈夫なの?」
「だ、大丈夫なのです」
「そうそう、大丈夫よ!」
電・雷の言葉にアトランタは思わず天を仰ぎそうになった。
だが、そこに新たな声が聞こえた。
「アトランタさーーーん!! フレッチャーが来ましたー!!」
5体の単装砲ちゃんを連れた陸風が爆走しながら近付き、その少し前を島風が走っていた。
「あれは島風ちゃんと陸風ちゃんなのです!」
「待って、島風ちゃんと陸風ちゃんが来たのなら…」
雷の言葉に那珂戦隊の面々はハッとした。
何故なら、彼女達は出撃前に後詰の主力部隊の編成を聞いていたからだ。
そして、島風・陸風が居る艦隊は……
「鎧袖一触よ。心配いらないわ」
「羽黒隊、突入します!」
「フェニックス、突入します!」
「セントルイス、続きます!」
加賀を旗艦とする加賀艦隊だった。
そして、羽黒はフェニックス(九頭龍)・セントルイス(嘉瀬)を従え突入し、加賀を主砲を斉射した。
その頃……川内・神通隊
「油断しましたね…次弾装填済みです!!」
「夜は未だ明けてないから夜戦だ!!」
ボスまで行き着いた川内・神通隊はル級フラグシップを相手に戦っていた。
皮肉な事に敵が少なく、真ん中を突っ切ってきた神通隊と戦闘回数が少なかった川内隊は弾薬に余裕があり、混乱の収拾と指揮に忙しいル級フラグシップ率いる旗艦艦隊に初撃の奇襲雷撃で艦隊の半数を削り、そこから近接砲戦を挑んでいた。
ル級フラグシップは艦隊の指揮と海域の指揮と2つこなさなければならず……まあ、今は艦隊の指揮に専念していたが……通信が混線し、艦隊の命令が海域全体に通知され、互いに訳がわからなくなっていた。
しかも、この時、『少し』早く突入した海域攻略部隊主力と線端が開いた為、通信回線はいつの間にかひっちゃかめっちゃかになっていた。
これをどうこうする余裕はル級フラグシップにはなかった。ル級自身も自分の身を守る事に精一杯であった。
故にリ級フラグシップを含む残存艦を包み込む様に発射された酸素魚雷と背後から迫る影に気付かなかった。
酸素魚雷はリ級フラグシップを除く残存艦を轟沈させ、リ級フラグシップも一本被雷した。
そして、リ級フラグシップは漸く気付いた……いつの間にか背後に迫っていた艦娘に…。
「副官に強請っただけあるよね〜、このゴーグル。夜戦には最適だよ」
この場に似合わない陽気なその声にリ級フラグシップが振り向くと、『夜戦用ゴーグル』を着けた川内がほぼ目の前にいた。
「夜戦はいいよね、夜戦はさ」
そう言った直後、川内が持っていた魚雷がリ級フラグシップに突き刺さった。
暫くして………マルタ島鎮守府内松島宮執務室
「海域攻略部隊より入電! 『夜襲隊、旗艦艦隊を撃滅。被害軽微。攻略部隊はこれより海域の検索を実施する』以上です!」
「やれやれ、漸くジブラルタル海峡を奪還出来たか……これをスペインとフランスに報せてやろう。大淀、それが終わったら休んでいいぞ。あっ、木曾、すまんが、馬鹿な副官にも報せてくれ」
「あぁ、わかった」
大淀が松島宮の指示に従い電文を組み、松島宮が大きな欠伸を1つしたのを見ながら木曾は松島宮の執務室を出ていく。
そして、滝崎の副官執務室のドアをノックした。
「副官、木曾だ。攻略部隊が攻略に成功した、ってさ」
「木曾か? 入ってくれ」
その返答に木曾が部屋に入ると滝崎は執務机の椅子に座って待っていた。
「成功の件は本当か?」
「あぁ、夜襲隊はボスまで倒したらしいし、攻略部隊主力は突入時間を早めて突入したらしいけど、夜襲隊が削ってたから、それほど苦戦せずにいけたそうだ。今は掃討戦に移行したとさ」
「そうか。無事ならよかった。なら、このまま落ちても大丈夫そうだな」
「ん? 落ちる?」
木曾がその言葉の意味を聞こうとした時、執務机に突っ伏して静かな寝息をたてる滝崎がいた。
「……落ちるって、寝る事かよ。本当に寝ずに待ってたんだな、副官は」
呆れながらも隣の寝室から仮眠用毛布を持ってきた木曾は静かに滝崎に掛けると、同じ様に静かに部屋を出た。
そして、ドアに『就寝中』の札を掛けてから、木曾は静かに部屋を後にした。
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