転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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タイトルと中身があっているのか?


43 仲間

翌日 松島宮執務室

 

 

「足柄よ。戦闘が、勝利が、私を呼んでいるわ!」

 

 

「と言う事で足柄がきてしまった」

 

 

「あっ、了解」

 

部屋で執務中だった滝崎はいきなり内線電話で松島宮に呼ばれ、執務室に来てみれば新造艦の着任についてだった。

 

 

「あら、滝崎副官って結構いい男だったのね」

 

 

「褒めても何もでないぞ」

 

 

「そうだぞ、足柄。それと私の副官を誘惑すると、何がおこっても責任は取れないぞ」

 

 

「松島宮、君は君で何を言っているんだ?」

 

足柄と松島宮の言葉を軽くあしらいつつ、内心呆れる滝崎。

そこに外からドタバタと音が聞こえ、執務室のドアが開かれた。

 

 

「アシガラ! 久しぶりね!」

 

 

「シュペー!? うそ、シュペーなの!? 久しぶりじゃない!」

 

ドアを開けてのはシュペー、その後ろからは姉妹である那智と羽黒が続いていた。

 

 

「やれやれ、シュペーが慌て駆け出したのはそう言う事か」

 

 

「足柄姉さん!」

 

 

「那智、羽黒…貴女達も居たのね!」

 

 

「あー…3人は午後から休業でいいよ。好きにしたらいい」

 

 

「おい、勝手に決めてないか? まあ、別に困る事はないが」

 

「なら、この話はおしまい。じゃあ、後は提督の仕事」

 

そう言って滝崎は出て行って。

後ろから松島宮が何か言っていたが…気にしない事にした。

 

 

 

暫くして……滝崎の執務室

 

 

「仲間……か…」

 

そんな事を呟きながらペンをクルクルと回す滝崎。

 

 

(レナータやエーディトはどうしてるかな? 連絡は取り合ってたのに…まあ、こんな世界情勢だと、仕方ないけど…」

 

かつて、国や立場、場所は違えど戦ったイタリア・ドイツの仲間(兼恋人?)の事を思い出す滝崎。

 

 

「はい、滝崎副官。紅茶をどうぞ」

 

 

「ありがとう。そうそう、このちょうどいい紅茶も………んん!?」

 

出された紅茶に口を付けて気付き、慌ててそちらを見ると、神鷹が居た…昔何度も見たメイド服姿。

 

 

「……あっ、神鷹。不知火は?」

 

 

「不知火さんなら、神通さんが…」

 

 

「あぁ、なるほどね…」

 

神通から『神通水雷戦隊特別訓練期間』の認可申請書類があった事を思い出し、不知火の現状を理解した滝崎。

 

 

「それで、なんで神鷹は服がメイド服なんだ? まあ、あの時に随分と世話になったから、今更だけど」

 

 

「間宮さんのお手伝いと副官達の給仕係に…とりあえずは昔みたいにと」

 

 

「あぁ、なるほど、了解」

 

神鷹の事情を理解した滝崎はその言葉について何も言わない事にした。

ただし……

 

 

「また、この紅茶が飲めるのか…ありがとう、神鷹」

 

素直に礼を述べるのは忘れない。

 

 

 

翌日 滝崎の執務室

 

 

 

「えっ、代理の秘書艦?」

 

 

『あぁ、幾ら特別訓練とは言え、秘書が居ないと言うのは不味いだろう? 代理を置かんと色々と支障も出るだろうし』

 

松島宮から内線で不知火の代理の話が出た。

確かに不味い…変な意味ではないが。

 

 

「まあ、確かに…だが、いいのか? 回せる子なんているのか?」

 

 

『それについては問題はない。どうせ、ローテーションを組んでいけば待機組も生じるだろう? その人員を回すから』

 

 

「なるほどね。わかった、それなら、大丈夫だろう」

 

 

『うむ、では、後は頼んだ』

 

そう言って内線がきれた。

そして、ドアがノックされ……ずに乱暴に開け放たれた。

 

 

「「滝崎副官、ちょっと話がある!」わ!」

 

 

「な、なんだ、那智と足柄? もの凄く殺気だってるが?」

 

入ってきた那智と足柄に戸惑いながら滝崎は訊いた。

 

 

「とぼけるな! いったいなんで羽黒がいきなり秘書艦なんだ!?」

 

 

「……はぁ!? 知らんぞ、そんな話!」

 

 

「知らない筈ないじゃない! 区分に書いてあったわよ!」

 

 

「ちょっと待て! 俺だってさっき代行の秘書艦がくる事を知ったんだぞ! 羽黒が来るなんていま知ったわ!」

 

 

「「本当かどうかは今から判断する!」わ!」

 

 

「……勘弁してくれよ」

 

 

 

暫くして……

 

 

「姉さんたちがご迷惑をお掛けてごめんなさい!」

 

 

「あはは、まあ、いいお姉さんを持っていて、羽黒は幸せ者だね」

 

あの後、羽黒とシュペーが来てくれたので誤解も解けて助かったが、あと少し遅かったら……どうなっていたかわからない。

 

「とりあえず、無理はしないでね。現状は油断を許さないし、なにがおこるかわからないし…紅茶やコーヒーは神鷹が煎れてくれるからね」

 

 

「は、はい、わかりました」

 

 

(……大丈夫かな…まあ、最初は慣れか。つーか、なんで松島宮は羽黒を後方任務に…思い付きか?)

 

相棒の行動に溜め息を吐きつつ、滝崎はようやく実務に掛かることにした。

 

 

 

1900時 滝崎執務室

 

 

「う〜〜ん、終わった終わった。羽黒、今日は…ありゃ」

 

執務を終え、背伸びをしながら羽黒の方を見ると静かな寝息をたててソファに眠る羽黒がいた。

 

 

「やれやれ、初秘書で疲れさせてしまったか。誰かを呼んで部屋に帰さないとな」

 

そう呟き、机の内線を手に取ろうとした時、ドアがノックされた。

 

 

「副官、那智だ。羽黒の様子を見に来たんだが」

 

 

「那智か、ちょうど良かった。入ってくれ」

 

滝崎の返答に迷わず入って来た那智はソファの羽黒を見て全てを察した。

 

 

「はあ、迷惑を掛けてしまったか?」

 

 

「いや、反対にこっちが羽黒と那智に迷惑を掛けてるよ、すまないが、連れて帰ってくれないか?」

 

 

「あぁ、構わんぞ。ほら、羽黒…と言っても、完全に夢の中だな」

 

爆睡の羽黒を背負い部屋から出て行く那智。

それを見届けた滝崎は部屋を出ると、『食事・入浴中』の札をドアに下げると鳳翔の居酒屋へと足を向けた。

 

 

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