転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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艦長さんの自慢話……秋雲はこれを書いてる途中に出たので急遽出ていただきました。
なお、大逆転の方も書いて溜まった物もあるので本日3作を一気に更新します。


41 艦長さん

ある日のマルタ島鎮守府内 甘味処『間宮』

 

 

 

「なるほど、提督や副官が艦長の時にそんな事が…」

 

 

「そうそう、それで帰った後の皇紀2600年観艦式にも末席ながら観閲艦に加わっていた訳だけど」

 

 

「おっ、朝顔に不知火か。何をしてるんだ?」

 

朝顔と不知火と言う珍しい組み合わせにたまたま加賀と共にやって来た滝崎は2人に声をかける。

 

 

「おっ、副長。なに、不知火から艦長達の事を訊かれてさ。昔話も兼ねて色々と語ってたの」

 

 

「はい、副官達の話は色々と面白かったです」

 

「おいおい、下手に脚色なんかしてないよな?」

 

 

「副官、何か不味い…あっ、イタリアの方との事がありますね」

 

 

「おーい、加賀さん、確かにその事なんだけど、あまり口には出さないで」

 

 

「それもお聞きしました。私達の扱いが上手い理由がわかりました」

 

 

「色々と誤解してないか、不知火?」

 

 

「不知火、副官の扱いの上手さは天然よ。まあ、天然過ぎて問題があるけど」

 

 

「加賀さんまで言いますか」

 

そんな会話を交わしつつ、滝崎と加賀は間宮に注文をする。

そして、注文品を待つ間、周囲に目を向けると隅の席で此方を観て熱心にスケッチをとる艦娘がいた。

 

 

「加賀、新着の艦娘なんて聞いているか?」

 

 

「いえ、聞いていません。まあ、連絡の都合と言う物が有りますから、何も言えませんが」

 

 

「だよな…タイミングが良いのか悪いかはわからないけどな。さてと…」

 

そう言って滝崎は注文品が来ていないのを確認し、熱心にスケッチをとっている艦娘に近付く。

 

 

「ふーん、なかなか上手いスケッチだね。人物や周囲風景の特徴も上手く捉えて描かれてるな」

 

 

「ひゃわっ!?」

 

滝崎が後ろからスケッチを見た感想を言った為か、物凄く驚かれた。

 

 

 

「えっと…この鎮守府の副官、滝崎大佐だ。新着の艦娘だと思うが…」

 

 

「あっ…えーと、陽炎型駆逐艦19番艦秋雲…さんです」

 

 

「そんな自己紹介がありますか」

 

 

「いやいや、別に構わないよ。場所での礼儀をわきまえてくれれば、何も言うつもりはないし」

 

 

「貴方は何時もそれですね。まあ、貴方ですから、いいのですが」

 

 

 

 

暫くして……

 

 

「はい、これでどうでしょうか?」

 

 

「……不知火は普段、こんな顔をしてますか?」

 

 

「「「 してるな」」」

 

秋雲に描いて貰った似顔絵を見せながら不知火が訊いてきたので、滝崎、加賀、朝顔は正直に答え、肩を落とす不知火。

 

 

「まあ、本当に私そっくり!」

 

 

「ハラッショー、確かに上手いね」

 

 

「つぎ! この暁を書いて!」

 

 

「夕立も書いてほしいっぽい!」

 

 

「この雷も書いて〜」

 

 

「わ、私も書いてほしいです!」

 

そして、任務からの帰還や手持ち無沙汰で間宮にやって来た三隈、暁、響、雷、電らの面々が集まってきていた。

 

 

「にしても、秋雲は本当に上手いな」

 

 

「それは当然ですよ。だって、艦長の命令でホーネットをスケッチしましたからね」

 

 

(ホーネット…あっ、そうか、秋雲は南太平洋の時に見てるからな…ウチの世界だとどうかは知らないけど)

 

 

「ウチの自慢な艦長と副長はここに居るね」

 

 

「夕立の吉川艦長はパーティーさせてくれたっぽい!」

 

 

「あぁ、アイアンボトムサウンドでのナイトメアパーティーね。と言うか、君はマニラ沖で吉川艦長と暴れて、ハワイ沖で吉川司令の下で暴れたよね?」

 

 

「工藤艦長は優しかったわね」

 

 

「私にも乗ってた」

 

 

「工藤艦長にはウェーク沖でお世話になりました」

 

秋雲のスケッチが上手い事から始まった艦長の話が朝顔、夕立、雷、響と伝っていく内に発展し、艦長の自慢話になっていた。

 

 

「滝崎副官、1つよろしいですか?」

 

 

「あぁ、別にいいよ。なんだい?」

 

三隈が滝崎に声を掛けてきた為、滝崎は快く応じる。

 

 

「ミッドウェイの後に私達姉妹は第二機動艦隊に異動しましたけど、その時に私の艦長も変わりました。その艦長さん…木脇艦長と言いますが、副官さんはご存知でしょうか?」

 

 

「木脇艦長…すまない、知らないな。後でデータベースから情報を拾って調べてみるよ」

 

 

 

暫くして……松島宮執務室

 

 

「で、いま、熱心に調べてるのか?」

 

 

「あぁ、訊かれた以上は気になるしね」

 

松島宮の執務室に戻った滝崎は海軍のデータベースから三隈の艦長について調べていた。

 

 

「えーと、1942年の艦名三隈っと……おっ、出た。木脇正雄艦長、終戦以後も艦長を務めて……へぇ〜、第一戦隊の参謀や司令か、結構なエリート街道を歩んでますな。しかも、カメラ・写真好きね。あっ、けっこうアーカイブに掲載されてるな。なんか、何枚か見慣れた物も有るけど」

 

 

「ふむ、他にも有名人はいた訳か」

 

 

「あはは、歴史が変わったから、無名な人間が有名人になるなんて事例も出てくるさ……ん、これは…」

 

 

「どうした? 何か気になる事でもあったか?」

 

 

「あぁ、木脇艦長のお孫さんが横須賀鎮守府にいるそうだ。木脇隆夫、木脇真耶の兄妹で優秀・優良な提督と副官だってさ」

 

 

「ほう、そうか。それは血と言うやつかな?」

 

 

「かもね。まあ、そんな人間が居るなら本土の方も安全だろう。こっちは地中海に集中できるしね」

 

 

「確かにな。出来ればあってみたいがな」

 

 

「どうかな? まあ、何時かは会えるさ」

 

 

 

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