転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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まあ、題名通り……と言えるのかな?


40 最上四姉妹

3日後 マルタ島鎮守府

 

 

 

「……本当にこれでよいのか?」

 

妙高型重巡洋艦二番艦那智はそう呟きながら前を見る。

そこには彼女の『案内役』と言う事で随伴している第六駆逐隊の面々が居る。

そして、案内役の筈なのに海岸を歩いていた。

 

 

「うーん……付いて来てよかったかも」

 

その第六駆逐隊を見守る形で滝崎も同行していた。

 

 

「はぁ…副官、あれで大丈夫なのか?」

 

 

「まあ、第六駆逐隊ですから…癒し系四姉妹と言うやつです」

 

 

「……なんで副官と不知火の息が合うのか解らなくなってきた」

 

 

「慣れたら解る様になりますよ」

 

那智の言葉に苦笑しながら滝崎は言った。

そのまま、暫く歩いていると……第六駆逐隊の面々が一点に集まりだした。

 

 

「ん? どうした、第六駆逐隊?」

 

 

「大変なのです! お姉さんが倒れているのです!!」

 

電の叫びに滝崎は駆け寄ると、艤装を装着した『艦娘』が第六駆逐隊の前に倒れていた。

 

 

「ちょっと待てよ…あっ、不知火か? 滝崎だ。明石にドックを1つ開ける様に言ってくれ…あぁ、そうだ、直ぐに連れて帰る。受け入れ態勢の確保を頼む。それじゃあ」

 

ケータイを取り出し、素早く鎮守府の自分の部屋への直通ダイヤルを選択、対応した不知火に一通りの指示を出すとケータイを懐に納した。

 

「と、言う事で、緊急事態につき、帰還します」

 

 

「……訂正する。副官と不知火の息が合う理由がいまわかった」

 

 

「そうですか? まあ、そのお話は後に…今は急いで帰りましょう」

 

 

 

2時間後 鎮守府内松島宮執務室

 

 

 

「で、偶々とは言え、収容したのは三隈だったのか?」

 

 

「あぁ、支援要員で手伝ってくれた最上が身元確認をしてくれたからね。間違い無いよ」

そう言って滝崎は一連の報告を終えた。

 

「だから、鈴谷や熊野が慌てて走って行った訳か。まあ、別に姉妹再会の邪魔をする気など無いが…そう言えば、三隈の運命は激変していたな。副官よ?」

 

わざとらしい松島宮の言い様に滝崎は苦笑いを浮かべる。

 

 

「ミッドウェイ海戦の結果がガラリと変わったからね。航空攻撃は勿論の事、米潜水艦も慣れない対艦隊攻撃を実施し、自らの存在を露呈してしまい、対潜攻撃を受けて狩られる側にまわった…故に終わってみれば損害は日本が激減し、アメリカが激増していたね」

 

 

「そして、三隈が撃沈されずに生き残ったまま、最上型4隻の第七戦隊が第二機動艦隊編成にともない、指揮下に入った…か、因縁かどうかはともかく、この再編成のお陰で我々は準備万端の状態でソロモンから先の戦いを有利に戦い事が出来たがな」

 

 

「あぁ…そして、今もこうして戦ってくれている。幾ら頭を下げても…いや、言葉にするのは難しいが、それ以上の事をしてもらっているのに、僕らがやれる事は余りにも小さい事ばかりだ」

 

 

「……あの時代のお前ならこう言うだろうな。『だからこそ、我々が支えてやらねばならないな』と偉そうな事を吐かしながらであろうがな」

 

 

「最近、君が辛辣になってるのは気のせいか?」

 

 

「気のせいだ」

 

 

 

翌日 鎮守府廊下

 

 

 

「と言う事で、バレアレスは羽黒と那智の編入を希望しているの。シュペーも足柄の姉妹なら、是非にって」

 

 

「編成については当事者同士が了解しているなら構わないよ。それに今のバレアレス隊は休養を兼ねた訓練期間中だ。入ったばかりの那智の練成と外国艦娘との連携力を鍛えるのにもちょうどいいだしね」

 

 

「そうか、それはよかった。ん、あれは最上型四姉妹じゃあないの?」

 

カルメンと編成について話していた滝崎はカルメンの言葉に前を見ると三隈を加えた最上四姉妹が和気藹々と話しながらこちらに歩いてきていた。

 

 

「おはよう、最上、鈴谷、熊野。三隈はもう大丈夫かな?」

 

 

「うん、明石さんからも許可を貰ったからね」

 

 

「これから間宮さんの所だよ」

 

 

「間宮スイーツのフルコースですわ!」

 

 

「「「そ、それはちょっと…」」」

 

熊野の言葉に三隈を含めた3人がフルコースと聞いて熊野を止めに入る。

 

 

「あっはっはっは、いやいや、仲が良くてよろしい。ならば、こちらも少しは寄与させてもらうか」

 

そう言って滝崎は懐からチケット束を取り出す。

 

 

「副官! それって間宮の割引チケットじゃん! なんで束でもってるの!?」

 

 

「ある種の特権ってやつだよ。まあ、こんなに持ってても1人じゃあ消費出来ないんだけどね。はい、4人には団体割引券と個人割引券を渡しとくよ」

 

そう言って滝崎は数枚のチケットを切って最上達に渡した。

 

 

「ありがとう、副官。じゃあ、後でね」

 

 

「あぁ、楽しんでこいよ」

 

最上が滝崎に礼を言って姉妹を連れて間宮へと向かって行った。

 

 

「最上型は鈴谷、熊野で格好が違うな」

 

 

「鈴谷で改良を加えたから、鈴谷型と分類される事あるからね」

 

 

「なるほど。にしても、姉妹と言うより、良家の幼馴染みの風態だな。あの4人は」

 

 

「あはは、確かにな。松島宮や俺、あの2人との関係にも似てるな」

 

 

「えっ、どうゆうこと?」

 

 

「なに、むかしの事を思い出しただけさ。他に何かあるかな?」

 

 

「え、あぁ、他には…イギリス組から、鳳翔にラム酒に合う肴を用意出来ないか、と要望が入ってる」

 

 

「……頼むから、鳳翔さんを過労死させないでくれよ…ガチで」

 

 

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