転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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……こんな題名でいいのか?

本日は長崎の日ですね。
しかし、なんで広島と言い、静かに出来ないバカが多いのか…。


24 一部権限委任

翌日 マルタ島鎮守府 提督執務室

 

 

「えっ…私に…艦娘の指揮を?」

 

 

「あぁ、バレアレスの経験があるなら、大丈夫だろう?」

 

執務室に呼ばれたカルメンは内容を聞いて思わず声をあげる。

 

 

「昨日、西部制圧を決めただろう? とりあえず、フランス領コルシカ島、イタリア領サルディーニャ島周辺の深海棲艦掃討が初仕事になる。だが、下手にマルタ島から動く訳にはいかないからね」

 

 

「その為に誰かを派遣して指揮を取らせた方がいい…と言う判断?」

 

 

「そうだ」

 

滝崎の説明に自分の捕捉を加えて納得するカルメン。

 

「そして、情報ではこの周辺は正規・軽空母を中心とした艦隊が出現するだそうだ。これを言えばどうか…意味はわかるな?」

 

 

「私の乗ってきたバレアレスの出番ね。わかったわ、どうせ、研修士官だし、久々に現場に出るのもいいし」

 

 

「決まりだな…編成はカルメンに任せる。対空重視の編成が良い…と助言しておくぞ」

 

 

「ありがとう。じゃあ、行ってくるわ」

 

 

「あぁ…気を付けて」

 

 

 

翌日昼頃……サルディーニャ島近海 イージス・フリゲート バレアレス艦橋

 

 

「久々の出撃が艦娘を連れてですか」

「あら、副長は嫌だったの?」

 

 

「いいえ、そんな事は…」

 

 

「それどころか、乗組員の大半は大歓迎ですよ、艦長」

 

副長との会話に航海長が入ってきた。

 

 

「日本の艦娘…えーと、ヤマトナデシコ…でしたっけ? それを迎えれて、乗組員の士気はうなぎ登りです」

 

 

「あのね…この船は遊覧船ではないのよ。それにバレアレスも居たでしょうに」

 

 

「1と6では影響力が違うんです」

 

 

「……そう言うものかしら?」

 

なお、副長は叩き上げのベテランで、航海長はカルメンと同じ年代の若手……故に副長とカルメン・航海長は親子ほどの歳の差があった。

「どちらにしても、今回は重要ですな」

 

 

「えぇ…マルタ島に向かうのなんか、軽過ぎた任務ね」

 

 

「コルシカ島・サルディーニャ島周辺の深海棲艦掃討、これにマルタ島鎮守府から預けられた艦娘で行う…色々と気にする事が多いですね」

 

 

副長の言葉にカルメンが肯定し、捕捉するかの様に航海長が言った。

 

 

「まあ、艦娘や掃討の件はいいだろう…問題は島だな」

 

 

「他国領土ですからね。日本海軍からの指示ですから、よいですか……本来なら、国際問題になりますね」

 

 

「まあ、私達だって艦娘と鎮守府の運用ノウハウを研修しに来てる訳だからね。本来なら、人類共通の敵である深海棲艦に対処しなければならないのに…あまり、政治を持ち込まないでほしいわ」

 

「まったくですな…それなら、日本海軍の方も大変なのでは?」

 

 

「ギリシャからの要請の件もあったから、西進案になったからね。ギリシャにも困ったものよ」

 

航海長や副長との会話を重ねるカルメン。

その会話も次の瞬間には中断された。

 

 

「艦長! 対空レーダーに機影有り! IFFに反応なし…アンノウです!」

 

 

「ここでアンノウは深海棲艦の索敵偵察ね…総員戦闘配置! 格納火器は予備を除いて設置・携帯! 艦娘も出撃用意!」

 

 

 

 

『総員戦闘配置! 繰り返す! 総員戦闘配置!』

 

「25㎜チェーンガンとキャリバー50を所定場所に設置しろ! 急げ!」

 

 

「おい、携帯SAMと予備弾薬は誰が持ってくるんだ!?」

 

 

「おいおい、M16も使うのかよ!?」

 

 

「何も無いよりマシだろう!」

 

 

「ダメコン班は応急資材と担当区域の確認を急げ!」

 

 

「ハッチを封鎖するぞ! 誰もいないな!?」

 

戦闘配置の指示が出た為、バレアレスの艦内は乗組員の誰もが走り回り、慌ただしさを醸し出す。

そんな中、バレアレス以下艦娘達も装備の点検をしていた。

 

 

「シュペー、レックス、祥鳳、島風、陸風、準備はいい?」

「ヤー、異常なし」

 

 

「はい、何時でもいけます」

 

 

「お〜そ〜い〜」

 

 

「単装砲ちゃんも含めて準備よしです」

 

 

「……………準備よし」

 

シュペー、祥鳳、島風、陸風、最後にウエンチェスタライフルを磨いていたレキシントンが答え、準備完了となる。

 

 

「カルメン艦長より出撃指示が出ました…行きましょう!」

 

そう言ってバレアレスを先頭に走り始め、上甲板に出ると次々に海に飛び降りていく。

 

 

「おい、あれは…」

 

 

「バレアレスに…日本の戦乙女達だ!」

飛び降りた艦娘に気付いた配置に就いたバレアレス乗組員が気付いて声をあげる。

 

 

「……私はアメリカの艦娘なんだけど」

 

 

「あら、それを言えば私はドイツよ。まあ、どうでもいいけど」

 

レキシントンの呟きにシュペーが苦笑いを浮かべながら応じた。

 

 

『こちら、カルメンです。みんな、ヘッドセットは大丈夫?』

 

 

「こちら、バレアレス。各員異常なし」

 

 

『了解。アンノウの反応は1つ。だけど、直ぐに増えると思うわ。バレアレスのレーダーでサポートするから、各員通信には聞き耳をたてるように…いいわね』

「了解です」

 

皆を代表するかの様にバレアレスが答えた。

 

 

『それと、このアンノウは私達が対処するわ。この後のを頼むわよ…目標、アンノウ…撃て!』

 

VLSから放たれた対空ミサイルが敵機を叩き落としたのはその40秒後の事だった。

 

 

 

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