転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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今回は新キャラ救出編です。
まあ、簡単にはいかせてくれませんが…。


18 救援

翌日……マルタ島鎮守府内イベントホール(ブリーフィングルーム)内

 

 

「昨日の一件、みな御苦労だった。特に夕張隊には危険な目に遭わせてすまなかった」

 

そう言って松島宮は頭を下げる。

まあ、昨日は滝崎と一緒に頭を下げに行っていたから、既に誰も気にしていないのだが。

 

「そして、昨日着任した艦娘を紹介する。前へ」

 

松島宮の指示に神鷹達6人が前に出る。

 

 

「防空空母神鷹です。艦隊の防空と偵察はお任せ下さい」

 

 

「グーテン・ダーク。ドイチェラント型装甲艦アドミラル・グラーフ・シュペーだ。よろしく」

「祥鳳です。小型ですけど、立派な航空母艦ですよ」

 

 

「黒潮や、よろしゅうな〜」

 

 

「ちわ〜、涼風だよ〜。あたいが居れば百人力さ〜」

 

 

「深雪だよ。よろしくな!」

 

 

「……と言う事で6人をよろしく頼む。さて、本題に入ろう」

 

6人の紹介が終わり、滝崎が本題に入らす。

 

 

「昨日の戦いは何とか凌いだが……これが続く事はシーレーン防衛的にも、また戦力的にも不味い。故に予定を繰り上げて排他的経済水域奪取を実施する」

 

そう言って降りてきたスクリーンに艦隊編成が写し出される。

 

「霧島隊と鈴谷隊は前回と同様。扶桑隊は扶桑、鳳翔、川内、時雨、夕立、綾波。バレアレス隊はバレアレス、シュペー、祥鳳、神鷹、五月雨、涼風。神通と五十鈴は残余の駆逐艦を率いて護衛・哨戒任務にあたってもらう。何か質問は?」

 

………………………………

 

 

「編成について、質問はないな。では、次に……なんだ!?」

 

突然響き渡ったサイレンに滝崎は大淀に訊いた。

 

 

「大変です、提督! 副官! 救援シグナルを受信しました!」

 

 

「シグナルを…場所と発信者は!?」

 

松島宮の問いに大淀は難しそうな表情で答えた。

「それが…場所はマルタ島排他的経済水域のど真ん中…しかも、救援シグナルは古い物なので…」

 

 

「古い物……陸風、見てくれないか」

 

 

「は、はい!」

 

滝崎に言われシグナルを見た陸風は驚きながら言った。

 

 

「これは……アメリカ海軍の古い救援シグナルです!」

 

それを聞いた滝崎は松島宮を見て頷いた。

 

 

「やれやれ…自らハードルを上げてどうする…まあ、お前らしいな」

 

溜め息を吐きながら滝崎の考えを了承する松島宮。

 

 

「ありがとう。では、少し予定を変更し、この救援シグナルの発信者の救助と並行し、排他的経済水域の確保にうつる。編成は先程示した通り。バレアレス隊は救助と各部隊の援護だ。総員の奮闘を期待する。解散!」

暫くして……霧島隊

 

 

 

「……大丈夫かな?」

 

 

「何がですか?」

 

 

出撃した霧島隊の中で蒼龍が呟き、霧島が反応した。

 

 

「提督の采配だから仕方無いけど……副官の意見を聞きすぎな様な気がしない?」

 

 

「……そう言えば…副官も独自に動いていますね」

 

 

「でしょう? それに今回はあの救援シグナル…罠かもしれないのに、シレッと救助任務まで追加しちゃうし」

 

 

「なあなあ、蒼龍に霧島。いくら本人が居らんからって文句言い出すんはあかんで」

 

2人のやり取りを聞いていた龍驤が言った。

「龍驤さん?」

 

 

「蒼龍、君は副官と一緒に居らんかったから解らんのはからしゃあないけど、副官はええ奴やで」

 

ニイッと笑いながら龍驤が言った。

 

 

「そうだね。副官って僕らの事を結構気に掛けてるよ」

 

 

「そうですよ。私も御世話になりましたし」

 

龍驤の言葉に合わせるかの様に最上と陸風が言った。

 

 

 

同時刻……扶桑隊

 

 

「私達の任務は戦艦を主力とする敵艦隊の撃滅ですね?」

 

 

「えぇ、戦力的には互角よ…いえ、鳳翔が居るから、私達が有利かも」

 

「それは買い被りですよ、扶桑さん。それに後は川内さん達の出番ですから」

 

 

「鳳翔、私は夜戦専門だよ」

 

 

「夕立はどっちでもいいぽい!」

 

 

「綾波は…私もどちらでも」

 

 

「2人とも…」

 

川内の言葉に続き、夕立、綾波の発言に時雨も呆れる。

 

 

「うふふ、賑やかですね」

 

 

「えぇ…副官もこの光景が好きなのよ」

 

 

「あら、そうなんですか?」

 

 

「はい、賑やかな場所が好きで…お酒なんて飲まないのに、皆が集まると寄って来て…うふふ、やっぱり、いい人よ」

同じく…バレアレス隊

 

 

 

「また一緒の艦隊ですね」

 

 

「ヤー、珊瑚海以来ですね。今は地中海ですけど」

 

 

神鷹は松島宮達の第四艦隊時代に一時的に指揮下に入っていた祥鳳と話していた。

そして、五月雨と涼風も祥鳳の後ろで話していた。

 

 

「……変な感じだ」

 

 

「何がです?」

 

シュペーの呟きにバレアレスが訊いた。

 

 

「私は大戦開始後の出撃から沈むまで、単身で海を駆けていた……こうして、艦隊を組む事は久し振りだ」

 

 

「そうですか…私は艦隊行動中に姉の前で力尽きましたから」

「…………す、すまない」

 

 

「いえ、気にしていません」

 

こんな会話を交わしている内にバレアレスは救援シグナルを捉える。

 

 

「シグナル捕捉…周囲警戒、神鷹さん、偵察機の発艦を」

 

 

「ヤー、二式艦偵発艦!」

 

 

神鷹が杖を振るうと飛行甲板から二式艦偵が現れ、発艦していく。

また、バレアレスの指示通り五月雨、涼風、シュペー、祥鳳も周囲を警戒し始める。

 

 

「居ました。巡洋艦タイプが2隻…此方に来ます」

 

神鷹の報告通り、バレアレス達の前に高速で2つの影が踊り出た。

 

「貴女達が救援シグナルの発信者?」

 

 

「はい。私は軽巡洋艦フェニックス。後ろに居るのは姉妹艦セントルイスです」

 

 

「日本海軍マルタ島鎮守府所属のスペイン海軍重巡洋艦バレアレスです。シグナルを鎮守府で受信し、攻撃作戦に合わせて救助に来ました」

 

 

「攻撃作戦…ちょっと待って下さい! では、貴女方は作戦部隊ですか?」

 

 

「いえ、私達は貴女達の救助と作戦部隊の援護を…」

 

 

「大変です、バレアレスさん! 二式艦偵が此方に接近する大編隊を発見しました!」

 

神鷹の報告にバレアレスの表情が険しくなる。

 

「フェニックスさん、貴女達を追尾していた部隊は?」

 

 

「途中まで追跡して来ていたけど…途中から接触を絶ってます」

 

 

「なるほど、私達を誘い込む為に、あいつらが仕組んだ罠だったのね」

 

フェニックスに代わりセントルイスが答え、シュペーがそれを罠だと結論つけた。

 

 

「……まあ、どちらにしろ、こんな所で叩き潰される義理は無いわ。神鷹さん、祥鳳さん、迎撃機隊をお願いします。フェニックスさん、セントルイスさん、まだ戦えますね?」

 

 

「えぇ、もちろん」

 

 

「やられてばかりと言うのもいやなので」

 

 

「わかりました。全員戦闘用意!」

 

 

 

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