転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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少し溜まっているので本日は二作目を投稿いたします。


13 航空戦力

翌日……マルタ島鎮守府内提督執務室

 

 

「はっきり克つ、ぶっちゃけて言う…解りきっているが、ウチには航空戦力が不足している。下手をしたら…いや、確実に枯渇している」

 

そう言って滝崎は『マルタ島鎮守府幹部会議』の口火を切った。

昨日の戦闘でマルタ島領海を確保したマルタ島鎮守府。

奮戦してくれた扶桑隊、鈴谷隊に代休兼待機を命じており、鎮守府は普段と比べれば静かである。

なお、会議参加者は松島宮、滝崎、カルメン、大淀、明石、五月雨の6人。

 

 

「次はマルタ島排他的経済水域だ。これを確保すればマルタ島共和国は深海棲艦の脅威を排除出来る。だが、今までの戦いから見て、向こうも龍驤を確認しているだろう。つまり、向こうは複数の航空戦力を投入するのは確実だ」

滝崎の言葉にカルメン以外の面々は頷く。

 

 

「なら、私のバレアレスを投入すれば? イージス艦なら深海棲艦の航空機には対抗可能よ」

 

 

「確かにそうだが…弾薬の補給はどうする? しかも、第一波は防げても、第二、第三と出されればイージス艦とは言え、空白を突かれるぞ」

 

 

「……確かにそうね」

 

 

「…話を戻してもいいかな? よって航空戦力強化は必須だ。しかも、軽空母と正規空母、どちらも複数必要になる。また、これに随伴する護衛戦力も必要だ。足の早い戦艦と重巡洋艦を含めた空母機動部隊の編成も必要になる。もちろん、複数編成しなければいけない」

「つまり、戦力増強の為に建造、資源確保の為に護衛作戦を中心とした遠征任務を中心にして、当分の海域への出撃は控える……そう言いたいのか?」

 

 

「そうだ」

 

滝崎の返事を聞き、松島宮は溜め息を吐く。

 

 

「まったく、回りくどく言いおって……滝崎の意見に何かある者は居るか?」

 

松島宮の問いにカルメン達は首を横に振る。

 

 

「よし…では、滝崎、編成の方を頼む。以上、第一回鎮守府方針会議を終了する。解散」

 

 

 

暫くして…滝崎の執務室

 

 

 

「とりあえずだ…編成はこうだな」

大学ノートに簡単な編成表を作り、それをカルメンに見せる。

 

 

「護衛任務になると、水雷戦隊編成中心になるのね」

 

 

「当面の相手は潜水艦だからね。複数の駆逐艦と旗艦の軽巡が編成の中心となる」

 

 

「で、そっちが空母機動艦隊の編成?」

 

水雷戦隊編成の下に書かれた『機動艦隊編成(仮)』と書かれた2つの編成を指差しながらカルメンが言った。

 

 

「あぁ、出来れば高速戦艦と軽・重巡洋艦、駆逐艦2。これに正規・軽空母2を加える編成かな」

 

 

「ふーん…それで、これは?」

 

そこには『偵察艦隊』と書かれたれた編成があった。

「航空巡洋艦と水上機母艦を中心とした水上機運用艦隊だ。主に海域への事前偵察が目的。まあ、いつか編成出来る様になった時の為にね」

 

そう言って滝崎はノートを閉じた。

 

 

 

暫くして……工厰

 

 

 

「建造カプセル4基フル使用か」

 

編成を終え、それを松島宮に提出した後、工厰に顔を出した滝崎は使用中の建造カプセルを見て呟いた。

 

「あら、滝崎副官。工厰に何の用事ですか?」

 

 

「お疲れ様です、明石さん。いえ、ちょっと工厰の様子を見て来いと…ついでに開発して来いと言われたので」

 

 

「わかりました。じゃあ、開発しますか?」

 

 

「えぇ、しますよ。とりあえず、3回。数値はオール70で」

 

 

「了解です」

 

開発カプセルに資源が放り込まれる。

ただ、建造カプセルと違い開発カプセルは直ぐ終わるのであっという間に開発品が出てくる。

 

 

「瑞雲、甲標的、瑞雲……よかったですか?」

 

 

「使える物は使いましょう。ところで、あの重巡の容態は?」

 

 

「あぁ、あの子ですか…」

 

そう言って明石は保護カプセルに入った艦娘を見る。

昨日収容したあの艦娘である。

 

「未だに目を覚ましません」

 

 

「そうか…君は誰なんだろうな?」

 

答える筈の無い問いを保護カプセルに向かって呟く。

 

 

「……副官、建造カプセルの確認をなさいますか?」

 

 

「あぁ、そうしよう。ちなみにレシピは?」

 

 

「空母狙いのレシピだそうです」

 

 

「また資源がぶっ飛ぶのね」

 

そのぶっ飛ぶ量を考えると物凄く頭が痛かった。

 

 

「ふむ……ん? 明石、建造カプセルのメンテは何時もやってるよな?」

 

 

「副官、それは技術者に喧嘩売ってます?」

片手にレンチを持って微笑む明石。

 

 

「お、おう…すまなかった……だが、こんな時間のレシピなんてあったか?」

 

第三建造カプセルに表示された時間は……2時間35分。

 

 

「……私が知ってる限り知りません」

 

 

「……高速建造材使用して下さい」

 

 

「はい!」

 

返事と共に明石が指示を出し、妖精達がバーナーを持ち出し、建造カプセルに装着する。

 

 

「高速建造材始動!」

 

 

「ファイヤー!!」

 

 

「……………」

 

何か違うくない……と思いつつ、滝崎は建造カプセルの開放を持つ。

そして、白煙と共にカプセルが開放される。

 

 

「準千歳型の瑞穂型水上機母艦、瑞穂です。瑞穂は扶桑に並ぶ日本の別称よ。頑張ります!」

 

出てきたのは……水上機母艦瑞穂だった。

 

 

「………明石、提督執務室に直通電話!」

 

 

「はい!!」

 

 

 

暫くして……提督執務室

 

 

松島宮

「ふむ……実物を見た事はないが……格好は千歳型だな。上衣の色合いは違うが」

 

連れて来た瑞穂の周囲をグルグル周りながらジロジロ見て回る松島宮。

確かに千歳型が藍色に対し、瑞穂は稲穂のイメージからか明るい黄色だった。

「あの…提督…その……」

 

 

「あぁ、済まない……しかし、今度は瑞穂か」

 

 

「俺も驚いたよ。見た事もないレシピ時間だからね」

 

 

「そうだったか…瑞穂は龍驤と組んでくれ。水母と空母の違いで戸惑うと思うが、頼むぞ」

 

 

「は、はい!」

 

返事の後、瑞穂は五月雨の案内で龍驤の所に向かうべく退室した。

 

 

「さて……松島宮、今回の建造で使用した資源量を教えてくれるかな?」

 

 

「あはは……やっぱり、気になるのか?」

 

 

「当然だ。資源量の管理は厳格に…違うかい?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

 

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