転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

123 / 131
タイトルは置いとくとして、後半に工廠陣のヒャッハーが入ります。


123 非正面戦 2

4時間後 マルタ島鎮守府 松島宮執務室

 

 

滝崎・高塚は松島宮とレナータ、カラビニエリのイメルダ少佐に間宮に来て貰って事を説明、昼食を食べて午後からの仕事に掛かっていた時、松島宮に呼び出しを受けた。

 

 

「どうした、松島宮?」

 

 

「あっ、来たわね。マサヨシ、こっちこっち」

 

部屋の主の松島宮をさし置き、レナータがソファを勧める。

ソファには松島宮、高塚、テーブルを挟んだ反対側にレナータとイメルダ少佐、2人の真ん中にお偉いさん風の初老の男性が座っていた。

 

 

「まずは紹介するわね。イタリア全警察の総責任者…日本で言う国家公安委員長かな?」

 

そう言って初老男性をレナータが紹介した。

 

 

「はじめまして、この様な形でではありますが、日本のエンペラー・ファミリーのマツシマノミヤ殿下、アドミラル・タキザキ、ジェネラル・タカツカに会えた事を光栄に思います」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「とりあえず、一通りの事情は話してあるし、大統領と首相からはマフィアの事もあるから、最優先事項って事になってるわ」

 

 

「約4時間で連れて来たって事はガチでF35で大統領府に突喊したんだな」

 

 

「こちらにも『出来る限り協力せよ』との連絡が来ました」

 

ワイのワイのと騒ぎ始める中、滝崎は総責任者と話を始める。

 

 

「やはり、我々のクレタ島沖合海域後のマフィア案件は増加した、とイタリア警察もお考えですか?」

 

 

「はい。当事者でありますからわかりますでしょうが、深海棲艦の脅威が除かれた事により、海上交通に対する脅威がほぼなくなりました。ですが、裏を返せばマフィアも今までのリスクを気にしないで済む、と言う事です」

 

 

「ふむ…マフィアは場合によっては武器の売買も行う上、それに絡んで人身売買と言う面では厄介な事がありますので、我々としても他人事ではないですからね」

 

 

「武器売買に絡んだ人身売買…とはいったい?」

 

 

「簡単に言えば艦娘や人型深海棲艦の売買が行われる事です。通常、1万トンクラスの艦艇で陸軍一個師団に相当する戦力があると言われています。これが例え駆逐艦クラスでも千トン以上は確実です。これは陸軍一個大隊に匹敵する戦力が1人の身体にある、と言う訳です」

 

 

「そして、深海棲艦の人型は軽巡洋艦や駆逐艦クラスにも現れて来ましたからね。まあ、例え軽巡洋艦クラスならそれが5000トン以上…つまり一個連隊にバージョンアップする。しかも、それが『最低』ですからね。それらがマフィアによって犯罪組織の手に渡れば警察どころか、陸軍の対処能力を越える事は確実…この説明で此方の懸念をご理解頂けたと思いますが」

 

 

「…うむ、たしかにそれは由々しき問題ですな」

 

滝崎や高塚の言葉に以前の演習やら何やらの映像を見ている為か、その風景を想像出来たらしく、顔が若干青くなっている。

 

 

「でも、売春人身売買ならともかく、武器として売られる深海棲艦や艦娘がマフィアや犯罪組織の手先になるとは到底思えないけど」

 

 

「いや、皮肉にもそれが出来る方法がある」

 

レナータの言葉に経験者の高塚が断言するかの様に言った。

 

 

「一番確実かつ、マフィアが得意そうなのは薬物だ。実際、憲兵として本土や外地の鎮守府で売春や強制強行出撃を継続する提督の所に踏み込んで取り締まったが、3分の1は薬物を使用していた。まあ、大半はヘロイン系が多かったがな」

 

 

「ふむ、薬物供給で言う事を聞かすか、思考系統を麻痺させて聞かすか…どっちにしても唾棄すべき話だ」

 

高塚は経験者として、滝崎は陸戦の最前線を経験した者として話しているが、それ以外の女性陣3人の顔はショックを隠しきれていなかった。

 

 

「私も過去に売春や薬物売買の現場に踏み込んだ経験があるのでわかります…これは単純な話ではなくなった、と言う事ですな」

 

 

「はい。まだ裏付けが取れてはいませんが、例の邦人女性も薬物を使用している可能性もあります。また、いつ売買されるかもわからない。時間との勝負、と本官は考えております」

 

 

 

暫くして

 

 

 

「で、どうする?」

 

 

「何が?」

 

総責任者が帰った後、滝崎は高塚に訊いた。

 

 

「もし、マフィアの連れ去り案件なら、間違い無く救出作戦だが、場合によってはマフィアは重火器を持ち込んでくる。無論、ウチらが積極的に動かなければならない。そうなると部隊動員だぞ」

 

 

「あぁ、もちろん、部隊だすよ。まあ、艦娘主体だがな」

 

 

「うん、対策立ててたね。まあ、わかってたけど」

 

 

「それより、装備を整えておかないとな。ちょっと工廠寄ってくる」

 

 

「ん、あぁ、だったら、俺も行くわ」

 

 

「はいよ」

 

 

 

工廠

 

 

「明石、夕張、工廠長、ちょっといいかな?」

 

 

「はいはい、なんですか?」

 

工廠に行ってみると、明石は艤装、夕張は個人携帯火器、工廠長妖精以下妖精達は艤装の整備中だった。

 

 

「実はだ…ちょっと状況が変わってな、回答保留をしていた『9㎜機関拳銃改良型の開発・生産』を生産数限定だが許可したいと思う」

 

 

『『『ヒャッホーウ!!!』』』

 

高塚の言葉に何故かその場の居た全員が歓声を挙げた。

 

「何挺ですか!? 何挺必要ですか!?」

 

 

「え、あ、とりあえず20挺を早めに…」

 

 

「甘い! 高塚少佐は甘い! 20挺なんて明日の朝飯までに全弾装填予備弾倉4つ付きで納入出来ますよ! もう一桁上でも全然影響はありません!!」

 

 

「マルタ島鎮守府工廠ヲ舐メテ貰ッテハ困リマスナ、高塚少佐!」

 

何故か皆んなハイテンション。

 

 

「いや、当分の練習用に有ればいいから…」

 

 

「MPシリーズですか!? 或いはソ連のサブマシンですか!? 何処から調達するんですか!?」

 

 

「落ち着け、夕張。明石や妖精達も威圧感タップリに高塚に迫るな」

 

 

夕張が自身の14㎝砲を突き付けそうで、更に周りもヤバくなりそうと判断した滝崎が間に入る。

 

 

「わかった、わかった。状況を見て追加増産も検討するから…フル弾倉5つ付きで30挺お願いします」

 

 

「ホントですね! 増産ちゃんと考えて下さいね! さあ、夕飯までに揃えましょう!」

 

 

『『『『『オウ!!!』』』』』

 

根負けした高塚の言葉に明石の号令の下、夕張達が作業に入る。

 

 

「……ウチの工廠、大丈夫か?」

 

 

「ある意味、手遅れ」

 

その光景を見ながら2人は呟いた。

 

 

 

次号へ




ご意見ご感想をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。