転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

116 / 131
本号よりアプリゲーム『りっく☆じあ〜す』キャラを追加します。
タグも追加します。


116 陸軍マルタ島鎮守府派遣警備隊

数日後 マルタ島鎮守府

 

 

ノースカロライナ、ワシントン、ネオ・ショーら3人が新たに加わり(そして、新たに問題も加わって)、数日が経った……。

 

 

「でだ、今日、陸軍の増員が着きます」

 

 

「うん………で?」

 

高塚の言葉に滝崎が訊く。

 

 

「当分、騒がしい…つーか、大変つーか、まあ、色々とドタバタとイライラでご迷惑するかもしれないが、よろしく」

 

 

「お、おう」

 

普段とは違う意味で行儀正しいので、滝崎は思わず変な返事を返す。

 

 

 

「なんで、今更そんなに畏まるんだ?」

 

 

「いや…ガチで多大な迷惑を掛けそうだから」

 

松島宮の問いに高塚が答える。

 

 

「大丈夫だよ、同志。イザとなればこちらでなんとかする」

 

 

「その『なんとか』も迷惑になりそうなんだけど?」

 

山本大佐の言葉にエーディットがツッコミを入れる。

 

 

「まあまあ、とりあえず、笑顔で出迎えよう」

 

レナータの言葉でこの件は終わった。

 

 

 

暫くして マルタ島鎮守府前

 

 

 

「日本陸軍マルタ島鎮守府派遣警備隊、筑波博貴(つくばひろたか)少尉以下27名、ただいま着任しました」

 

並んだ隊員達の中で1番の上級者である筑波少尉が申告した。

 

 

「うむ、ご苦労。にしても、要請人員より多少多く無いかね?」

 

 

「はっ、要請の機甲科人員に予備員6名を増加したからであります」

 

 

「そうか、わかった」

 

そのやり取りを終えると高塚は派遣隊員の方を向いた。

 

 

「長旅ご苦労さま。先ずは荷解きをしてから、ゆっくり休んでくれ。なお、荷解きが済んだ者から面談を行う。本日はそれだけだ。職務等々は明日からとする。以上、解散」

 

それだけ言うと高塚は仕事に戻る。

 

 

「では、このあきつ丸が皆さんのお部屋まで案内するであります。付いて来て下さい」

 

ぞろぞろと手荷物を持ってあきつ丸に付いて行く隊員達。

既に今後の予定を話す隊員達もいる。

 

 

「とりあえずは何とかなりそうだが……あの少尉、大丈夫かな?」

 

 

物陰に隠れて見ていた高塚が呟いた。

 

 

「なんだ? お前の監視役の件か?」

 

 

「いや、まあ、あの少尉が監視役であるのは間違いないさ…だが、それ以外にもあるような予感がしてな」

 

 

「なるほど…まあ、なんかあったら、対処する」

 

 

「出来れば、そんな物騒な事がおこらない事を願うよ」

 

 

 

 

 

暫くして 高塚執務室

 

 

 

「うーむ…ちょっとした噂としては聞いていたんだがな…」

 

あきつ丸を側に控えさせ、左手に持った人事と対面する女性自衛官らを交互に見ながら高塚は呟いた。

 

 

「なあなあ、少佐さんよ。うちらを先に呼び出しておいて、用が無いなら、帰っていいか?」

 

高塚の態度に富山ひみ子3曹(3等陸曹)が少しドスを効かせながら言った。

 

 

「いや、すまない。陸軍が『駐屯地娘』なるご当地アイドルと言うか、看板娘を作ってたのは噂で聞いていたんだが……まさか、こんな形で見る事になるとは思ってなかったからな」

 

『駐屯地娘』は深海棲艦による戦闘と海軍の評判上昇によって低下した陸軍の士気と内外部の人気を維持する為に上層部の出した対策の1つだった。

しかし、牛歩の様にしか進まず、逆に『噂レベル』にまで落ちてしまったとしか見られなくなっていたのだが………

 

 

「細々と継続していて、こうしてマルタに派遣してきたのか…しかも、君達全員、原隊の駐屯地から推薦とはね」

 

先程の富山ひみ子をはじめ、大宮氷乃(おおみやひの)、三宿比奈乃(みしゃくひなの)、小倉雛子(おぐらひなこ)、練馬結歌(ねりまゆか)の派遣隊女性自衛官5名全員がその苗字たる駐屯地(兼原隊)からの推薦派遣であった。(全員階級は3曹)

 

 

「ふふふ、ここなら深海棲艦向けの人体実験が…」

 

 

「出来ないぞ。艤装なら話は別だがな。大宮は確か化学学校があるからな…大丈夫かな…」

 

大宮3曹の発言に高塚も若干引きながら心配する。

 

 

「三宿3曹は…衛生枠でも推薦されてると。さすが、衛生学校の所在地だ」

 

 

「ありがとうございます。少佐」

 

 

「そして、練馬3曹……まあ、オタクの一端な俺が言うのもなんだが、目的はもしかして…」

 

 

「生の艦娘を間近で見られる機会なんて早々ありませんから!」

 

 

「……あきつ丸、練馬3曹は要監視。小倉3曹、アニメ趣味でウマが合うかも知れないが、変な事があったら知らせてくれ」

 

 

「りょ、了解です」

 

 

「最後に富山3曹は…」

 

 

「わざと最後にしたな?」

 

 

「問題はないでしょう。ふむ、駐屯地は後方系だが、やる気は戦闘職種並みにあるな」

 

 

「てっ、言っても、うちらはここの警備だけだし」

 

 

「言っておくが、ここはヨーロッパだ。日本国内の駐屯地警衛とは訳が違う。俺が着任したての時に難民の武装占拠があったぐらいだ。それにここにはドイツ海兵隊、ロシア民兵隊、かの有名なカラビニエリと言った地上部隊が共に居る。艦娘も彼らから射撃・格闘・サバイバル術等を学ぶ者も居る。最低限、在日米軍との共同訓練並みの刺激はあるかも知れん。まあ、好きにはしていいからな」

 

富山3曹からの言葉に注意を促しつつ、キッチリと『餌』を巻くのを忘れない高塚。

 

 

「あと、甘味処間宮、居酒屋鳳翔、食堂での普段の給食も美味しいでありますよ。なお、本日は昼食は龍田揚げセット。間宮は期間限定日替わりパフェがお勧めであります」

 

 

「「「「「マジで!?」」」」」

 

……女性が喜ぶ餌はあきつ丸が巻いた。

 

 

 

次号へ




ご意見ご感想をお待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。