転生提督・副官のマルタ島鎮守府戦記   作:休日ぐーたら暇人

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サクサク書けたので投稿します。
……なんか、新人達による先輩ボコり話になってしまい、申し訳ありません。
なんでだろう…。


次号、あの古参軽空母にn(彗星の爆撃を受けてぶっ飛ばされました)


103 演習

翌日 マルタ島鎮守府 演習海域

 

 

「ズイカク! 衝突するわよ!」

 

「うるさいわね、バカE!」

 

回避運動を続ける内に互いの背中を預ける形になったエンタープライズと瑞鶴。

互いに言い合いをしつつ、だが、そんな中でも得物の弓とウェンチェスタライフルを構えると上空に撃ち出す。

 

 

「迎撃隊、低空侵入の雷撃機に対処!」

 

 

「我らは敵急降下爆撃機隊よ!」

 

瑞鶴から撃ち出された零戦隊は低空から侵入しようとした雷撃隊、エンタープライズから撃ち出された零戦隊は飛来した爆撃機隊に対処する。

 

 

「あらあら、あんな風に言いあっている割には連携してますね」

 

 

「ホントだね〜。まあ、2人共、実力はあるからね。あっ、もちろん、翔鶴もね」

 

翔鶴を守る形で対空弾幕を張る土佐が話しながら回避していく。

 

 

「やれやれ、あれがあれで厄介なのじゃ…敵に回すとな!」

 

 

「ホントにね、姉さん」

 

前号で土佐・大仙と共に建造され、今回はペアを組んでいる利根と筑摩もエンタープライズと瑞鶴を見ながら近付く攻撃隊に対空射撃を続ける。

 

 

「二式艦偵が敵本隊を発見しました!」

 

水雷戦隊を率いて瑞鶴達の護衛にあたっていた大仙が代わりに偵察機の報告を伝える。

 

 

「ショウカク、出せる戦闘機を全て出せ! 攻撃隊は私とズイカクで出すわ!」

 

 

「仕切るな、バカE!」

 

 

「ふん、旗艦は仕切るの仕事よ。攻撃隊、発艦!」

 

 

「あ〜、空母の時の加賀さん並みにムカつくわね! 攻撃隊、バカEの攻撃隊に負けないでよ!」

……空襲下に関わらず、痴話喧嘩の様な言い合いをしつつ、次々に攻撃隊を発進させる2人。

互いの攻撃隊は競うかの様に飛び上がると翔鶴が出した護衛戦闘機隊と合流し、敵本隊へと向かっていく。

 

 

 

その頃 マルタ島鎮守府 松島宮執務室

 

 

 

「……まあ、互いの練度を見る為に組ませたけどさ……なに、これ?」

 

 

「『二つの史実』でライバルなんだろう? 故にピッタリとハマってるんでないの?」

 

演習海域でのエンタープライズ達の映像(撮影者 青葉)を観ながら滝崎は呟き、高塚は肩を竦めながら答える。

 

 

「……うーむ、歴戦古参の飛龍・蒼龍に艦載機数と練度も上な赤城と護衛を相手ここまでやるか」

 

松島宮も攻撃を受けている3人の映像(撮影者 衣笠 手伝い 古鷹・加古)を見ながら唸る。

実際、エンタープライズ達が出した攻撃隊は接触から10分もしない内に戦闘機と対空砲火の迎撃を突破し、更に3人を中破(判定)を出していた。

 

 

「前衛隊の輪形陣を突破し、比叡、霧島、那智の対空弾幕と赤城達自身の対空射撃も突っ込んだからな…やれやれ、さすが、ビックEと瑞鶴、恐ろしや」

 

 

「まあ、初回からこれぐらい連携取れてるんだからな…まあ、ライバルはいいでないかね。さて、お次は艦船の殴り合いだが…」

 

滝崎の言葉に高塚はニヤリと笑いながら言った。

 

 

 

暫くして

 

 

 

「さあ、あてらぁーが出番ぜよ! 事前に決めちょった通りにやりようすれば勝てるちや!!」

 

興奮した為か素の土佐弁が出ている土佐。

艤装の五基10門の主砲の斉射と共に利根と筑摩、大仙率いる前衛隊が突入する。

 

 

「ちょ、ちょっと!? な、なによ、あれ!?」

 

 

「ぐすい、ぐすい。この砲撃はぐすいよ!」

 

前衛を率いる足柄も思わず声を上げ、大仙も因州弁を喋りながら先頭を切り、後続として副官の厚狭(アトランタ)、陸風、初春、初霜、朝顔の5人が1列で突入して来た。

もちろん、阻止砲火で接近を阻もうとするが…大仙が盾になる形で先頭にいる為に後続になんの影響もない。

 

 

「くっ、新人にしてわ…」

 

 

「当たり前じゃあ! 大仙は我と筑摩の妹なのだからな!」

 

 

「足柄さん、今回は勝たせてもらいますね!」

 

足柄を阻止する為に利根と筑摩が相手をする。

そうこうしている内に神通率いる駆逐隊の前へと大仙達が到達した。

 

 

「全艦探照灯照射!!」

 

 

「っ!? しまった!!」

 

大仙の指示に厚狭達は探照灯を照射する。

晴天下の探照灯照射により、神通ら陽炎、不知火、黒潮、秋雲も一瞬目が眩み、目を背ける。

神通は腕で右目を隠し、左目で大仙を見続ける。

だが………

 

 

「全艦一斉砲撃! 始め!」

 

 

「「ファイアー!!」

 

大仙、厚狭、陸風に続く形での一斉砲撃により、あっと言う間に神通達は大破判定を受けた。

 

 

 

「馬鹿な…神通達が一撃で!?」

 

 

「ひぇー、大仙ちゃん、中々侮れないね」

 

 

「それなら、土佐もです。さすが、ウェークでタメを張っただけはあります」

 

一方こちらは主力隊は土佐に対して三隻が砲戦を繰り広げていた。

 

 

「さあさあさあ! 戦はこれからちや!」

 

 

「むぅ、貴様!」

 

 

「ダメです、那智! あれは誘い…」

 

霧島の止める声も聞かずに突っ込んだ那智は今まで沈黙していた土佐のケースメント副砲群に撃たれ、しかも、それすらも誘いであり、那智が避けた先に主砲弾が的確に命中した。

 

 

『那智、大破! 戦闘不能!』

 

 

「ば、馬鹿な…」

 

判定放送を聞いて流石の那智も項垂れた。

 

 

「あちゃー…あれ、副官さんの下に居たからかな?」

 

 

「影響が無い事はないでしょう…それより…」

 

霧島は視線を横に向ける。

比叡もそちらに向けた……大仙達が近付いて来ていた。

 

 

 

 

暫くし マルタ島鎮守府 松島宮執務室

 

 

 

「……いや〜、これ、マジぱっないわ」

 

演習終了と共に滝崎は苦笑いを浮かべながら言った。

 

 

「まあ、お前が仕込んだからな…土佐は」

 

 

「あはは…」

 

結果だけ言うと、比叡、霧島、そして、利根・筑摩と戦っていた足柄も大破・戦闘不能判定を受けて演習は終了した。

 

 

「つーか、高塚、今回の『演習生放送』はよかったのか?」

 

 

「いや、マルタ政府も出来たら、って話だったからね。まあ、艦娘の活動を知ってもらう為にもよかったんでないの」

 

今回の演習は土佐・大仙とエンタープライズ・瑞鶴・翔鶴らの練度を見る為に行う事が主目的だったのだが、マルタ政府から広報活動の打診もあり、撮影機材を借りて撮っていた。

 

 

「さて、どうなるかな…これは」

 

 

「わからんな」

 

滝崎と高塚は苦笑いを浮かべながら呟いた。

 

 

 

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