転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 思えば完結させた作品はこれが初でした。


エピローグ

 ロマリア包囲戦から約半年、色々な事があった。

 

 まず、ロマリアの解体。ブリミル教は残るものの、武力と土地を失い、魔術により徐々に権力を削られたブリミル教は教えこそ残ったが平民を一方的に搾取していた貴族が逆襲に遭い、以前ほどの権威は無くなった。

 

 同時に大隆起、これは魔術の台頭により打ち込んだ楔への負担が減り、このまま魔術が広まり続ければ主な産出地以外での風石は生成されないだろう。

 

 後はロマリアをいかに切り分けるかが問題となった。結果、一応ブリミルの墓なのでロマリアの首都だけは残し、他は三国がそれぞれ切り取っていった。それのどさくさに紛れ、俺は相当な功績(竜牙兵部隊はガーゴイル、バハムートとキングベヒんもスは使い魔扱いなので全て俺だけの功績である)を残したので爵位の上昇と「場違いな工芸品」を貰った。その中にはもちろんタイガー戦車やAK-47もある。ルガーP08はジュリオが持っていったのか見当たらなかった。M1911シリーズのどれかと予備マガジンはあったが。弾やマガジン、部品は持って帰って分解、後、型を取って全てスペアを複製した。そもそも俺の錬金の仕方は鉄なら始めから鉄鉱石を買い、熱で溶けている最中に抽出を行い余分な成分を追い出し、それぞれ純度の高い金属を作り出した後混ぜて合金を作っている。冶金技術はハルケギニアでは独走状態である。

 

 場違いな工芸品は俺のルーンの力で扱っているものとし、他人には使えないと半分嘘をついた。使用されては困るし兵器など量産されるのはもっての他だ。

 

 もちろんこれだけでも十分だし他にもやることがあったので発明などはしていない。まあ、ノーパソから情報を写し作ったパクリなんだけど。

 

 報告しなければならないことがある。ツェルプストーの家に婚約の許可を貰ったり、テファと付き合うこととなったのだ。

 

 前者はキュルケが本気になっているのでキュルケ自身の決意表明と言う側面があり、後者はテファに告白された。

 

 もちろんマチルダに相談したが、変に信頼されており、「あんたならテファを悲しませないだろう」とむしろ歓迎されてしまった。これで5人になるんだが、いいのかね?

 

 それはそれとして、爵位も伯爵になり、領地を貰った。オルニエールと爵位を剥奪された貴族がオルニエールの隣に居たので、そこもだ。面倒なのでまとめてオルニエール領となった。だが、俺はシュバリエをすっとばしているので、サイト・ヒラガ・ド・オルニエールとなる。最近はサイトンとかヒリガルとか間違える奴も居なくなったな。顔色悪い奴が多かったけど。

 

 そして恋人達と楽しくお茶会をしたり、ロマリア攻略に参加させてもらえなかった水精霊騎士隊を最低でもトライアングルに引き上げるために特訓をしたりゲルマニアの皇帝に魔術の手ほどきをしたりしていた。ゲルマニアも三国に倣って魔術を普及させるらしい。そのほうが効率がいいとか。流石平民でものし上がれる国だね。

 

 そうやってたらいつしか俺は「魔術の始祖」と呼ばれていた。シエスタやマルトーさんたちにも伝授したし、他人の小源(オド)で魔力を作るのは難しいが、大源(マナ)を限界まで吸収して凝縮すれば多少色は着くものの、魔石が出来る。変換効率はとても悪いが、これに光の魔術を宿すと己の意思一つでオンオフ切り替え可能なマジックアイテムとなるのだ。色は本人の属性に引っ張られるので火属性だったら赤かったりするが、ろうそくを使わない光源となる。これにより魔法のランプを始めとした光源系のマジックアイテムの価値が激減し、せいぜいインテリアとしての価値しかなくなってしまったがこういうこともあるさ。

 

 で、半年が経過した頃にガリアから呼び出しを喰らった。

 

「待っていた。アヌビスの後継よ」

 

「ああ、久しぶりだな。ビダーシャル」

 

「約束通り、風石の撤去が終わった。持ち帰れる風石は持ち帰らせたが、構うまい?」

 

「いいとも。元々邪魔だったものだ。好きにしてくれ。こちらも約束通りロマリアを潰した。あちらのシャイターンも生かして捕らえたし、予備の居場所を知っていたのはその使い魔だ。これでしばらくの間は四の四は揃うまい。こちらも予備を見つけ次第力を使わせないよう力の発端には触れさせない」

 

 力の発端とは始祖ゆかりの品だ。気の弱いテファは持っていないし、祈祷書はトリステインの宝物庫の中、おまけにルビーをセットで装備しなければならないので虚無の事を教えなければ問題はない。

 

「約束は守られた。感謝する、アヌビスの後継よ」

 

「俺も無駄な争いは好きじゃないからな。それと、最近領地を管理することになった。出来れば個人的な交易がしたい。ティファニアは一度連れて行くかもしれないが、それ以外のシャイターンは連れ込まないと約束しよう。どうだ?」

 

「その問題は一度ネフテスに持ち帰り検討するとしよう。後日返事をする」

 

「分かった」

 

「では、また会おう。アヌビスの後継よ」

 

「またな」

 

 と、無事大隆起も止められたので魔術が廃れた後六千年は大丈夫だ。人類が便利なものを手放すかは疑問だけどね。

 

 

 

 ハルケギニアにおける原作で判明していた問題は思いつく限り全て片付けたので、早速帰ろう。

 

「ルイズ」

 

「何?才人」

 

「ワールド・ドアを使ってくれ。一度俺の両親にルイズ達を紹介したい。婚約相手だってな。ついでに精神力が貯まるまで俺の国で観光しよう。こっちに来るまでそれなりに稼いでいたんだ、ヴァリエール家のみんなや殿下達に土産を買ってハルケギニアに帰ってくればいい」

 

「そう、確かにご両親には挨拶しなくちゃいけないわね。それと初めの頃食べさせられたあれ、また食べてみたいわ」

 

 チョコレートのこと覚えていたのか。

 

「いいとも。なら、みんなで相談して日程を決めようか。ワールド・ドアで俺の国への道を開くとなると相当な精神力を消費するだろうから、滞在期間もそれなりと考えてくれ。俺も領地の人事をなんとかしておく」

 

「そうね。場合によっては卒業式に出られなくなっちゃうものね。分かったわ。でも精神力を貯めるの憂鬱になるのよね。負の感情だなんて、どうしてそんなものを燃料にしたのかしら?」

 

「人間、楽しいことより悲しいことの方が思い出しやすいからそれに関係してくるのかも知れないな。本当のところはブリミル本人に聞いてみないと分からないよ」

 

 原作のブリミルは実に楽しそうに虚無開発を行っていたし。実験台にされるサーシャが哀れだった。

 

「なら、他の皆の都合を聞くのは任せるわ。こっちも予定の調整が終わったら精神力を貯めておく。その間不機嫌だから怪我したくなかったら下手に刺激しないことをお勧めするわ」

 

 ルイズは普段割り切っているが、急速に精神力を貯めるために俺が寝取られたりすることを想定して目のハイライトを消して対策を立てたり、カリーヌとの訓練風景を思い出して欝になる。最近はこの方法にも慣れてきたのか耐性が出来てきたが。トラウマと弱点を克服するのには最適なのかもしれない。

 

「ああ、その間寂しいだろうが頑張ってくれ」

 

 ここで幸福感を与えてしまうと意味が無いので、精神力を貯めるときはお互いそっけなくなってしまう。なんともめんどくさい。

 

 

 

「才人さんの国?」

 

「ああ、みんなはどうだ?興味無いか?」

 

 お茶会には恋人全員が基本集まるのでそこで提案してみた。

 

「あたしはダーリンの国に興味があるわ。ミスタが夢中になるからくりがたくさんあるのでしょう?それにそちらの流行の服も欲しいし」

 

「行く」

 

「私もその、サイトの恋人になったし着いていきたいな。ダメ?」

 

「テファは普段遠慮しすぎだからこういう時くらい我侭言ってもいいんだよ?」

 

「じゃあサイト、私も行くわ」

 

「全会一致か。いいね。みんなを俺の両親にも紹介するから。でもマントなしの普段着か制服でいいよ?ドレスとか着ていったらあちらでは普通の家だからちょっとね」

 

「そうね、ダーリン元々ルイズに使い魔として呼び出されたんだっけ?ダーリン本人が凄すぎてたまに忘れるわ」

 

「なら、行った先では魔法を使うのは禁止な。魔術も既に廃れた技術なんだ。忘れられて一部の人が継承してるだけだから、あちらでは全部からくりでなんとかしている。これからそれの説明をするから、短杖くらいなら持って行っても構わないけどシャルロット、君の杖は大きすぎるから置いていって欲しい。武器の持ち込みも禁止だからデルフは家の中までは許可する。地下水はなんとか隠し持てるからいいけど」

 

「相棒ひでえ!」

 

「残念だったな」

 

「キュルケも銃を置いていってくれ。大丈夫、あっちには「銃刀法違反」って法律があって剣や銃を持った相手は居ないから。ただし、車道って言う車専用の道路があるからそこにはコルベール先生の作ったような動力機関で動く車が走ってて危険だからね。そこも追々説明していこう。一度に詰め込むのも良くない。みんなの日程を調整しておいてくれ」

 

 それからみんなの日程が決まるまで、「日本の歩き方講座」をした。

 

 

 

「・・・・・・才人、待たせたわね」

 

「辛そうだな。ルイズ。あっちでは精神力はゆっくり貯めよう。いつも温存してるから大丈夫さ」

 

「そうね。ほんと虚無の使い勝手って悪いわね」

 

「ルイズもいつまでもその調子だと辛いでしょうし、早速行きましょう」

 

「不本意だけどキュルケの言うとおりなの。準備はいいわね?よくなくてももう待たないわよ」

 

「大丈夫。問題ない」

 

「はい、荷物は2回指差し確認しました!」

 

「シエスタに手伝ってもらったから大丈夫よ、ルイズ」

 

「そういう事らしいから行きましょう。じゃ、ルイズ、やっちゃって」

 

「行くわよ」

 

 そう言ってルイズはワールド・ドアを唱え始めた。

 

「ユル・イル・クォーケン・シル・マリ・・・・・・」

 

 今回は全員通すためにフルで唱えている。長い。

 

「開いたらすぐに通り抜けなさい!ワールド・ドア!」

 

 魔法が完成すると、姿見の光が消え、別の風景が映し出された。俺の家の前だ。

 

「よし、みんな通ってくれ、慌てず、順番にな」

 

 異次元間をぞろぞろと現実味が無い様子で並んで歩く。みんな緊張してるのか余計な言葉は発しない。

 

「ルイズ、君で最後だ」

 

「今行くわ」

 

 こうして帰ってくるとあっけないものだな。味○素で作った安っぽい味の味噌汁が飲みたい。

 

 俺は久方ぶりの我が家の鍵を出し、扉を開けた。

 

「母さーん、才人だ。帰ってきたよ!」

 

 しかしこれから恋人全員紹介しなきゃいけないのか。いかん、ハルケギニアに戻りたくなってきた。




 これにて本編終了。皆さんのリクエストの通り、次からは蛇足編です。更新は今まで以上に不定期になるかな?いやー、やりきったけど疲れた。

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