転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 もう昔の速度には満足できねえぜ。


お迎えにあがりました。妖精さんたち

「ヴァリエール公爵家は王家に忠誠を誓っておる。よって、今回の件も検める必要のある不和では無いため、ルイズが次代の王となること、また、ヒラガ殿の魔術の普及に全力で協力しよう」

 

「ありがとうございます。閣下」

 

「何、良いのだ子爵。それに閣下はよせ。義父上と呼んでくれたまえ。ルイズに奉するその姿と儂の八つ当たりにも自ら受けに来たのだからな」

 

「はい、義父上」

 

「父さま、才人・・・・・・よかった」

 

「感動的よねぇ」

 

 翌日、こうして無事ルイズとの婚約が決まった。また、トリステインでの魔術普及の第一人者として矢面に立ってくれることになったのだ。だがカトレア姉さん。それじゃ姉さんじゃなくてニーサンになる。文末に「だけど無意味よ」とかは決して付けないで欲しい。

 

 そして数日のヴァリエール領の滞在。ルイズには普段会えないカトレアをはじめとした家族との触れあいを中心にしてもらい、夜はシエスタと過ごしていた。まあ、添い寝程度の健全なものだけど。それからカトレアに外の話をねだられ、昼間はヴァリエール家族に俺とシエスタを交え団欒を過ごす。その際公爵に領地経営のノウハウをまとめた手記を貰った。公爵領が娘達の婿によって継げない場合の直轄領として学んで欲しいと言う事ですか。分かりました。それからカリンちゃんに直々に鍛えられたんだけど、俺の動きってあくまでガンダールヴや身体強化による分相応なものなのよ。自分の力量を見極めて常にその8割が出せればいいと言う戦い方なの。それなのにカリンちゃんったら常に全力を出さないと対処出来ない鍛錬につき合わすのよ。正直きつかったわぁ。

 

 公爵家にいる間にもストックする竜の牙が買えた。しかも病死や老衰で死んだ竜の骨もセットで。早速作成、改造して、竜の牙から生まれし竜(ドラゴントゥース・ボーンドドラゴン)を作った。鱗をチタンを始めとした航空兵器由来の金属を基準にした新たな俺の足を作り出した。だが、これはあくまで偽装と頑丈だが取替えが効き難い骨部分を守るためのもの。内部はヨルムンガントにも使われる風石による重量軽減する装置を使い、武装にはヴァリエール家の権力で取り寄せてもらった属性石と刻印による回路を組み込んでいる。予備動力としてデルフにこれまで戦争などで取り込んでもらった魔力を吐き出してもらい、魔石も搭載済みだ。鱗は干渉すると皮膚が挟まって痛いので表面を粘土から「タバサの冒険」でのヒントを頼りに合成肉を作り、見た目は生きている竜そのものだ。別に食べる必要とか無いので鞍の着け心地と頑丈さを求めた。2体を作り、1体をベヘモスと同一視される「バハムート」を、さらにもう一体「ティアマット」を作り、ティアマットは公爵に贈った。もちろん万が一のミョズニトニルン対策は万全である。おまけとしてボー○ロイドのように話す機能を有し、学習によりさらに流暢になる。俺のバハムートの方は基本しゃべらせないけど。

 

 興が乗ったので、馬車の馬も竜牙兵の技術を応用し、「キングベヒんもス」を作り、護衛させる事になった。こいつは頑丈な角とたてがみが送受信のアンテナの役割をしており、上空のかなり高いところ。隕石が赤熱する高さに岩石弾を作り出し、擬似メテオが出来る。タイムラグも詠唱時間の範疇に収まるものだし、こいつは擬似衛星砲のリモコン兼アンテナと言ったところか。ついでに放電も出来る。ここまで機能を詰め込んだので流石に声帯は人間程器用には出来なかったが。

 

 そうそう、ガリアで買った竜の卵がようやく孵ったのだ。ルイズとシエスタはこの子竜を猫かわいがりし、カトレア姉さんに窘められてた。名前は色々候補が上がったけど、「左手」「槍」「子竜」「エース」と連想し、ミカンと名づけた。俺は槍より剣装備してるけど、サポ忍みたいなもんだからもうこれでいいよ。ルーンは痛がらないように催眠で深い眠りの暗示をかけてから行った。

 

 後はアンリエッタにテファを知っているかカマをかけ、アニエスからは何も知らされていないようだったので「ロマリアからガリア討伐の誘いが来てもガリア王が改心しているので乗った振りをしてガリアとの同盟を進めるように」と進言しておいた。さてさて、ゲルマニアはどちらに乗るかな?

 

 そうして滞在期間は過ぎて行き、惜しまれつつもヴァリエール領を後にした。

 

 

 

 学院に帰り、ようやく落ち着ける。と、一息ついていた。

 

 水精霊騎士隊のメンバーも意識改革は既に終了しており、魔法も一つの手段に過ぎないと体で覚えさせている。例えば組み手のときにルーン詠唱で「イル・・・・・・」と唱えた段階で懐に踏み込んで腹パンしているので、まず間合いを取り、詠唱出来る時間を稼ぐこと。それが無理なら白兵戦で迎撃することを念頭に徹底的に鍛えた。おかげで一つ上のランクだろうが負けないであろう身体能力が全員備えている。もちろんゴーレムなどの白兵戦で対処できない相手は巨大な反面機動力に欠けるので(ギーシュは例外)距離を取って複数人で相手をすることを念頭に入れてある。

 

 一方、女学生の面々が援護団と言うものを作ったのだが、メイド一同と対立してしまう場面があり、とっさに「各々が得意な分野で相手を支えてみてはどうだろう?例えば、女学生の皆さんは共にルーン詠唱の練習など、体力を必要としない訓練の手伝いなど、メイドの皆さんは休憩の合間に蜂蜜入りレモン水を用意して貰うなど」と言ってしまったが上手く住み分けが出来た。

 

 ギーシュは阿修羅ビットマンをヒントにした「マルチプルパルス」の錬金中ぶっ倒れは起きの繰り返しをしていたらいつの間にかスクウェアになっていた。モンモランシーも追加された援護団に混ざり、ラインにしては手際の良い治療をこなしている。

 

 マリコルヌはその修練に打ち込む様が鬼気迫るものを出すのでファンが増え、ブリジッタの他にも女の子の友達が増えたらしい。すっかり板に付いた悪役スマイルで話していた。

 

 他にはティファニアたちを迎えに行った。

 

 そもそも仕送りする手数料が面倒なのだ。マチルダもピアスをしていれば金髪になるし、猫を被っている現ロングビルとは雰囲気も違う。送料も回数を重ねると結構な料金になるので、村の皆は移住してもらうことになった。土地と家も買ってある。今や俺はルイズからの給料に加え、ヴァリエール公爵からの領地経営の手伝いとカリンちゃんを相手にした臨時収入、タルブの村のスパークリングワインの売り上げの一部、公式にも子爵になり、アンリエッタから支払われていた俸給、チェーンソーの売り上げの一割、そしてたまに街に出たときや旅の途中寄った村や町で金に買えたダイヤなどの宝石がある。もう亜人狩りは騎士隊の戦闘訓練に回されているので討伐した賞金はあいつらの宴会費に当てられているのでプライスレスになっているが。タルブの村と言えば八丁味噌としょうゆは売りに出さず俺が飲み食いする分だけ作っている。たまに麦粥などを作り、そこに雑穀と東方から仕入れてきたらしい米を入れて卵かけご飯(TKG)や雑炊を漬物と共に食べるのだ。まだ持ってきた種籾は育ってないし。それと流石に納豆は隔離する施設を作るにも臭いが移るので作っては居ないが。代わりに豆乳から豆腐を作って味噌汁に入れている。

 

 そういった理由から、テファ達を迎えに行った。俺の恋人達以外にはおまけでギーシュが着いてきたが。

 

「しかしティファニアと言ったか。そのサイトの恩人はどんな娘なのかね?」

 

「そうだな。一言で言うと妖精、かな。幼いんじゃなくて無垢なんだ。だけどそれに匹敵する母性を備えている。孤児院で子供の面倒を見ているからな」

 

 胸がどうこうとかはギーシュには言うまい。それに、こういうのは黙っていたほうが面白いんだ。

 

「情熱とは違った魅力を備えていそうね。あたしも興味が出てきたわ」

 

「とてもいい人ですよ。ね、ルイズ様」

 

「ええ、人格者よ。それに、一部の身体的理由に目を瞑ればとてもいい友達になれるわ」

 

「なに?なんかあるの?」

 

「不謹慎」

 

「そう言った意味では無いんだよ、シャルロット。ま、会えば分かるさ。先に友達の俺達が挨拶してくるから、そうしたら後から皆来てくれ」

 

 そう言い残し、村の入り口で待たせる。俺とルイズ、シエスタの3人は迷わずテファの家に行き、ノックする。

 

「テファー、マチルダ、みんなー。才人だ。居るかー?」

 

「サイト!」

 

「おっと」

 

 バタンとドアが開き、テファが出てくる。帽子を被るのを忘れていて、耳が出ている。

 

「テファ、帽子忘れてるよ!」

 

「ごめんね、マチルダ姉さん。でもサイトが会いに来てくれたのよ!」

 

 かなりのハイテンションだ。お兄さんそこまで喜んでくれて嬉しいよ。

 

「久しぶり、テファ、マチルダ。それにみんな。トリステインで受け入れる準備が出来たからまとめて迎えに来たよ。後、友達を待たせている。前にあげたイヤリングを付けてきてくれるか?」

 

「ええ、わかったわ!」

 

「そうかい、でもいいのかい?ここ全員が入る土地なんて結構高かったろうに」

 

「大丈夫だよ、マチルダ。俺、こないだの戦争の功績が認められて爵位を貰ったんだ。それに手広くやっているからね。ここのみんなを食わして行くくらい問題ない」

 

「それはおめでとうと言っておくべきかね。そういえば最近仕事が無いのに仕送りが来てるから心苦しかったんだ。何か出来ることはあるかい?」

 

「ああ、それならそろそろテファに外を知ってもらおうと思うんだ。具体的にはトリステインにある魔法学院にでも通ってもらおうかと思っている。その間子供達の育児に専念してくれればいい。マチルダはどう思う?」

 

「そうだね。この娘も外を知るにはいい機会だ。テファ、姉ちゃんは賛成だよ。行くかい?」

 

「行く!」

 

「なら、二人は耳飾を着けてくれ。マチルダは学院の面々が居るけど初対面で通してくれると助かる。ロングビルとして振舞う必要は無いから」

 

「分かったよ」

 

 そうしてキュルケ、シャルロット、ギーシュを呼びに行った。

 

「大丈夫。留守とかでは無かった。少し話し込んでしまってね。すまない」

 

「いいのよダーリン、久しぶりだと話も弾むわよ」

 

「そう言ってくれると助かるよ、キュルケ」

 

 俺達はキュルケたちを伴い、テファの家へ。再びノックする。

 

「テファ、マチルダ、準備出来てるか?友達を連れてきた」

 

「どうぞー」

 

 そこには人間と変わらない耳になったテファと金髪になったマチルダ、そして子供達がいた。

 

「革命だ!ぼくの前で革命が起きている!」

 

 それ、お前が言うんかい。

 

「初めまして、キュルケよ。よろしく」

 

「シャルロット」

 

「ぼ、ぼ、ぼくはギーシュ・ド・グラモン。お嬢さん、君は無垢な白くも大輪を咲かす白薔薇のようだね!」

 

 なんでも薔薇に例えようとするのはこいつの悪癖だ。

 

「え、えっと、その、ありがとう。ギーシュさん」

 

「ギーシュと気軽に呼んでくれ」

 

「ギーシュ、テファが困っている。そろそろ落ち着かないとモンモランシーに言いつけるぞ」

 

「それは勘弁してくれ!」

 

 後ろでキュルケがひそひそしている。

 

「確かにあれはルイズにとって異常だわ。でもあたしも形は負けてないと思うの」

 

「貧乳は正義。あれは悪」

 

 どうも賛否両論らしい。富めるものほど気にしない傾向があるな。

 

「ま、気にするな。これから育つさ。こっちは新たに恋人になったキュルケとシャルロット。ついでにそこのは俺の悪友のギーシュ。仲良くしてやってくれ」

 

「うん、サイトの恋人とお友達なら・・・・・・」

 

 そこで頬を染めるから勘違いされるんだ。その証拠にギーシュが嫉妬の視線を向けてくる。

 

「私がここをまとめているマチルダだよ。初めまして、お嬢ちゃんたち。ここは身寄りの無い子が多くてね。あんまり身分をうるさく言ってないから気にしないでくれると助かる」

 

「ええ、わかったわ。ところで、どこかでお会いしたこと無い?」

 

「残念だけど初対面だね。大方どこかで似た顔でも見たんだろうよ。気にしなさんな」

 

「そこら辺の理由もあるから船は貸し切る。何、行きはタダだったんでね。それに初の船旅の子が多いだろう。いい思い出にしようじゃないか」

 

「ありがとうよ、サイト」

 

「では、ここでしばらく待つからみんなで準備してくれ。忘れ物とかが無いようにな」

 

 その後ウエストウッド村からラ・ロシェーヌに到着し、そこで馬車を引くために待機していたキングベヒんもスを見てマチルダがゴーレムをけしかけようとしたが、手加減したメテオによって一撃で粉砕されてしまった。




 カリンちゃん相手の臨時収入はヴァリエール公爵が同情心からくれました。謝罪とともに。

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