転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 今回でサイト君がハルケギニアで何がしたいのかが語られます。そのために別のフラグが立つと言う。


感動の再開

 無事スレイプニィルの舞踏会までの期日までに間に合った俺は、英雄と言う発言力を得た替わりに近寄りづらいと言う平民のイメージを払拭するために画策していた。具体的にはシルフィードにエサをやるついでにウサギを仕留めておすそ分けしたり、石鹸を作ってメイドなどの侍従たちに配ったり。また、読書を嗜む層の為に何冊か小説を買って来て回し読みしてもらうよう貸し出した。結構好評である。こういう狩りなどは下手な銃より短弓の方が個人的に使いやすい。鉛の汚染も考えなくて済むし。

 

 他には熱に強いハングドマンが単純な衝撃力に比較的弱いため、プラモサイズのヴェンジェンスをギーシュに作ってやった。もはやギーシュの部屋の小型ゴーレムはアルヴィーなので、部屋に無断で侵入するネズミなどの排除が可能だ。コトブ○ヤだけを殺す機械とはよく言ったもので、オーバードウェポンを装備したACは迫力満点、ギーシュの許可したもの以外は基本的に敵対者と認めるため、これらのアルヴィーが襲い掛かってくる。ヴェンジェンスのグラインドブレードも魔力により稼動可能なのでたまに片腕が落ちてたりする。コルベール先生が帰ってきたらチェーンソーを共同で作ろうと思っているので、それと並行してチェーンソーを売り出すときは植林の心得もセットにしておかねば。さもないと自然破壊が伐採でマッハだ。いっそ免許制にするか?

 

 ガリア王家敵対フラグが根元から折れたので、トリステインのエルフと同盟を組むのをガリアに受け持ってもらおう。便乗してガリア、トリステイン、アルビオンでエルフの同盟を組み、「四の四」を揃えないよう約束すれば多分これから起こる災害にも手を貸してくるだろう。代わりにビダーシャルが疲労で過労死するかもしれないが。

 

 ガリアと言えば巨大騎士人形「ヨルムンガント」だ。エルフと密約を交わしているガリアと聖地を攻めたいロマリアではこのままだと開戦フラグ必至。ジョゼフに「いるか?」と聞かれたが、未完成だし、カウンターの焼きいれも行っていないのでそのまま完成させてもらう方向でまとまった。タイガー戦車がなければヨルムンガントも最強の騎士人形よ。こういうことはガーゴイルでこまめに手紙をやり取りして調整していくこととなった。

 

 一方ルイズの王位継承は、既成事実を作ってしまえば実家も口出ししてこないだろうと思ったのでスレイプニィルの舞踏会の終了と共にアンリエッタ自身の口から発表してもらう手はずとなっている。ルイズは学院卒業後に戴冠し、数年の王の教育を受け、ここトリステインを担ってもらう。俺は唯一ルイズと対等な立場が用意されるとか。詳しいことはまだ聞いていない。少なくとも実家に婚約発表はするかもしれないな。まあ、現時点で相当な発言力が俺達二人にはあるから、あの計画を進めても良いと思っている。

 

 あの計画とは、平民に俺の魔術を伝授するのだ。既にヴァリエール公爵家とウエストウッド村で使われているし、公爵家も表立って魔術が使えるようになればカトレアも無事嫁ぐか婿をもらえると言うもの。既に説得パターンは考え終えている。

 

 カトレアの姉エレオノールだが、最近若いツバメを捕まえたらしい。俺の言ったことを守り、また、その理系の頭脳で客観的に見ることによりどの程度怒っても大丈夫かだんだんと見極めが出来た。と、地下深くの風石の報告と共に送られてきた。並行してワルドに呪符を送り、火竜山脈に点在する拠点や危なそうなポイントに風石の魔力を大源(マナ)に発散するものを設置してもらった。正確には呪符だけでは無く、要石や杭など、これで周囲に大源(マナ)を発散することにより生物が活性化し、より豊かになる。だが、これも時間稼ぎにしかならない。平民に魔術を使わせ結晶化した属性石を減らしてもらうには、風石などの近くに寄って魔術を使ってもらわなければならない。氷を常温で溶かすようにじわじわと行くしか今のところ思いつかないので、非常時の保険にエルフへの顔つなぎを求めている。

 

 そうして時間は流れスレイプニィルの舞踏会となった。

 

 俺は平民扱いなので変身はなしだ。そもそもここの学生でも無いし。シエスタの手伝いを申し出たが、最初だけで後は楽しんで来いとマルトーさん一同に締め出されてしまったのだ。

 

 それではルイズとシャルロットを探すかな。ここで若干ずるいが、各人の持っている属性に集中する。これは固有のパターンがあり、同じ属性でも微妙な差があるのだ。例えば、風のドットでも4ちょっとの数値があるものも居れば、7強のギリギリラインに届かない者もいる。ルイズは虚無なのでとても分かりやすく、シャルロットは風に少しだけ水の混じったトライアングルだ。もう少しでスクウェアになるレベルである。ちなみにシエスタは地球人の血が混じっているせいか属性がかなり薄い。これは悪いことではなく、魔術師にとってどの属性も満遍なく使いやすいということだ。平民でも六千年はメイジと血が交わるには十分な時間だったらしく、杖との契約までいかないものの、それなりに「色」の着いた平民が多い。

 

 ズルして探してると、アンリエッタとウェールズがルイズと俺の格好をして座っていた。あんたらなにやってんすか。

 

「おや、殿下達、ごきげんよう。お二人とも意外ですね。しかも、まさかウェールズ殿下が俺の格好をするとは」

 

「こんばんは、サイト。君は既にトリステインの英雄。アルビオンでの恐怖の代名詞だよ。貴族はプライドが邪魔して君の事を知ろうとしないものが多いが、ぼくは君のことは報告でよく知っている。それに戦場で7万を相手にすると言うのがどれだけ難しいか、いや、無理難題かは分かっているからね。恐縮だが君の姿を借りているよ」

 

「こんばんは、サイトさん。わたくしは奔放なルイズにどこか憧れていたのでしょうね。それと矛盾せずに同居するあの気高さにも。ルイズに会ったら「あなたはわたくしの憧れです」と伝えてくださいな」

 

「かしこまりました。それでは、俺は話題の本人を探すので、これで失礼します」

 

 早々に切り上げ、引き続き捜索を行う。

 

 まずは分かりやすいルイズを見つけた。カトレアの格好をしている。

 

「ルイズ、見つけた」

 

「才人・・・・・・本当に見つけてくれたのね」

 

「ルイズの憧れがカトレアさんだと言うのは目星が付いてたし、他にも理由がいくつかあるからね」

 

 ズルしたことは言うまい。

 

「理由って?」

 

「ああ、まず、カトレアさんはヴァリエール領でしか行動しない。よって知名度が低い。それでも敢えてその姿になっているということは、それに近しい人間だ。それに加えてあの人格。ルイズは憧れるだろうね。俺はルイズの方が好きだけど」

 

「そう・・・・・・でも、私はちいねえさまの方が魅力的だと思うわ。包容力があるし、胸も大きいし」

 

「胸は以前言っただろう。貴賎は無いって。では、後シャルロットもといタバサを見つけてから舞踏会を楽しもう」

 

「ああ、別にシャルロットで構わないわ。あの娘から聞いているもの。私にもそちらで呼んで欲しいって言われたし」

 

「分かった。なら変にこんがらがる心配も無いな。シャルロットを探しに行こう」

 

「ええ」

 

 しばらく風のトライアングルでシャルロットの波長に近いものを探すと、妙齢の貴婦人が佇んでいた。

 

「シャルロットか?」

 

「サイト。本当に見つけてくれた」

 

「その姿は?」

 

 どっかで見覚えがあるんだけどな。

 

「昔の母様。薬を飲んで病になる前はとても綺麗だった。父様も魔法の技量など尊敬出来る部分があったけど、女性として憧れたのは母様だった」

 

「そうか。それで、せめてその姿の時はいつものようにひたすら食に没頭してたわけではなかったのか」

 

「あれは・・・・・・大きくなるために仕方が無いこと。今日だけは忘れて欲しい」

 

「分かったよ。でも俺も探し回ってお腹が空いたから皆で何か食べよう。そうして動ける分を残したところで踊ろうか」

 

「なら、私は今回2番でいいわ」

 

 ルイズが余裕気に言う。

 

「いいの?」

 

「シャルロットは新入りだもの。だから今回1番はゆずってあげる」

 

「ありがとう」

 

 それから食事を取りに行こうとしたが、むしろ二人が甲斐甲斐しく持ってきてくれるので腹がパンパンになるまで喰った。普段限界まで食べて限界まで動くので行動不能となることは無かったが、この度は愛が重かった。

 

 

 

 宴もたけなわとなり、皆思い思いに過ごしていたところに、150メイルは優に超える飛行機械が学院に舞い降りた。二等辺三角形で、あちらこちらにプロペラがある。騒然となる会場の中、ひょいとキュルケが降りてくる。

 

「ミスタ・コルベール。大成功ですわ。学院の皆肝を抜かしていますわよ」

 

「はは、驚いてくれたか」

 

 続いてコルベール先生も降りてくる。

 

「キュルケ、それにコルベール先生。無事だとはこちらのシャルロットから聞いていましたが、無事姿を見れてほっとしました」

 

「何、ダーリン、タバサの本名なんて呼んじゃって・・・・・・まさか、ヴァリエールとあのメイド以外にタバサにまで抜かれた?ツェルプストーであるこのあたしが?」

 

 なにやら呆然としているキュルケ。

 

「まあ、おおむねそんなところかな。キュルケへの返事も考えていたけど、その様子だと後日落ち着いてからほうがいいみたいだね」

 

「ええ・・・・・・あたしもここはそんな雰囲気じゃないと思うの。でも、ダーリンとミスタ、あたしも迷ったわ。だからお互い様。後ほど改めて返事をもらうわ。それより、ミスタがあなたに話があるそうよ」

 

「サイト君、君のおかげでこの「オストラント(東方)」号が完成したよ!常時油を錬金するわけにはいかないから石炭でも動かせる「水蒸気機関」を作ってね。でも、まるっきりそれに頼るとロマリアがうるさいから風石の補助と言う事にしてある」

 

「そうですか。それにしても東方ですか。まだ見ぬ土地へ行こうというのですね」

 

「ああ、そうだとも!私はこれはあくまで探索船として使うつもりだ。ゲルマニア国籍だからトリステイン王家も徴収できない」

 

「先生、俺、戦争に行ってきました。それで、報告したいことがあるんです。シャルロットに聞いてもらって大分楽になったけど、これだけは先生に聞いてもらいたい。戦争が嫌いな先生に・・・・・・」

 

「才人・・・・・・」

 

「ダーリン・・・・・・」

 

「いいとも、こういう場合は安い酒を浴びるほど飲んで、吐き出すに限る。オールド・オスマンに報告したら船室に案内しよう。だが婦人方は今回ご遠慮願おう。男が女性に涙を見せるのはなかなか恥ずかしいものですからな」

 

 そうしてコルベール先生とキュルケの無事を確認した俺は戦争であったことを思いの限りぶちまけるのであった。




 ジャン・コルベール無事確認。

 先生は以前ゼロ戦をデチューンしたものをサイト君とギーシュと色々作ってたおかげで作れたので原作より高性能なオストラント号が来ました。武装は空飛ぶヘビ君にとさらにリボルバーカノンが追加されています。ヘビ君は空対空用。リボルバーカノンは対地用です。

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