転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 今回午前中に用事が出来てお仕事休みになったので執筆しました。相変わらず趣味に走ってるなぁ。


ぶっちゃけありえないと言うまわりの反応

 俺はこれからガリア対策と忘却について考えていた。こう、なんかひっかかるんだよな。ガリア、ジョゼフ、オルレアン公・・・・・・ああ、リコードか。確かにあれがあればずいぶんと楽になるな。後でルイズに覚えさせよう。

 

 後はシェフィールドだが、片腕を一度切断された上呪いまで受けているとか。軍人のワルドと違って前線に出るタイプじゃないからな。秘薬を使ってもどこかに無理が出るだろう。どっちにせよ立ちはだかるなら排除する。ジョゼフ共々降伏するならタバサに任せるか。

 

 思い立ったが吉日と言わんばかりに扉を出ようとしたら、目の前にゲートが現れた。

 

「危ないな」

 

 それを横にひょいと避け、テファの部屋に向かう。今はデルフとルイズが虚無講座を行っているはずだ。

 

「邪魔するよ」

 

 ノックして声をかけ、返事を待つ。

 

「いいわよー」

 

 中からルイズの声が聞こえてきた。

 

「なあ、なんかさっきドアを開けたら目の前にゲートが開いたから避けて来たんだが、もしかしてテファがサモン・サーヴァントでも唱えた?」

 

「え、どうしてわかるの?」

 

 あちゃー、やっぱそうだったか。

 

「虚無の使い手は基本的に人間を呼び出すみたいでね。初代ガンダールヴはエルフだったらしいけど。今残ってるのは「リーヴスラシル」だから潜らなくて正解だったよ」

 

「そりゃ確かにな、相棒。あれだけはやばい。お嬢ちゃん、歌にもあったろ?記すのもはばかれる使い魔ってのが。それがリーヴスラシルだ。あいつだけは契約しちゃなんね。約束してくれ。今後サモン・サーヴァントを使わないって」

 

「う、うん、分かった」

 

 テファはしょぼーんとしてそのエルフ耳も力なく垂れている。可愛い。ふにふにしたい。

 

「危なかったのは分かったけど、どうしたの?何の用?」

 

 ルイズが当然の疑問を挟んでくる。

 

「ああ、レコン・キスタを裏で操ってた奴の対策を考えていて、新しい虚無の魔法を試してもらいたくて来たんだ。忘却ってテファが主に使う魔法があっただろ?だったら対になる魔法もあるんじゃないかって。記録とか残ってるものを再生する奴とかさ。だからオルゴールを巻いてそれに集中してみてくれ」

 

「やってみるわ。あの特訓のときは大収穫だったものね」

 

「それと、出来ればテファにも忘却の他の魔法を教えてやってくれ。あれだけじゃこの先危険だと思うんだ」

 

「分かったわ」

 

「じゃあ、任せた。俺は外でカルバリンの調子でも見てくる」

 

 そう言ってテファの部屋を後にした。

 

 

 

 現在中に分厚い金属板を仕込んだ土壁に的を配置し、20ミリ単発砲カルバリンの調子を見ていた。

 

 これは、固定化をかけた20ミリ砲の空薬莢で母型を取り、俺に撃てるよう()()せずに重量をギリギリまで削り、その上で銃身を切り詰めたものだ。所謂「ドアノッカー」などと同じ、マジキチに分類される素敵ウェポンである。

 

 それもガンダールヴと身体強化があれば押さえ込めると計算し、最初は大げさなほどバランサーやカウンターウェイトを取り付け、そこから徐々に削って今の形となった。非常事態にエルフなどと単独で交戦するはめになったときの護身用である。呪いで撤退してくれるといいが、呪いには条件が強いほどそれに比例した効果を発揮する。視線や呪詛程度ではカウンターごしだとたいした効果が見込めないと思い、これを作成した。撃ち終わったカルバリンをアニエスに革を買ってきてもらって加工したホルスターにリボルバーとは反対側に吊るし、一息つく。

 

「ここに居たか」

 

「ん、アニエスさんか。どうした?」

 

 俺の砲撃を聞きつけたのか、アニエスが来た。

 

「殿下からのお返事が届いた。船を向かわせるから、ロサイスに向かうよう指示を貰っている」

 

「そうか。こちらも作りたいものは粗方形になったからな。準備しておくよ」

 

「ああ、ところで、その銃はなんだ?まるで砲撃のような轟音がしたぞ」

 

「見ての通り「砲」だよ。普通の人間が撃ったら手首を壊すだけなら良いほうだな。実質俺しか撃てないからこないだやった銃で我慢しておけ」

 

「・・・・・・分かっている」

 

 そんなもの欲しげな顔されても貴女には撃てないからね。可愛いけどあげないよ。

 

 

 

「殿下から文が届いたそうだ。明日辺りにロサイスに向かうから、各自準備をしておいてくれ」

 

「えー、サイト兄ちゃん行っちゃうの」

 

「お花の縫い方教わろうと思ったのにー」

 

 子供達から不満の声があがる。

 

「いつかは約束できないけど、近いうちまた遊びに来るからな。人形が壊れたらマチルダさんに直してもらえ」

 

 一人ひとりの頭を撫でてやり、来ることを約束する。子供達よ、すまん。

 

「最後に皆にプレゼントがある。一人ずつ渡るよう作ったから、仲良く遊ぶようにな」

 

 そしてテファ達にも向き合う。

 

「テファ、マチルダ。世話になった。二人にもお揃いの品を作ったから、良かったから貰ってくれ」

 

 そう言って小さな箱を二つ差し出す。

 

「開けて良い?」

 

「どうぞ」

 

 中には金属アレルギーを起こしにくいと聞いたチタンに酸化アルミニウム、つまりサファイアをあしらったイヤリング、マチルダにはピアスだ。

 

「綺麗、サイトが作ったの?」

 

「本当に綺麗だね。色々作るから手先が器用なのは知ってたけど、まさかここまでとは思わなかったよ」

 

「ああ、これはフェイスチェンジに似た魔法がかかる。着けた人物の精神力を使って発動するけど、平民が着用しても平気な程度だから気にしなくて良い。二人にはトリステインに来たときに姉妹と言っても説得力を持たせるよう、テファのは耳を短く丸くなるように、マチルダは金髪に見えるようにしてある。マチルダは大丈夫だと思うけど、テファはピアス穴とか無さそうだったからイヤリングにした。もし、そのエルフの耳を見せても問題無く人の前に出れるようになったら改めて耳飾を作るよ」

 

 まさか土くれからボーキサイトを錬金して、そこからさらに微量のチタンを混入させて錬金したらサファイアが出来るとは。思いつきとは恐ろしいものだ。あれ?これ売ったら俺うはうはじゃね?

 

「ありがとう、サイト。大事にするね」

 

「感謝するよ、サイト。私は土メイジだけどどうしても細かいのが苦手でね。とても嬉しいよ」

 

「どういたしまして」

 

 ・・・・・・サファイアは生産せず、ダイヤモンドかルビーにしておこう。二人の笑顔を見てそう思った俺であった。

 

「あ、ついでにその大分宝石が削れている指輪、水の精霊に頼んで補修してもらってくるよ」

 

 俺にとって属性を感じ取ることは朝飯前だ。

 

 

 

 港町ロサイス。そこで待っていたのはいつぞやの竜母艦であった。

 

「改めて見ると大きいわねぇ」

 

「そうですねー」

 

 ルイズとシエスタが艦をほえーと言った感じで見ている。

 

「まさかヴュセンタール号が来るとはな」

 

 となりでアニエスもうんうんと頷いている。

 

「サイトーン・ヒリガル様でございますか?」

 

 かなり変な訛りで俺らしき名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

「サイト・ヒラガなら私ですが」

 

「失礼しました。ヒラガ様。船内にご案内します。ご一行もよろしいですか?・・・・・・ところで、うしろのゴーレムは?」

 

「ああ、荷物持ちに手を増やしたんですよ。頭はついでです」

 

 俺の後ろには六本腕、三つ首のゴーレムが大量の荷物を持って着いてきていた。これはニコイチで余った最後の竜牙兵に、勿体無いからと昔見た阿修羅ビットマンを再現したものだ。ヘルムは一本線の入ったフェンシングで被るようなものを、外装にもかなり力を入れた。ネズミーマウスになるスタビライザーは三つ首なので無しだ。アタッチメントに片方6連装12連破壊天使砲があり、風石で塵や風石自身が削れたものを圧縮し、チャージして打ち出す。拳にも風石による圧縮パンチを付与しており、チャージしてる間風石による緑色の燐光が破滅的な幻想をかもし出す変態兵器だ。もちろん中身の竜牙兵は軽量級な上頑丈なので、思考パターンを改造したネクスト機動が出来る。つまり避けるのだ。プライマルアーマーの代わりに以前ルイズに渡したサークレットを応用した風石による制波装置が仕込まれており、質量のあるものを逸らして受け流す。反面、質量兵器に重点を置いたので熱などには干渉が激しく消耗しやすい。風石が仕込まれているので飛行も可能だ。

 

 まあ、そんなことはどうでもいい。重要なことじゃない。

 

 俺の美的センスを疑っているらしい士官が先導し、艦長の居ないところに差し掛かった頃にニヤリと笑い尋ねてくる。

 

「一体どんな戦果を挙げたんですか?」

 

「何、7万程の敵軍を壊滅させただけさ」

 

 士官は冗談と受け取ったのか肩をすくめて俺達を案内した。

 

 

 

「申し訳ありませんでした」

 

「すまなかった」

 

 城へ通された俺とルイズにアンリエッタとウェールズは開口一番謝罪の言葉を口にし、頭を下げた。

 

「頭を上げてください。確かに姫殿下は私達を戦地に送りましたが、殿軍の指示を出したのは当時の指揮官です。責任を追及するならそちらへ回すので、殿下達を責めるつもりはありません」

 

「私も才人が生きて帰ってきてくれたのでこのお話はおしまいにしようと思います」

 

「そうか、しかし、時間稼ぎどころか7万もの兵を返り討ちにした功績は大きい。本来ならばタルブでの戦いの時点で騎士爵を叙勲していてもおかしくない。ミス・ヴァリエールは新たに戴冠するとして、サイト、君だけ何も無いというのはあまりにもおかしい。報いらせてくれ」

 

 そういってウェールズは一枚の書類を差し出してきた。サイト・ヒラガを子爵に任命するという内容だ。壊滅させたからすっとんでるのか。

 

「本来なら伯爵の位でもおかしくないと思ったのだが、周りの声が・・・・・・ね。重ねてすまない」

 

「いえ、申し出はありがたいのですが、理由がありますゆえ、お断り致します」

 

 俺の言葉に部屋の空気が凍った。まあ、ありえんわな。

 

「何故かと聞いてもいいですか?」

 

 アンリエッタが疑問を挟む。

 

「私にも目と耳をあちらこちらに潜ませているのですが、今回陰で糸を引いていたのがガリアだと言う情報があるのです。アンドバリの指輪を水の精霊から盗み出したのもクロムウェル一人だけでなく、ガリアの後ろ盾があったからこそ。そして、私には義理の兄妹の契りを結んだ娘が居ます。その娘はガリアの出身、青い髪です。それ以上個人の情報は控えさせていただきますが、その娘はガリア王に苦しめられている様子。私がその娘の助けになるのに爵位と言う肩書きがあると再び国同士の戦となってしまいます。今回で国庫も痛手を負ったでしょう。よって、その件が片付くまではせめて辞退させていただきたいのです」

 

「あなたは・・・・・・そこまで他人の為に尽くすと言うのですか」

 

「いえ、これも私自身の我侭です。その娘が傷つく様を見たくないという、我侭です」

 

「サイトさん・・・・・・」

 

「サイト・・・・・・」

 

「才人・・・・・・」

 

 なんか感動してるところ悪いんだけど、某暗黒神曰く「汝の為したいことを為すが良い」って言う言葉に従っているだけだからね?思うにあの世界はファラリス様が一番寛容だと思うんだ。ダークプリーストでも回復使えるし。

 

「分かりました。しかしそれまで何もしないと言うのも王家の沽券に関わります。よって、俸給ではありませんがお金だけでも受け取ってください。私財から一月ごとに子爵に見合ったお金をお支払いします」

 

「そうですか、それではありがたく受け取らせてもらいます」

 

 次はガリアの躁鬱昼行灯か。どうすっかなー。




 ニコイチで生き残ったのが5体、クロスボウと機銃を持って下がっていたのが5体。そしてマチルダにあげた旧式が9体。1体余っていたのはそういう理由です。

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