転生先が平賀さんな件   作:スティレット

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 今回幕間みたいなものを設けます。おかげで短いです。


俺が出した結論(第一段階)

 タルブ戦でウェールズは空軍の指揮を執り、アンリエッタは地上での指揮を執っていた。それからようやく辺りが落ち着いた頃に俺達は通された。

 

「ルイズ・フランソワーズ!それに使い魔さん!あの見たことも無い竜と光は一体・・・・・・」

 

 あまりにも動揺してたのか、挨拶もなしにアンリエッタは問い質してきた。

 

「姫殿下、あの竜はサイトの国の飛行機械です。それと、私が水のルビーと始祖のオルゴールの貸与申し出たのはご存知ですよね?それらから聴こえるはずの無い旋律が聞こえてきたのです」

 

 ドヤ顔で説明するルイズ。ここはもう口を挟むと機嫌を損ねそうだな。

 

「聴いたことも無い旋律とは?」

 

 小首をかしげて再度問うアンリエッタ。

 

「はい、その詳細は「虚無」、旋律の最後にご丁寧に始祖の名、ブリミル・ル・ルミル・ユル・ヴィリ・ヴェー・ヴァルトリとも聞こえてきました」

 

「そんな、まさか!いや、しかし」

 

 後ろでマザリーニ枢機卿が葛藤している。ルイズが王家の庶子だと思い当たったのだろう。

 

「仮にこれがまやかしだったとしても、その威力は見ての通りです。あの輝きにはレコン・キスタの自称虚無には無い問答無用の説得力が含まれていると思います」

 

 タイミングが良かったので追従して援護する。

 

「そしてこれより先は貴族としてではなく、殿下の友達としての発言です」

 

 ゼロ戦内で打ち合わせた通りにルイズが続ける。

 

「姫殿下はウェールズ殿下が好きなんですよね?そしてもうトリステインに縛られたくないとも。それなら、こちらとは別の苦しい道になると思いますが、ウェールズ様のお嫁さんとして、アルビオン復興に付いていくのなら、不肖ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、トリステイン王家を支えていく覚悟があります」

 

 葛藤していた枢機卿が目を見開き口をパクパクさせている。でも以前薬を送ってあげたからか若干肉も付いて健康的な感じがするから多分大丈夫だろう。

 

「アルビオンへ行ったらアルビオンを支えていかなければならない為、それなりの苦労はあるでしょう。しかし、ウェールズ様がいらっしゃいます。私が友達として出来るのはこれくらいです」

 

「ルイズ・・・・・・!」

 

 アンリエッタは感極まった涙声でルイズの名前を搾り出した。同じ王族としてウェールズと言う理解者が居ても、女としての理解者が居なかったのか。親はアレだし。つまり、虚無に目覚めたルイズが代わりに女王になると言っているのだ。ラブレター事件の時から見ていられないって言う顔をしていたからな。それと自己顕示欲が合わさり「いっそのこと自分が」と言うエクスプロージョンをぶっぱしたときの万能感も手伝って打ち合わせは極めてスムーズに行われた。

 

 その後ろでやはりマザリーニ枢機卿がとても複雑な顔をしているが、このお姫様原作だと私怨で戦争起こした奴だぞ?それに傷心も合わさって原作サイト(べつのおとこ)に乗り換えたからいろんなところでロイヤルビッチとか呼ばれる始末だし。俺はまだ弁えている分うちのご主人の方が適任かと思っている。帝王学なら今から身につければいいよ。勉強家だし、アンリエッタも勉強してないみたいだし。

 

 とと、愚痴が混じってしまったな。失敬。とにかく、選ぶのはあちらだ。強制ではない。

 

「私からは以上です。友のために身を投げる覚悟ですから、ロマリアへ虚無認定を打診しても構いません。それで最悪火あぶりになろうとも。ただ、あくまで提案です。トリステインを今後も支えていくも、ウェールズ様と共にアルビオンに渡るも、お任せします」

 

 これは一見危ない綱渡りに見えるが、「お友達」に依存するアンリエッタは全力でルイズを援護するだろう。そして、今回の戦果。敵の旗艦を丸々一隻無傷で鹵獲したのだ。おまけにその使い魔はさほど時間をかけずに竜騎士の部隊を1機だけで全滅させている。これならばトリステインだけではなく、アルビオン王統派も支持するだろう。レコン・キスタの間諜共はどうにかしてルイズを排除しようとするだろうけど、リッシュモンなどを筆頭としたそれらは、アニエス姐さんたちを護衛として使い、むしろ姐さんの生贄となってもらう。あの人なら村全滅の件もあるから喜んでやってくれるんじゃないかな?

 

「分かりました、ルイ「少々考える時間をくださいませ」・・・・・・ズ」

 

 その場の勢いでYESと言おうとしたアンリエッタにマザリーニ枢機卿が待ったをかける。あくまでこの人は王家と亡くなった王様に忠誠を立てているんだよ。悪い人じゃないだけにとてもやりにくい。

 

「お話を遮る事となり、大変申し訳ございません。ですが、この件は国の今後を左右する大変重要な事項。今一度城に持ち帰り、検討してみるのがよろしいかと」

 

 一応中世だと王の言葉は神の言葉に等しい。どこぞのAUOじゃないけど、それを遮ると言う事は万死に値すると言う事だ。そして現段階太后が喪に服して責任放棄しているのでアンリエッタが王のそれと大体同じ重みの言葉を持つ。それでもこの人はやってのけた。並の忠誠心じゃ出来ないね。

 

「それではマザリーニ枢機卿。以前お見せしたと思いますが、始祖の使い魔の証、「ガンダールヴ」のルーンを今一度拝見ください。始祖の名を証明する上で必要かと」

 

 俺は左手のグローブを脱ぎ、ルーンを見せる。

 

「確かに、拝見いたしました。この事は始祖へ誓って偽りなくロマリアへ報告致しますので、火あぶりにならないよう全力を尽くします故、ご安心を」

 

「よろしくお願いします」

 

「それとは別に、この度の戦果は発表次第で大きく反映されますので、恐縮ですがお時間をいただきます。それまで褒章はお待ちください」

 

 こうして現段階でやれることはやった。そう、俺は考えたのだ。地球に帰るのは困難を極める。ルイズが俺を欲する限り地球への扉は開かれないだろうし、ヴィットーリオは論外。ならば現地の居心地を改善すればいいのだと。よってルイズを出世させる。そうすれば最低でも俺は近衛を任されるかもしれないが、クルデンホルフの例があるようにある程度の自治権は頑張ればもらえるのだ。考えた結果そちらの方が難易度が低いと判断した。

 

 それからルイズとアンリエッタは談笑するようなので、ルイズをアンリエッタと一緒に守ってもらえるよう任せ、俺はシエスタの家族の無事を確かめるため、タルブへと向かった。




 4巻を読んで構想を練り直しますので少々お時間をください。

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