ワイルドハント異伝   作:椿リンカ

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ロッドバルト「今回はエリオットさん視点です。チャンプさんの弟に転生した彼ですね!え?久しぶりに読んだ?前は8月だったのに今は1月ですって?おかしいですねぇ、きっとそちらでは時間の流れが違うんですね(適当)」


「生き残ることに忙しい」

 

帝国にも奴隷や人身売買が普通に行われている。普通に、というのはもちろん裏社会の間で行われているということだけれども。

それ以外にも帝都では悪事が横行している。

 

ワイルドハントはまずそれを摘発する・・・と、リンネが宣言した。

もちろんシュラやエンシンたちが反論したものの、リンネはそれに対して失笑した。

 

「悪人であれば好きに扱え。まずは市民の信頼をイェーガーズよりも得るのが優先だ」

 

リンネの考えてることはよく分からない。まずは好き勝手させて油断したら殺せばいいのに・・・

俺もそう思っているし、他の転生組の奴らもリンネのほうを見ていた。

本当はもっと相談できたら良かったが、いかんせんワイルドハントの連中が悪事を働かないか監視もしなければならない。

・・・もう少し信用を得れれば、転生組だけで今後の方針についてもっと作戦を練れると思うけれど・・・

 

「でもよ兄貴、ナイトレイドを誘き出すなら帝都で・・・」

「シュラ、お前は詰めが甘い」

「なっ、なんだよ!」

「帝都の市民を玩具代わりに遊びたいだけだろう」

「・・・でも、ナイトレイドは市民から依頼されて暗殺しようとするんだろ?じゃあ、そうやって誘き出したほうが確実じゃねぇか!」

 

シュラの言う通りにはあまりしたくないが、その分隙が生まれる。

殺すには絶好の機会だしな

はやくチャンプを殺して、安全に暮らしたいんだよ俺は!

 

「ナイトレイドはどういう集団か、わかっているのか」

「だから暗殺・・・」

「そう、暗殺集団。つまりは奇襲が得意ということだ。お前が自分の実力や仲間の実力にどれだけ自信をもってようが、その隙を突いて殺すことに長けている相手だぞ。相手の得意分野に持ち込んでどうするんだ」

「っ・・・でも、イゾウの奴だって一人で巻き返せるぐらいに強いんだぜ!他の奴らだって・・・」

「そうやって慢心してるからいつまでも二流なんだよクソが。模擬戦で一度でも俺に勝ったか?」

「・・・それは」

「実力はお前のほうが上なのは俺も認めてる。だが、すぐに慢心して油断する悪癖で俺がいつも逆転勝ちしてるだろう。実力があっても油断をしないのが一流だ。いい加減それぐらいやってみろ”かませ犬”」

「・・・」

 

意外な事実を聞いたというか・・・戦闘面もリンネが鍛えていたとは

俺は帝具しかないし、子供の体力や筋力しかないからな・・・チャンプがいなければ死んでたかもしれない。でも、もう帝都にいる。イェーガーズあたりの誰かに助けてもらえれば・・・

 

「チッ・・・でもよぉ、摘発した奴なら何してもいいんだよな?」

「エンシン、お前も気を付けておけ」

「あぁん?なんだよ」

「どうせイイ女を強姦したいとか思ってるんだろう?その隙を狙ってナイトレイドに暗殺されるかもしれないな」

「ハッ!そんときゃ俺がナイトレイドを始末してやるよ」

「もう!この馬鹿兄貴!リンネの言う通りなんだからちゃんと聞いておきなさいよ馬鹿!」

「馬鹿扱いすんじゃねぇよ貧乳!」

「なによぉ!!このくそオカッパ頭!」

 

なんだかんだでほだされたバカ女・・・コハルはエンシンと痴話げんかをし始めた。

ほんとに甘いよな・・・チッ、これだから女は信用ならないんだよ。あの感じだとエンシンともヤってそうだよな

 

 

 

・・・適当に会議も終わったのを見計らって、俺はイェーガーズの本部へと足を運んだ。エスデスが嫌がらないようにお菓子や食べ物にしておいた。

あの人は賄賂の類に反応するだろうから、できれば自然体で・・・

 

「あの、こんにちは、ワイルドハントのエリオットです。その・・・お互いにナイトレイド討伐や帝都の警備を担う存在として仲良くして・・・欲しくて・・・だから、その、よろしくお願いいたします」

 

「ありがとうございます!お互いに警察として帝都の悪を殲滅しましょう!」

「嬉しいなぁ。挨拶にきてくれるなんて・・・」

「お菓子・・・美味しそう」

「おお、じゃあ今日のお茶菓子にするか?」

「あらあら、まぁ、シュラとは仲良くしているから・・・ワイルドハントとも協力できるならそれに越したことはないわね」

「・・・」

「ワイルドハントか・・・まぁ、いいだろう」

 

俺がそういうと、セリューとボルスの二人は簡単に信じてくれた。ウェイブやクロメの反応も上々である。

エスデスは疑念の目があるものの、いまのところは大丈夫だろう

スタイリッシュについてはシュラと親交があるおかげか俺にも不審な目は向けていない。

・・・ランについては、よく分からない

 

「あ、あの・・・ランさん、でしたよね。よろしくお願いします」

「・・・えぇ、よろしくお願いします」

「・・・」

「・・・」

 

あぁ、そういえばランはチャンプに恨みがあるんだった。

どうせならランの手助けをして、俺のことを見てもらおう。あぁ、そうだ!それがいい!きっとそれならランだって俺がいかに苦労してきたかわかってくれるはずだ!

 

「エリオットさん」

「はい?なんですか?」

「私もワイルドハントの方々とは仲良くしたいんですよ。手伝ってくれますか?」

「えぇ、僕もその、ランさんとは仲良くしたいので・・・よろしくお願いします」

 

これから幸先がよさそうだ




ロッドバルト「さて、次回あたりからは更にワイルドハントが活躍予定ですよ。次は誰が出るんでしょうね・・・?原作軸ではそろそろエスデス様が恋に落ちる頃の話になりそうですが。ということで、次回もお楽しみに」

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