『A』 STORY   作:クロカタ

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実家の方から更新です。

今回は準決勝まで飛びます。



過去編~準決勝戦~

 

『『『私達は!!奥部高校!!ガンプラバトル部!!』』』

 

「……はぁ」

 

 勝ち上がった4チームが抽選によって対戦を決められた組み合わせ……準決勝第一試合『暮機坂高校』チーム『イデガンジン』VS『奥部高校』チーム『エレガンツ』とのバトルが開始されていた。ステージは『軌道エレベーター』、地球から伸びる長大なエレベーターを基盤としたステージ、軌道エレベーターという巨大な建造物を中心として戦うステージなのだが……。

 

 準決勝で俺達の前に立ちはだかった相手は、なんというかとても眩しかった。

 

『ゴールドⅠ暁!!』

『ゴールドⅡ百式!!』

『ゴールドⅢ金ジム!!』

 

『『『私たちの輝きを見るがいい!!』』』

 

「………ノリコ、ホーミングレーザー、スタンバイ」

「え、えと……ホーミングレーザー発射準備」

 

 良くは分からないがバトルは既に始まっている。相手は何故かとても幸せそうだがこれは真剣勝負、真面目にやらせてもらおう。

 ………急造でこしらえたノリコのツインGNドライブが心配だが、その点は一応大丈夫なはず。

 

「粒子チャージ完了!対象、ロックオン!!」

 

 ザクの両肩の突起の下部分の粒子排出口から大量の粒子が排出されると、ノリコは両腕を横に広げチャージを開始する。

 

『さあ、行きますよ!皆さん!』

『はい!』

『華麗に優雅に勝利を手に―――』

 

「ホォ―――ミングレェェェェザァァァァァァ!!!!」

 

『『『え?』』』

 

 ノリコが雄叫びと共に両腕を前方に突き出すと、凄まじい量のレーザーが嵐のように三体の金色の機体目掛けて飛んでいく。全てのレーザーが生き物のようにうねり、目標目掛けて突き進んでいく。

 

 目標となった三機は今更に回避行動を取ろうとはするが、時既に遅し、直後にレーザーがその区域に殺到し、背後の宇宙を明るく照らす。

 

『うひゃああああああああ!?』

『これが若さですかぁ―――!?』

『主役は私達ではなかったのですか―――!?』

 

 ……少し可哀想な気がするが、バトルが始まった直後にあんな事されては攻撃したくもなる。

 

「……な、なんか、全然勝った気がしないんですけど……」

 

 心配ない、心境的には俺も似たようなものだから。

 しかし、流石ツインGNドライブ、威力は申し分ないが、ホーミングレーザーを放った後の腕がこれ以上の戦闘が不可能な程にボロボロになってしまっている。

 これからの課題としては両腕の耐久力強化とチャージの時間短縮、命中率の安定が重要になってくるな。

 戻ったら両腕の強化……いや、プラフスキー粒子を効率よくレーザーに変換するためにクリアパーツを入れてみるのも手かもしれない。

 

『ちょぉぉぉっと待ちなさいよォォォォォ!!』

「!」

 

 レーザーが殺到した場所から、ゴールドⅠ暁と呼ばれたアカツキを元にしたガンプラが飛び出してくる。確か、アカツキにはビーム攻撃を反射するヤタノカガミという装甲が有ったはずだから、恐らくそれで防御したのだろう。

 ノリコのレーザーを防ぐあたり……あの口上がなければもしかしたら、苦戦を強いられていたかもしれない。

 

『私一人でも貴方達を倒―――』

 

 全身からドラグーンを射出したゴールドⅠ暁をビーム砲が打ち抜いた。撃ったのは俺じゃない、両腕の破損したノリコのザクでもない。

 

「サーベルです。……一応」

『私は不可能を可能にするはずなのにィィィィ!!』

 

 腕のみをゴールド暁Ⅰに向けているコスモのジムだった。恐らくサーベルを内蔵していた手首付近からビームを出したのだろう。本人は『なんだかサーベルが飛んで行った』と言ってはいるが、サーベルとビームを両立させることができるという点から……中々使い勝手の良い武装だろう。

 コスモのビーム(サーベル?)によって胴体を打ち抜かれたゴールド暁Ⅰは、一撃で戦闘不能に陥り、射出したドラグーンも制御を失い宙に漂ってしまった。

 

【BATTLE!END!!】

 

 なんだかとても呆気ない勝負だった。コスモとノリコの新しい武装の修正点と改良するべき点が見えただけでも重畳かもしれないが……。

 なんだかな、何か違う。活躍したいとかじゃないけど……バトルがしたかった。というよりあの口上をし続けて準決勝までこれたということは、相当強かったんじゃないのか……?そう思うと、すごい申し訳なくなってくる。

 

「ま、まあ、これで決勝ですよ!」

「そ、そうですよ先輩、気を引き締めましょう」

 

 本当に良い後輩だ。

 二人の言う通りに気を引き締めていこう。

 他の大会はどうか分からないが、茨城の県予選では準決勝が同時に行われるという、少し変わった形式で行われる。つまり、今回の俺達の準決勝が予想より早く終わったという事は、他のチームの準決勝、つまり決勝で当たるチームとの対戦を見ることができるという事だ。

 

「この時間を使って晴嵐学園と………八極高校のバトルを見に行くぞ」

「決勝で当たる相手ですからね……」

「八極高校という名は聞き慣れませんけど、強いんでしょうか?」

「……チーム名は『冥王』。使うガンプラの名はジ・0の改修機『冥・0』」

「冥王……名前からして凄そうなチームですね」

 

 キリハラ・ミサキのバトルを見なくてはいけない。ファミレスで見せたあの自信と闘志。そして『決勝で会おう』という宣言、ガンプラバトルに余程の自信を持っていなければ、ああは言わない。

 

「あ!先輩!!まだ、やってますよ!準決勝!!」

 

 観客席に移動した先には、白色のバンシィと同じく白のガンプラが戦っている光景が見えた。

 会場は時が止まったように静かになっており、皆一様に準決勝が行われているモニターを見ている。俺達も視線をモニターに向けると、そこには……。

 

『フフフ、NT-Dなぞさせるものか、ってね』

『………くっ、クソ、何だこの兵器はぁ!!』

 

 至近距離で放たれたバンシィのビームマグナムをIフィールドのようなもので完全に防ぎきり、そのまま右腕でバンシィの胸部を殴り装甲を破壊する、圧倒的な性能で晴嵐学園のガンプラを蹂躙している白いガンプラの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私の冥・0は君達じゃ止められない……』

 

 破壊された装甲からはサイコフレームが露出され、最早面影がないほどに痛めつけられたバンシィだが、戦意を喪失していないからか、ビームマグナムからジュッテを展開し、果敢に白いガンプラに戦闘を挑む。

 

『舐めた事を……ッ!!』

『フフ……』

 

 白いガンプラを捉えたかに見える一撃、しかしその一撃は冥・0が圧倒的なスピードで回避した為空しく空を切る。あの巨体であのスピード、恐らくあの白いガンプラがジ・0を元にしたミサキの『冥・0』。

 

「晴嵐学園が負けてる!?」

「……それほどまでに強いのか……あのチームは……」

 

 宙に尊大に浮かび、煤で汚れた純白のバンシィを見下ろしている光景は、後輩達が予想していた光景とは違っていたのだろう。それほどまでに前年度県代表という肩書は印象としては強かった。

 

 しかし俺は倒れ伏すバンシィよりも冥・0のその姿に衝撃を覚えた。あまりにもジ・0とかけ離れたその姿。刺々しい両肩と、顔と胸部と両手に取り付けられた橙色の宝玉。そしてスリムさをも感じられるその外形に、本当に元がジ・0だったのかさえ疑ってしまいたい衝動に襲われる出来だ。

 

『まだ抵抗するかい?』

『化け物が……ッ!』

 

 片手を腕に掲げた冥・0の手の宝玉が一瞬煌めくと同時に、バンシィの腕部が突然爆発する。

 

『また……っ一体どうなっていやがんだ!?俺のバンシィが……バンシィなんだぞ!!』

 

「なんだ、なにをした?」

 

 全く挙動が見えなかった。腕の宝玉が光ったらバンシィの腕関節が吹き飛んだ。光ると同時に目にも止まらない速さでビームでも繰り出したのか?いや、そうだとは限らない。

 そういえば、両チームの仲間はどこにいるのだろうか。冥・0の背後にはガンダム試作二号機の改修型が一機、晴嵐学園の方は……。

 

「ジェスタが二機ともやられている……ッ」

 

 バンシィ・ネガの背後には頭を潰され、四肢を破壊された二機のジェスタの姿があった。サーベルやライフルでの破壊ではない。一機は背部のスラスターと頭部、そして両腕が破壊されている。もう一機は両脚部と上半身がくりぬかれたように……どちらも動かすことができない程に破壊されている。

 

『うおおおおおおおおおおお!!!』

 

 NT-Dの作動を潰され、隻腕となったバンシィ・ネガがビームトンファーを展開、ボロボロのスラスターを無理やり動かし冥・0へと特攻を仕掛けた。あの損傷であそこまで動けるところを見ると流石前県代表だが、相手が強すぎた。

 

『ミサト、プラフスキー粒子圧縮』

『了解』

 

 冥・0の体に植え込まれている宝玉が再び煌めき、その色を強めていく。また不可視の攻撃をするつもりか?だがその前にバンシィの攻撃が当たる。その場から動く気配のない冥・0じゃ直撃は免れない。

 

『負けられない!このバトルだけはぁ!!』

『メイオウの力を見るがいい……』

 

 冥・0が上方に掲げた両の手の宝玉を胸部の宝玉に勢いよく合わせるように構えた瞬間、モニターが光で埋め尽くされた。

 

「何だ!?」

「ま、眩しい!?」

 

 強烈な閃光で何も見えないまま数秒ほどが経過し、ようやく画面が回復し状況が確認できるようになった時には、全てが終わっていた。

 

『ふっ、ふふふ、はははははははははははははははははははははッ!!!』

 

【BATTLE!END!!】

『じゅ、準決勝、『冥王』の勝利です!!』

 

 会場に響き渡るミサキの笑い声。彼女の駆る未だに健全な冥・0と試作二号機の足元には、無残な姿となったバンシィ・ネガが沈んでいた。ジェスタのような壊れ方とは違う、両腕が消え去り、辛うじて残っている脚部も使い物にならない程に損傷し、全身がまるで焼き焦がされたかのように壊れている。

 耐久力が高いと評判のバンシィがこんなにもボロボロになるなんて……一体どのようにしたらあんな風になるのか……。

 

「あれが決勝戦の相手……キリハラ・ミサキ……チーム『冥王』」

 

 決勝戦はこれまでとは一線を画す激しい戦いになるだろう。決勝戦に向けて俺ができること、それは冥・0の正体不明の攻撃の正体を暴く事と、その対抗策を考えること。

 

「先輩。私、応援しに来てくれた友達に頼んでさっきの試合、録画してもらったんです。それを見て対策を考えましょう」

「!本当に助かる、ありがとうノリコ」

 

 これで対策が取りやすくなった。

 問題は何処で対策を取るかだ、学校は生憎テレビがない。ファミレスは論外……テレビもあって三人が活動できる場所と言えば……。

 

「一つしかないか……」

 

 俺にとって、ガンプラを作る最高の環境、自宅だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、ここが先輩の家ですか」

「あまり失礼な真似はできないな……」

 

 後輩二人を招いて、家の扉を開ける。見たところ両親はまだ帰ってきていない。

 からかわれる心配がないからある意味でチャンスだ。二人をリビングに招き、ソファーに座らせテレビをつける。

 そして彼女の友達が録画してくれたというビデオカメラをテレビに繋ぎ、『冥王』の戦いを最初から見る。画面に、晴嵐学園と八極高校のバトルが映し出される。

 

「やっぱりチーム『冥王』は試作二号機とあの白いガンプラの二体だけのようですね……」

「ああ、多分、白いガンプラ、冥・0を二人で操縦しているんだろう。あれほどの火力を持つ機体だ。補助を担う役割が居てもおかしくない」

 

 戦闘が始まった。

 序盤の戦況を見る限りバンシィとジェスタが果敢に攻撃を仕掛けていた。対する冥・0は一向に攻撃を仕掛けようとせずにただ攻撃を避けているだけ。

 

「元がジ・0ともあって凄まじい運動性ですね」

「ああ、多分あれでも本気じゃない……」

 

 しかも後の試合を見る限り、冥・0にはIフィールドに似たようなギミックが搭載されている。ノリコのホーミングレーザーも効かないかもしれない。

 しかし、あの試作二号機の違和感は何だ?冥・0から遠く離れ、全く戦いに加わろうとしていない。大きな盾を持っている割にはサーベルぐらいしか武装が見当たらない。他に重要な役割があるのか?

 

「……不自然だな」

 

 不気味ともいえる。置物のように単騎で三体のガンプラを相手している冥・0に何もせず傍観している姿は異様だ。

 ……試作二号機の事はとりあえず後回しでいいだろう。まずは、冥・0とバンシィ・ネガ、そしてジェスタ達の戦いを見ておこう。

 

『は、はは!』

『何を笑っているんだ!!』

『バカ迂闊に近寄るな!!』

 

 ライフルが当たらないことにしびれを切らしたジェスタの一体が、腰部からミサイルを発射しながら、右腕部に装備されているサーベルを引き抜き、冥・0に斬りかかる。

 

『舐めているのか僕達を!!』

 

 迫りくるミサイルとジェスタ、それらが接近してくるまで沈黙していた冥・0の腕部の宝玉が一瞬だけ煌めくと、目前にまで迫ったミサイルがまず爆発し、次にジェスタのランドセルと両腕部の関節が爆発。

 失速しながらもミサイルによって発生した煙を突き抜け、たどり着いたジェスタの頭部を、冥・0が鷲掴みにし、握りつぶす。

 

『なっ、嘘、だろ、俺のジェスタが……』

『ふふっ、残念』

 

 驚愕で声が出ないジェスタの操縦者の声を聴き流し、地上に頭部を握りつぶしたジェスタを投げ捨てた冥・0は、ゆっくりとした挙動で残りの二機に振り向く。

 

『さあ、今度はどっちが来るかな?』

 

 一方的な蹂躙が始まった。

 

 

 

 

 

 

 それからは俺達が見た時同じ状況だった。残りのジェスタは、両脚部を一瞬の内に破壊され、冥・0の宝玉から放たれたビームによって胸部を穿たれ、戦闘不能。バンシィ・ネガもNTーDを使い対抗しようとはしていたが、ことごとく冥・0にそれを邪魔され、最後にはあの正体不明の攻撃によって破壊されてしまった。

 

 まず分かることから考えよう。

 冥・0の基本武装は、拳と宝玉からの強力なビーム砲。機動力は高く、改修されたであろうバンシィの機動力を上回っていたという事もあり、非常に高性能。防御面はこれといった被弾は無かった為不明だが、ビームを無効化するフィールドがある。

 そして肝心のキリサキ・ミサキのファイターとしての技能、恐らく全国大会クラス。前年県代表三機相手に無傷で立ち回れる時点で異常だ。

 

「……ノリコ、今日、このビデオを貸してくれないか?」

「え?構いませんよ」

「ありがとう。二人とも、とりあえず今悩んでいてもしょうがない。ノリコ、まずはホーミングレーザーの威力に腕部が耐えられないから、その強化を。コスモ、お前が前に提案した、機体の各部からミサイルを発射する機構、それを決勝までに完成させるぞ」

「「はい!!」」

 

 俺の家にもガンプラはたくさんある。道具も充実しているし、ある意味部室よりも使い勝手がいい。だから、俺は二人の要望に、とりあえず自分たちにできる強化を施す。それが現状できることだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜、二人が帰った後、俺はずっと自室でビデオを見ていた。もう何十回目だろうか。爆発する瞬間で時間停止し、巻き戻す、その繰り返しの中で俺はある懸念に苛まれていた。

 

「……ミサキの使う冥・0は本当にジ・0なのか?」

 

 見れば見るほどに異様な形状のガンプラだ。

 丸みを帯びたジ・0とは全く違う鋭利を帯びたフォルム。

 謎のシステム。

 ビームソードやライフルを使わない事。

 

 何度も何度も見返すうちに、そんな疑問が頭の中でぐるぐると回っていた。どんな改修をしたらああいう風になるのか、どんな考えを持って作ったのか。ファイターとしてではなく、一人のガンプラ好きとして気になる。

 

「……ああ、悪い癖が……」

 

 今はそんなこと考えている場合じゃない。

 ………あの最後の攻撃、強烈な光のせいでいまいちどんな攻撃かは判別できなかった。でも何度も見て分かった事がある、最後の映像で少しおかしいところがあった。

 試作二号機の巨大な盾が酷く煤汚れているのだ。

 

 導き出される推測は二つ。

 今まで動かなかった試作二号機が、冥・0の作り出した隙を突いて核を撃ったか。

 でもこれはない。映像にもあったが、何故かあの盾の裏面には何もない。核が内蔵されているであろう砲身がないのだ。試作二号機を使っている割には解せない。

 ただの数合わせに見えるあの試作二号機、絶対なにかある。

 

 二つ目の推測。

 接近してきたバンシィがボロボロになるほどの強烈な攻撃が冥・0から発せられた、というものだ。あの時、ミサキは粒子の圧縮を仲間に指示した。粒子を圧縮するということは、高威力の武装を使う可能性が高い。

 これならば試作二号機の盾が焦げたように煤汚れていた事に合点がいく。

 

 この推測が有効とするならば対抗策が講じられる、だが問題はあの不可視の攻撃だ。

 

「あれが、分からない」

 

 冥・0の腕の宝玉が光ると、次の瞬間には爆発した。

 これでは予測も立てられない。スロー再生してもヒントすらも見つからない。

 

「……いや待てよ……もしかしたら俺は考え過ぎていたんじゃないか?」

 

 あの攻撃が無条件で破壊する類という可能性を捨てきれなかったこともあるが、何かを見逃している気がする。映像的なものではなく、もっと別な可能性を……。

 

「不可視……見えない?……っ!まさか!」

 

 ベッドから立ち上がり、作業台の上にある棚から二枚のディスクを取り出し再生する。一枚目のディスクに目を通すとある推測が浮上し、二枚目のディスクで推測は確定的なものに変わる。

 

「そうか、だから試作二号機の盾には何もなかったように見えた!!そういうことだったのか!」

 

 試作二号機の存在。

 ジ・0が元という認識。

 そして宝玉の光。

 冥・0の圧倒的な存在感。

 

 彼女と俺が会ったのは偶然だろう。だが彼女はその偶然を武器にした。さりげなく、そして大胆に、なまじジ・0というMSについての知識があるだけに見抜けなかった。

 

 全ての要因によって成り立つ謎、それが俺の目を曇らせていたのだ。

 蓋を開けてみればこれほどまでに簡単だった。いや、簡単だからこそ気づけなかった。

 

「彼女の冥・0は間違いなくジ・0から作られた。いや、真の意味で元になったのはジ・0じゃない……」

 

 全ての謎が連なるように並び、一つずつ紐解かれていく。

 試作二号機の盾の謎も、不可視の攻撃の謎も、全て。確かな希望を見出した俺は、二枚のディスクを見て感慨深い気持ちになる。

 

「……第7回ガンプラバトル世界大会、決勝トーナメント……まさか、俺の宝物が役に立つとは思わなかった……」

 

 やはり思い出というものは掛け替えのないものだということを再認識した。

 ……とりあえずこの事をコスモとノリコに伝えなくちゃな。

 

「分かったとなれば、思う存分やらせてもらうぞ。キリハラ・ミサキッ」

 

 決勝戦、持てる力のすべてを掛けてバトルさせてもらおう。

 

 





『ジ・0』と入力すると、0とOを間違えて『ジ・お』になるこのもどかしさ……。



今回の準決勝の相手は、本編で言う水泳部のようなギャグ要因みたいなものです。
……下手に対戦相手を出すと敵がカオスになると、このごろ理解しました。

全国まで我慢しろ私ッ、これ以上茨城を魔境にしてはいけない……ッ。

ゼオライマーの能力を再現するうえで、次元連結システムとか、完全にプラフスキー粒子の再現限界を超えていました……。再現的には、これが限界ですね……十分これでもヤバいんですけど……。

ミサキの冥・0はジ・0を元にしてます。(ジ・0から作ったとは言っていない)

次回は早くも決勝戦です。


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