アルファるふぁ短編小説   作:アルファるふぁ/保利滝良

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アルファるふぁが幻想入り・・・したかった

 

はっきりと覚えている

俺は、母と離婚して別居した父と電話していた

父は少し歳が来ていて、体もかなりボロボロだった

ところで、そんな父との電話の内容だが、父はこの間異世界に行っていたという

で、馬鹿馬鹿しいと思いながらも内容を聞いてみた

なんと「妖怪の女の子がたくさんいた」とのことだ

いつもネットを徘徊したり同人誌を読み漁っている俺は、一発でアタリをつけた

 

 

 

「それは幻想郷だ」と

 

 

 

 

俺は父に必死に頼み込み、幻想郷へ連れていってもらうことにした

動機・・・いや、不純なものだ 日常が退屈だったからというのもあるが、あのときの俺は「東方キャラとイチャイチャしてー!」という気持ちでイッパイだった

現実世界のことはどうするのか?とかお前みたいな奴が幻想郷に行ってもモテるわけないだろ?とかの疑問は、沸かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから幾日か

俺は駅にいた 父は東京都にいるから、ここは東京駅

物凄く乱雑している 右見ても左見ても人がうじゃうじゃいる

だが、そんなのは知ったこっちゃない 

東方キャラに会うために、人を掻き分け進む進む

「そのこのけそこのけ!変態が通るッ!!」とでも言いたい気分だった

でも親も歳だったから、少し置いていってしまった 足が悪いから、人混みは相当キツかっただろう

親が追い付いた頃、仮面ライダーの映画の・・・観光地で顔のとこが穴空いた看板みたいなの・・・が見えた

「そこの近くに、幻想郷への入り口がある」らしい

実際には別の言い方だったんだろうけど、すっかり興奮した俺にはそうとしか聞こえない

で、その幻想郷の入り口とやらだが

・・・何か、おばちゃんとかが長ーい伝票(レシート?)らしきものを引っ張り出している、公衆電話だった

周りでは、おばちゃんの他にも作業をしている人達がいて、この公衆電話が修理中だということがわかった

俺は完全に固まった 「え、ナニコレ」みたいな感じで

すると、父が作業員の一人に、「今修理中なの?」と聞いた 優しい作業員さんは、「ええ、そうですよ」と答えてくれた 父はさらに、「繋がらないの?」と聞くと、作業員さんは、「繋がりませんねぇ・・・」と素直に言ってくれた

 

 

 

それを聞き、父は俺に「早く受話器とれ!」といきなり言った

俺は意味がわからなかった 「え?え?」みたいな感じで慌てて受話器を手に取り、待った しかし、ノイズしか聞こえない 何か女の人らしき声も聞こえたが、ノイズで掻き消される

「え?どうすればいいの!?」と聞いた俺に、父はこう答えた

「とりあえず何か言え!」

そう言われて、一瞬固まり一瞬迷った挙げ句俺は、叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そっちに連れていってくれ!」

「はあーい♪」

この場面で電話に出るのは、永いときを生きるスキマの大妖怪《八雲紫》しかいない、と、その時の俺はそう冷静に判断した 流石に、こんな怪現象では『お化け屋敷で、ややビビりつつもお化け役の方に「お疲れさまでーす!」と言った男』の胆力は削れはしない

俺はその一瞬後、紫色の禍々しい何かに吸い込まれた

最後に父の顔・・・表情は覚えていない・・・を目撃して、俺の意識は暗転した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

布団の中で俺は目を覚ました 目の前にあるのは、見慣れた自分の部屋の風景

今俺は、先程見た夢のことを書いている

意外と、はっきりと覚えている

素敵な夢だった






人は、無意識下で望んだことを夢に見ると言います
私の場合、文字通り心の底から幻想郷へ行きたかったのでしょう
憐れだと、自分でも思いますね

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