作業を始めて大分たち、辺りは暗くなり始めていた
俺はというと、会長コンビと雪ノ下に見張られてサボることが出来無く、粛々とゴミ拾いをしていた
何これ、俺一生分働いたんじゃねーの?むしろ今後生まれ変わっても働く予定ないから五生分くらい働いただろ、後生だからもう終わらせてくれ
「1時間とかあとどれくらいあるんだよ、計画ミスなんじゃねーの?暗くなってきたし」
「うーーーん、結構大変だねぇゴミ拾い」
由比ヶ浜が伸びをしながら言った、いや、だから無防備に伸びとかやめてくれませんかねぇ、視線のやり場に困るんだよ
「そうね、でも、比企谷君はゴミ口を開くより手を動かした方が良いんじゃないかしら、ほらそこにも落ちてるわよ?」
冷たい口調で雪ノ下が言う。ゴミ口とか俺の口はゴミを入れるもんじゃねーよ、まぁ無駄とゴミは似てるけど
ふと材木座を見るとゴミ相手にぶつくさ言っていた
「ぬふふふ、我に逆らおうなど言語道断、この燃える手で葬りさってくれるわ!」
「何!援軍か、まぁ良い一緒に地獄に送ってしんぜよう・・・」
とか言ってゴミを拾っている・・・冬なのに暑苦しい・・・
俺は材木座の前に立つと余っていたピンクのゴミ袋を取り出し被せた、
「げぼら、八幡、な、何をする!」
材木座が非難の声をあげる
「ああすまんちょっと余ってたから」
「こら、何をやってる遊ぶんじゃない」
平塚先生に火バサミ?トング?で頭を叩かれた、U字に曲がったアレだ
先生専用装備で、軍手で触れなそうなものがあった時に使うらしい・・・頭叩かれたんだけど・・・まだ使ってないよね?
「いくら余ってる袋とはいえ・・・いや余っているからこそ大事にしなさい!余りものには福があるんだぞ!」
先生、ゴミ袋にまで共感しないでください・・・
見ると平塚先生は呆然とし涙を浮かべていた、はは、福ってなんだろうなぁ・・・、忍耐とか、耐性のことかなぁ・・・。
ちょっと本当に誰か貰ってあげてよ!きっと福も付いてくるから!!じゃないと俺が貰い嫁しちゃう!
「先生大丈夫ですよ~、ほら先生は安定した公務員という超豪華なオマケがついてるじゃないですか~」
「・・・あ~でも、オマケが豪華なお菓子とかって、お菓子の方は捨てられちゃうんですよねー」
と言う一色の言葉に先生が更に落ち込む、アレってどっちがオマケだかわからないよな
「い、一色さん!?ひ、平塚先生なら大丈夫ですよ、まだまだ若いですし、綺麗ですし、あ、あははは・・・」
一色とめぐり先輩が一生懸命、先生を慰めていた・・・一色は傷を抉ってるように見えるけど気のせいだろう
放心状態の先生を放っておき先に進む、まぁ会長ズがフォローに入ってるからそのうち我に返るだろ
「しかし何故我にゴミ袋を被せたのだ八幡、裏切ったのかと思ったぞ」
裏切るとか何だよ、俺はお前の援軍か
「はっ!あれか、組織の奴らの気配を察し、スネーク張りに隠したのだな!流石八幡我が相棒!」
「ちげーよ、いや、てっきり何にでも燃えるゴミだと思ってピンクのゴミ袋を被せたんだが・・・そーいや最後まで燃えないから不燃ゴミだったな悪い悪い、いやまてよ?生ゴミか?はっ、粗大ゴミという可能性も否めない!」
「な、何を言うか八幡、我はゴミの中でもキラリと輝くアルミ類だ!」
無駄に良い声で叫ぶ、いや、それ結局不燃ゴミだろ、てかゴミでいいのかよ
すると近くでゴミを拾っていた雪ノ下が、顎に指をやり、小首を傾げ言った
「その分類でいくと、あなたは毒物や有害物に含まれるから普通では引き取ってもらえないゴミね。まだそこのペットボトルや、古紙等の資源ゴミの方がリサイクル出来る分あなたより役に立つわ」
だから楽しそうな顔で人を貶めるのやめてくれるかな、ちょっと可愛いと思っちゃうだろ。
普通のゴミの分類にも含まれないなんて、ゴミの中でさえボッチ属性の強すぎる俺、まさにボッチオブジボッチ
・・・ゴミであってさえボッチどうなの?もう生まれ変わってもボッチの自信あるぜ
と、雪の下に指されたゴミ達を拾う
寂しかったのか由比ヶ浜が話題に入ろうとする
「あーサイクルねーサイクルーあれでしょあれ」
「いや、リサイクルだよ、リ・サ・イ・ク・ル、リサイクルくらい判るだろ」
「ははは、やだなーちょっと聞こえなかっただけだって、リサイクルくらいわかるって~」
いや、絶対わかってねーだろ
「あれでしょ?自転車で山とか行ったりするやつ!」
いやそれサイクリングだろ、しかも普通山とかいかないから。
自転車で山登りってマウンテンバイクでも乗るの?ベタな上に更に大ボケまで乗せてくるとは。
こめかみを指で押さえつつ雪の下がリサイクルの説明を由比ヶ浜にしていた。がんばれ、ゆきペディアさん。