やはり比企谷八幡の掃除の仕方は間違っている。   作:眠り羊

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やはり平塚静の奉仕部への愛情は間違っていない。

掃除と聞いて思い出されるもの

家の手伝いの風呂掃除、学校での清掃活動、年に一度の大掃除

しかし忘れてはならないのが、心の掃除だろう

心の掃除とは即ち、過去の思い出を整理したり、ヤンチャしてた過去を良い風に飾ってみたり、相手にとって酷い過去を自分の都合の良いように改編したりと、まぁスクールカースト上位の奴らが良くやることである。

なんなのあの、久しぶりに会った時、そんなこともあったよね~、今では笑える良い思い出だよね~とか。

やられた側からしてみればそんなのいつになっても笑えねぇよ、そのトラウマをいつまでも抱えてるんだっつーの。

そういえば綺麗な思い出には思い出補正という補正がかかってると良く聞くが、そんな補正は俺には無い、いや、あったかもしれないが自ずと補正を無くしてしまう。

なぜなら俺の思い出は黒歴史と呼ばれる物ばかりであり、どんなに綺麗にしようと元から真っ黒なものは黒にしかならないのだから補正など利かないのだ。

こういう場合どのように掃除したら綺麗になるのだろうか・・・しかしいつか掃除してみせる、そう、主夫にとって掃除は必須スキル・・・専業主夫に俺はなる!

 

「掃除の邪魔だからちょっとどいてごみいちゃん、もしくは吸われて」

「へいよー」

とその場を立ち退いた、言われて立ち退くなんて、なんて素敵なゴミ

まぁ普通に考えて掃除機に吸われるとか、壷から呼ばれて飛び出るよりきついだろう

「もう、お兄ちゃんもちゃんとお父さんを見習ってよね」

言われた場所を退去し、違う場所でゴロゴロしていると、珍しく小町が親父を褒めた、何のことで親父を褒めたのかと訝しんでいると

「お父さんなら何も言わずに何時の間にかちゃんとどこかへ行ってくれてるよー」

おおう、どうやらゴミとしての自覚はお父様の方が上だったようだ・・・

 

何の気無しに昨日の事を思い出し、ぼーっとしていると、終業のベルが鳴り、クラスの奴らが帰り仕度、あるいは部活の準備に取りかかる。

ちらりと騒がしい集団に目を向けると由比ヶ浜は三浦と海老名さんと談笑に興じていた。

楽しそうにしている由比ヶ浜を横目にそそくさとクラスを抜け部活棟に向う。いくらか柔らかくなった日射しを手で遮ると、欠伸が漏れてしまった、眠い・・・

昨日は寝付きが悪いのでいっそのことと思い少しゲームをしていたのだが、やり過ぎてしまったようだ、まぁいわゆる朝チュンまでしてしまった・・・って朝、雀が鳴いているのを聞いただけで、それは単なる徹夜か。

このまま部室で寝てしまっても良いかもしれない・・・ん~読み残した小説を片付けてしまいたかったんだが、いやそれゲームやらずに本読めよ!と思うだろうが、偉い人は言った、

貴方の心が正しいと感じることを行いなさい。行なえば非難されるだろうが、行なわなければ、やはり非難されるのだから。と。

だから俺は読みたい時に本を読み、気が乗らない時は読まない!どうせ非難されるのだから!

「比企谷、何をブツブツ言ってるか判らんが、それはそういう意味で言ったんじゃないと思うぞ。全く、お前は変わらんな」

「おおぅ、平塚先生じゃないですか」

眠い時にいきなり声を掛けられるのってびっくりするよね、まぁ過去に数回もないけれど。

どうやら眠すぎて、声に出ていてらしい・・・

見られたのが先生だけで良かった、生徒が見ていたらドン引きな光景だっただろう

「いや、私から見てもかなりドン引きな光景だったぞ・・・」

む、またもや声に出てしまったらしい

「やけに眠そうだな、ほら比企谷、これでもあげよう、使いたまえ」

と言って小さな容器を投げ渡してきた。

しっかりそれをキャッチ、さすが俺、一人野球を極めただけのことはある

「目薬っすか、先生こんなの使ってるんですか?」

「いや、最近寝覚めが悪くてな、寝起きをすっきりさせたかったんだが、刺激が強すぎて肌?いや眼か、に合わなかったらしい」

「良いんですか?貰っちゃって」

「ああ、奉仕部活動がんばりたまえ」

と言うと颯爽と職員室の方へ去って行った。


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