ISクロスGS ザ・グレート・ゲーム  【IS世界に横島忠夫を放り込んでみた】   作:監督

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第15話

 

「学園への帰投命令か……なにがあったのか全然知らされないってのは面白くないよな」

 

 

始まったばかりの臨海学校行事を放棄して、学園へ戻ろうというのだ。

専用海域を使用しての各種実験すら取りやめるのだから、事情に疎い一夏といえど、帰投理由はある程度想像がついた。

足早に帰路に付いてから一時間あまり、千冬の部隊に参加しなかった引率教員は打鉄を展開し、更に専用機持ちにはISの展開が命じられていた。

間もなく戦略自衛隊から護衛のヘリ群も加わるらしく、その物々しさは明らかに、何者かからの攻撃を想定していた。

 

 

「そうかもしれませんけれど、あまりイライラしても仕方ありませんわ」

 

「知らされないってのは、僕らは関わってはいけない事態……ってことじゃない?」

 

「この時点で関わってると言えなくもないと思うけど」

 

「あまり難しい事を考えない方がいいぞ、一夏」

 

「まあ、そうかもしんないけどさ」

 

 

言い終えて、溜息をつく。

一夏の心にはセシリア、シャルロット、鈴、ラウラ、彼女達の諫める声も、響いてはいなかった。

このところの意気込みと今回の扱いの差にはわずかながらも不満を覚えていたが、しかしそれでも、ISパイロットとしての経験も実績も全くのひよっこなのだから納得する自分との間でせめぎ合いがあったからだ。

 

 

「……あまり愚痴ってるとまた箒に殴られるか」

 

 

一夏が流し見た先には、バスの座席に背を預ける箒がいる。

専用機を持たない彼女は、他の生徒と同様に待機を命じられていた。

目を伏せてゆったりくつろいでいる彼女には異常な事態だという気負いは見受けられず、その姿がかえって一夏を多少くさくささせもしてもいた。

自分の勤めをきちんと果たしてからモノを言えばいい---箒はそう言った。

彼女の余裕がどこから出てくるのか一夏には見えなかったし、千冬を守る、みんなを守ると言ったところでやれる事などまだまだ限られている。

ならいっそ、箒のように泰然としていればいいのだろうが、それも出来ない---思考は堂々巡りであった。

 

 

「一夏さん。こういう時こそ、役に立ちたいお気持ちはわかりますけれど、焦っても何も生まれませんわよ。私たちは『護衛』任務を貫徹するのが先ですわ」

 

「誰からみんなを『護衛』するのかは不明だけどねー」

 

「話の腰を折らないでくださいます、鈴さん?!」

 

「口げんかをしている暇があるなら、周囲への警戒を厳にしたほうが良いぞ。ハイパーセンサーにしても決して万能ではないのだからな」

 

「あはははは……」

 

 

皆、そういう立場であるという自覚はあるにせよ、今の自分たちは、命令、つまり上の者達が出した『結論』を履行しているに過ぎない。

そこにやるせなさを感じずにはいられなかったが、IS学園に通う学生であるという『建前』があるにせよ、非常時に命令を破る程、物事を理解していないわけでもない。

先ほど鈴が言った様に、確かに誰から生徒達を護衛するのか知らされてはいないが、もしかするとDDという受け入れがたい現実といよいよ真正面から戦う時が来たのかもしれないと、それぞれが心のどこかに緊張を内包していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「せっかくの休暇がつぶれちゃいましたね」

 

 

整然とした編隊を組んだ紅椿、ラファール、打鉄など10機からなるIS部隊は『福音』を目指し海上をまっしぐらに進んでいた。

戦時でもそうは見ない大部隊だが、急造の編成とは言え、そこは見知った仲間同士。

行軍しながら、一糸の乱れもない見事な編隊運動を行う。

千冬の指示による連携の再確認だったが、晴天の蒼い海原を仰ぎ見て呟いた榊原の軽口に、他の隊員から一斉に『口撃』が飛んだ。

 

 

「榊原の休暇ったって、またろくでもない男に泣かされるだけでしょー?」

 

「無かった方が良かったんじゃないの?」

 

「まあ、男に引っかかるならまだしも、最近はジャージでずっと家の中だとか」

 

「わーやだやだ。女として終わってるねえ」

 

「そりゃ彼氏いないけど! ジャージも本当だけどさ! みんな酷くないっ?!」

 

 

いいもん、真面目に頑張ってればいつか白馬の王子様が迎えに来てくれるモンと年齢に見合わない台詞にますます責められ

半泣きで抗議する榊原だったが、話は思わぬ方向に転がっていった。

 

 

「あ、でもさっきなんかケース渡してた時に、横島センセが誘ってなかった?」

 

「アイツはいつもの事でしょー。つーか横島センセに手を出したら『隊長』が怒るわよ?」

 

「……何か言ったか?」

 

 

千冬の機嫌がますます悪い方に傾くのが目視でもネットワーク越しにも分かったが、隊員達の軽口はなかなか止まらなかった。

 

 

「あ、それなに、独占欲? 独占欲?」

 

「やまぴーとのライバル関係にいよいよ決着が?!」

 

「いやむしろ山田先生は織斑先生とちょめちょめ」

 

「三人、学園ではいっつも一緒に居るモンねえ」

 

「それにしても織斑先生も忍耐強いわよねえ。私なら彼氏があんな節操なく声かけまくってたらひくわーどん引きだわー」

 

「誰が誰の彼氏だ……? 全くいい加減にしないか、バカ者どもが」

 

 

言葉少なでも、まるで不機嫌がエネルギー波の形を取って圧迫してくるようで、さすがに皆、背中に冷たい汗が流れ口を閉じた。

おお怖い怖い、とわざとらしく肩をすくめるお調子者もいたが、千冬もそれ以上何も言わなかった。

予定調和としての軽口にすぎない事は、よく分かっていたからだ。

 

世界中の人達を元気づける、士気を鼓舞するために、過去二回開催されたモンドグロッソ以来の対IS戦闘。

この場にいる者はほとんど大会経験者であるが、今度はほぼ状況が不透明なままでの『救出』作戦であり、平時の訓練とは比較にならないほど難易度は高い。

十機以上の米国ISを撃墜した福音とこれから起こるであろう戦闘。

パイロット同士の交流も少なからずあった。

亡くなったパイロット達の顔が浮かんでは消え、止めどなく想像しては霧散する戦闘終結の形。

どこまでも続く高い蒼い空にそびえる入道雲と、穏やかな波をたたえる海原の果てに続く水平線の向こう側で、その戦闘は確実に発生する。

世界に冠たる熟練パイロット達といえど、緊張を隠す事は出来なかったのだ。

 

 

「……銀の福音のデータは皆、頭に入っているな」

 

 

コア・ネットワークで共有された情報が、直接流れ込んでくる。

このごく限られた時間でのブリーフィングや部隊慣熟など、様々な事柄が同時に並行する事態は通常であればあり得ない事であったが、皆涼しい顔で再確認に励んでいた。

そも、ISという兵器が生まれてから「通常」な局面などほぼ無かったと言っていいのだ。

 

 

「しっかし、何度も見ても凶悪な機体だよねえ。アメリカとイスラエルの共同開発ってだけでも、なんかこー来るモンがあるわね」

 

 

射撃に特化した、より効率的なDDの広域殲滅を目的に開発された軍用ISであり---実証実験中に暴走を起こした試作機。

その予定されていた兵装、打撃力、稼働可能時間、シールドエネルギーなど、アラスカ条約において公表が義務づけられた限りにおいての全ての情報が列記されていた。

暴走した今も福音に『搭乗』するパイロットのナターシャとは同期の者もいた。

 

 

「意図的なコアの暴走……こんなことして、何のメリットが」

 

「オーバークロックじゃないけど、エネルギー放出量の一時的な増大を狙ったとか?」

 

「それってドリンク剤で頑張るみたいなモンで、結局パイロットが疲弊するだけじゃないの」

 

「この子達だって辛いだろうにねえ」

 

 

その言葉に、千冬の表情が一瞬陰る。

搭乗時間の長いパイロット達は、意識してか無意識なのか、ISコアの正体に感づいている節がある。

意識体を取り除いてあるとは言え、微弱な残留意識は残っており、それがIS自体が持つ『意識』として捉えられているからだ。

実際千冬や真耶も同じような予想をしてはいたが、見方によってはおぞましいとすら言えるISコアと一体になってISを操る事に、皆あまり違和感も疑問も感じてはいない。

それが果たして良い事なのかどうか、千冬には判断が付かなかった。

 

 

「まー無茶はいつもの事だし?」

 

「というかISに乗ってから無茶した記憶しかない」

 

「でもま、今回一番無茶してるのは、千冬なんじゃないの?」

 

「あー」

 

「確かに」

 

 

紅椿という新型、しかも第四世代機という未知の機体を、この滅茶苦茶な状況下で戦闘に使用するというのだ。

それこそ『無茶』では済まされかったのだが

 

 

「問題はない」

 

 

千冬は短く答える。

束が調整は済ませているからなとだけ言うと、隊員達の心配を払拭させるかのように、大空に鮮やかな雲を引いて、その圧倒的な機動力と全身に装備された展開装甲を見せつけた。

その出歯亀さに隊員達は感嘆を通り越して、呆れるやら溜息をつくやら、最後にこう短く呟くしかなかった。

 

 

「……流石、ブリュンヒルデ」

 

 

そして皆の言葉に重なるように、通信が入った。

 

 

「……報告。銀の福音は日本排他的経済水域に侵入。防空識別圏侵入による戦略自衛隊の迎撃リミットまで後一時間半。『救出』作戦、開始です」

 

 

指揮車に残った真耶からの通信が、千早を筆頭にした部隊員に届く。

いよいよか、と皆が気持ちを引き締めなおし、部隊長の指示を待つ。

 

 

「榊原先生。福音への強行偵察、お願いします。身の危険を感じたら、即刻離脱するように」

 

 

ただでさえ、アメリカのISが十機以上撃墜されている。

どうしても必要な偵察だとはいえ、むざむざ榊原を死なせる気は千冬にも轡木夫妻にも無かった。

それはもちろん、榊原自身も同じであった。

 

 

「了解! 言われなくても、ちゃんとした彼氏見つけるまで死ねる訳ないですよ!」

 

 

千冬が右手を振り下ろすや否や、榊原のラファール・リバイブが一気に加速し、水平線の彼方に消えていく。

カスタムⅡの部品在庫から拝借した追加兵装「ガーデン・カーテン」に加えて、分析用センサーおよび超高解像度カメラを搭載し、ラファール特有の遠隔打撃能力によって、威力偵察を行い、福音から可能な限りの情報を引き出す。

それが、榊原に課せられた使命だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦場で榊原は、混乱を極めていた。

悪夢と言っても良かった。

シャルロット専用機のカスタムⅡほどではないにしろ、搭乗した通常型のラファール・リバイブは第二世代機の最高傑作である。

第三世代機がことごとく『暴れ馬』であり、未だ専用機を使っての実証実験の枠を出ない中、打鉄と並び、現状もっとも乗りこなしやすいISであるのは疑いなく、榊原も長年愛機として親しんできたのだ。

いかな無茶な作戦とは言え、周りが心配するほどの事態は起こらない---はず、だった。

だが今、榊原は必死に恐怖を押し殺すだけで精一杯で、いや、押さえきれない恐怖に震える体と心のよりどころを一体どこに求めたらよいのか、全く分からなくなっていた。

 

 

「生きて帰って、まともな彼氏を作るんだってーの……!!」

 

 

どうにか軽口を叩いた瞬間、鼻先で福音のエネルギー弾が炸裂する。

後数センチずれていたら、火の玉になっていたのは疑いようがない。

 

 

『砲撃誤差修正……迎撃モード・銀の鐘(シルバー・ベル)、出力上昇……』

 

 

まるで隠す気など無くオープンチャンネルから響く、抑揚のない機械音。

が、その無機質な機械音がかえって明確な殺意を感じさせ、榊原の心をすりつぶしていく。

 

 

「ちくしょうっ!! この戦闘が終わったら、こんな機体開発したアメリカの技術者ども、タコ殴りにしてっ……!?」

 

 

接近した福音が、その頭部から生えた巨大な翼 -大型スラスターと広域射撃武器を一体化させたものらしい- を光り輝く鎌の如くに容赦なく振り下ろす。

PIC(パッシブインナーキャンセラ-)による変則軌道においてもわずか数センチ避けるのがやっと、かすかに触れただけでシールドエネルギーをごっそりと削られる。

観測機器が未だに機能しているのかどうか。

絶対防御が生きている以上はまだ何とかなっているのだろうが、福音の姿を捉える事すら困難で、福音の巨大な翼は見た事もない精密な急加速と軌道変更を繰り返し、榊原の反撃を赤子の手をひねるが如くいなし続ける。

がなり立てるハイパーセンサーはこの『銀の福音』が第三世代機が間違いなく、ラファール・リバイブなど問題にすらしない機動性を持つ機体である事を示していた。

 

 

「ナターシャ?! ナターシャ、聞こえるっ?! あたしよ榊原! いつか一緒に京都行こうって約束してた!! わかんないのっ?!」

 

 

急速に後退し、弾幕を張りながら叫ぶ。

『ナターシャ』に声が届くはずはない。

榊原が何より理解していたはずだが、それでも叫ばずにはいられない。

こんな無茶な、どこまでも冷徹な、人の命を一顧だにしない、いや、搭乗したナターシャ自身の命すら問うていない。

こういった敵に、榊原は覚えがあったのだ。

だから恐怖した。

恐れおののく自分を、声を上げる事で落ち着かせたかった。

だが、その試みもうまくはいかず、福音のマルチスラスターから逃れるどころか、この広大な空そのものが巨大な鳥かごの様に思えた。

逃げられるわけがない。

絶望的な逃走を続ける榊原に降り注ぐエネルギー弾は、その『光の翼』自体を砲口として、一向に止む気配がない。

 

 

「がっ?!」

 

 

とうとう、直撃弾を喰らう。

続けざま、何発もの弾体が炸裂する。

センサーはアラートを鳴らし続ける。

攻撃と回避を一体化した『光の翼』は、もはやラファールの機動を完全に捉えていた。

 

 

「Lalalalalala……♪」

 

 

甲高いマシンボイス。

その刹那、福音はウイングスラスターの全砲口を開く。

 

 

「くそったれええええええっ!!」

 

 

榊原はガーデン・カーテンから攻撃兵装に切り替え、拡張領域から取り出した重機関銃「デザート・フォックス」の引き金を引いた。

赤く焼けた、何百発もの銃弾が帯を引いて、福音めがけて飛び込んでいく。

機関銃とはいえ、弾頭自体はISの変換エネルギーと複合進化して装甲車を粉みじんにするような代物だ。

全弾を撃ち尽くすほどの豪勢な攻撃を加えれば、敵部隊は形すら残らないだろう。

だが、恐らく。

これまで散華した米国ISパイロット達が味わった絶望と同じく、今現在、恐らく人類が持てる技術の粋を注ぎ込んだ銃弾はことごとく『光の翼』に弾かれ、無為に虚空に爆散していく。

 

 

「それなら、これはどうよっ!!」

 

 

榊原は残されたエネルギーを集中させ、PICをフル出力で駆動。

福音の機動と真正面から勝負する。

『敵機』と榊原はまるでダンスの様に海原の上を自在に飛び回り、蒼いキャンバスに白い軌跡を描き続ける。

もはや目視では追い切れない。

ハイパーセンサーによる知覚を頼りに、上方に、下方に、三次元機動を繰り返す。

ついには互いに、遷音速の雲を纏う。

それでも福音は振り切れないが、わずかに生まれた隙を捉え、榊原は福音を下方前方に捉えた。

 

 

「これで最後……!!」

 

 

福音の持つ、光の翼。

IS特有の半物質化したエネルギー体の、狭い開口部。

初めてまともに見えた福音の姿。

ISには珍しいフルフェイスによる、幾何学的なデザイン。

榊原は光の翼の根本、その頭部めがけて近接ブレード・ブレッドスライサーを叩きつける。

この瞬間を逃せば、死ぬのは自分。

本能的に理解した榊原は、全てを賭けて、己の運命ごとブレードを振り抜いた。

それでも、コンマ数秒にもならない一弾指。

福音のウイングスラスターは体勢を変化させ、直撃を回避した。

が、福音にすら避けきれなかったスライサーが頭部装甲を強打し、破壊した。

 

 

「やった……?!」

 

 

戦いが始まってから、ようやく掴んだ戦果らしい戦果に、榊原は喜色をたたえた。

しかし、その瞬間にこそ。

たたき壊した装甲の合間から覗く搭乗者の姿にこそ、榊原は本当の意味での恐怖を覚えた。

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア……!!」

 

 

『福音』があげる、けたたましい咆吼。

それは確かにナターシャが搭乗していたはずの機体。

だが榊原の目に映った---センサーの認識した『銀の福音』搭乗者の顔は、人間の物とは全く違っていた。

『敵』の目は赤く鋭く光り、屹立する牙は貪欲に獲物を喰らう肉食獣のそれで、頭頂部には角すら生えている。

堅い皮膚は紫に染まり、裂けた口元からは涎が止め処なく溢れる。

 

 

「いやあああああああああああああっ!!」

 

 

これはまるで、まるで、まるで。

作戦上便宜的に呼んでいたはずの---『高位体』『DD』そのものではないのか。

いっそ、恐慌を起こさなかったのは流石に開戦初期からのパイロットであると、この戦いの観戦者がいたなら褒めたろう。

せめても、この戦闘結果が部隊に届いていますように。

ウイングスラスターの無限軌道で立て直した福音は、あっという間に榊原のラファールに肉薄し、装甲と装甲がぶつかり合い、鈍い金属音を上げる。

これまで必死に抵抗してきた榊原の生きる努力も、ついにはその砲口で霧散すると思われた、その時。

 

 

「……大丈夫かっ?!」

 

 

空間を引き裂くかの様に飛来した、多数の光弾が福音を吹き飛ばす。

榊原はこの機を逃さず、到着したIS学園部隊に向けてブーストをかけた。

 

 

「生きているか、返事しろっ!!」

 

「どうやら生きているらしいですよ」

 

 

千冬の呼びかけに、よろめきながらも榊原は冗談を返す。

一瞬幻聴ではないかと思ったが、どうやらそうではないらしい。

 

 

「三途の川を渡るにしても、一人じゃ寂しいですからね。まだ死んでられません」

 

「バカが……」

 

 

部隊内のプライベート通信が、榊原に安堵をもたらす。

到着した仲間達に感謝の念を捧げながら、彼女らの声が聞こえる方に離脱していく。

 

 

「観測データは届いていましたか……?」

 

「ああ。戻って休め」

 

 

千冬はそれだけ言うと、榊原と交差するように、部隊の一斉射撃の中を縫うようにして、福音に向け突撃していく。

 

 

「後は頼みます」

 

 

榊原は薄れかけた意識を何とか振り絞って、なんとか指揮車のある浜辺へとたどり着き、倒れた。

意識を取り戻した彼女が全ての顛末を知ったのは、一週間後のことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いい加減不定期だけど、どうにか続けっ


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