IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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以前書いたものの続きになります。本編を楽しみにしていただいた方々、予定を変更して
すみません。


番外編 IFルートでStrikerSをやってみた その2

「待っていたよ、『次元世界最強の魔導師』霧島八雲君」

「出向いてやったぜ『次元世界最悪の犯罪者』ジェイル・スカリエッティ」

 

一連のレリック事件がその主犯の判明と共に『ジェイル・スカリエッティ事件』と呼称され、地上本部及び六課の隊舎が襲撃されてから一週間、スカリエッティは古代ベルカ時代のロストロギア『聖王のゆりかご』起動させ、時空管理局の崩壊を狙った。

僕達六課はクラナガン市街地の防衛、ゆりかご内から保護していた女の子、ヴィヴィオの救出、スカリエッティの逮捕の三方面作戦を強いられている。僕が担当するのはスカリエッティの逮捕で、聖王教会のシスター、シャッハ・ヌエラさんと管理局査察官のヴェロッサ・アコーズさんが割り出したスカリエッティのアジトに単身乗り込んでいる。

 

「アンタには聞きたい事があったんだ。4年前の地球で起こした管理外世界でのロストロギアの違法使用、あれは狙って起こしたんだろ?」

「ほう、どうしてそう思うのかね?」

「簡単だよ。あの事件にはジュエルシードが使われていた。あれは全部管理局で厳重に保管されてたはずだ。それが使われてたって事は管理局内、しかもそれがもみ消せるほど上の方に協力者がいるって考えるのが普通だ。んで、そんなレベルなら僕の一挙手一投足を調べるのだって簡単だろ?」

 

スカリエッティの言った『次元世界最強の魔導師』と言うのは僕がIS学園に入る前から言われていた事だ。ここまで盛大に事件を起こして、成功させようと思うなら、僕は警戒の対象になっていてもおかしくない。

 

「今さら隠す必要もないから答えよう。正解だよ。この計画の成功の為に君は一番の障害と言っても構わない。向こうで始末できれば最上、仕事できない程の大怪我があればベターといった所だ。注意をそちらに向けるのはついでだよ。そんな事する必要もないさ」

「アンタにそこまで評価されても嬉しくないねえ。それに多分、それは失策だったと思うよ」

「ほう?」

 

興味深そうに目を細めるスカリエッティ。まあ、もののついでだ。

 

「あの頃の僕は死にたがりだったからねえ。ほっといても死んでた可能性が高いよ。そうでなくても再起不能はあったね。だけど、あの事件で僕は僕に戻れたから。その時点でアンタに勝ち目は無いよ」

「唯一の失策という訳か。いやはや人の感情と言うのは私の頭脳をもってしても理解できない」

「考えるな感じろって事さね。まあ、アンタのお蔭で僕は色々変われたからその点だけは感謝してるよ。じゃあ、捕まってもらおうか」

「いや、悪人らしく最後まで抵抗させてもらおう」

 

 

 

スカリエッティ及びその周りにいた戦闘機人達を捕まえた僕は現在の六課の本部となっているアースラに戻り、少し休憩しようと思ったら、アースラの指揮を任された。

ゆりかご周辺の戦いはクロノの陣頭指揮と武装局員の奮闘で優勢、ゆりかご内部もなのはとフェイトが動力炉を落とし、ヴィヴィオの救出中、市街地戦もスカリエッティ一味を逮捕し後のガジェットの掃討戦を地上部隊に任して六課メンバーはアースラに戻って来た。

 

『八雲君、ヴィヴィオの救出完了したよ! 今か……』

 

突然、通信が切れた。その事で慌てるクルー達。しかし、経験豊富なこの人だけは違った。

 

「ゆりかごを中心にAMF濃度上昇、同時に電波妨害も確認! これが原因みたいだね」

 

すぐさま報告をくれるエイミィさん。

 

「なるほど……それなら」

「疲れているだろうがスバルに救助の指示を」

 

艦橋に入ってきてすぐさま指示を飛ばすクロノ。まあ、僕も同じ判断だった。高濃度のAMF内でも戦闘機人のスバルなら戦力を落とさず救出できる。

 

『クロノ、聞こえるか? 意見具申だ』

「手早く済ませてくれ」

『ヘリの中にバイクがあるから、ティアナも連れて行く。後、脱出口の確保の為に俺も出る』

「了解した。……頼んだぞ、大和」

『はいよ』

 

打てる手は打った。後は無事を祈るだけ。僕は借りていた艦長席をクロノに渡し、壁にもたれかかる。

 

 

 

十分後、全員の脱出が完了した報告を受け、大歓声の艦橋内。クロノでさえ小さくガッツポーズしている。

しかし、

 

『クロノ、聞こえる!』

 

リンディさんの慌てた声の通信でそれは破られた。

 

「どうしたんですか?」

『次元航行部隊の到着がゆりかごの衛星軌道到達に間に合わないわ』

「なっ⁉」

「って事は、このままじゃ……」

『ええ、ゆりかごの伝承通りだと次元跳躍攻撃も可能な不沈艦が現れる。そのなるとこっちは手を出せない』

「しかも、ヴィヴィオがいない今、どうなるか予想もつかないわけですし……」

 

……時間も無いし、やれるだけやるか。

僕は静かに艦橋を後にした。

 

 

 

「か、艦長!」

「どうした!」

「ゆりかごの前に霧島二佐が居ます!」

「何だと!」

 

 

 

『おい、八雲! 何をする気だ!』

 

らしくない位語気が荒いクロノ。

 

「何って……アレを落とすのさ」

『無茶は止めろ!』

「無茶って誰が決めたのさ? それに手を打てるのは今だけだよ。大丈夫、全部ちゃんと終わらせてくるから。これが管理局員、霧島八雲の最後の大舞台さね」

『……死ぬなよ』

「もちろん。クロノとエイミィさん見てて思ったもん。僕も子供が欲しいなってさ」

 

IS学園卒業の時皆とした『必ず帰ってくる』って約束も、四年前にはやてとした『幸せになる』っていうのも破りたくないからね。

 

『そうか……。僕からの命令は一つ。ゆりかごを落として、帰ってこい』

「了解!」

 

クロノとの通信を終えて僕は改めてゆりかごに目をやる。

かつて長い長い戦乱の時代であり、僕の大切な仲間たちが生まれた時代である古代ベルカ諸王時代。その戦乱を終焉に導いた戦船『ゆりかご』。

確かに考古学的とか聖王教会にとっては価値のあるものかもしれない。技術的にもそうだろう。だけど、それが動いて今を生きる人たちに害を為すなら僕はそれを壊して見せる。

今と言う時間はその時間を生きる人の為にあるのであって、古代の遺物がそれを壊していいわけがない。

僕は大きく深呼吸をして、この空域の残留魔力を僕の体に、相棒たちに集めていく。

ミッドの普通の時の空間の魔力の何十倍にも及ぶそれはこの場で戦っていた管理局員の皆さん一人一人の想い。この星に住む、その人達の大切な家族、友人、恋人達を守りたいっていう想い。それを集める。……体は悲鳴を上げているけど、これが終わればゆっくり休めるから無視だ。

 

「Mode Release Over Limit Maximum」

 

これは僕が編み出した僕達のとっておき。一時的に相棒たちを一本の剣『雪雲』。

 

「この星に住む人達の未来の為に過去の遺物はご退場願おうか! 天翔蒼破斬!」

 

雪雲に魔力を集束させた巨大な一撃を一気に振り下ろす。しかし、ゆりかごがまだ無敵の防御力を持っていないと言えど硬い事には変わりない。だけど、

 

「これ位で、この一撃を! 人々の想いを! 防げるかよっ!」

 

僕は体全身を使い、落下する速度も使い、一気に振り抜いた。

その目でゆりかごが真っ二つになって、落ちていく事を確認し、僕はデバイスを仕舞った。

 

「ふう、終わった……ね」

 

あっ、ヤバい。飛行魔法を使う魔力、残って無いや。自然落下していく中、再び叢雲を呼び出し、カートリッジを使おうとした時に、

 

「ったく、後先考えろよな」

 

大和に片手でキャッチされた。

 

「失礼な。ちゃんとカートリッジでフローターフィールド発生させて着地しようと考えてたよ」

「余計な心配って事かよ」

「ま、ありがとね」

「どういたしまして。んじゃ、アースラに戻りますか」

 

この後、アースラに着いた僕は疲労困憊でその場で倒れた。意識はあるんだけど、魔力と体力の限界だった。ああ……冷たい床が気持ちいい。




という訳で最終決戦編をお送りいたしました。

とりあえずここでやりたかったのは、

八雲VSスカリエッティ

八雲VSゆりかご

叢雲とスノーレインを一つに

でした。


……この決着方法はネタを考えてた時に思いついた『はやてが死んだ状態でJS事件を迎え、最期は人々の想いを乗せて命を燃やし尽くす』という時に閃いたものです。あまり悲しい終わり方が好きではないので書こうとは思わなかったのですが、この決着は使いたいなと思い、今回使いました。
なので、原作の動力炉とヴィヴィオ救出の同時進行ではなく、両方を突入の二人でこなすという形にしました。メンバーも違いますし。
ちなみに、元となったネタの派生で

「落下していく八雲がゼロの使い魔の世界に召喚される」
「ミッドチルダ、次元世界を救った事で英霊となった八雲が第五次聖杯戦争に召喚される」

といった物も思いつきました。まあ、書きませんけどね。
この場合のヒロインは

ゼロ魔 ルイズ
FATE 凛

となります。

次回こそは本編をお送りします。

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