IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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隙間を見つけてE-2クリア記念。クリアしたのは昨晩ですけど……。

戦闘シーンオンリーです。


第三十四話 事件勃発(中編)

何か簪と本音を襲っていた奴らが言ってるけど、そんなのは無視して僕は二人の前に出る。

 

『二人とも、大丈夫?』

『私は大丈夫』

『私も習ったばかりの治癒魔法で痛みは大分引いたから大丈夫だよ~』

 

良かった……ホントに何もなくて。さて、ここから反撃開始と行きますか。

 

『簪、Nバレット何発まで使いこなせる?』

『動かなかったら10発。動いたらまだ4、5発かな』

 

魔法を学び始めてそんだけ扱えれば十分だろ。誘導弾の扱いだけなら近い将来なのはと肩を並べるかもな。

 

『分かった。僕が盾になりながら、どんどん落としていくから、簪はNバレットで撃ち漏らしを落としていってくれ。本音は簪のサポートを。多分その端末で相手のSEとか見えるだろ? 確実に数を減らせるように指示を出してくれ』

 

僕一人だけじゃ、護りながら戦うのは出来なくはないと思うけどしんどい。でも、彼女達は僕を支えてくれるって言ってくれた。だから、その言葉に甘えよう。

 

『りょーかいだよはっちー』

『うん、分かった』

『叢雲、防御は頼む。ちょっとばかし、あの人たちにお灸をすえないとね』

『了解です、マスター』

『あっ、そうだ簪、本音』

 

大事な事言い忘れる所だったよ。

 

『何?』

『僕の背中、任せたよ』

『『うん!』』

 

背中を任せられるって良いねえ。久しく忘れていたよ。

僕は新規開発された彩雲の短銃身を二丁呼び出し、腰に増設してもらったハードポイントに装着、そして以前の彩雲も二丁呼び出し両手に装備した。

 

「さて、一対多の新技行きますか。Nバレット、サターンフォーメーション!」

 

何発かの誘導弾が相手を追いたて一か所に固めていく。僕の狙いを理解した簪が一か所に集めるのを手伝ってくれる。ハイパーセンサーで確認すると本音もせわしなく目線を動かしてるから、指示は本音が出してるな。即席だけど良いチームワーク。10月に有る専用機タッグトーナメントで本音に専用機があったら簪&本音ペアとも戦ってみたかったなあ。

そして一か所に集めた後、誘導弾は逃がさない様に機体の周囲を旋回している。さながら群れで狩りをする肉食獣の様だ。

これは夏休み前に簪が部屋でやっていたロボットが沢山出てくるシミュレーションゲームのとあるロボットが使っていた物。だから、簪も僕の狙いを分かったんだろう。だけどあそこまで精密な誘導弾の扱いが出来るとは思わなかったけど。良い意味で驚いた。

 

「簪、後は任せるよ」

「了解。本当なら超重獄に落ちろ! って言う所だけど、私は私のやり方で行くよ! スターダスト……」

 

あれはまさか……なのは、そこまで見せたのかよ。

ちなみに僕はリアルで超重獄に落とせる。発射するふりをして中心にブラックホールを放てばいいだけだし。

 

「ストライク!」

 

言葉と共に青っぽい白色のエネルギーの奔流が発射されると共に旋回していた簪の光弾も襲い掛かった。僕の操っている物も同タイミングで動かす。簪の撃ちのがし……は無かったから、SEを削りきれなかった機体を確実に行動不能にしていく。

これの元の技はなのはの誘導弾と砲撃のコンビネーション『ストライクスターズ』。誘導弾の制御と直射砲の制御という異なる二つの事(正確には誘導弾一発一発と更に飛行の制御もある)しないといけない、高難易度技術だ。いくらISのサポートがあると言えど、簡単にできるものではない。

簪が僕達の前で語った彼女の目標、刀奈さんに追いつき、追い越す。その一念で努力をし続けた結果、花開いたんだろう。こりゃ、刀奈さんもうかうかしてられないねえ。

 

「っ! 簪、本音を頼む!」

「えっ? う、うん!」

 

僕は簪の返答を聞きながら前に出る。そして、プロテクションシステムで攻撃―荷電粒子砲、レーザー、エネルギーの光波の三つ―を防いだ。

 

『簪、本音を連れてピットへ』

『分かった。気を付けてね』

『怪我しないでね、はっちー』

 

簪が本音を抱えてピットに戻るのをハイパーセンサーで確認しつつ、僕は攻撃してきた三機、―白式、紅椿、ブルーティアーズ―への警戒をし続ける。

 

「霧島! お前何してるんだよ!」

「何って……」

 

僕はそこで少し考える。

一応、生徒会副会長として今年何があったかを確認した時、織斑君に関しての報告書も目を通した。彼が本格的に事件を起こしたのはボーデヴィッヒさんがオルコットさんと凰さんへの必要以上の攻撃を加えた際のアリーナのシールドを壊した一件だけ。それも友人が傷付いて怒ったのが理由。今回僕は怪我を負うほどのオーバーキルはしていないんだけど……。

 

「人助けだね」

「あんな一方的な攻撃がか⁉」

 

この一言で織斑君は事情を理解していないのにこの場に飛び込んで、あまつさえ攻撃をして来たという事が分かった。

僕と簪の攻撃を一方的な攻撃と言って非難するのなら、その前の簪に攻撃していた奴らはどうなるんだよ。アレはリンチじゃないのか? しかも、簪の後ろに生身の本音が居る状態でだ。

 

「そりゃ、手っ取り早く終わらせる方法だったし」

「攻撃できない人を攻撃する必要は無かっただろ!」

 

彼は何を言っているんだ?

SEに関しては基本的に他の機体からも確認できる。(試合の時は競技性を高めるために対戦相手には見えなくなる様に設定されている。僕が戦闘中のSEを把握しているのは、叢雲がそれを大体計算しているから)普通なら彼の言う通りかもしれないけど、今回に関しては本音の安全が最優先だったからちょっとでも攻撃の可能性があるなら摘み取りたかったのだ。

 

「攻撃できない……ねえ。SEが残っている限りISは動かせるんだから攻撃は出来るよ? 僕は必要最低限の事しかしてないよ」

「だからって!」

 

……正直これは無駄な話し合いだと思うんだよね。お互い譲る気は無いんだから。これは先生来るまで平行線かねえ。

 

「ま、織斑君が何と言おうと僕は考えを変えないよ。もし、文句があるならねじ伏せてみれば? 三対一で勝てる自信があればだけど」

 

挑発なんて僕らしくないと思うけど、頭に来てるんだよね。たとえ彼に彼なりの攻撃をした理由があっても、僕の大切な人に向けて狙う意思が無くても武器を向けたんだから。

 

「テメエ!」

 

食いついた! さて、僕の八つ当たりに付き合ってもらおうかな。

突っ込んでくる織斑君と篠ノ之さん、そしてその援護を始めるオルコットさん。

 

『叢雲、Nバレットでオルコットさんの相手を任せるよ』

『了解』

 

別に両方操作しながら戦えなくはないけど、念には念をだ。本音に怪我しないでねって言われたから最善の方法を取る。

さて、臨海学校から夏休みまでの間に一度実戦に重きを置いたIS実習があった。その時の三人の戦闘の感じを見ると、オルコットさんは依然と変わらず、織斑君は二次移行して射撃武器が付いたけど、それを使いこなせていないし、篠ノ之さんは……うん、全然仕上がってない感じ。それとこれは織斑君と篠ノ之言える事だけどISに振り回されてる。性能に乗り手の腕が追いつけていない。

それも当然で世界最高峰の性能を持つ機体は素人に毛が生えたレベルでは乗りこなせない。僕と出雲もそうなんだけど、僕はそれを自分自身の身体能力と今までの膨大な戦闘経験、飛行経験で出雲と言う暴れ馬を抑え込んでいる。

僕はNバレットでオルコットさんを抑えられている事を確認しながら織斑君と篠ノ之さんの相手をする。大量の誘導弾を使えばBTの誘導するための集中力も落ち着いた射撃も出来ない。オルコットさんは最初の織斑君の時みたいに一方的に攻撃できれば力を発揮できるけど、それにハマらなければ実力の半分も出せない。重大な欠点ともいえる。

さて、突っ込んでくる二人の機体の大きな欠点に燃費の悪さが上げられる。

話しに聞くと篠ノ之さんの機体、紅椿はワンオフアビリティとしてエネルギーを回復できるという凄く便利な物があるらしい。が、実習の時はそれを使っていた所を見られなかったので、条件が厳しいのだと僕は思っている。だから、とりあえずFバレットで狙い撃つ。秒間15発の速度で撃ち出される高速のエネルギー弾。しっかり引き付ければ回避は簡単な物じゃない。直撃を食らい、縮めた距離を離される二人。

 

「くっ」

「くそっ!」

 

二人が毒づいても僕は攻撃の手を緩めない。二人とも遠距離攻撃は出来るが近距離での戦いが得意だから、遠距離をメインに戦うのがセオリーになる。しかし、

 

「こうなったら……いくぞ、箒!」

「ああ!」

 

二人ともエネルギーシールドを張って突っ込んでくる。

Fバレットは連射力と弾速を重視しているから一発一発の威力はそこまでは無い。なので、シールドを張られて突っ込まれるのは結構辛かったりする。

 

「「貰った!」」

 

距離を詰められて左右から袈裟切りで切りかかられる。が、しかし

 

「「なっ⁉」」

 

僕は斬撃を彩雲で止める。

IS戦では基本的に彩雲での遠距離戦ばかりしていたけど、本来の僕はオールラウンダーであり、近距離戦も出来る。むしろ近距離戦の方が得意だ。だから、攻撃を受け止める事は難しくない。

まあ、僕の戦い方を管理局の技官に聞いたバニングス社の人が彩雲でも接近戦が出来るようにと無駄に丈夫に作ってくれたから、鈍器としても使えるってのもあるんだけどね。

僕は右手の方に居る織斑君のブレードを押し返して、裏拳の要領で腕を振り抜き、彩雲で殴る。そして、そのまま左の彩雲を軸に回転して篠ノ之さんには回し蹴りを食らわせる。

そのまま、Fバレットの斉射を食らわせて一気にオルコットさんの方に押し込む。

 

「さてと、Yバレット、コード・エンジェルリング」

 

三人を一か所に纏めて仕留める準備を始める。

 

「これで終わりだよ。ディバイン……」

 

決める一撃を用意していると、

 

『そこまでだ! 全員管制室に来い!』

 

……中々良いタイミングで織斑先生がやって来た。僕は彩雲をしまい、そのままピットに戻った。




まあ、以前後書きで書いた感じで容赦なく実力差を発揮してます。

実力差の理由として

そもそもの身体能力の差
戦闘経験の差
IS操縦(もしくはそれに類する)経験の差

この三つがあります。
確かに八雲はIS操縦は入学から学園別トーナメントまで全くしていませんでしたけど、それに類する経験と本作でしている航空魔法戦の経験が豊富です。それに加えて今回のお話までの二か月ほどで刀奈と一緒に訓練もしているのでIS操縦の経験もそれなりに積んでいます。
上二つは言わずもがな。
しかも……八雲、一回も剣を抜いていないんですよねえ。

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