IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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今回は以前竜羽さんに頂いた感想からIFルートのSTSを書いてみました。


番外編その1 IFルートでStrikerSをやってみた その1

新暦75年、高校を卒業した僕はちょこちょこやらないといけない事をやった後、一年間の試験部隊である、機動六課に配属された。初夏を過ぎ夏本番といった感じの七月の日の事だ

 

「ここが僕の新しい職場か~。一年だけなのに意外としっかりした隊舎だねえ」

『普通に何かに再利用されるのでは?』

「新しい常設部隊? いやでも、そんな話は聞かないし……」

『まあ、マスターは来年には退局なされるのですから関係ないのでは?』

 

そうなんだけどねー。気になるじゃん。こんだけデカい建物の使い道ってさ。

 

「そだ叢雲、今何時?」

『マルハチゴーマルですね。マルキュウサンマルに執務室に来て欲しいとクロノから』

「あー、隊長殿がそんな事言ってたねえ」

 

ってか、クロノの呼び方に迷いを感じるんだけど。普段はクロノ、今までの仕事だとクロノ提督だったけど、今回のクロノは隊長なんだよなあ。違和感しかねえ。

 

「ま、とりあえず行きますか」

 

 

 

クロノに貰った地図を頼りにクロノのいる部隊長の執務室にやって来た。

 

「よっす、隊長殿」

 

僕がクロノを『隊長殿』(ちょっと前までは『提督殿』)とわざと呼ぶのは、めんどくさい仕事にばかり駆り出すクロノに対するあてつけみたいなものだ。

僕とクロノは親友だと思っているし、意図的にこう言った感じの皮肉を入れる事位笑って許せる仲だからこその言い方。

 

「普段通りで構わないぞ、八雲」

「了解。んじゃ、いつも通りで行くわ」

 

流石に誰かがいる時は気にするけど、誰もいない時、知り合いしかいない時位は崩した口調で行こうかな。

 

「まずは、三か月の士官研修ご苦労様」

「延ばし延ばしになってたからなあ。クロノや他の皆には迷惑かけた」

 

士官研修は僕が三佐に上がった三年前の春に行われるはずだったのだが、その時にISを動かしてIS学園に入学する事になったから研修は卒業後になったのだ。……その間に、長期休暇にやった任務の功績で二佐になってしまったけど。

 

「部隊全員がしっかりやってくれているから気にするな」

「って言ってもなあ。ここまでで色々あったんだろ? もう、何回も出動してるし、なのはが魔王モードになったって話も聞いたけど」

「……どこからだ?」

「ウチの上司」

「なるほど、レティ提督か」

 

僕の上司(六課へは運用部からの出向扱いになっているので、クロノも直属の上司だけどレティ提督も同じく直属の上司に当たる)である提督は六課の後見人だからそれなりに内部情報にも詳しい。遅れて合流する事になった僕の事を考えて一週間に一回くらい六課の現状などの情報を教えてくれたのだ。

 

「そういや、僕が一番関わるだろう、前線のフォワードの皆は?」

「新人四人は休暇だ。訓練も一段落したからな。隊長陣はそれぞれの仕事をしている」

 

皆忙しいねえ。

 

「とりあえず、新人四人の挨拶は明日……」

 

会話の途中でクロノに通信が入った。モニターに映ったのは僕も良く知ってる顔だった。

 

「やっほー、八雲君」

「お久しぶりです、エイミィさん。カレルとリエラは元気っすか?」

 

モニターに映った女性はクロノの奥さんのエイミィ・ハラオウンさん。結婚を期にクロノの副官からは降りて非常勤みたいな立場になっていたんだけど、今回の新部隊の設立で後方部隊の頼れるまとめ役としてクロノが直々にスカウトしたらしい。ちなみに二人の子供はクロノの母親のリンディさんが預かっているとの事。……夫婦水入らずな生活をしたかったとかじゃねえよな? もし、三人目が出来たら、それが目的だったと僕は勘繰るぞ。こちとら、恋人おいてきての単身赴任だってのに。

 

「うん、元気だよ。って子供たちの事は後。クロノ君、エリオとキャロから連絡があったの。レリックの入ったケースを持った7歳くらいの子供を保護したって。その子がどうやらクラナガンの地下ライフラインを使っていたみたいなの」

「なるほどな。一番現場に近いのは?」

「幸い、休暇で同じくクラナガンに居た大和君にも連絡を入れたみたいで、すぐその場に合流したみたい」

「分かった。なのはとフェイトに出動要請、フォワードは地下ライフラインに突入し先行調査、大和はなのはとフェイトが合流したい先行部隊と合流、指揮を取らせろ」

「了解!」

 

やっぱ、クロノの指揮は安心するなあ。信頼感があるよ。

 

「んで、僕はどうすればいい?」

「いざという時の自由戦力だ」

「戦力の分散はよくないと思うけど?」

「大和、なのは、フェイトの管理局でもトップクラスのエースと新進気鋭のフォワード四人。戦力の信頼は十分だがいかんせん人が足りない。だから、管理局最強の君をどんな事態にも対応できる様に待機させておくんだ」

 

……そこまで言われたら答えないとねえ。

 

「りょーかい。まあ何かあったら八雲さんがスパッと解決するよ」

 

 

 

その後、僕はなのは経由で入った大和の『見つけたレリックを持った女の子を運ぶヘリの護衛の追加要請』を受けて、いつでも出れるようにしてある。今はヘリをスノーレインのリンゲモードを使って遠見の水鏡で見ている。

すると、ヘリの進行上に大量のガジェット―六課が専任で改修に動いているロストロギア『レリック』に絡む件で見られる無人機―が現れた。すかさず排除の為になのはとフェイトが動くけど見た感じ、かなりの数が幻影らしい。これは……

 

「クロノ、ちょっと行ってくるよ」

『了解した。現場での指揮権は全てお前に預ける』

「はいよ。エイミィさん、叢雲に座標を送信してください」

『了解! 皆の事よろしくね!』

「任せてください」

「マスター、転移準備完了です」

「分かった。エレメント1、霧島八雲、出撃します!」

 

さて、久しぶりの現場だ。全力全開で行きますか!

 

 

 

僕の転移した先は女の子を載せたヘリの真上。さて、あのガジェットを破壊して道を切り開くのが先決だね。

 

「覇道……」

 

叢雲に魔力を溜めていく。普段は隙が大きいから溜めの時間をカートリッジで強制的にキャンセルさせているけど、今回はそこまで焦らないから、目一杯溜める。そして、それは結果的には好判断だった。

 

「マスター、へり左側より高魔力反応! 砲撃が来ます!」

 

報告を聞いて砲撃の向きに位置修正。

 

「滅封!」

 

溜めていた魔力を開放し巨大な炎を撃ち出してその砲撃を相殺する。

 

「本局古代遺物部機動六課副部隊長、霧島八雲。ハラオウン隊長の指示で援護に来た。……久しぶりだね、なのは、フェイト」

 

最後に会ったのは何時だろ? ……今年のお正月に海鳴で会った以来だと思うから、半年ぶり位かな。

 

「八雲君⁉ どうしてここに?」

「八雲⁉ というか、副部隊長って何?」

 

……クロノの奴、僕の事言わなかったんだな。こりゃ、後で説明がめんどいぞ。

 

「簡単に言うと僕は六課のナンバー2になったって訳。一応二等空佐でもあるし。まあ、仕事は独立した遊撃戦力

兼現場の総指揮だけど」

 

ちなみに僕以外の人の階級だけど、六課のトップであるクロノが海将、前線部隊のまとめ役の大和が三等空佐、なのはとフェイトが一等空尉、通信管制などの後方部隊のロングアーチを纏めているエイミィさんが一等海尉となっている。

 

「八雲、二佐だったの⁉」

「何時の間に階級上がってたの?」

「……なんか、長期休暇でこっちに来るたびに大きな事件やらミッドを騒がせていた凶悪犯やら、次元犯罪組織の摘発やらに関わっててね。高校卒業したら二佐になってた。お蔭さまで昨日まで研修で朝から晩まで勉強だよ」

 

苦虫をかみつぶしたような顔を見せた僕に二人は苦笑い。現場ではあまりよろしくない空気かもしれないけど、下手に肩に力が入っているよりも何倍も良い。

 

「さて、話はこの辺にして、エイミィさん!」

『分かってますよ~。八雲君、なのはちゃん、フェイトちゃんのデバイスには既に砲撃をして来た人間のいるポイントを送っておいたから』

 

流石エイミィさん、素早い対応が求められるのを理解している。

 

「なのは、フェイト、とっとと決めるよ」

「「了解!」」

 

僕達三人は高威力の一撃を準備し出す。カートリッジも併用しているので数秒でそれを済ませる。

完了を確認したのを確認して、全員が発射態勢に入る。

 

「スターズ1、高町なのはとレイジングハート、行きます! エクセリオン…」

「ライトニング1、フェイト・テスタロッサとバルディッシュ、行きます。トライデント…」

「エレメント1、霧島八雲と叢雲、行くよ。覚悟は出来たか、デモンズランス……」

「「「ゼロ!(バスター!)(スラッシャー)」」」

 

高ランク魔導師の大火力魔法をぶっ放した再開発地区は更地になった。……やり過ぎた?

 

やっぱりやり過ぎたのでこの後、クロノに小言を食らった。それが終わったら今度はなのはとフェイトに冷やかされる羽目に。何故かって? デモンズランスが刀奈の蒼流旋になってたから。……そりゃ、大切な人の武器の形になる事だってあるでしょ。




この時の八雲の設定を少し

霧島八雲

年齢 19歳

階級 二等空佐

役職 古代遺物管理部機動六課副部隊長、コールサインはエレメント1

IFルートでのIS学園を卒業した八雲。偶然2割、必然8割(主にクロノが原因)で春、夏、冬の長期休暇のたびに大きな功績を上げたために卒業と同時に二等空佐を拝命。しかし、三等空佐時の士官研修を受けていなかったので、六課の合流に遅れる事となる。
なお、魔力ランクは通常時はSSSランクだが4ランクダウンでAAランクになっている。
もちろん、六人との関係は継続中。相変わらずのラブラブっぷりで、IS学園の彼らの部屋は「空気がドピンクだった」と言われるほど。
八雲は六課所属の件を「最初で最後の単身赴任だね。まあ、刀奈と簪の出るモンド・グロッソに被らなくて良かった」と言っている。


STS編で皆さんが気になる事があったら、感想やメッセージでどうぞ。

あらかじめ、出そうなものは書いておきます。

八雲の恋人達はSTSにはガッツリ関わってきません。しかし、この前の海鳴市に六課が向かった一件(STSSS1のお話)で全員六課メンバーと面識はあります。
なのはとユーノ、フェイトと大和は関係が進展していません。鉄板ですが進展させようとすると様々な邪魔が入るからです。しかし、なのはとユーノは本編STS通りの進展が有ります。
本作のフェイトはアリシアのクローンではないのでスカリエッティのアジトには突入しません。突入するのはIFルートと言うよりIS編で因縁の出来た八雲を予定しています。
これにより最終戦の展開が結構変わってきます。


それと、前の話で書いた艦これの夏イベ前に夏休みを終わらせるという話ですが、無理っぽいので夏イベ中に少しずつ書いて、マップを一つ抜けるごとに一話上げて行こうかなと考えています。

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