IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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さらにサプライズをぶち込みます。


第二十二話 一寸先は闇。……その通りだと今日だけで思った。

僕が行なった迎撃戦から数時間後、僕は管理局の医務局に居た。理由は迎撃戦の直後に戻る。

 

 

 

無人機のコアの回収作業をしていた時の事、

 

「うーん、叢雲、今回のコアはこの前とのは違うの?」

「一回目の無人機とは違ってゴーレムの物を改造したものですね。まあ、ジュエルシードは数に限りがありますし」

 

まあ、たった二十一個しかない物だから、全部に使えるものじゃないわな。ちなみに一回目の襲撃の無人機はジュエルシードを動力源にISに模した能力を持たせたもの。二回目のボーデヴィッヒさんのIS暴走と、銀の福音の暴走はISコアにゴーレムのコアを組み込んで暴走させたもの。今回はゴーレムのコアでISを再現したものとなっている。……誰だか知らないけど、色々バリエーションあるなあ。

 

「しかし、厳重封印の対象だったはずのジュエルシードがどこで盗まれたんかねえ?」

「確か、一度研究の為に持ち出されていたとの事ですから、そこで何かあったのでは?」

「そういや、そんな話聞いた記憶があるなあ。まあ、それは僕の管轄外だからねえ」

 

それも調べてもらう事にしよう。まあ、結果は良い物が出ない気がするけど。つまりは管理局の厳重封印されてたものの管理体制の杜撰さが浮き彫りになる訳だし、多分もみ消されると思う。

 

「調査待ちという訳ですね。っ! マスター、学園方向より、高魔力反応! ジュエルシードです!」

「はあっ⁉」

 

ジュエルシードは僕が完全に封印したはず。それが解けたって事か? しかし、何でこのタイミングで? いや、考えるのは後だ。急いで戻らないと!

 

「待ってください、魔力反応、収まって……、いや、六つリンカーコア反応! 場所は……これは寮のマスター達の部屋です!」

 

たしか、昔ユーノが言っていたジュエルシードの特性って……それと、僕達の部屋に六つのリンカーコア……だとしたら!

 

「叢雲! リンディ提督に連絡! 急いで本局の医務局を押さえてもらって!」

「了解!」

 

 

 

僕の予想通り、生徒会室の六つのリンカーコアは僕の彼女達の物だった。駈け込んだ生徒会室からスノーレインのリンゲモードでバニングス社の転移エリアに転移してそこから本局に移動した。

医務官から聞かされた検査の結果は異状なし。ただし、現状ではと前に付くけど。

 

「で、どうして私達はここに突然連れてこられたのよ?」

 

全員が集められている部屋でアリサに問い詰められる。

 

「単刀直入に言うと、皆に魔力を生み出す元になるリンカーコアが出来てた。ありえない事だけど僕は理由も分かってる」

「理由と言うのは何ですか?」

「刀奈さんは知ってますよね? クラス代表戦の時の事件」

「うん。無人機が来た時の事よね?」

「……そんなことがあったの?」

 

簪がそう尋ねた。見ると、アリサとすずかも驚いている。

あっ、そっか簪は選手だったわけだし、アリサやすずかは学園の生徒じゃないから知らないか。虚さんや本音はその頃から生徒会のメンバーだから知ってるかもしれないけど。

 

「まあ、その件は今は関係ないからスルーして、その無人機のコア部分には僕が初めて関わったロストロギア、ジュエルシードが組み込まれていたんだ。それでジュエルシードの特性は『周囲の強い願望を叶える』」

「もしかして、私達がそう願ったから?」

「だと思う。だけど、本来リンカーコアが後天的に出来る事は無いし、ジュエルシードの願望は思ったように叶うか分からないから、こうやって強硬手段でここに連れてきたんだ。まあ、今のところは一応問題無し。念のために一月に一回位検査しに来て欲しいって言われたけど」

「分かったわ。その辺は帰ったら、ゆっくり予定を組みましょう」

 

そういうのは刀奈さん。多分国家代表で生徒会長の刀奈さんが一番忙しいから、彼女の予定を元に組む事になるだろう。まあ、検査自体は一時間ちょっとで終わるから、拘束時間自体は数時間、余裕を持って半日取れれば問題ない。

 

「ここに来た理由は分かったわ。でも、私達の部屋に入って来た時のアンタは尋常じゃない位焦ってたわ。ここに来る方法もそうね。それはどうしてなの?」

「……もう、大切な人を失う悲しみを味わいたくないから。ありえない事が起こって、理由もなんとなく察しが付いて、皆の身に何が起こるかが分からない。凄い自分勝手な行動だけど、僕が安心したかったから。それだけだよ」

 

二度と大切な人を失いたくない。たとえ独りよがりな行動と言われても、彼女達の安全が確かめられるのならそれでいいと僕は思う。

だから今は一安心している。聞いた時は安心して腰が抜けそうになったんだけど、突然連れてこられて僕がいないと不安になるかなって思って耐えた。これはちょっと恥ずかしいから言わない。

 

「てい」

「痛っ! 何すんのさ、アリサ!」

 

アリサに脳天へのチョップを食らう。地味に痛い……。

 

「私達の身を心配してくれるのは嬉しいけど、もうちょい、落ち着きなさいよ。そんなんじゃ私達も不安にさせちゃうわよ?」

「だね~。それにはっちーが暗い顔してちゃ、私達も笑顔でいれないよ? だから、スマイルだよ」

 

……そりゃそうか。僕が彼女たちの暗い顔を見て暗くなるのと同じで、皆も僕が暗い顔してちゃ笑顔になれないよね。

 

「もし、自分一人でどうしようもなかったら私達を頼ってね。微力かもしれないけど協力するから」

「そうですね。皆さん、八雲さんのお力になりたいんですから」

「ありがとう。これからは頼れる所は頼っていきます。……それじゃ、帰りましょうか。僕達のへ」

「愛の巣へ!」

 

僕の言葉の途中に刀奈さんがカットイン。いや……表現が生々しすぎる気がするんだけど!

 

「お姉ちゃん、その表現はどうかと思うよ……」

「あら、良いじゃない。あの部屋で私達の愛を育んでいるんだし」

「まあ、言い方なんて別に良いんじゃないかな~。あそこが私達にとって大切な場所だって事は変わらないんだし~。それより、帰るなら早く帰ろうよ~。明日から待ちに待った夏休みだよ~」

「本音ちゃんの言う通りだよ。折角の夏休み、思い出いっぱい作ろうよ」

「いろいろな事したいですね。まあ、その辺もゆっくり決めましょう」

「まずは帰りますか。シュネーレーゲン、リンゲモード」

 

僕は転移魔法を使い、一気に移動した。……管理局内位歩けばよかった気もする。

 

 

 

帰ってから、一学期も終わったので小さなパーティを皆で開いた。どうやら、僕が先生方と話している内に料理をいくつか作ってたみたいだ。皆の料理は美味しかった。僕ほどじゃないって言うけど、僕にとっては僕の為に作ってくれたものだから、何よりも美味しかった。ただ……

 

「なんだろ? なんか、体が熱っぽいんだけど……」

 

疲れで体調でも崩したのかな? でも、体は元気すぎるくらい元気だし……。なぜか、皆の顔も赤い気がする。

 

「それ? 更識家に伝わる秘伝の媚薬よ♪」

 

そう言う、刀奈さんの手元の扇子には「一服盛りました♪」と書かれている。……って、ちょっと待て!

 

「なんで、そんな物を……」

 

こういう時、大体誰かに口を塞がれてしまう。今回はアリサ。

 

「やっぱり、皆まだまだ不安なのよ。だから、身も心も私達の虜にしちゃおうってね。覚悟は良いかしら?」

 

……こうして、僕達は忘れる事の出来ない『一夏の経験』をする事になった。

ちなみに、一対六だったわけだけど、どうやら僕はそっち方面も強かったらしく、見事一人で相手しきっただけでなく、余力もあった。

ただ……朝、自分の体液の匂いで起きるのは少し嫌かな。まあ、その後、ある意味目に毒な桃源郷が広がっていたわけだけど。

 




今回のサプライズ「八雲ハーレムのメンバーにリンカーコアを持たせる」でした。
この辺は本編でも書きましたけど、一連のIS学園への魔法関係の物を使った襲撃の裏にはヅカリエッティがいます。彼が関わっているのを想起させるものとして、一回目の襲撃で使われた動力源がジュエルシードにしました。
そして、ジュエルシードの特性は作中に出てくる「願いを叶える」です。原作アニメ内では綺麗な形で叶いませんでしたけど、今作はこのようにしてみました。
彼女達の魔法の設定などはまた別の機会に。

次回から夏休み。いくつかイベントを用意しているのでお楽しみに。

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