IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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まったり日常パートです。糖分多めですけど。


第十九話 新しい日々の始まり

「ホント、どうしてこうなったんだろ……」

 

僕が思わずそう呟いた理由は今日の朝に遡る。

 

 

 

臨海学校が終わり、夏休みまであと少しとなって、クラスもこの夏休みの予定の話で盛り上がっている。

臨海学校の翌日は土曜だったので普通に学校は休み。僕は週末を病院で過ごして、日曜の夜に学園に帰ってきた。

 

「はっちー、夏休みはどうするの~」

 

話しかけてきたのは僕の彼女の一人、本音。

彼女の中で唯一のクラスメイトだから、学校がある日だと一番一緒に居る時間が長い。少しずつ昔に戻っていく事で、周りの女子からの視線で精神的疲労が酷いけど本音のお蔭でそれも大分軽減されてきた。今はこうやって彼女と話しているだけで周りの目が気にならなくなった。

まあ、昨日ニュースで大々的に発表された、正式に発表された男性操縦者の自由国籍と一夫多妻制が理由で織斑君への猛アタックが始まってるからもあるんだろうけど。ちなみに、それに合わせる形でバニングス社は僕の意志に任せるので我が社に接触しても仲介しないと声明を出した。ちゃんと、挨拶行かないとなあ。

 

「考えて無いなあ。仕事の関係で一週間くらいは学校から離れるけど、それ以外は出来るだけこっちに居たいかな?」

「皆が居るから?」

「うん」

「そっか~。私も嬉しいよ~」

「それなら良かった」

 

ミッドに行くことは確定だ。ここ数か月IS学園で起きた事件の報告と後々の方針、それと、僕の今後を決めるつもりだ。

一応、入院している間にレティ提督やリンディ提督、クロノと話し合って、簡単にだけど僕の進路は決めた。

クロノは僕のIS学園の卒業と共に新部隊として一年間の試験部隊『機動六課』を始動させ、そこの部隊長を務めるらしい。僕はそこでのナンバー2で前線部隊の指揮が管理局での最後の仕事になる。その後は地球に戻ってきて、バニングス社のテストパイロットに戻る。とりあえず、これが今の僕の未来の青写真だ。

僕のこの先はこの辺にして、今は僕の恋人達との事を考えよう。

多分、僕達が普通の高校生だったら、時間の許す限り一緒に居るだろう。でも、それは難しい。なら、僕が出来る事はその分濃密な時間を作って過ごす事だ。……まあ、濃密な時間って言うのがどうすれば良いのか分からないんだよなあ。デートとかした事無いし。相談するか。士郎さんとか恭也さんとかクロノとかに。あっ、でもクロノとエイミィさんは職場結婚だしデートとかしてなさそうだよなあ。参考にならなさそう。

 

「頑張ってね~。男の甲斐性の見せ所だよ~」

「言われなくても分かってるって。遊びに行く位何も問題ない位はお金持ってるし」

「バニングス社のテストパイロットだもんね~。普通のサラリーマンより稼いでるか~」

「そうそう。本音、そろそろ朝のHRが始まるし、席に戻ったら?」

「そうする~」

 

本音が席に戻って少ししたらチャイムが鳴り、それと共に織斑先生と山田先生が入って来た。

 

「えー……突然ですが転校生とクラス替えを行ったので新しい仲間を4人紹介します」

 

ホント、突然だな。

このクラス、転入生三人目だよね? しかも、クラス替え? ……ありえそうなのは、中国と日本が男性操縦者のデータを取りたいと要請してきたから、かな? ……この計算だと転入生は2人になるんだよなあ。

入って来た人たちを見て驚く。2人は予想通りの人だったんだけど、残りの二人は予想外の人物だった。

 

「2組からクラスが変わった、凰鈴音よ。よろしく」

「4組から変わった、更識簪です。よろしくお願いします」

「編入してきたバニングス社テストパイロット、アリサ・バニングスよ。これから、よろしく」

「同じく編入生のバニングス社テストパイロット、月村すずかです。よろしくお願いします」

 

……彼女達がクラスメイトになりました。驚くのは当たり前だよね?

 

 

 

 

「あそこで、ツッコまなかった自分を褒めたいねえ」

 

お昼ご飯を食べながら僕はそう呟いた。

ちなみに僕を中心に、僕の横にアリサと本音、僕の前に簪、アリサの前にすずかと言う感じ。すずか曰く「斜めからの方が綺麗に見えるんだって」との事。……そんな事しなくても、すずかは美人なんだけどなあ。

 

「確かに。クラスの前で二人に会った時、驚いたもん」

「かんちゃんはなんとなく予想は出来たけど、りさりさとすずーは無理だよね~」

 

本音も大体僕と同じか。ってか、それが普通だよな。

 

「ビックリしたでしょ?」

「ああ、凄くな」

「恋する女の子の行動力を舐めない方が良いよ? 八雲君」

「身に染みたよ」

 

いきなり転校してくる行動力にはさ。

 

「まあ、出雲を元にした量産機の試作機のテストをしないといけないから、その人員に私達が立候補しただけよ」

「って、言ってるけど、私もアリサちゃんもただ八雲君と一緒の学園生活をしたかっただけだよ」

「すずか!」

「そ、そっか……」

 

照れ隠しの言葉を言ったアリサも、さらっと真実を言ったすずかも、それを聞いた僕も顔が赤い。見ていた簪と本音はニヤニヤ。……こうやって、ストレートに好意をぶつけられるのはまだ慣れないなあ。いや、慣れるのか?

 

「なーに三人でイチャイチャしてるの~? 私も混ぜなさい!」

 

そう言いながら、後ろから僕に抱きついてくる、刀奈さん。横には苦笑いの虚さん。

こういうスキンシップも嬉しいんだけど、その……ね、刀奈さんスタイル良いから、柔らかい物がガッツリ当たってるんだよね。僕も男なのでどうしても意識してしまう。

少ししてから刀奈さんは離れて、簪の横に座る。

刀奈さんと簪は僕に告白した後、すぐにお互いが謝って仲直りした。二人は「「せっかくの仲直りのチャンスだったから」」と言っていた。

僕としては、二人がそれで良いのなら良いと思うし、何より、その後の二人はとても素敵な笑顔だったから、これで良かったと思う。

 

「あら、良いじゃない。アンタ、昨日の夜八雲と一緒だったんだし」

「と言っても八雲君、昨日はすぐに寝ちゃったんだもん」

「……面目ないです」

「まあ、八雲君も疲れが溜まってたんだよ。仕方ないよ」

 

アリサと刀奈さんはグイグイ引っ張っていくタイプだけど、すずかは一歩退いて暴走しがちな二人を止めるタイプ。いうならば一服の清涼剤といった所だね。落ち着きたい時、ゆっくりしたい時に横に居て欲しいかな。逆に二人には落ち込んだ時に横に居て欲しいかな。簪と虚さんはすずかに近い。本音は……行動は前者なんだけど、存在が癒しという例外だ。

まあ、そんなんは関係なく……

 

「何か考えてるの、八雲君?」

「いや、大した事じゃ無いよ。ただ、こうやって好きな人達と一緒に入れるだけで嬉しいなって思っただけだよ」

 

だからこそ、僕はこの空間を護るために戦おう。それが新しい僕の戦う理由。そして、この空間こそが僕が戻って来る場所。どれだけボロボロになっても帰ってくるべき場所だ。きっと帰ってきたら素敵な笑顔で出迎えてくれるから。

 

「えと……」

「その……」

 

皆顔が赤い。割と無意識でこういう事言っちゃうんだよなあ、僕。

 

「アンタねえ、いつもの事だけど、オブラートに包むって事も覚えなさい。……まったく、ドキドキさせられるこっちの身にもなれっての」

 

最後の方、アリサは僕に聞こえないように言ったつもりだけろうけど、残念ながら僕はかなり耳が良いので、バッチリ聞こえていたりする。……そっか。それなら、

 

「アリサ」

「何よ?」

「ちょっと、こっち来て」

 

僕がそう言うとアリサは渋々ながら近付いてくる。僕はアリサの耳元で

 

「大好きだよ、アリサ。愛してる」

 

と囁いた。

 

「にゃ⁉ にゃにを言ってるにょよ!」

「アリサ、かみまくってるわよ?」

「それだけ衝撃が強かったんだよ。八雲君もあんまりアリサちゃんをからかっちゃ駄目だよ?」

「善処する。でも、からかいの気持ちはあったけど言葉は全部本音だから」

 

このままだとさっき僕の言った言葉までからかいの気持ちで言ったように取られかねないから、僕はそう付け足した。

 

「ーーーっ!!!」

 

これでもかって位顔が真っ赤になるアリサ。照れてるその顔もカワイイなあ。

 

「ずーるーいー! アリサだけ良い思いして! 私の相手もして!」

「「子供ですか……」」

 

僕と虚さんの意見が被った。

 

「私は虚ちゃんや八雲君が思ってるほど大人じゃないの!」

「はあ……お姉ちゃん何言ってるの」

 

溜め息を吐きながら呟く簪。仕方ない。僕は箸を置いて、身を乗り出し、

 

「部屋に戻ったらちゃんと相手しますよ、刀奈」

「あうう……」

「なんか手馴れてるね、八雲君」

「そう? 全部雑誌の受け売りなんだけど」

「そんな雑誌読んでたの~?」

「入院してる時にすずかのお姉さんの忍さんが持って来たんだよ。やる事無かったし読んでたんだ」

 

忍さんはアリサやすずかから僕関連で相談を受けていたらしく、お見舞いに来てくれた時に「二人とも嬉しそうにしてたわ。……あの子達を泣かせないようにね」と言われた。

それと共に「八雲君は恭也と同じ感じがするから、こういうの読んで少しは勉強しなさい」と言われて、雑誌を置いていった。

ただ……「恭也が覚悟を見たいって言っていたわよ?」と言うのは聞きたくなかったかなあ。

でも、夏休み皆の親御さんに挨拶に行かないといけないよな。しておこうかな、殴られる覚悟。

 

「あー……お姉ちゃんがゴメンね?」

「ううん、謝る必要ないよ。女の子と付き合うのってどうすれば良いかさっぱりだったから、助かったし」

「それならいいけど」

「すずかもやって欲しい?」

「やって欲しいけど、人前は恥ずかしいかな。二人きりか、少なくともこの皆だけのだけの時にしてね」

「了解。そういや、やっぱりすずかはアリサと同部屋なのか?」

「あれ? 聞いてない? 三部屋つなげて、この皆が一つの部屋になったんだよ?」

 

……マジで?

この後、部屋に戻ると、壁が取り除かれキングサイズを超えるであろうベットが二つつなげて置かれた七人部屋が完成していた。

ベット二つ繋がってるって事は一緒に寝るって事だよね? ……持つのかな、僕の理性。

 




という訳で八雲と同い年のヒロイン(アリサ、すずか、簪、本音)がクラスメイトになりました。
使うかどうか分かりませんがここからISの実機を使用した実習は全て全クラス合同になります。
っていうか、専用機持ちが一組に集中しすぎなんですよ、原作。クラスでレベルの差開く可能性大ですよ。なら、いっそ学年纏めての方がマシだと思います。


次回は魔法を先生に説明する回。大分仕上がっているので早い内に上げれると思います。

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