IS~二人目の男性操縦者は魔法剣士!?~ IFルート(リメイク版)   作:ピーナ

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意味深なタイトルです。


第十一話 少年を想う少女たちの心

学年別トーナメントを境にきーりんの雰囲気はとっても柔らかくなった。クラスで話しかけても普通に返事が返って来るし、私以外への対応も普通になったし。いろいろな事に気を使ってくれる。

それに今までは無かったのに最近は一緒に居ると暖かい気持ちになる。このままずっと一緒に居たいなあ~。

きーりんは「臨死体験して大切な人に再会するっていう切っ掛けがあって今までの憑物を落とせたから」って言っていた。

他の誰もが出来なかった事をあっさりしてしまうなんて、凄いな~。それと共に、ちょっと羨ましくも思う。

羨ましいといえば、お嬢様との試合の後、動けなかったお嬢様をきーりんが女子の夢、お姫様抱っこで運んでたのも羨ましいなあ~と思ったんだよね。

それと最近お姉ちゃんやお嬢様と楽しくお喋りしているとそこに入りたくなるんだよね~。……なんでだろう? 後で、お姉ちゃんに相談してみようかな?

 

 

 

八雲さんが生徒会のメンバーになった事で、私との交流も増えました。

管理局での仕事の一環で八雲さんは書類仕事に慣れてらっしゃるので、とても頼りになります。お蔭で私達の負担もかなり減りました。

一番驚いたのは彼の作るお菓子の美味しさ。「久しぶりに作って自信は無いですけど」とおっしゃっていましたが、お店に出しても遜色がないと思うレベルの物でした。

私達が口々に褒めると八雲さんは「そんな事ないですよ~」と照れていました。今までのギャップと相まって非常にかわいかったです。可愛いというのは男性としては不本意でしょうがその他、普通の料理などもお上手でした。私も料理が趣味なので色々情報を交換しています。……少し前までは想像できない様になりました。

八雲さんはこの前の一件で良い方向に変わられたと思います。変わったのは彼の周りもそうですね。周りというのは私、お嬢様、本音の三人です。

端的に言えば私達三人は彼に惚れました。それを実感した理由はそれぞれありますけど、強さと共に弱さも持った彼を放っておけない、支えたい、というのが私の想いです。それになにより、彼の傍は非常に落ち着くのです。八雲さん自身の素質もあるでしょうが、それ以上に八雲さんが歩んできた経験からくる物がにじみ出てるのでしょう。だから、出来る事なら彼の傍にずっと居たいと思います。

ですが……この私の気持ちを伝えるのは時期尚早でしょう。八雲さんがそういう余裕を持てるようになるまでまだまだ掛かると思います。二人に比べて時間の短い私ですけど、彼をないがしろにして自分の気持ちを押し付けたくありません。ですが……お嬢様や本音と楽しそうに話されているのをズルく思って、割り込んだり、お姫様抱っこをされていたお嬢様を羨ましく思うのは良いですよね?

 

 

 

 

八雲君は少しずつだけど、確実に変わってきている。教室では返事をする以外はそこまで変わっていないようだけど、生徒会室や部屋では本当に柔らかい表情を見せるようになった。相対した時の真剣な表情のギャップに少しドキドキしたし。

……ひょっとして、私……彼に惚れちゃった? よくよく考えると放っておけないとか興味を持つって事は最初から意識はしてたのかもしれない。はっきり変わったのは多分助けられた時かな。最近は虚ちゃんや本音ちゃんが八雲君と楽しく話していると邪魔したくなるし。試合の後のお姫様抱っこなんて、嬉しすぎた以上に緊張して心臓の鼓動が今までにない速さで鳴ってたもん。

でもヤバい、そう思うと今まで何も思わなかった部屋での時間が緊張してくる。まあ、それ以上に楽しくて落ち着ける空間なんだけど。

好きという意味では家族や妹の簪ちゃん、幼馴染の虚ちゃんや本音ちゃん、学校の友達に持つ好きの気持ちとは少し違う、彼を好きと思う気持ち。恋心を自覚したのは良いんだけど、今まで家の事やISの事に一直線だった私はそういう経験値はゼロ。そもそも、中学から女子校で、小学校はそんな感情なんて無かっただろうから、出会いも無かったし。

もちろん、ここでも付き合っている子はいるし、そう言う話で盛り上がる事だってある。でも、実際耳にした話と自分がなってみるのとは全然違う。と、とりあえず、同じ気持ちを抱いているであろう虚ちゃんと本音ちゃんに相談しようかな?

 

 

 

「さて、会議を始めるわよ!」

 

ある日の放課後私達は生徒会室に居た。

 

「お嬢様、八雲さんがいらっしゃいませんが」

「きーりん無しで初めていいの~?」

「いいのよ。だって今日の議題はこれだから」

 

そう言って私は後ろにあったホワイトボードを回転させた。

そこには『八雲君の事を私達がどう思っているか?』と書いてあった。

 

「あー……これはきーりんがいちゃ話せないね~」

「確かにそうね。……それじゃあ、言い出したお嬢様から話していただこうかしら?」

「おー、良いね~」

 

まさかの従者姉妹からの反撃。これは……言わないと逃げられないわね。

 

「まあ、ぶっちゃけて言うと好きね。異性として」

「……ストレートですね」

「かんちゃん相手にもそれが出来れば良いのにね~」

 

なんか本音ちゃんが毒舌なんですけど……。そんなに私を苛めて楽しいのかしら?

 

「本音ちゃん! 今はそれは良いでしょ!」

「ですね~。それで私もきーりんの事好きですよ~。もちろんお嬢様と同じ意味で」

「私もです。……ですけど、八雲さんの事を考えると私達は少し待つべきだと思います」

 

確かに良く考えると虚ちゃんの言う通りだと思う。

八雲君はようやく前を向いて歩き出したばかり。そんな八雲君にいきなり気持ちを伝えても、彼を混乱させてしまうだけだ。……そこに気が付く辺り流石は虚ちゃん。一番年上で気遣いが上手だ。

 

「でも、おねーちゃんはそれでいいの~? 私やお嬢様より一緒に入れる時間は短いんだよ?」

 

本音ちゃんの言う通り、私には後1年と9か月、本音ちゃんは高校生活すべてが残っている。だけど、虚ちゃんは三年生だから9か月しか残っていない。

 

「もちろん、気持ちは伝えますよ。だけど、自分の気持ちを八雲さんに押し付ける気も無いです。きっと伝えるチャンスは来ると思いますし、来なかったら卒業式にでも言います。でも、今伝えるのは弱っている彼に付けこむような真似の様な気がするのです」

 

真面目な虚ちゃんらしい答えだと思う。

相手を思いやる気持ち。これは大切な事だともう一人の男性操縦者である織斑君の周りを見ていて凄く思う。ある程度わがままがあってもいいとは思うけど、あれは度が過ぎるってものだ。恋愛関係になりたいのならお互いの気持ちが一緒にならないと駄目な訳だし。

 

「それと、りさりさも絶対そうだから、話に行こうよ~」

「それもそうね。今週末は何もないし、三人で会いに行きましょうか」

「ですね」

 

この後、アリサに連絡したら週末は用事が無いから会えるとの事。会わせたい人もいるし、お勧めのお店で待ってると言っていた。会わせたい人って誰なのかな?

 

 

 

最近、以前に増して生徒会のメンバーと距離が近くなったと思う。

朝や昼は大体一緒に食べるし、たまに夕食を僕と楯無さんの部屋で作って皆で食べる。作るのは大概僕で三人はお手伝い。皆料理上手なんだけど、一人暮らしが長かったのと元々の器用さでレパートリーが多いのでそれを三人に教える感じだ。

ただ、距離が近付くにつれて普段とかスキンシップが増えた気がする。それ自体が嫌って訳じゃないんだけど……普通な状態に戻ったからこそ、意識してしまう。

だって全員スタイル抜群の特級の美少女なんだよ? 意識するなって方が無理な話だよ。折角仲良くなれたんだし、なんとか持たせたいねえ、僕の理性。




ほぼ全文を新しく作ったお話でした。
これで分かる通り、リメイク前と違い、ハーレムメンバーが増強されています。具体的には布仏姉妹ですね。
実は、リメイク前を書いている時も一番接している本音をなんでヒロインから外したんだろうという疑問があったんですよ。なのでリメイクするに当たって本音とその姉で色々関わりを増やして虚もヒロインにしちゃおうと思い、こうなりました。


次回から、三巻の内容になっていきます。

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