最善の未来を掴むたった一つのさえたやり方   作:泰邦

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今回は手抜きに手抜きをしたただの時間稼ぎです。
時間がないので感想返しは後日まとめて行います。


幕間八

 

「やはりメイド服としての意匠とはいえ、中学生ですからスカート丈は長めにするべきでしょう」

「えー。スカート長いとダサくない?」

「元々メイド服はゴテゴテとしたデザインですが、長谷川さんの構想だとシンプルにまとめてあるのでダサいとは思いませんが。無暗にスカートを短くするのは痴漢盗撮防止も兼ねて避けるべきです」

「でもなー……あ、これ? どれどれ……おー、これいいじゃん。これなら可愛いし。千雨ちゃんいい仕事してるね!」

「任されたからにはきちんとやるっての……で、先生。これ幾らくらいか試算してみたんですけど」

「ふむ……意外と安く済むんですね。これなら学校からの支給金である程度は賄えそうです」

「細かいパーツはそぎ落として模様でごまかした部分も多いですから。あとは体格に合わせて発注するだけですけど」

「……オーダーメイドですから、どうしても時間はかかるでしょうね。麻帆良祭までに間に合うかは少し賭けになるかもしれません」

「じゃーさ、基本部分だけ発注して細かい部分は自分たちで装飾するってのはどうよ。裁縫未経験の子も多いけど、千雨ちゃんが指導してくれれば一人一人個性も出るしいいんじゃないかな」

「おい待て、それ私の負担めちゃくちゃ増えてるじゃねぇか」

「代わりに当日のシフト少なくするってのはどうよ? それかほかの作業免除とか」

「……それなら、まぁ多少はいいかもしれないけどよ。私だって全部は見きれないし、どっかで失敗するかもしれないぞ?」

「まーその辺はね。それに千雨ちゃんだけが裁縫得意ってわけでもないし、いざとなればいいんちょにお金の力で……」

「そういうのはやめておくのがいいですよ。お金が絡むと仲のいい友人同士でもあっという間に交友関係が破綻します……それはともかく、アイデア自体はいいと思いますよ。カフェとしてほかにない特色というのはあるべきでしょうからね」

「でしょー。ゆえっちとかのどかとか、言っちゃなんだけど地味だからねー。地味でもきちんと着飾れば可愛いってことをネギ先生に教えてあげるよ!」

「楽しみにしてますよ……っと、ではこちらで学校の援助の申請を出しておくので、こちらの紙に必要な布などを書いておいてください」

「わかりました……おら早乙女。そっちは人数分のメイド服だぞ。こっちは追加分で使う装飾関係書いておくから」

「りょーかい。じゃ、先生また後でね。書いたら職員室の先生の机においておけばいい?」

「はい、では僕はいいんちょさんとシフト関係の話をしてきますね」

 

 

        ●

 

 

「よく来てくださいましたわ、ネギ先生!」

「こんにちは、いいんちょさん。シフト割はどうなってますか?」

「部活動関係で忙しい人、自由時間が欲しくてシフトを少なく書く人、とまぁ色々いますけれど、なんとか回していけそうではありますわ」

「装飾も大体皆の要望通りに行きそうですね。シャンデリアつけようなどと言い出した時は溜息が漏れましたが」

「おほほ……まぁ、それっぽい雰囲気を楽しむ場ですからね。調度品もそれっぽい見た目のものを融通しますから、大丈夫でしょう」

「いいんちょさんが融通するということは、家から持ってくるんですか?」

「グループ系列に家具関連の会社もありまして、そこに頼んでみるつもりですわ。新商品の宣伝代わりだと言えばある程度は何とかなると思っています」

「そこまでしてもらうのはいいんちょうさんの負担が大きいのでは?」

「それほどでもありませんわよ。ネギ先生にとって初めての学園祭ですし、ネギ先生の負担にならなければ私としては問題ありませんもの!」

「……厚意を無下にするつもりもありませんが、無理はしないようにしてくださいね?」

「もちろんです……か、代わりと言っては何ですけれど……」

「? 僕に出来ることなら何でも言ってください。いつもクラスのまとめ役として頑張ってもらってますからね」

「で、本当ですか!? で、では是非学園祭を一緒に──!」

「あ、ずるーいいいんちょ! じゃあじゃあ、私たちライブイベントあるから来てよ!」

「そう来るならこっちも! 新体操部のエキシビションあるから見に来て!」

「ちょ、ちょっとみなさん! これは先生が日頃頑張っているからとわたくしに向けて……!」

「いいんちょだけとかずるいじゃん! 私たちもネギ先生に来てほしいもんねー!」

「まぁまぁ、落ち着きなっていいんちょ。ネギ先生だってそんないっぺんに言われても困るだろうしさ、ここは私が何とかしてみるよ」

「何とかって……どうするつもりですの、朝倉さん」

「そりゃー私がネギ先生の専属秘書としてだね」

「納得いきませんわ!」

「というか、皆さんの部活の出し物には基本的に顔を出すつもりなので、いる時間と設営する場所を教えてもらえれば行きますけど」

「私の出番が!?」

「ではメモしておくので、どこで何時やってるのかを教えてください」

『はーい!!』

「元気があってよろしい、と」

 

 

        ●

 

 

「結構スケジュールが埋まったな、兄貴」

「なんでいるのさ、カモ君」

「おれっちだって散歩位するぜ。やることなくて暇だしな」

「ここで煙草は禁止だよ。吸うんなら家に戻ってからね」

「うい、すまねぇ兄貴。……で、さっきの話なんだが」

「ああ、スケジュール? 元々みんなのところは回るつもりだったから別に問題ないよ」

「先生もまめですね……なんかいろいろとチケットも貰っていたようですけど」

「あれは割引券とか優待券とか、その手の類ですね。身内に配るものなんでしょうけど、意外と余りが出てるものと見ました」

「人気がないというより、どこもとりあえず大量に刷っておけといった感じですからね。余ったら処分しているのだとは思いますが」

「部室にあるから好きなだけ持ってけーって渡されることが多いんよ。知り合いに配って宣伝してるんやけど、それでも足りないってなったことはないなー」

「麻帆良は人が多いでしょうに、それでも余らないとは……どれだけ印刷しているのやら」

「さぁ……ん?」

「こ、こんにちは、ネギせんせー」

「おや、宮崎さん。それに綾瀬さんと早乙女さんも。どうしました?」

「え、えっと……あの、……その……と、とと、図書館探検部で探検大会があるので、ぜひ来てください!」

「……この子は……あ、そーだネギ先生! これ漫研の招待状! 似顔絵描きやってるからぜひ来てよ!」

「児童文学研究会で絵本の朗読と、哲学研でハイデガーとアリストテレスの勉強会があるのでぜひ!」

「(ほら、のどか! 違うでしょっ)」

「(のどかなら大丈夫です。頑張って!)」

「は、はうぅ……あう……え、えっと、その……学園祭、一緒に回りませんかー……?」

「はい、いいですよ」

「あ、ありがとうございますー!!」

「あ、ちょっとのどか! あの子ったら時間も決めないで……」

「できれば最終日がいいですが、先生の予定は空いてますか?」

「最終日に回る予定の出し物はありますが、それでも良ければ」

「デートの最中にほかの女の子のところに、と言いたいところだけど、ネギ先生も先生として回るんだろうからそれは仕方ないか」

「ですね。デートの予定が取り付けられただけでも良しとしましょう。で、のどかはどこ行ったですか?」

「ああそうだ、早く追いかけないと! 待ってよのどかー!」

「……行ってしまいましたね」

「嵐のような嬢ちゃんたちだったな……」

「でも、のどかの勇気はすごいと思うえ」

「そうですね……意中の相手をデートに誘うなんて、中々出来ることでは無いでしょうし」

「ネギ君には本命はおらんの?」

「いませんよ。教師としての仕事を優先していると出会いもないですし、もう少し年を取ってから考えます」

「……まぁ、まだ十歳だしな、兄貴。大人びてるが、色恋を知るにはまだ早いんだろう」

「恋に年齢なんて関係ないと思うんやけどなー」

「おーい、ネギー!」

「……今度は小太郎君ですか」

「微妙に嫌な顔しましたね、先生」

「ネギ君、コタ君が苦手なん?」

「苦手というわけではないんですが……付きまとわれると鬱陶しいといいますか。桜咲さんにとっての月詠さんのようなものです」

「ああ、なるほど……」

「せっちゃんも微妙に嫌な顔を……」

「おい、ネギ。聞いてるんか? 格闘大会でよーぜ。もうすぐ申し込み締め切るらしいからはよ申し込まなな!」

「出ないよ。興味もないし出てるほど暇でもない」

「冷たいこと言わんと、実力試しと思うて出ろや。それとも何か、実は大したことないってばれるのが嫌なんか?」

「賞金十万円……スケジュールならどうにかなんべ。出ようぜ兄貴!」

「カモ君、君には少しお灸が必要かな。それに格闘大会といっても、これを見る限りだと十二歳以下の部門になるでしょう。そんなものに出る気はありません」

「いや、兄貴。一応年齢詐称薬ってもんがあってな」

「それ結構値段はるけど、君の給料削ってもいいなら買っても構わないよ。どのみちでないことに変わりないけど」

「なんでや! お前だって戦うの好きやろ!」

「好きで戦ってるわけじゃない。不可抗力がほとんどだ。それと、君はそろそろ自分がやったことに対して何かしら考えるべきだ。考えなしに誰かれ喧嘩を売っていてはいずれ破綻するぞ」

「うっさいな。格闘技やってりゃちょっと不良っぽくても健全なんやて言われとるんや。お前にとやかく言われとうないわ」

「だったら僕を誘うのもやめてほしいものだ。京都でのリベンジマッチをしたいのかもしれないが、今のままやっても京都の二の舞になるだけだ」

「ネギ先生、何もそこまで……」

「強くなるのに理由がいるとは言わない。だけど、自分一人で技を磨くだけで強くなったとうぬぼれるのだけはやめておけ」

「……チッ。わーったわ。今回は諦める。けど覚えとけよ、そのうち絶対お前をぶったおしたるからな!」

「……行っちゃいましたね」

「しばらくは放置しておいてもいいでしょう。やるべきことが多くて小太郎君にまで気を回している余裕はありません」

「けど、結構辛辣やな、ネギ先生も。同年代の男の子同士やからかな?」

「自分がやったことの結果を考えずに京都でいいように扱われ、それを反省して物事に対して考えることができるようになればもう少しまともに扱いますよ」

「あー、ネギ先生的にはああいう直情型の子は苦手なんやな」

「苦手というわけではないですが……自分がやったことについて後悔しないことに関しては別に構わないと思いますけど、それと何も考えてないのは別だと思っているだけですよ」

「ま、兄貴はイギリスにいたころもアーニャの嬢ちゃんは苦手そうだったしな、ああいう考えるより先に動くタイプは生来苦手なんだと思うぜ」

「アーニャ、ですか?」

「おう。兄貴の一つ上の幼馴染の女の子なんだがな──」

「プライベートだからあまり話されると困るんだけどな」

「えー、うちは気になるけどなー」

「その辺はまたいずれ、ですね」

 

 

        ●

 

 

「あ、あの……学園祭の日、一緒に回りませんか!」

「……学園祭、ですか?」

「は、はい……あの、やっぱり駄目、ですか?」

「いえ……私も使い魔としての仕事があるのですが、マスター──ネギ君から緊急事態が起こるまでは好きにしていいと言われています。なので大丈夫ですよ」

「ほ、ほんとですか!? 私、誰かと一緒に学園祭を回るのって夢だったんです! 死んでから誰にも見えなくて、独りぼっちだったので……ありがとうございます、アーチャーさん!」

「でしたら、何も事件が起きないことを祈って、ともに学園祭を楽しみましょう──相坂さん」

 

 




今死ぬほど忙しくて時間がない(アンドPC故障中につき修理に出してる)ので、本編の投稿は八月ごろになると思います。
時間が、時間が欲しい……。

ついでに師匠出そうと思ってプロット練り直してたんですが、ついでとばかりにほかのサーヴァントも出そうな勢いです。コンセプト的に難易度は次々上げていく予定なんですけど、アーウェルンクス四体プラス両面宿儺より上で造物主の使途無限再生より下の難易度ってどれくらいなんだろう、と思いつつ……元の予定では超が荒ぶる親友のポーズしながらいろいろやらかす予定だったんですけど、興が乗ってプロット破棄しちゃたので。


ちなみに頼光欲しかったのに当たらず、知り合いが次々と当ててちょっと呪い殺したくなりました。


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