ルピナスの花   作:良樹ススム

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第二十三話 決心

 

「ギニャ――――!」

 

「フシャ――――!」

 

 とある昼下がり、二匹の猫が争っている。二匹ともが気が立っているようで、止まる様子は無い。そんな二匹の猫たちに近づく影が一人。

 

「あ――っもう! ケンカしちゃダメだってば――――っ」

 

 その影は高い声を出して猫たちを争いに割って入る。しかし、猫たちはその声の主を無視して争いを続行している。影の正体は少女のようで、何かを思いついたように自らのバッグを開けてあるものを取り出した。

 

「お腹減ってるの? イライラするもんね腹ペコは」

 

 うん分かる分かるといいながら彼女が取り出したものは弁当だ。猫たちは思わず争いをやめ彼女の方を向く。彼女は猫たちの方を見ながら、弁当を差し出すと、

 

「よしっ私のお弁当をあげよう。これで仲直り! OK?」

 

 猫たちはすぐに弁当へと飛びつき、彼女の言葉に何度も頷く。傍から見れば奇妙な光景だろう。何故か人と猫との間で会話が成立しているのだから。

 

 彼女は、塩が控えめにしてある特製弁当を一心不乱に食べる猫たちを微笑みながら見つめている。彼女はその癒される光景を見ながら、あることを考えていた。

 

(……お昼ご飯食べ損ねたなぁ~)

 

 少し間の抜けている少女であった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 バーテックスが襲撃してきたあの日から、一週間が経った。初めの数日こそバーテックスが襲撃してこないかとピリピリとしていたが、一週間も経てばそんな緊張感も無くなった。

 加藤に諭されたこともあるだろうが、バーテックスがいつ攻めてくるか、それはその時になるまで分からないのだから、普段通りでいることが一番だということに気がついたのだろう。

 

「……東郷は休みだって聞いたけど、友奈遅いわね~」

 

 勇者部はいつも通りに部室に集まっていた。しかし、今日は美森は欠席し、友奈はなかなか現れないでいた。

 今部室にいるのは上記の二人を除いた三人だ。

 風は珍しく遅い友奈を心配している。樹も同様だ。真生だけはどうせいつもの人助けだろうと無関心を決め込んでいる。

 その時、部室の外から凄い速度で迫ってくる足音が聞こえてきた。足音は部室の前で止まり、息を切らせているようだ。そして、勇者部の部室の扉が開かれる。

 

「遅くなりました――っ。結城友奈ただ今参上!」

 

 現れたのは友奈だった。友奈の姿を確認すると、風がおっと反応する。

 

「友奈、おっそ――い!」

 

「お疲れさまです! 友奈さん」

 

 姉妹は片方は労い、片方は文句を言うという逆のことをしながら友奈を歓迎する。真生は友奈を横目で見ながら、彼女に話しかけた。

 

「お疲れ、友奈。意外と遅かったな、また人助け?」

 

「そんな感じ!」

 

 真生の疑問に友奈は笑みを浮かべながら答える。しかし、友奈の笑顔に微妙に元気が無いことに気がつく真生。疑問を覚えるが、その疑問はすぐに解消されることになる。

 

「今日はただでさえ欠員もいるってのに!」

 

「まぁまぁお姉ちゃん」

 

 風はスケジュール管理が苦手だ。いつも心のままに突っ走っている影響だろう。

 時間が無いっての、と文句を言いながら風が苦手なスケジュールを纏めていると、友奈が彼女にびしっと手を挙げて意見をする。

 

「はいっ! 犬吠埼部長殿!

 

 

 

 お腹が減って動けませんっ……」

 

 豪快にぐううぅぅ……と腹を鳴らす友奈。彼女は、寝坊して朝も食べてなくて……と補足説明を加える。いつも美森に起こしてもらっていた弊害がこんなところで現れたようだ。

 

(あぁ、だから朝から微妙に元気が無かったのか)

 

 真生は納得する。朝ごはんを抜くのはこの元気っ子にとってはかなりの苦痛だろう。しかし、昼ご飯があるはずだ。それにも関わらず、腹をすかせている友奈に真生はまた疑問を覚えるが、放っておくことにした。彼女が話さないのならば、自分も追及するのはよしておこうと彼は考える。

 風と樹は友奈の発言に驚いてはいたようだが、樹があることを思い出す。そして、バッグの中から袋を取り出した。友奈は取り出された袋の中に入っているものを見て目を輝かせる。

 そこに入っていたのは、クッキーだった。それもただのクッキーではない。うどんクッキーである。現在の四国ではうどんは人々の生活に無くてはならないものにまでなっていた。そんなうどんとクッキーの合わせ技。それはもう思わずよだれが出てしまうほどだ。

 もういくつかは食べてしまったのか二枚しか残っていなかったが、それでも友奈にとっては救いは救いである。

 パクパクと本当においしそうにうどんクッキーをほおばる友奈。

 

「うう……、樹ちゃんマジ天使だよぅ。ありがと――♡」

 

「いえいえ。たまたま友達にうどんクッキー貰ってて。二枚だけですけど」

 

 樹の心優しい反応に友奈は喜ぶ。食べかすを口につけたまま彼女は樹の手を握り、

 

「樹ちゃん、結婚して」

 

「ふぇっ!?」

 

 彼女らしいド直球な発言をする。その発言を受けた樹は顔を真っ赤にして、はわわわっと戸惑っている。

 

「こらこら、実の姉の前で妹に求婚すんな」

 

 風がツッコミを入れなければ、もう少し続いていただろう。真生は自分のバッグの中に何か食べ物があったかどうか探しているので、彼女たちのやり取りは聞いていなかった。

 風は真っ赤になっている樹の頭の上に顎を乗せて、友奈の発言に訂正を加える。

 

「それに友奈にはもう女房役も旦那役もいるじゃない」

 

「えへへ――」

 

 ごち――♡と言いながら存分に味わったうどんクッキーを食べ終わる。そして、友奈は風の言葉に答える。

 

「優しくされるのに弱くってー。いい人大好き♡」

 

 その言葉に風と樹は思う。

 

((ちょろいっ!))

 

 そして、真生はバッグの中からデザートとして残しておいたプリンを見つける。そのプリンを友奈のところに持っていき、手渡す。真生の方をきらきらした瞳で見る友奈。真生はその瞳に一瞬動揺するが、そっぽを向くと、さっさと食べるように促した。

 

「早く食べとけ。すぐに依頼に行くんだからさ」

 

 そっぽを向いたままそう言う真生に友奈は満面の笑みを浮かべながらプリンを食べ始める。風と樹は二人のやり取りをみながら、なんともいえない気分になる。

 

((ツンデレ……?))

 

 真生にとって不名誉な称号がついた瞬間だった。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 うどんクッキーとプリンを食べたものの、そのくらいで腹が膨れる筈もなく、友奈は結局空腹のままである。

 

「今日は半ドンで依頼が多い。みんな、気合入れていくわよっ!」

 

「「お――――っ!」」

 

「……お――」

 

 友奈と樹は元気よく返事を返す。対照的に真生は微妙な返事を返す。キャラじゃないのだろう。

 

「風先輩! お腹が鳴りっぱなしであります」

 

 腹からぐ~~と音を鳴らしながらそう言う友奈。しかし、風はそれに対して無情な返事を返す。

 

「耐えろ」

 

 まずは職員室っとと言いながら、自分たちの行く場所を確認する風。樹は腹を鳴らし続ける友奈を応援しながら風についていく。真生は早速先行きが不安になるのだった。

 

 

 

 

「先生っ。依頼を受けて参上しました!」

 

「お――ご苦労さんっ」

 

 職員室へと来た風たちは依頼人の先生へと挨拶をして、依頼の話には入ろうとする。しかし、その間も空腹である事を主張し続ける友奈の腹の音に気が抜けてしまう。

 流石にイラッときたのか、風は友奈へと水を押し付けた。

 

「これでも飲んでなさいっ」

 

 友奈は押し付けられた水を受け取る他なかった。少しでも空腹感を紛らわせようと、それを一気飲みする友奈。しかし、これは当然と言えるだろうか、友奈は気管に水が入ってしまったのかむせて咳をする。

 友奈が咳をする中、真生は冷静に友奈の手の中にあるキャップのとれている水を回収し、キャップを閉める。その後、友奈の背中を優しく擦っていた。

 友奈は咳が止まると顔を少し赤くしながら、真生に謝る。

 

「真生くんゴメンね。けほっ」

 

「別にもう慣れてるから大丈夫だよ。小学生の頃も何回かやってたんだから」

 

「……あれ? そうだっけ?」

 

 あれれ~~? と言った様子の友奈。

 完全に慣れた手つきで友奈の介抱を行っていた真生に、樹は長年の付き合いの重さを知った。完全に忘れている様子の友奈には苦笑いをしていたが。

 先生との話が終わったのか、依頼に移るように風は勇者部に指示を出した。水を飲んだことで多少元気が出たのか、友奈も気合十分な様子で依頼をこなそうとしていた。

 

 

 今回の依頼は物置の屋根修理ということで、物置の前まできた。屋根修理の依頼ならば力仕事のできる真生や友奈が適任だ。真生と友奈が屋根に上り、樹は下で屋根の修理に必要なものを集める。風は進行具合によって上ったり降りたりを繰り返していた。

 

 しばらく経つと、屋根の修理も殆ど終わりに近づいてくる。最後の仕事とばかりに真生と友奈はカーンカーンと音を鳴らしながら、金槌を振り下ろす。

 

「どんな感じかな~?」

 

 そこに下から声が聞こえてくる。男性らしい低い声、つまり樹ではないということだ。言った言葉から推測するならば、自分たちが何をしているか知っている人物だろう。風はその人物の声に聞き覚えがあった。ここまで思考を張り巡らせなくとも簡単に予想のつく話だっただろう。答えは先生だった。

 

「物置の屋根修理バッチリ達成です」

 

 屋根の上から頭を出しながら先生に依頼の達成を告げる風。人の良さそうな先生はその言葉にお礼を告言う。先生だと屋根踏み抜いちゃうしな~とのんびりした様子で語る先生。なるほど、彼は少し肥満体型といえるような体つきをしている。彼の言った通り、屋根がその重みに耐え切れず壊れる可能性も決して低くはないだろう。

 

「ほら~疲れたときには甘いもんだ。まんじゅう五つだ~」

 

「ありがとうございますっ」

 

 人の良さそうな先生は見た目だけではなく、その人柄まで人が良いらしい。先生の持ってきてくれた饅頭を受け取る風。しかし、今日は美森がいないので勇者部の人数は四人しかいないのだ。なのに、饅頭の数は五つ。その理由はすぐに先生が答えてくれた。

 

「結城にゃ二つ上げてくれな~」

 

 楽しそうに笑う先生に、風は苦笑いを返しながらその気遣いに感謝する。友奈もまるで答えるかのように腹を鳴らしていた。

 

 

「次は……バドミントン部ね」

 

「お~い、こっちこっち~。もう始めてんで――」

 

 貰った饅頭を食べながら風たちが二つ目の依頼の場所へと向かっていると、声を掛けられた。

 声を掛けてきたのは依頼人であるバドミントン部の部長だった。彼女は風と同年代で仲は良好らしい。もう依頼内容である草むしりを始めてしまっているバドミントン部。自分たちのためでもあるだろうが、勇者部の負担を減らすためでもあるのだろう。

 

「ゴメンな風ちゃん。うち部員少なくて……」

 

「おっけおっけ。気にしないで」

 

 風は相変わらずの気さくさでバドミントン部の部長にそう伝える。勇者部の部員の人数もバドミントン部と似たり寄ったりな上に、同じ部長同士だから重ね合わせてみている節があるのだろう。単純に彼女たちの仲がいいのも関係しているだろうが。

 バドミントン部の部員の方も風たちによろしく頼む旨を伝えてくる。そこまで頼りにされては風も黙っていられないのだろう。やる気を出した様子で草むしりを開始しようとする。

 しかし、そこで樹が風の注意を自分のほうへと向けさせた。

 

「あの……お姉ちゃん。

 

 

 

 

 友奈さんが凄い勢いで終わらせちゃってるよ」

 

「力加減をしろバカものぉぉっ!」

 

 友奈は饅頭パゥワ――! と叫びながら、草をどんどんむしっていく。まるで友奈自身が草刈機になったかのように、友奈の通った場所には草一本も残ってはいなかった。

 友奈の謎の饅頭パワーにより、草むしりはたったの五分で終わってしまった。草も生えない荒野のような状態になっている練習場を見て、風とバドミントン部の部長は驚愕と呆れを同時に感じていた。

 草むしりを饅頭で得た力で終わらせた友奈は、当然のように空腹感に悩まされていた。

 

「ふふ……私……やったよね?」

 

「ゆっ友奈さーんっ」

 

「何小芝居やってんだ君たちは」

 

「とりあえずそこの二人は帰ってらっしゃーい」

 

 友奈はあまりの空腹感に再起不能に似たような状態になっていた。そこそこの広さのある練習場に生えている大量の草をたったの五分で全てむしったのだ。目から生気を失いかけているのも仕方ないだろう。

 そこにバドミントン部の部員が現れた。友奈の様子を見に来たようだ。

 

「あっお腹減ってるの?」

 

「はいっ。じゃあリンゴあげる」

 

「レモンのハチミツ漬けあるぜ! おやつだけど」

 

 果物ばかりでゴメンね~と言いながら、バドミントン部の部員たちは腹を空かせている様子の友奈にそれぞれが持っている食べ物を渡す。その食べ物を受け取った友奈は、途端に元気を取り戻してバドミントン部の部員たちに全身を使って感謝を伝えていた。

 バドミントン部の部長と風、そして真生はそれを温かい目で見守っていた。

 

「良い子やねえ、友奈ちゃん♡ すぐ仲良しさんや」

 

「まぁそれが取り柄だから」

 

 やれやれといった様子でそう言う風。友奈は怒られる事も多々あるが、それでも不思議と嫌われないのだ。そこが友奈の魅力だと言っても過言ではないだろう。

 微笑んでいる風に、バドミントン部の部長はからかうような表情へと変わる。真生は嫌な予感がした。

 

「そういえば草薙くんとはどこまで進んだん?」

 

「なっ!? まっ真生とはそんな関係じゃないって何回も言ってるじゃない! あんまりからかわないでよ。ねぇ真生……っていないし!?」

 

 風はあからさまに動揺する。風のこういう姿は教室などでは少ないのだろう。バドミントン部の部長はここぞとばかりに風で遊び始めた。

 間一髪で逃げ出した真生は友奈たちの方に混ざっていた。バドミントン部の部員たちに貰った食べ物をほおばっている友奈はリスのようになっていた。それをみて、また笑いが生まれる。

 からかわれていた風が、携帯を見て時間を確認する。時間を確認すると、勇者部の面々に向かって声を掛けた。

 

「勇者部集合! そろそろ最後の依頼に行くわよ~」

 

「「「は~い」」」

 

 勇者部メンバーは声を揃えて返事を返した。

 

 

 最後の依頼は保育園からである。

 

「お遊戯のお手伝いだけど、そろそろ新ネタ仕入れなきゃダメね。子供が飽きちゃう」

 

 勇者部には保育園から何度か同じ依頼が来ているため、こうやって考える事が多々ある。例に出すなら、折り紙やお絵かきを保育園の子供たちと共に行っている。人形劇もその一部だ。頭を悩ませる風に、樹がこの間の図書館での依頼の際に借りた紙芝居を取り出す。

 

「二作品ほど借りてきましたっ」

 

「樹えらいっ! なでなでしたげよう!」

 

 真生は友奈のほうを見る。それを待っていたかのように彼女もあるものを取り出した。

 

「はい! 私、新しい押し花作ってきました!」

 

「めっちゃ虫に食われてる!!」

 

「なんか怖いですっ」

 

「さすがにそれはないな」

 

 全員からの不評に眉を下げる友奈。えへへーとはにかみながら押し花をバッグにしまうと、再び考え始める。

 全員でこれからのネタを考えていると、保育園にいつの間にかたどり着いていた。

 

「お姉さんたちにご挨拶しましょうっ」

 

「こんにちは――――っ!」

 

 元気よく挨拶をしてくる園児たちに勇者部の面々もにこやかに挨拶を返す。

 樹は紙芝居を用意し、見たい園児たちを集める。風は先生と会話をしていた。

 

「いつも助かります」

 

「いえ、アタシたちも楽しみにしてますから」

 

 風たちは会話をしながら、とても賑わっている一箇所を見る。そこにはたくさんの園児たちに囲まれて腕を引っ張られている友奈と真生がいた。それぞれが違う要求をしてくる園児たちに、二人ともが困っているようだ。

 

「友奈さんと真生くんは本当に大人気ね」

 

「ほんとに……。友奈は精神年齢が近いからでしょうか。真生はよく分かりませんが」

 

 風たちの視線の先には依然として腕を引っ張られ続けている友奈と真生がいる。園児たちもヒートアップしてきたようで、ケンカをしてしまいそうなほどだ。真生と友奈がそのたびに止めてはいるのだが。

 実は風が言っていた事は、真生にも当てはまっている。彼は大人っぽい雰囲気を醸し出してはいるが、実際のところはこの勇者部の中でも最も幼いかもしれない。身体的にではなく、精神的に。

 

 結局ジャンケンにより、友奈はおままごと、真生は血気盛んな子供たちと追いかけっこという結果になった。その際に真生が転びかけた園児を助けようとしたら鬼役の園児に捕まったりと色々とあったがそちらのほうは割愛しよう。

 友奈の方は女の子の園児二人と一緒におままごとをやっている。しかし、その最中にまた友奈の腹が鳴ってしまう。

 

「ありゃ」

 

「友奈ちゃんお腹の虫がぐぅなのね~」

 

 二人にも笑われてしまい、友奈は羞恥に顔を赤く染めた。そんな友奈に二人は砂場の土で作られた団子を渡す。

 

「はいっごはんだよ♡」

 

「いつもありがとう友奈ちゃん!」

 

 二人の園児の惜しげもない感謝の気持ちに友奈の心が温かくなる。それと共に感じることもあった。それはこの笑顔を守らなくてはという気持ち。

 

「……えへへ。ありがとう」

 

 園児に対して、照れながらお礼を言いながら、友奈は心により強い決心をした。

 

 勇者部にとっても、園児にとっても楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、依頼が終わる時が来た。

 

「それではまた何かあればいつでも呼んでくださいっ」

 

 園児たちがありがとうございました~や、じゃあね~や、またね~だったりと元気な声で勇者部に別れを告げている中、先生は申し訳なさそうな顔をしながら風の言葉に頷く。

 

「はい……。すみません頼りっぱなしで……」

 

 中学生である勇者部に頼りっぱなしと言うのも大人としてはなんともいえない申し訳なさがあるのだろう。しかし、そんな先生に対して彼、彼女たちは当然のようにこういうのだ。

 

「気にしないで下さい。それが私たち、

 

 

 

 

 

 

 勇者部ですから!」

 

 と。

 

 

 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 機嫌の良い風のおごりでうどんを食べに行く事が決まり、友奈たちは部室の前へと戻ってきた。そこで樹が何かを見つける。それは弁当箱とその中に添えられてある魚の骨だった。

 友奈はそれを見た瞬間あっと気がついた。それとほぼ同時に真生も納得が行った。

 

「……なるほど。腹が減るわけだ」

 

 その弁当箱は友奈のものということが判明し、風たちはまたもや驚いた。

 

 弁当箱に添えられていた魚の骨からは、二匹の猫からの感謝の気持ちがあふれている。言葉に表されるのならこういうのだろう。

 

 

 

 

 ありがとねっ♡

 

 どこかで猫が鳴く声が響いた。




 ほのぼのっていいな(ところどころに伏線張りながら)

 次回からはアニメ原作三話の内容に入る予定です。前半にはあまり関係のない(大嘘)話を入れますが、後半は原作三話の内容に入っているはず。

 これからもちょくちょく勇者部所属の話を入れていきたいと思います。樹海の記憶はvitaが無いので買っていません。入れるにしてもほんのちょこっとだけになると思います。

 気になった点、誤字脱字などがありましたら感想欄にてお伝え下さい。普通の感想や批評も大歓迎です。どしどしきていただけると作者はとても喜びます。
 では最後に、


 決心:シャガの花言葉

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