下手すると小説より難しい。
バイクを走らせしばらくするとやたらと豪華でデカい建物が見えてきた。
たぶん間違いはないとは思うが念の為正面ゲートにいる警備員の男性達の前でバイクを止める。
そして念の為警戒されないようにヘルメットを外した。
「ちょっと失礼、ここが聖居ですか?」
「...そうだが何の用だ?」
警備員の一人が答える。
もう一人はさすがに銃は向けてこないがいつでも取り出せるようにしている。
めちゃくちゃ警戒されている。
まあ仕方ないことではある。ヘルメットをかぶったままの状態で話しかけたりすれば警戒されるだろう。
だがたとえ外したからと言って警戒されなと言うわけでもない。
それに今の俺は中身は違うがバイオのジェイク(顔傷無し)の見た目である。
予想できていた事態に俺はあわてず騒がずクールフェイスで身分証を取り出した。
「アンブレラ・コーポレーションのジェイク・ミューラーだ。
アポの約束はついている筈だ、確認してくれ」
しばらくして確認が取れたのか警備員は態度を改め俺を中へと入れた。
でもそれにしてはものすごくなんだか土下座しそうな勢いで謝ってきたけどなんでだろう?
そして現在
その理由がわかり納得してバーキン博士にキレています。
(政府の人間....確かに間違いないけどさ...)
「どうかされましたか?」
「いや...何でも...」
「...」
(統治者の聖天子(せいてんし)本人に渡すんて聞いてねーよ!!!!)
部屋の中央で椅子に座り優雅にほほ笑む聖天子、その後ろに立ついかつい顔をした老人、天童菊之丞(てんどうきくのじょう)を前にジェイクは部屋の扉を閉めて帰りたいそしてバーキン博士をぶん殴りたい気持ちをこらえてなんとか表情を変えず部屋へ入り進められるまま椅子に座った。
「初めまして聖天子と申します」
「...天童菊之丞だ」
「...ご丁寧にどうも、アンブレラ・コーポレーションのジェイク・ミューラーです」
挨拶を返すと聖天子はニコリと微笑み、菊之丞は表情を変えずこちらを見ている。
聖天子はともかく菊之丞は滅茶苦茶威圧感出してきてる。俺まだ何もしてないぞ。
いやする気もないけど。
「わざわざご足労いただき大変恐縮です。本来ならこちら側のの者が受け取りに行かなければならない所を...」
「いえ、おきになさらず。それよりも早速で申し訳ありませんがこちらが例の試作品です」
あまり畏まった挨拶は苦手だったジェイクは早々に話を打ち切りテーブルにケースを置いた。
他者から見たらその態度はとてもでは内外だだけないものだったろう。しかしここにいるのは三人のみでジェイクの行動に怒りを覚えるような者はいなかった。
それよりも二人はその中身の方に意識が向いていたのもあるが。
ジェイクがふたを開け中の銃と弾薬を二人に見えるように差し出した。
それを見て菊之丞はピクリと眉を動かすが特に何も言ってこず聖天子も特に表情を変えずに黙っていた。
「対GRウイルス用特殊弾、ガストレアデストロイヤー、通称GRD弾の試作品になります」
ジェイクの言葉にしばらく黙りこんでいた二人だがしばらくして聖天子がその一つを手に取った。
「これが...バラニウムに変わる対ガストレア殲滅用兵器の一つですか...」
「ええ、今でさえまだ潤沢とは言えなくても余裕のあるバラニウムですがこのままの状況が長引けばいずれバラニウムの方が先に尽きるでしょう。その前にバラニウムに代行する武器、そしてガストレアに対抗する手段を見つけるために作成された兵器の一つです。しかしそれはあくまで試作品だと言うことをお忘れなく」
そう言うジェイクに菊之丞はぎろりと視線を向けた。
「やけに試作品と言う言葉を押すな...。もしや...」
「菊之丞さん」
「...失礼いたしました」
言葉を続けようとした菊之丞を視線と名前を呼び黙らせた聖天子をジェイクは聞いていた通り凄い人物だと再認識した。
「申し訳ありません、しかし私も気になっていたのですが試作品と言う言葉を強調されるということは...」
「ええ、GRD弾はまだ未完成と言っていいほどのものでしかありません」
「やはり...そうですか...」
「...」
ジェイクの言葉に聖天子は若干落ち込み、菊之丞は特に何も言わなかったか眼だけは侮蔑を含めた色があった。
だが続くジェイクの言葉に二人は驚愕する。
「効果はステージⅠのガストレアなら数発打ち込めば始末できる程度の威力はあるのですが、ステージⅡでは効果が薄くなり、ステージⅢは回復を遅くする程度の効果を与える程度しか」
「「な!?」」
二人は思わず目を見開き大きく表情を変えた。
「そ、それは十分効果を発揮しているのでは?」
「いいえ、我々が作ろうとしているのは完全なるバラニウムに変わる兵器です。バラニウムより効果が劣る物を完成品とはとても呼べません」
「そ、それはそうかもしれませんが...」
「一つ聞きたい」
菊之丞が真剣な顔をしてジェイクを見ていた。その眼からは侮蔑は消え真剣なものに変わっていた。
そして若干の期待も。
「お前は知っている筈だ、我々が作ろうとしている最終兵器を。
それが完成した場合、本当にガストレアどもを殲滅できるか?」
その言葉に聖天子もジェイクを見る。
「...それは一社員としてはお答えが...「とぼけなくていい、ジェイク・ウェスカー」...」
その言葉にジェイクは二人を交互に見て黙りため息をついた。
「ご存知でしたか」
「おまえの父親とは何度かあったことがある。その度に写真を見せられてな」
「ふふ、私もです」
(何やってんだあのクソ親父!!!?)
突然暴露されたとんでもない話にジェイクは叫びだしそうになるのを必死でこらえた。
だがこらえきれず表情を引きつらせてしまったが二人は気にしなかった。
むしろ聖天子は面白そうに笑っていた。菊之丞は表情はそのままだったが。
「その時に教えられた、『私の息子は、私以上だと』な」
(いやそれただの...)
細かいことを気にしたら負けである。
しばらくして落ち着いたジェイクはゆっくりと深呼吸をして、菊之丞の質問に答えた。
「可能かかどうですか、
たしかにうちの方にも研究資料は回ってきていますので
たしかにスペックからして最終兵器が完成すれば今いるガストレアを殲滅することは可能です
ただし現状のまま使用すれば人類も滅びます」
「...やはり...か」
その言葉に二人は特に驚かずただ納得していた。
某事務所
「ねえ里見君?」
「な、なんだい木更さん?」
互いに対面するように座った状態で、ものすごく威圧感のある笑顔を浮かべた天童民間警備会社社長こと天童木更(てんどうきさら)を前に数少ない社員であり延珠の相棒でもある里見連太郎(さとみれんたろう)は冷や汗をかきながら目の前の女性に必死に笑顔を作った。
ちなみに延朱は少し離れたところで別のソファーに座り紙を眺めながら延々と唸っている。
「今日は確かガストレア討伐の任務で外へ行ったのよね?」
「は、はい」
「それで持って帰ってきたのがこれ?」
もやし 6円 2パック
「はい...」
「うん、死のうか」
しばらく追いかけっこが続きました。
「ぜは!ぜは!に、逃げるな里見君!大人しく切られなさい!!」
「無茶言わないでくれよ!それにちゃんと理由は説明しただろ!報酬もらい忘れたんじゃなくてもらえなかったんだって!」
「わかってはいるけど許せない!」
「理不尽だああああ!!」
またしばらくry
「ぜえ!ぜえ!そ、それで、ぜえ、その先にガストレアを倒したってやつはどんな奴だったのよ...」
机に突っ伏しながら木更が尋ねると連太郎は頭を掻きながら答える。
「それが俺自身は姿を見ていないんだ、延珠と合流に手間取ってついたときには延珠とガストレアの死体と巻き込まれた一般人だけだったんだ。それに延珠の説明もよくわかんないし」
「む!それは心外だぞ連太郎!ふぃあんせの言葉が信じられないのか!」
「いやでもさすがに黒いバイクにまたがった仮面ラ○ダーBL○CKみたいな男性とかはさすがに」
「いーや!間違いない、あ奴は完全に仮面ラ○ダーじゃ!」
「あーもーはいはい!わかったから!それでそれはともかくとしてその人ホントに民警じゃ無かったの?」
「ああ、その場にいた刑事にも確認してもらったんだけど今回のガストレア討伐の任務を受けたのは俺たちだけだしそんな特徴の民警にも心当たりがないって」
「そうね、私にもないわ。でもそんなガストレアに対してバラニウムを散財できるような個人がいるとは思えないし...」
「じゃあまさかあの噂の新設されたっていう対ガストレア組織じゃ...」
「いやそれだとしても...」
二人が言い争っていると延珠が二人に割って入った。
「のああああ!!ふぃあんせの童をほおっておいて何木更といちゃついとるんじゃ!この浮気者!!」
「はぁ!?お前何言って...てそれなんだ?」
ぺちぺちと連太郎をたたいていた延朱の手に握られていた紙を見て連太郎がそう言った。
「ん...?おおそうだった!木更、これなんて書いてあるんだ?」
そう言って木更に紙を渡した。
「へ?何よいきなり...........(゜o゜)」
木更が紙を眺めていて固まったように動きを止めた。
「木更さん?てか延珠、あの紙どうしたんだよ」
「ライダーが報酬もらえないかもってお詫びにくれたんじゃが、何が書いてあるのかちんぷんかんぷんでな!」
「お詫び?木更さん、なんなんだその...「......って...」へ?」
木更が何かをポツリとつぶやき聞き取れなかった連太郎が再度聞きた。
「行って」
「行くって...どこへ?」
「銀行」
「銀行?」
「この紙持って行って」
「いやだからその紙「いいからさっさとこの紙持って銀行に行ってきて!!」は、はい!!」
木更にすごい剣幕で言われ連太郎はあわてて紙をつかむと銀行へと走り出した。
後に残された延珠はぽかーんと眺めていたが動き出した木更を見て抗議の声を上げた。
「なんじゃ木更!理由も説明せずに「延珠ちゃん!」のわ!な、何をする!」
突然抱き着いてきた木更に延珠は意味が分からず目を白黒させている。
「ありがとう延珠ちゃん!!これでうちの会社もとい私の食生活は救われたわ!!」
「な、なんなんじゃ一体...」
「な...なんなんだ、これは...、ゆ、夢か、はは、夢を見てるんだな俺は......」
そう言って連太郎は銀行の別室で目の前に置かれた1億円を前にひきつった笑みを浮かべた。
そのころジェイクはバイクで走りながらふと気が付いていた。
「あ、しまった。あの小切手、円じゃなくてドルだった....ま、いいか」
いろんな意味で金銭感覚の狂っているジェイクだった。
あれですね。
ジェイクは社長職やってたせいでお金の感覚が若干おかしい。
後ウェスカーが完全にあれだ。