ぶっちゃけ、NARUTOは疾風伝からこっちしか見てないので良く知らないのですが(汗
それでも良ければ、楽しんでいってください。
九喇嘛、救世主の死後に過去へ飛ぶこと
かつて、二人の兄弟が大いなる災いと化した母を封じ、世界を守った。兄ハゴロモは地上に残り、弟ハムラは母を封じた星へと昇った。
のちに"
その際、母より受け継いだ強大なチャクラが、再び暴走することを危惧し、自身が天命を迎える前に、その力を九つに分け、意思を与えた。
九つに分かれた意思を持つチャクラは、地上に存在する九種類の生物たちの姿を持った。
六道仙人は、のちに"
その中の一体、九本の尾をもつ狐の姿を持った
その赤子の名は、うずまきナルト。
六道仙人の教えを忘れ、チャクラを以て森羅万象の自然現象を意のままに操り、戦を繰り返してきた"
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うずまきナルトが家族を得、火影となり、やがて老いていき、のちのことを若葉に託し、愛する家族たちに囲まれ、天寿を全うしたその日。
ナルトに封じられていた九喇嘛もまた解放され、火の国にある木の葉の里を一望できる山の中に身を置いた時だった。
ただただ静かに眠っている彼に、一人の男が語り掛けてきた。
「九喇嘛よ」
「……その声、六道のじじいか。とうにあの世に行って、成仏したもんだとばかり思っていたがな……儂に語り掛けてくるとは思わなんだ」
「……あまり驚いておらぬようだな?」
九喇嘛に語り掛けてきた男、六道仙人の魂は少しばかり残念そうな口調で問いかけた。
九喇嘛自身、驚いていないわけではない。だが。
「お前ぇの言っていた
「ふふふっ。
「まぁ、それなりにな。強大な力である我ら尾獣を封じられ、大人からは忌み嫌われていたにも関わらず、"いつか自分の存在を認めさせてやる"と豪語し、それを実現させるだけでは飽き足らず、儂を
にやり、と口角を吊り上げて笑いながら、九喇嘛はそう語った。
現在、里を治めている九代目火影であるうずまきボルトの父は、かつては尾獣である九尾を封じられた"
しかし、時が経つにつれ、その感情は薄れ、最後には木の葉を救った忍として、この世界でおそらくもっとも大規模であった戦争、第四次忍界大戦を終結に導いた英雄として、里だけでなく五大国から認められるようになった。
その影響もあってか、かつては恐怖の対象でしかなかった尾獣たちは、平和の象徴として見られるようになり、人間に封じられることもなくなった。
「……今のこの世界の訪れをもう少し早めることができるとしたら、どうする?」
「できるのかよ?そんなことが」
「まぁ、できなくはない。だが、この術を使えるのは一度きりだ」
つまり、今目の前にいる九喇嘛にしか、術をかけることができない、ということだ。
九喇嘛としても、今になって思うことがある。
今は亡き友と、うずまきナルトという相棒ともっと早くに和解できていれば、もっと長い時間、ともに笑っていられたのではないだろうか、と。
そして、今目の前にいる男は、それが実現できると言っているのだ。
九喇嘛の心は、その言葉を聞いた瞬間に決まった。
「……頼めるか?じじい」
「お安い御用だ」
にやり、と不敵な笑みを浮かべ、六道仙人は両手のひらを合わせ、目を閉じた。
それと同時に、九喇嘛の意識も、徐々に遠くなっていった。
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九喇嘛が意識を取り戻した時、最初に聞こえてきたのは、ナルトが誰か誰かに自分の名を名乗っている時だった。
「俺は、うずまきナルト!未来の火影だってばよ!!」
ナルトの中から様子を見ていた九喇嘛は、術が成功したことを悟り、今がいつなのか、と思い返していた。
目の前にいるのは、三人の子供、そして、黒い髪をした色素の薄い瞳をした少女。
それをみたとき、九喇嘛は心のうちで、あぁ、あの時か、と薄く微笑んだ。
今は、ナルトが、いや、ナルトたちが
思えばこの日は、ナルトと目の前にいる少女、日向ヒナタにとって初めての邂逅であり、運命の出会いだった。
九喇嘛は、ナルトの内面世界に仕掛けられた封印の檻の中で、よせばいいのに、と思いながら、事の始終を見守っていた。
案の定、あの時と同じで三人の子供たちにぼこぼこに殴られ、しまいには首に巻いていた赤いマフラーをボロボロになるまで踏みつけられてしまった。
――さて……あとはナルトがこの世界を認識すれば話が早いんだが……
九喇嘛は、ヒナタをかばったナルトが三人の子供に一方的に殴られている光景を眺め、自身のうちに湧き上がる怒りの感情をおさえながら、ナルトが自分の居る世界、ナルト自身の内面世界を訪れるのは、いつのことになるのやらと思っていた。
しかし、それが実現するのは、九喇嘛が思っていた以上に早く訪れた。
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ぴちゃん、とナルトの耳に水音が聞こえてきた。
――ん?……ここ、どこだってばよ??
身を起こし、ナルトは周囲を見渡した。
見覚えのない場所だ。そして、目の前には、自分よりもはるかに大きい、火影塔よりも大きいのではないかと思えるほどの大きさの檻があった。
「ようやく目覚めたか。ずいぶんと寝坊助だな、ナルト」
「……ん?だれだってばよ??誰かいるのか??」
「ここだ、ここ。お前の目の前の檻の中だ」
声に言われ、ナルトは檻の中へと目を向けた。
暗がりの向こう、巨大なそこには赤い二つの眼があった。
むろん、こんな生物を目にしたことのないナルトは驚きを隠せなかったわけで。
「なぁっ??!!」
「はっははは!!!その反応は初めてじゃな」
思えば、九喇嘛がナルトと初めての邂逅は、自来也が口寄せの修行をナルトに仕込んでいた時だ。
あの時のナルトは自信過剰といってもいいほどの自信家であり怖いもの知らずで、自分を前にしても臆することなく、「俺の体に住まわせてやっているんだから、家賃代わりにチャクラを寄越せ」と言ってきたほどだ。
そのころのことをふと懐かしく思いながら、九喇嘛は目線をナルトに近づけた。
「儂は九喇嘛。お前の体に間借りさせてもらっている九尾というやつだ」
「……ふ~ん?」
「……おい、なんだその反応は。もう少し驚くとかないのか?」
「別に?ま、俺が独りじゃなかったってことはわかったってばよ!!」
そうだ、そういえばそうだった。
名乗ってから、九喇嘛はそっとため息をついた。
このナルトという少年は、怖いもの知らずを通り越して無鉄砲で無謀な奴だった。そのうえ、この時代、歴代の中で最も優秀と言われる四代目火影の息子であるにも関わらず、頭が悪い。
が、頭の切れが悪いわけではない。
「ふっ……そうだな。お前が生まれたときから、儂がお前とともにいた。これからは、儂がお前に力を貸そう」
もっとも、この封印のせいで、貸せる力は限られているのだが。
「……そろそろ起きろ。心配しとるやつがいるからな」
「そうするってばよ。じゃあな、九喇嘛!」
そういって、ナルトは九喇嘛の前から走り去っていった。
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