この超ポジティブまぬけがっ!番外編   作:甚三紅

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注意!!
がっつり女性向けです。しかも特殊設定。
トリップ潰し、ディオジョナディオ、若干病んでる(ディオ至上主義)ジョースター家+花京院。
以上が駄目な方は即回れ右。全力で逃げて下さい。
特殊設定で女性向け、お腐れ様ご光臨です。


IF、三部終盤に知識有りトリップ(女)をぶちこんでみた

偽物が承太郎達によりちりにされていくのを眺めながら緩く笑みを浮かべる、思い通りにいき満足だ。

ちょっとした遊び心ではあったが怪我は本物で腹に空いた穴から血が流れ地面に広がっていく。口まで上がってきた血液は口の端から溢れ出て顎を伝い首まで落ちていった。

 

「離せよ!ディオが!」

 

悲鳴じみた声が耳に届きそちらに視線を向けると羽交い締めにされている花京院が見える。それと…誰だ?見た事のない女とスタンドがこちらに来ようとしている花京院を止めている。

 

「みんなも近づかないで!あんなの演技に決まってる!」

 

女が叫びながらスタンドで何かしたらしい。ジョジョ、ジョセフ、承太郎がその場に足を縫いつけられたように動かなくなった。表情や上半身は何とかして動こうとしているようだが肝心の足が動かないらしい。

ジョジョは吸血鬼だというのに完全に押さえ込むとは、中々に強い力のようだ。

 

「てめぇDIOの仲間かッ」

 

スタンドすら動かせない事に悔しげに顔を歪めながら承太郎が吼える。

女は承太郎の言葉に心底驚いた、という表情をしておれの方を指さした。

 

「そんな訳ないじゃない!こいつがいるからホリィさんは苦しんでる、DIOさえいなかったらもっと…」

「黙れ!!」

 

女の言う事は以前ならば間違いないな、とのんきに思っていると一際大きな声が響いた。

音の発生源はジョジョで怒りに燃えるような瞳で女を睨んでいる。

 

「ぼくは、たとえ吸血鬼になっても紳士として女性に手を上げるのは最低だと思っていた」

 

何らかの力を引きちぎりコンクリートを割りながらゆっくりとジョジョは女の元へと歩いていく。おれの位置からジョジョの足元は見えないが、音と振動で何が起こっているのか分かった。

 

「けれど、大事な家族を守るためなら、紳士じゃなくても構わないッ!」

 

攻撃体勢に入るジョジョ。怯えた様子の女。

なんとなく、そう、なんとなくだ。こういうジョジョは見たくないと思った。

思った瞬間にザ・ワールドで時を止めて起き上がりジョジョへと近づいていく。ああくそ血が足りない、目の前が所々白くなったり黒くなったりする。好きに食事をしなかったのが完全に裏目に出ている。

承太郎がこの止まった時の中でおれの名前を呼んだ気がするが、そっちを気にする余裕がない。

 

中々再生しない腹からは血が流れ続けおれの靴跡は赤い色をしていた。

ジョジョの元に辿り着く頃には息が切れているとは、我ながら笑える。本当ならばあのまま動かない予定だったのだがな。

こいつは馬鹿力だ、吹き飛ばされないようにしなければ。

ジョジョの腕を掴み力の限り踏ん張る体勢を作ったところで時が動き出す。やはりと言うかやたらと強い力で引っ張られたがジョジョがすぐにおれに気づき動きを止めたため何とかなった。途中だというのにおれの足元が割れるとかお前…。

 

「ディオ…っ…いくらきみでもこんなッ!!」

 

おれの姿や足下を見てジョジョが瞳を揺らす。血の気が引いて白くさえある顔でおれの肩を掴む様は、本当に馬鹿でまぬけで阿呆だ。

 

「うるさいポジティブまぬけ。お前は、女になんか手を上げるんじゃあない」

 

女に向けて振り上げようとしていた右手に自分の手を重ね意地で真っ直ぐジョジョを見つめる。

 

「…なん、で…なんで!?DIOはジョジョきっての悪役で、生まれながらの悪で帝王で、倒さなきゃいけないのに!」

 

せっかく助かったというのにヒステリックに叫ぶ女。スタンドがこちらに向かってくるがジョジョはスタンドが見えず、おれは既に反撃するだけの力はない。

このままやられると思った瞬間、スタンドの拳を止めたのはごつくてでかい青い手と緑色に光る手に紫の茨だった。

 

「お嬢さん、他ならぬディオがあんたを見逃すと言っとる。早く消えてくれんか、もうわしも一杯一杯なんじゃよ」

 

ジョセフにしては珍しく感情を全て削ぎ落としたような声で女に話しかける。

花京院と承太郎は感情の爆発を抑えるように唇を噛みしめ震える程に拳を握っていた。

ポルナレフとアヴドゥルは何か言い出そうな顔をしているが空気を読んだらしく黙っている。

 

「あ…はは、冗談きついなぁ。私たち一緒に旅して、苦難を乗り越えた仲間だって…」

 

引きつった顔と声をしながら後ずさりする女。

それを見ていると段々視界が黒く染まっていく。

ああ、まずいな、血が流れすぎた。

どこか冷静に考えていると瞼は自然と落ちジョジョに寄りかかるようにして完全に意識が飛んだ。

最後に誰かが何かを言ったような気がした。

 

ーさっさと失せろ。てめぇよりディオが大事に決まってんだろうが。

 

 

 

- - - -

 

 

 

気がつくと真っ暗な部屋のベッドに寝ており腕には針が刺さっていた。針の先は輸血用のパックに繋がっており、手っ取り早く人間方式でおれの体に血を補給したらしい。

腹を撫でてみると既に穴は塞がっていてこういう時吸血鬼の生命力の強さに感心する。

起き上がってみようと上体を起こそうとしたが、視界がぐらりと回り枕に頭を落とすはめになった。まだまだ血が足りない。輸血よりも直接飲んでしまいたいのに今のおれには針を抜く力もなさそうだ。

 

「ディオ!よかった、目がさめたんだね」

 

部屋の扉が開き電気がつけられると、おれの様子に気づいたジョジョが駆け寄ってくる。

ジョジョはそのまま壊れ物にでも触れるかのようにおれの手をとると泣きそうな笑みを浮かべた。

 

「本当によかった…ぼくは、きみがこのまま…」

 

わずかに握る手に力が入りジョジョの声が震える。こいつの頬を濡らすものの正体に驚いて固まっていると、ジョジョはおれの指先に唇を寄せてもう一度よかった、と呟いた。

それなりに長い付き合いになるがこいつが泣いたのを初めて見る。心の奥底から湧き上がる感情に蓋をして、いつものように手を払おうとしたが出来なかった。

そうだ、今の状態では力が入らないのだから仕方がない。

自分に言い訳をして掴まれているのとは反対の手でジョジョの頬に触れる。

 

「ひどい顔だ。そんな顔、おれ以外に見せるんじゃあないぜ」

 

発した声が柔らかいのも力が入らないせいだ、繋いだ手が心地良いのは血を失ったせいだ。

だから、何もおかしい事はない。

 

「ひどいのはディオだよ…置いて行かれるかと、思った…」

「吸血鬼はこのくらいで死なないし、死ねないさ」

 

ほんの気まぐれでジョジョの頬を拭ってやると手に擦りよってきて、その様子は阿呆犬を思い出して笑える。

 

ああそうだ、今は力が入らなくて動けず、それでも気分がいいだけだ。だから、犬みたいに顔を寄せてくるお前を特別に許してやろう。




なんでこんなのを書いたのか?
夢による天啓です。

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