サブタイが全て。
そしてDIO様好き過ぎるジョースター家+花京院。DIO様いなかったら確実に病んでる。
ナチュラルに混部。
聖異物の事は昔と言える程度に時間が経ち、その日は何事もなくベッドに入った筈だった。そう、当たり前に過ぎる日常の筈だったのだ。
「DIOぉぉッ!!」
気がつけば雄叫びのような声と共に目前に迫る承太郎のごつい拳。
今こいつに何かされるような覚えはない、と思いながら咄嗟に拳を受け止めると自分が知るものよりいささか軽い。
よく見れば血まみれの承太郎は学ランに学帽を被った懐かしい姿をしており、肉体の年齢も若返っているように見える。そして軽く辺りを見回せば、記憶の底にこびりついた忌々しきカイロの街並みに似ており自然と眉が寄った。
「承太郎、これはどういう事だ。説明しろ」
「ああ゛?てめー…、…いや、ディオ、か…?」
「おれ以外の何だと言うのだ」
一番最初に戻ったのか、それともまた別な場所に飛ばされたのか判断がつかず目の前の男に問いかけると、えらくドスのきいた声を上げた後に何やら納得した様子で拳を引いたので今回は後者であると知る。
「戻るならさっさと戻りやがれ。そうすりゃこんな事にはならなかった」
舌打ちをして学帽のつばを掴み目深に被り直す承太郎に僅かに目を細める。
二度目の記憶を持ったこいつらが一度目のおれと対峙した、といったところか。という事はこの肉体はジョジョのもの…そうか、あの阿呆は死んだのか。
「花京院はどうした」
「…DIOのクソ野郎に…」
ぎしりと承太郎が歯を食いしばる音が耳に届き、全て一度目の通りに進んだのだと知り何とも言えない気持ちになる。
ちっ、あの阿呆どもが。そろいもそろって、おれではないおれにやられるとは…まぬけ過ぎて笑えもしない。
しんみりとした空気の中、お互い口を開く事はなく静かなまま時間だけが過ぎる。
このままこうしていても仕方がない。これからどうするのか、と口を開いたところで強い衝撃と共に後ろから強く抱き締められた。
「ディオ!!ああ…ぼくたちのディオだ…お帰り…」
顔を見ずとも分かる。がっしりとした胸板や、おれに回されたこの太い腕はよく知ったものだ。涙ぐんでいるのか震える声もよく耳に馴染んだもの。
「ジョジョ…」
後ろにいるやつの正体を呟きゆっくりと振り向く。涙目で微笑むこいつを実際に見てもにわかには信じられずに目を開く。
一度目の通りに進んだのならば、なぜお前がいるのか。
呆然としているとジョジョの後ろから花京院やジョセフが近づいてくるのが見えた。いずれも血まみれだがしっかりと自分の足で歩いている。
特に花京院などは、こちらの様子を確認するとすぐさま駆け出して突進する勢いで抱きついてきた。震える肩と縋るような手に泣いているのだと悟る。
状況は分かった。分かったがしかし、理解しがたくもあり承太郎に視線を向ける。するとやつは意地の悪そうな笑みを浮かべ穏やかな声で言った。
「おれは一言も死んだとは言ってねェ」
このッ…!一発殴らせろッ!!
- - - - - -
「という夢を見た」
リビングのソファに座り、輸血パックから血を飲みながら目の前にいる承太郎に戯れに夢の内容を語ってやる。
するとやつは僅かに目を開き少しばかり考えるような仕草をした後口を開いた。
「それならおれも見たぜ。そういやディオは今の姿よりやけに老けてたな」
他に感想はないのか?
斜め上な感想を聞いていると後ろから花京院に顔をのぞき込まれまじまじと顔を観察される。今のおれには老ける要素などありはしないぞ。
「その夢、ぼくも見たよ。ディオのいない世界とか発狂するかと思った」
花京院まで同じ夢を見ただと?この分ではまさかジョジョとジョセフも同じ事になっているのではあるまいな。
思った事は今この場にいる三人共通らしく、暫し沈黙が空間を支配した。
「……、…ディオ、書斎の本借りるぜ」
「好きにしろ。花京院、行くぞ」
「そうだね、そろそろ出ないと」
承太郎の言葉を皮きりに各々動き出す。
一瞬胡蝶の夢、という言葉が頭に浮かんだが、馬鹿馬鹿しいと切り捨て出かける事にした。
用事が終わった後、ジョジョに突撃されジョセフにやたらくっつかれたのは予想の範囲内といえる。
「ディオのいない世界なんてぼくには耐えられないよ!探しても探しても見つからないし…あんな世界なんか壊しちゃってもいいよね、なんて紳士らしからぬ事を思っちゃって…」
などと言いながらジョジョに背骨が折れる程抱き締められるのも(悲しい事に)範囲内である。その後しっかり殴り飛ばしたが。
「何なのあいつら!ジョナサンじいちゃんが目指す紳士ってなに?腹黒紳士?黄金の精神どこいった!?花京院の目からハイライト消えて病むし承太郎は早々にグレて暴走しっぱなしだしあれが正夢になんなくて良かった…本っっ当に良かった!おれもうディオがこの世に存在してる事に感謝しかねーわ!!」
とガチ泣きしたジョセフにはこのDIOですら同情した。
ジョセフも知ってる人から見たらいつものジョセフじゃねぇ!てなってた筈。
支え(DIO様)がないから情緒不安定になってそう。無理に無理重ねて倒れたりするかもしれない。
そして重すぎる愛を一身に受けても平然としてるDIO様素敵です。きっと実際に病んでも上手くやりそう。
そこにしびれる憧れる!!