ソロアート・オフライン   作:I love ?

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リズベット編、完・結!
今までで一番多いんじゃなかろうか……。
次回もオリジナル話です。新しい編に入り、多分シリアスになる……なるはず、だよね? シリアス苦手だからなぁ……。バトルも。……なんでSAO書いたのとは言わないで下せぇ……。
八幡のユニークスキルは次編で登場! ユニークスキルで一番弱いだろうから、期待しないでね! そのために双剣スキルを取得させたんだから!
百話登場にしたかったんだけど、早まりそうだなぁ……。


彼ら彼女らの時間は今この時だけ交錯し、いずれ離れゆく。

火山にできた擬似的ダイヤモンドダストが消えるまでこの幻想的な景色から意識を離したのは、ボスを討伐したことによるリザルトメニューが出現した時だった。

 

「武具素材、岩赤龍の心臓……か」

 

オブジェクト化をすると、脈打つ漆黒の岩石が現れる。未だ龍が生きているかのように活発に動いているが、ついさっき俺が塵芥に変えたはずだからそれはない。

 

「おい、リズベット。素材ってこれだろ?」

 

「ちょ、放り投げないでよ! エイトみたいにバカみたいなステータスしてないんだから!」

 

バカみたいなステータスとはなんだ。筋力値ならアスナにも劣るぞ俺は。

 

「そもそも光を矢として飛ばすってどうゆうことよ……」

 

「あぁー、確かにあれはチー……あ」

 

「? どうしたのよ」

 

あ、あれ? おかしいな、さっきこの剣たちを装備したときにはあったのにな……。

 

「あ、あれ? さっきまであった最前線でドロップした槍がねぇな……」

 

「……ねぇ、さっきあんたが使った光の矢? みたいなソードスキル使ってたけど、あれって弾を全く必要にしないの?」

 

「……そういえば、知らねぇな……」

 

スキル一覧を開き、《ソード・アロー》をタッチする。

スキル名.ソード・アロー

一対の剣を弓のように構え、ストレージ内にある武器をランダムに選出し放つ剣技。威力は剣技を放つプレイヤーの筋力値と選出された武器の攻撃力に依存する。

 

「どうだったの?」

 

「……なんで今まで気付かなかったんだ……」

 

ストレージ内武器からランダム選出して、それを矢として放つ剣技? 数回しか使ったことないけど、まさかこんなデメリットがあるとは……。

 

「……ストレージ内武器をランダム選出して放つ剣技だとよ」

 

「……地味に嫌なデメリットね」

 

やっべー、槍だったからよかったけど、それなりにレアな片手剣だったらかなり本気でへこんでたわー、っべー、まじっべーわー。

 

「ま、なんにせよ武具素材は手に入れたし……帰るか」

 

「……そうね。主に顔が灰まみれだし、さっさと帰りたい。あ、これ返す……わッ!」

 

さっきの意趣返しか、思いっきり心臓をぶん投げてくる……が、このくらい反応できなきゃ最前線ではやっていけない。飛んできた心臓を片手で鷲掴みする。

 

「チェッ……ステータスもだけど、反射神経も化け物ね」

 

「反射神経なら多分、キリトが一番攻略組の中でも良いと思うぞ」

 

龍の心臓をストレージに仕舞いながら、一度決闘(デュエル)した時の反応速度を思い出す。

なんだよ、完璧に決まったと思った攻撃がパリィされるとか……。お陰で逃げ回ることしか出来なかったよ? 界王様にフリーザから逃げろと言われたような使命感で逃げたよ?

 

「……ていうかお前、今の投げた心臓俺にモロに当たってたらオレンジになってたんじゃねぇの?」

 

「あーら、そのときはどっかの双剣使いさんに贖罪クエストを手伝ってもらうから大丈夫よ」

 

「やだめんどい」

 

「……それが自分の適正レベルを越えた層まであんたの用に付き合ってやった人に言うこと?」

 

「グッ……」

 

実際死にかけさせたのは事実だし、反論のしようがない。

 

「どちらにしても、あたしは今オレンジじゃないけどね」

 

あ、アブねー。あんなめんどいクエストは二度と御免だ。クリア目的がはっきりしていて、大体誰でもクリアできるのに時間が掛かるクエストなんてあれくらいじゃなかろうか。

溜め息を吐きながら俯くと、六十層主街区《マグマ・カルタ》が見える。街名には突っ込むまい。

火成岩で出来ている街の建物は歪だが、古くからの歴史みたいな趣がある。なんか不死鳥とかを信仰してそうだ。……ドラゴンならいたけど。

 

「何時間か前にも来たけど、相変わらずなんというか……観光地として見る分には良いけど、住みたくないと思う街ね」

 

「それについては同感だ」

 

文明レベルとしては縄文時代みたいな街並みに、ファンタジー存在の転移門は浮きまくっているためすぐに見つかる。

 

「……なぁ、前々から思ってたんだけど、転移門って擬似的どこでもド……」

 

「ファンタジー世界観が崩れるようなことを言うな!」

 

いってぇ……いいじゃん、科学と魔術が交錯して人気を博してるラノベもあるんだから。あれタイトルとある科学の幻想殺し(イマジンブレーカー)が出ないのはおかしいと八幡思うんだ……。なんで禁書目録(インデックス)とか超電磁砲(レールガン)一方通行(アクセラレータ)とかはあるのに肝心の主人公はタイトルにないの? いや、一方通行カッコいいけどね? アクセロリータとか言われてるけど。

 

「いい? この世界はファンタジーなんだから、現実世界の文明の科学を持ち込んじゃダメ」

 

「……何でだ?」

 

「何でって、そりゃあ現実世界を思い出しちゃうからでしょ。まぁドラえもんはフィクションだし、現実の文明まで口に出さないってのは神経質過ぎるかもしれないけど……」

 

成る程、と思った自分をぶん殴りたくなる。

当たり前だ。今いる俺達はこの世界の住人。誰も彼もがそう思わないとやっていけないのだ。でないと、現実世界への帰還の願望で押し潰されそうになってしまうから。

今のリズベットの言葉で、活を入れられたような気分になった。

――最近、現実世界に戻りたい、帰りたいとも思わず、家族に会いたいとも頭の中に浮かんでこなかった。

攻略には勤しんでいる。だが、SAO開始初期のような必死さは自分でも感じられなくなっていた。

薄々感じ始めている、このデスゲームの中の自分(エイト)と、現実世界での自分(比企谷八幡)の乖離感。

SAOで攻略組として剣を取る勇敢な自分と、現実世界のどこまでも卑屈で陰湿で最低な自分。

どちらが本当の自分か、判らない。解らない。分からない。あるいはどちらも本当の自分なのか? どちらも本当の自分ではないのか?

勇敢な自分を否定するのはアインクラッドで一年半以上過ごしてきた自分を否定することと同義だし、最低な自分を否定するのもアインクラッドに来る前の十七年間の自分を否定するのとイコールだ。

ならばどちらも本当の自分だといえるかと言えばそうでもないのだ。お互いがお互いの存在を認めない、二律背反。ジレンマ。正反対の性格はお互いを決して認めやしない。

どちらも違うというのなら、俺とはなんだ? 俺はどんな信念を持ち、何を欲し、何を為そうとした? 行動原理は?

世界で一番理解していると思っていた自分自身が理解できなくなっていく。

 

「――ト」

 

いや、そもそも俺は俺自身を理解できていたのか? 心は見えない。見えたとしてもそれは欺瞞に他ならない。人は、本当の意味で心の内を伝えうる手段を持たない。

 

「―イト」

 

いや、違う。例え上辺しか解らなくとも、それは俺が思っていたことのはずだ。自分の心さえ解らなくなったら、人は何を信じたら良いのか、信じるべきはなんなのか。

 

「エイト!」

 

「うおっ! ……なんだよ?」

 

「エイトが工房に戻ってもなんの反応も示さないからでしょー?」

 

深々と溜め息を吐き、いかにも呆れてますみたいなポーズを取っているリズベットを見て、思考の海から無理矢理引き揚げられる。

 

「そういえば、あたしまだキリトとフレンド登録してなかったんだけど、エイトは?」

 

「……まぁ、一応してる、けど……」

 

「そ。じゃ、連絡ヨロシク〜。あたしは作製の準備するから」

 

「へいへい……」

 

キリトに用事が終わったなら鍛冶屋集合の旨のメールを送り、ウェイターみたいな格好をしているピンク頭をキモがられない程度に見ているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ナンデオマエマデイルノ?」

 

「ひ、酷いよハチ君」

 

黒の剣士を呼んだら白の細剣士まで召喚された件について。鬼の同伴より妹同伴しろよ。絶対売れるぞ。

 

「え!? エイトとアスナって知り合いだったの!?」

 

知り合いというか上下関係だよ。こいつの言うことにあまり逆らえた試しがないもの。

着実にヒエラルキーが構築されつつあることに身震いしていたら、急にリズベットがニタァーと笑って訊いてきた。

 

「ねー、エイト。あんたアスナとデュエルして勝ったことあんの?」

 

「ちょ、ちょっとリズ!」

 

慌てふためくアスナが必死にリズベットを捕らえようとする。……なにこれ、言った方が良いの? 言わない方が良いの? キリトを見たら「まぁいいんじゃない?」みたいな顔してるから言っちゃっても良いか。

 

「……まぁ、一回だけならある、けど……」

 

言うと、さらに笑みを深くしたリズベットが一歩こちらに詰め寄ってくる。

 

「デュエルはどのくらいで決着が着いたの?」

 

「え、え〜……どんくらいだったか……?」

 

「……アスナとエイトはどっちもスピードタイプの剣士だったし、確か五分十分だったと思うよ」

 

あのデュエル唯一の観戦者のキリトが答えると、リズベットは怖いほど笑みを深め、アスナはトマト並みに顔赤くした顔を両手で覆っている。

何この状況? とキリトにアイコンタクトで訊ねると、キリトも私が教えてほしい言わんばかりに首を振る。

一回工房裏に消えた二人を見送り、次にキリトと目を合わせる。

工房裏から出てきた二人はどちらも赤面していて、赤と白の副団長とピンクの鍛冶屋に今度は黒のソロプレイヤーが呼ばれる。

赤面病は伝染するものなのか、次に出てきた三人の顔は全員赤かったとさ。何がめでたいのか判らないけど、めでたしめでたし。

 

……うん、なんでもいいから早く武器作らない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カーン、カーンと鎚が鋼材を叩く音が工房内を支配する。まずはキリトの剣だ。アスナは血盟騎士団員になんか引き摺られていった。多分リズベットの安否確認だけヒースクリフに許可をもらってしに来たのだろう。もしかしたら昨日もキリトと行動して、俺が工房から去った後に同じことがあったのかもしれない。

俺が獲ってきた素材とは真逆の白銀の素材は赤く染まり、リズベットが一回一回叩く度に剣に近い形へと変貌していく。

武器作製をしている瞬間をこれほど間近で見るのは初めてだが、なかなかどうして迫力がある。

十回ずつ数えていた二十四セット目……つまり二百四十回を越えた辺りで、今まで叩いたら散っていた光とは比べ物にならないくらいに発光する。

数秒かけてオブジェクトのジェネレートが完了し、目に入った剣は素材と同じく白銀。

ワンハンド・ロングソードにしては華奢。横からみたら刃は薄く、細身だ。まるで氷で出来ているかのようで、わずかに透き通っているようにも見える。ただ、刃の色は白、柄の色は青が入った銀と、ちゃんと色も入っていた。

 

「さて、コイツは取り敢えず後にして……次はエイトの剣ね」

 

「ああ……」

 

すでにオブジェクト化をさせていて、未だドクドク脈打つ龍の心臓を手渡す。

そこからキリトの獲ってきた素材と同じ工程を踏むが、台に乗せられた素材は色が何も変わっていなかった。が、リズベットは何も言わずにまたハンマーを振り始めたのを見るに、どうやらこれで良いらしい。素人の俺達が口を出すわけにもいかず、黙って見守る。

粛々と鎚を振り続けて、キリトの剣と同じかそれ以上の時間が経ったとき――前触れもなく、闇……黒い光が剣から溢れ出た。

夜にブレーカーを全て落としたかのような暗闇が目を覆い、部屋の電気がついたと錯覚したような光が眼を差すと、それの黒さが一層際立った。

柄、刃、刀身、峰などの部位の区別はなく、漆黒という言葉すらコイツの黒さを表すには足りない。ブラックホールのように底知れない深淵の色。

俺達三人は全員唾を飲む。

 

「それじゃ、剣を視るわよ……」

 

「……うん」

 

キリトの返事を合図に、リズベットが剣の鑑定をする。

 

「キリトの剣の銘は《ダークリパルサー》……暗闇を払う者ね。あたしが初耳ってことは、今のところ情報屋の名鑑には載ってない剣だと思うわ。次――」

 

次に俺の剣に触れ、ポップアップウインドウを覗き込んでいる。

 

「……こっちの銘は《トレイター》。反逆者……かな? こっちもあたしは知らないわね。――どうぞ、試してみて」

 

キリトにダークリパルサー、俺にトレイターと銘打たれた剣を順番に渡し、一歩下がる。

一つ頷き、剣の柄を握る。が、キリトは問題なく剣を持ち、左手を振ってメインメニューから白い剣をターゲットしてシステム上も自分の物にしたのに対し、俺は剣を持つことすらできない。

二人が怪訝そうな顔でこちらを見てくるのに対し、なんでもないと視線で言い、気合いを入れ直して剣を握る。名前の通り天の邪鬼な剣らしい。

俺もキリトのように剣をシステム上で自分の物とし、二、三回振るう。柄の握りやすさにも、重さも問題はない。けど、振りにくい。剣そのものに拒絶されているようだ。

 

「――――どう?」

 

無反応な新しい剣の持ち主×2に不安を抱いたのか、満足気な笑顔を浮かべる黒の剣士と苦悶の表情を浮かべる灰の剣士(笑)が同時に答える。……自分で自分を灰の剣士(笑)って称するのは被虐的すぎるな……。

 

「重くて良い剣だよ!」

 

「……名前の通りの剣だよ……」

 

明確に良い剣だと称するキリトに、良い剣か悪い剣かすら判らない微妙なコメントの俺に、手放しで喜んで良いのか複雑な顔をする。

 

「……良い剣過ぎてまだ俺には扱いきれないってことだよ」

 

「そ、そう! それならよかったわ!」

 

喜色満面のリズベットさんとは裏腹に、剣を持つことに全力を尽くして内心汗まみれな俺。重さは感じないのになぜこんなに剣を支えるのが辛いのか。

なにかをポツリと呟いた(ように見えた)リズベットの声は聞こえなかった。……別に俺が難聴だからじゃないよ?

 

「さ、剣も作り終わったし、どっかで乾杯しよ!」

 

言うなり、スキップでもしそうな足取りで店を出るキリト。……いや、お代とか鞘とかどうすんの、アイツ?

 

「行っちゃったわね……」

 

「あぁ、悪いな……。取り敢えず、二本鞘を見繕ってもらえるか?」

 

「分かったわ。……にしても、剣のスペック的にはダークリパルサーはキリトの持ってるエリュシデータと変わらないのに剣が二本いるってことは、キリトも双剣スキルを使えるの?」

 

「知らん……けど、多分その可能性は低い。ただ単に予備じゃないか?」

 

あのクエストは危険性もさることながら、クリアしたとしても人間性を喪うことから、クエストを教えてもらった情報料はちゃんと払い、訳を話して誰にも教えないことを《鼠》に頼んでおいた。アイツは真面目なことだと秘密は守るからな……。

 

「ふーん……。あ、これ」

 

漆黒の鞘と、ダークグレーの鞘が差し出される。それを両手で受け取り、ダークグレーの鞘はトレイターを収めて、黒の鞘はそのままストレージに仕舞う。

 

「よし……。で、お代は? もっかいキリトを呼ぶのは面倒だろうし、俺が全部払っとく」

 

そしてキリトの分の剣の値段を二倍にしてキリトに渡せば……と、考えていたが却下。あの天使を人の薄汚さに触れさせてはいけない。清水に泥水を入れるようなもんだ。

ただ、二倍にしてキリトに売ろうがそのままの値段で売ろうが、どっちにしても関係なくなることを目の前の少女は言った。

 

「お金は、いらない」

 

なんだと!? と柄にもなく(心の内で)叫んだ俺を責められる奴はいないだろう。ていうか周りには俺とコイツしかいないし。

ピンクの髪からももまん好きの武偵を連想して、代金の代わりに奴隷にされちゃうのかな〜とか、かなり鬱な気持ちで考えていた。

 

「そのかわり……」

 

「その、代わり……?」

 

死刑宣告を待つ囚人の気分である。もし本当に奴隷になれ、って言われたら、「よし解った! 言い値で買おう!」って言おう……。

 

「あたしを、エイトの専属スミスに「よし解った! 言い値で……」ホント!?」

 

あれ? いまリズベットが言ったことのなかに奴隷という単語がなかったよ? 代わりに俺の両肩を掴んで眼を輝かせてる鍛冶屋(リズベット)がいるし……。

 

「ホント!? ホントにホントよね!?」

 

「う、うん。ホントにホント。だから体を揺らすのをやめろぉぉぉ……」

 

脳味噌がスクランブルエッグならぬスクラップエッグにされる。あれ? 上下感覚が、失われて、きたよ?

 

「あっ、ゴメン」

 

「全くだよ……」

 

頭のなかでまだ残っている不快感を感じながら、改めて言われたことに対して考える。

専属スミス。キリトが前になんか話していた気がするが、俺には縁がないので生返事ばっかをしていた。

よって、俺の専属スミスという認識は、ダンジョンに出会いを求める少年と魔剣を造れる鍛冶屋の関係性でしか判断できない。

 

「二人とも〜、なんで来ないの!?」

 

俺達が着いてきていないのにようやく気づいたらしいキリトが、今度は俺達の裾を摘まんで引っ張っていく。

 

 

 

人の関係は目眩く変わっていく。まるですぐに過ぎ去ってしまう流れ星のように。人の関係は停滞することはあっても、変わらないなんてことはないのだ。

他人から知人へ、知人から友人へ、友人から親友、親友から恋人へ、恋人から婚約者へと関係が深まることもあれば、その逆も然りである。

ならば、現実世界で一回も会ったことのない俺達は、一体なんなのだろうか。

他人にしては関係が深すぎ、友人とは言えない。知人ではあるが、俺はこいつらの一体何割を理解できているのだろうか。

ズルズルと続いているこの世界で会った奴との関係。曖昧模糊とした関係だが、悪くないと思っている自分がいる。

せめて、この世界にいるときだけは、俺とは違い心底性格がいいこいつらと関わることを許されるのだろうか。

ならば、現実世界に戻ったとき、こいつらと俺の関係は消え行くのだろうか。

それは、誰にもわからない。

いつまでも続く関係はない。続いていた関係は、いずれ終わりが来る。

ただ、それでも、今は。

今ある関係を保とうとしてもいいはずだ。

この世界で0から築いた関係は、少なくともこの世界にいるときだけは間違っていない……はずだ。

 




リズベットがアスナとキリトを工房裏に連れていったのは……ガールズトークをしていた、とだけ言っておきます。

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