ソロアート・オフライン   作:I love ?

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少し遅れてすいません!!文字数が少し多いので勘弁して下さい!
さて、今回で十万文字を越えました!おめでたい!
あとアンケートは締め切ります。ヒロインはアスナさんに決まりました。(この作品ではないです。ハーレムなので)やはりメインヒロインは強かった!
さて、長くなりましたが第三十話、どうぞ!


不本意ながら、比企谷八幡は不名誉な称号を頂戴する。

二〇二二年十二月十四日、水曜日。

一層ボス《イルファング・ザ・コボルドロード》が倒されてから十日、このデスゲームが始まってからは三十八日目だ。

今日は二層ボス攻略をするのだが、またしてもあぶれたボッチ(俺)とボッチ(キリト)とボッチ(アスナ)の三人パーティーをひとまず組んでいる。

レイド全体の人数は四十七人。一層の時には四十五人だったのに比べて増えている。ディアベルの死で心が折れ、前線を去っていった奴がいるのに人数が増えたのは、《レジェンド・ブレイブス》の五人が加入したからだろう。

まずレイド隊のリーダーでもあるリンド率いる三パーティー十八人に、(三層のギルド結成クエストをクリアしたらギルドを作るらしい。名前は《ドラゴンナイツ》……どうでもいい)キ……キなんちゃらが率いる三パーティー(これまたギルドを作るらしい。名前は《アインクラッド解放隊》)で計三十六人。エギルさんとその仲間二人、俺達ボッチパーティーで四十二人。更に《レジェンド・ブレイブス》の五人を足して合計四十七人だ。

 

「あと一人いればフルレイドだったのにねぇ……」

 

「そうね……。やっぱり間に合わなかったのかしら」

 

「……まあ、しょうがないんじゃないか?実際三日で割れたなんて、俺だって信じられなかったくらいだしな」

 

「うん……あれは辛かったねぇ……」

 

思い出される二層に入ってからの苦い思い出。……具体的に言うなら、《ハチえもん》と《キリえもん》と呼ばれた日だ。……《鼠》のやろう……。

三日前、ナタク……いや、ネズハと呼んでくれと言われたからネズハでいいか。で、ネズハは俺の二人曰くゲスい笑顔と共に放たれた言葉にこう返した。

 

『この世界で、剣士になれるなら、何もいりません』

 

そう言ったネズハは只今《体術》スキルの取得中だ。俺が渡した遠距離武器(かもしれない物)は、《投剣》スキルと《体術》スキルがないと扱えないのだ。

 

「……まあ何にせよ、武器が扱えるようになったらギルドに入れるようになるんじゃないか?……勿論ブレイブス以外の、ってことになるが」

 

「うん……あの武器結構強いしね」

 

「ええ……そうね」

 

チラリとブレイブスの方を見る。中ボスの時にいたバシネットを被っていて、アニールブレードを持っている片手剣使いがオルランド。小柄な両手剣使いがベオウルフで、痩せた両手槍使いがクフーリン。あとの二人は中ボス戦にはいなかった盾持ちハンマー使いがギルガメシュで、革装備のダガー使いがエンキドゥと言うらしい。

ギルガメシュは確か古代メソポタミア、シュメール初期王朝時代のウルク第1王朝の伝説的な王で、エンキドゥがギルガメシュの無二の親友……だったか?……どうでもいいか。

まあ、そんな英雄達を包む空気は、そんなに良くはない。というか悪い。

理由は恐らく、ネズハが何も告げずに姿を消したからだろう。

原因の一端は俺にあるのだが、教える義理もないしな。

 

「それはそうと二人とも、わたしたちは他人様のパーティーを気にしている状況でもないわよ」

 

「え?どうして?」

 

キリトォ……気付いてなかったのかよ……

 

「キリト、緑隊が三パーティー、青隊が三パーティー、エギルさんのパーティーで一パーティー、ブレイブスで一パーティーだ。3+3+1+1は解るか?」

 

「えっ?……それくらい解るよ!エイトの馬鹿!」

 

ダメージにならないギリギリの強さで胸をポカポカ叩いてくるキリト。……眼福です。

それはさておき、やはりレイドに入れないとボス戦はできない。

『ビーター』と蔑称されている俺はともかく、二人ならどこかに入れてもらえるだろう。

人数に空きがあるところは――――ブレイブスとエギルさんの所か。

ブレイブス――は二人が嫌がるだろうから、頼むならエギルさんのパーティーだな。

と、そこまで考えたところで、まさに今話そうと思っていた人物の声が聞こえた。

 

「よう、久しぶりだな、お三方」

 

スキンヘッドの下で厳つい顔で笑みを浮かべながらこちらに歩いてくる。

 

「聞けばトリオを組んだらしいな。まずはおめでとうと言っておくよ」

 

「トリオなん……「トリオなんて組んでないわ。あくまで一時的な協力態勢よ。こんにちは、エギルさん」……」

 

……て組んでない。俺は次の層からソロに戻るつもりだからな。と言おうとしたら遮られた……。アスナよ、いくら俺とトリオを組んでいるなんて思われるのが嫌でも、最後まで話は聞けよ……

 

「ああ、まあそんな感じです。……で、二人をエギルさんの……「それはそうと、三人とも俺のパーティーに入らないか?丁度三人ずつだしな」……」

 

……提案は凄く有り難いんですけど、最後まで話を聞いてください……主に俺の。それとも俺には発言権が……学校ではなかったな。

 

「いや……でも二人はいいですけど、俺入れていいんですか?立場的に」

 

ボッチは他人に迷惑をかけないから存在が許されるので、俺にとっては重要なことだ。

だがエギルさんはやれやれといったジェスチャーをしながら口を開く。

 

「アンタのことを、ええと、ビーターだったか?そんな風に言って非難している奴は極一部だ」

 

男子が横文字のちゃんとした発音に弱いのは性なのだろうか。《ビーター》がめっちゃかっこよく聴こえたわ。

 

「事実、オレたちの周りじゃアンタのことを違うニックネームで呼んでるしな」

 

「「へえ、どんな?」」

 

声がハモるキリトとアスナ。……そんなに気になるの?グールとかヒキガエルとかだったら暫く宿屋に引きこもろう……

 

「オレたちはアンタのことを《灰色》とか《女たらし》とか呼んでるな」

 

「オイ、待て。確かに装備は全身灰色だが、後半はなんだ」

 

素の口調だがどうでもいい。俺は女たらしじゃない。端から見ればそうかもしれないが、むしろ真逆だ。

あと二人、噴き出すな、笑うな。普通怒るか冷たい声音で拒否するところだろ。これならまだ『ビーター』の方がマシだ。

 

「エギルさん、オファーありがとう。じゃあ、遠慮なくパーティーに入れてもらいます、ほら《女たらし》さんも」

 

いや、乗っかるなよ。別に二人ともたらされてないんだから否定しろよ。内輪乗りすんなよおォォォォ!!

 

「ハッハッハ、そうか、承けてくれるか。なら三人にはアタッカーを頼むぜ」

 

なぜか俺にパーティー受諾申請を送ってきたのでOKボタンを押す。エギルさん……いや、エギル、許すまじ。

俺が不名誉なニックネームを頂戴したところで、二人のプレイヤーが前に出る。言わずもがなリンドと……誰だっけ、アイツ?確か……もういいや、モヤットボール(仮)で。

 

「……まさか今回もダブルリーダーなのかな……」

 

「でもシステム的には、レイドリーダーは一人だけのはずでしょ?」

 

「それもそうだね」

 

そんな会話を二人がしている内にリンドが演説を始める。が、俺は興味がないので聞き流す。

途中、モヤットボールがリンドに茶々をいれたり、役割分担が言い渡されて、ブレイブスのメンバーが取り巻きの相手だけをしていろというのに納得できないと言って、他のプレイヤー達が新参者のくせに……とか言っていたりしていた。俺達H隊は取り巻きMobの排除、またもや露払いらしい。

……聞き流した割にはちゃんと聞いてるな、俺ってえらい!

自画自賛がかなり虚しいので、会議に集中することにした。

ブレイブスの発言によってメンドイことになりそうだ……と思った予感は的中した。

 

「事前情報では、ボスの取り巻きは一匹だけで、再湧出(リポップ)しない。H隊だけに任せていいか?」

 

……何ィ?コイツちゃんと攻略本読んだのか?

キリトもアスナもエギルも同じことを思ったのか言い返している。

 

「一匹と言うが、雑魚ではなく中ボスクラスの取り巻きだとも事前情報にはあったがな。それに、数が増えていないという確証もない。ワンパーティーでは荷が重すぎるな」

 

さっきから言っている事前情報とは、もちろん《鼠》の攻略本二層編だ。

しかし、攻略本の表紙裏の但し書きにもある通り、一層と同じくベータテスト時代の情報だ。

事実、事前情報にないカタナスキルで騎士ディアベルの命は刈り取られた。今回も中ボスクラスの取り巻きである《ナト・ザ・カーネルトーラス》……通称ナト大佐のステータスの上方修正、もしくは数の増量、リポップする可能性など様々な例が考えられる。

しかしリンドはエギルの反駁にも軽く頷いただけだった。

 

「もちろん、一層のときと同じ過ちは繰り返さない。何か事前情報が違ったら即退却、対策を練り直す。取り巻きの排除もワンパーティーでは足りないならもう一隊回そう。それでいいか?」

 

そう言われればこちらは何も言えない。沈黙を肯定と受け取ったのか、リンドは〆に入る。

 

「それじゃ、少し早いけど……」

 

その時、意外にも今までおとなしかったモヤットボールが、一層で聞いたことがあるフレーズで声を遮る。

 

「ちょお待ってんか!」

 

「……何か、キバオウさん」

 

そうだキバオウだキバオウ。あまりにもどうでもいい奴だから忘れてたわー。

 

「さっきからリンドはんはこの攻略本に頼りっきりや。これを書いたのはボス部屋に入ったことのない情報屋やろ?ほんまにそれで充分って言えるんか?」

 

「充分とは言わないけど、無い物ねだりしてもしょうがないだろ。それとも何かい、キバオウさんが一人で偵察戦に行ってきてくれるとでも?」

 

自分のペースを乱されて若干不機嫌なリンド。自己顕示欲、または支配欲が強いな、アイツ。

 

「だからや、わいが言いたいんは、この場所に少なくとも一人、自分の眼ェでボスを見た奴がおるちゅうこっちゃ。ならそいつに話を聞かん手はないわ。せやろ?」

 

うわー、誰だろうなーそいつ。めんどくさそう。

 

「どうや、灰ビーターはん!ボス攻略にあたって、なんぞ一言喋ってくれへんか!」

 

えっ、俺?俺何にも知らんぞ。……仕方ない、適当にでっち上げるか。

 

「えー、俺にはこの攻略本以上の知識は特にない。強いて言うならこの攻略本を過信し過ぎるなってことと、くだらない小競り合いをやめろってことくらいだ」

 

その言葉がカチンときたのか、緑、青両隊が睨んでくるが気にしない。事実だし。

そんな空気の中、リンドが仕切り直すように言う。

 

「よし、じゃあそろそろ始めるぞ!」

 

体を反転させ、シミターをじゃっ!と抜き、ディアベルのように高々と掲げる。

 

「……第二層ボス、倒すぞ!!」

 

おおー!、とレイドメンバーが叫ぶ。(俺はやっていない)

その声を聞いたリンドは左手を巨大な二枚扉に当てる。

その姿は、ディアベルのそれととてもよく似ていた。

 

 

 

 

 

……リンドに死亡フラグたててないよな?俺。

 




次回!『VSナト・ザ・カーネルトーラス(ナト大佐)』です!

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