ソロアート・オフライン   作:I love ?

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ふと思ったこと。いろはすと知り合いにした方がいいのだろうか?
これは反省ですが、また本編じゃなくてすいませんでした! 次は必ず絶対多分きっと本編書きます!


第?章 Extra Quest
貧乏人は、常に空腹と闘っているのである。


男子会。

その言葉を聞き、どんなものだと考えるだろうか? 飲み会? 淫語が入り乱れる汚らわしい会? 男がくんずほぐれつしている会とか思った奴は腐女子です、気を付けましょう。男子(物理的に)もそう思った女子(精神的に)も。いや、俺も男子会の定義なんか知らないけどね?

さて、なぜそんなことを言ったのかと言うと……

 

「おい、エイトよぉ。おめえさん、彼女はいねえのか?」

 

「クライン、少し飲みすぎじゃないか?」

 

……まあ、こういうことだ。

2026年2月8日日曜日午後十時。昼間は喫茶店、夜は酒場のダイシーカフェにて、俺史、人生初の男子会である。

もちろん今年で二十二歳の俺も飲酒は可能だが、俺は酒にめっぽう弱い上に酒癖も悪い。酒癖が悪いと言ってもいわゆる酒乱ではなく、女と見たらすぐに口説きに行ってしまうらしい。マジチャラいな……。俺は神にーさまじゃないんだよ。拘置場送りになるエンディングが見えた! 人生バッドエンドだ!

あれは確か、エクスキャリバーを獲った辺りのことだ。成人式をSAO事件のせいで迎えられなかったため、初めて飲んだ酒(ただのビール)で見事に泥酔。へべれけ状態の俺を面白がってビデオカメラでエギルが撮影した映像には……

 

「お、おい、エイト。急に頭を抱えてどうしたんだ?」

 

「……いや、別に。永久保存版の黒歴史撮影されて、この先どうやって生きてこっかな〜、って思っただけだ」

 

しかもこのハゲ、俺の口説き文句だけ音声で切り取ってキリト達に配布しやがった。これで俺の社会的尊厳はこいつらに握られてることになる。やめろよ。ネットにアップとかしたら、俺と声が似てるGOS○CKの久○とか俺○語の剛○とかの声優さんが迷惑被るでしょうが。やめてよお、江口○也さんのことをエロタクとか言うのやめたげてよお!

 

「あー、もうだめだ……」

 

酩酊状態のクラインがダウンしかけている。明日は二日酔い決定だな。

MAXコーヒー(っぽいもの)を啜りながら、結局男子会ってなんなんだ? と男子会の定義を考える。

 

「おい、エイトよぉ〜。おめえさんも飲めよほらほら」

 

「いや、いい。これ以上黒歴史ができたらマジで仮想世界に生きちゃう自信がある」

 

絡み酒だ。上司にやられると対応に困るウザい行動トップスリーだな(個人的に)。……まあ、上司なんかいないが。

助けろハゲ! と心中で悪態を吐き、助けを求める……とは言えないほど(多分)鋭い睨みをする。

その負の念(腐の念ではない、決して)が通じたのかは判らないが、話題転換の質問をしてきた。

 

「そういえばエイト。お前さん、GGOで確か……《スクワッド・ジャム》とか言うのに出たそうだが、どうだったんだ?」

 

「しょうだぞ、きゃわいきょひゃんはいたのか?」

 

もう呂律回ってねえじゃねえか。寝ろよ、クライン。そして起きたら二日酔いで悶絶しろよ。

 

「……ひたすら弾丸斬ってたな。バレット・ラインが全身に照準された時は、マジ本当に本気で真剣に死ぬかと思った……」

 

「んな話はいいから、女子はいたのか教えてくれよ〜!」

 

呂律戻ってんじゃねえかよ。ガンゲイル・オンラインみたいなガンゲーは、そもそも女子が少ないって知らないのか、コイツ?

 

「あのな、ガンゲーはそもそも女子は少ないんだよ……まあ、いたけど」

 

「いたのかよ……」

 

おい、禿頭ハゲ。その頭を抱えて「しょうがない奴だ……」みたいな顔をやめろ。俺なんもしてねーよ。

 

「おおっ! マジで? リアルの情報ないの?」

 

あるわけねえだろ……なんかちっちゃいことに喜んでる節があったから、リアルでは身長がでかくてコンプレックスなのかなー、って思ったくらいだ。

 

「……にしても、よく女子とパーティーなんか組んだな。知り合いだったのか?」

 

「いや。朝田の知り合い……ってほどでもないか。まあ、めんどいから朝田の知り合いってことにするとだな、朝田の知り合いの知り合いがスクワッド・ジャムに参加しようとしてたらしいから、俺も入れてもらっただけだ」

 

いやー、さすが氷の狙撃者、人脈が広いな。なんて言ったら皮肉に聞こえたのか、ヘカート向けられたけど……。アンチ・マテリアル・ライフルを人に向けんなよ、上半身と下半身がサヨナラしちゃうだろ。

 

「どーせそのシノンの知り合いってのも女なんだろ? このリア充が!」

 

「……クライン、相当酔ってるな? 確かに知り合いは女だったが、俺はリア充じゃないし……」

 

「……どうした?」

 

歯切れ悪く言葉を切った俺を訝しく思ったのか、エギルが訊ねてくる。

 

「ああ……その知り合いのプレイヤー名は確か『ピトフーイ』って言うんだが、そいつ、多分SAO生還者(サバイバー)……そうでなくてもSAOに何らかの関わりがあったはずだと思う」

 

「……なに?」

 

「……マジかよ……」

 

驚いた顔をするエギルとクラインだが、さすがにそれだからどうこうするなんてことはしないだろうし、する権利もない。その女が《ラフィン・コフィン(殺人ギルド)》所属じゃなかったら、な。

リアルでもピトフーイと知り合いらしいエム曰く、殺すと決めたらリアルでもゲームでも関係なく殺す、らしい。そんなことをする奴はラフィン・コフィンくらいしか俺は会ったことがない。まあ、だからと言って決めつけるのは早期過ぎるだろうが、心に留めておくくらいはした方がいいだろう。

 

「ま、確証はないし、だからどうこうって訳でもないがな。……それより、これからまた連日ダイブするから、また顔出せなくなるわ」

 

「おいおい。その女の子とまたパーティー組むつもりじゃねえだろうなー」

 

ガッチリヘッドロックをされて首が絞まるが、衰えた筋肉じゃ抜け出せない。酸素の供給が途絶え、息ががががが……

 

「クライン、そろそろ止めてやれ。エイトの顔が本格的に青くなってきてる」

 

首が解放され、酸素が全身に行き渡る……仮想世界と同じノリで首絞めんじゃねえよ、死んじゃうところだったろうが。

 

「しっかしエイトも有名になったな。SAOでは《英雄の無剣エイト》、ALOでは絶剣と並ぶ《無剣》、GGOでは第三回Bobと第一回SJ優勝者とはよお」

 

「……全部たまたま名付けられただけだけどな。SAOでは致し方なくだし、ALOではあのバカ(紺野)が吹聴したようなもんだし、GGOはやっぱりBobはバイトで仕方なくだし、SJはやらなきゃ餓死してただろうしな……」

 

そしてPK返しをするためにまた連日フルダイブしなくちゃならんのか……いや、でもさ? 小町の声で頼まれたら断れないだろ?

 

「お、おう。お前さんも大変なんだな。でもいいのか? ここで飲食して」

 

「ああ、クラインの奢りだからな」

 

「ええ! 俺そんなこと言ってねーぞ!」

「昨日」

 

「えっ? ……あっ」

 

そう。昨日……つまり七日に俺達は賭けをしてデュエルをした。賭けの内容は『負けた方が勝った方に飯を奢る』、というものだった。

結果は俺の圧勝。脳筋スキル構成のクラインは魔法……つまり遠距離攻撃方法を持たないため、速度が速いか追尾型の投射型遠距離魔法をバンバン射ったら敢えなく撃沈。俺は魔法と剣技の割合が五対五の謂わば魔剣士のため、よく言えば万能型(オールラウンダー)だ。

 

「い、いや、おりゃあだな、あくまでALOの中での話として提案したのであってだな……」

 

「それをちゃんと伝えなかったお前が悪い。というわけでエギル、金の心配はない」

 

さて、どうせならいつもは高くて手が出せないもの……タンパク質だな。

 

「んじゃエギル。俺ステー……「それだけはやめてくれえぇぇぇっ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一応他の客がいることも忘れて叫んだクライン(バカ)は酒場店主のエギルに沈められ、横でカウンターにうつ伏せになって寝て……いや、気絶している。

 

「……それにしても、厄介事の種を持ってくるな……まあ、今は気にする必要はないんだろ?」

 

「ああ、まあな。むしろ大変なのは明日からの連日フルダイブだな……」

 

ああ、また銃弾を斬らなきゃいけないのかよ。キ○ジ君とかにやらせとけよ……バレット・ラインが照準されんの下手な絶叫マシンよりも怖いんだけど。

 

「はは、まあお前が助けた少女のためだからな。精々頑張ってこい」

 

野太い声で言うと、俺よりも一回りくらいデカイ拳を突き出してくる。

 

「……別になんもしてないけど、精々頑張らせてもらいますよ」

 

そして俺も拳を突き出し、エギルの武骨なグーにグーを当て、そのまま上着を羽織り、マフラーを着用し、店を出る。

……とは言っても、生活ギリギリだから、現実(こっち)に戻ってきたときの空腹感がマジ辛い。結論から言っちゃうと、親父、もう少し仕送りを増やして……

 


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