ソロアート・オフライン   作:I love ?

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三連続投稿……疲れた……。
あ、感想待ってます。


いつだって、気づいた時には時すでに遅し。

突然だが、今俺はとある農家の二階にいる。

いや、まあ、連れていってくれと言ったのは俺なんだが…

……どうしてこうなった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、説明って、どこでするの」

 

会議が終わった後、フェンサーがそう言ってきたので

 

「知らん。教えるのはキリトだからキリトに聞け」

 

俺は帰ろうかなーと思ったところで

 

「えっ、本当に私がやるの?」

 

とキリトが言ったので

 

「ああ、んじゃな」

 

一応別れの挨拶をして帰ろうとして

 

「ちょ、ちょっと待って!」

 

「ぐえっ」

 

……ちょっと襟引っ張られ過ぎじゃないですかね……俺…

 

キリトは顔を寄せて……って近い近い近い!

 

「お、お願いついてきて。初対面だから辛い…」

 

……いや、俺も別に知り合いじゃないんだけど………

 

「いや、別に俺の知り合いじゃないんだが……」

 

と、そこまで言ったところで《鼠》の依頼を思い出す。

 

「……キリト、今日お前の拠点に《鼠》……アルゴは来るか?」

 

「え?う、うん。来るけど……」

 

よし、ならキリトの拠点で教えれば楽だ。

 

「すまん、キリトの拠点で教えていいか?」

 

俺がそう聞くとフェンサーは僅かに頷く。

 

「よし、キリト、お前の拠点でいいか?俺も《鼠》に用があるから」

 

「え?うん、いいけど……私もお風呂入りたかったし……」

 

……何でコイツ異性の前でそういうこと言うの?

やめてよぉ!つい想像しちゃうからやめてよぉぉぉぉぉ!

その時、リニアーに勝るとも劣らない速さでキリトの肩をガッチリ掴み、迫力ある声でフェンサーが

 

「……なんですって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

というのが経緯だ。

ちなみにフェンサーは風呂に入っており、(しないけど)俺が覗こうものなら【リニアー】で串刺しにされる覚悟をしなければいけない。(割と本気で)

で、俺はアルゴの攻略本を読んでいるのだが……

 

「……なあキリト、俺帰っていいか?もう《鼠》への用明日でいいから……」

 

キリトは速攻で

 

「絶対やめて!」

 

お、おう……初対面の奴と二人きりになるのは辛いのだろうが、俺だって女子と二人きりの状態は辛い……

てっきり、フェンサーは風呂に入らず、パーティーの戦術教えている時に《鼠》参上、先にフェンサーに戦術を教えてから、依頼の話をして終わったら帰る……というパーフェクトプランだったのだが……前提条件から崩れた。

そろそろ本気で辛いので止められても帰ろうと決意したとき、部屋の扉がノックされた。

キリトが扉を開けて応答する。

 

「はーい、こんばんは、アルゴ」

 

「アア、こんばんハ、キー坊…あれ?ハッチじゃないカ。キー坊がハッチを連れ込んでいるなんテ、オネーサンは驚いたヨ」

 

…何言ってんだ、コイツ……

俺が呆れていると

 

「なっ、そんなことしてないよ!記事に書くとかやめてよね!」

 

……おや?俺はてっきり

 

「そういう冗談本当にやめてくれる?……」

 

とか無表情で冷たく言われるのを覚悟していたんだが…

 

「ニャハハ、冗談はここまでにしテ、本題に入らせてもらうヨ」

 

ようやくか……

これが俺が《鼠》が苦手な理由だ。ペースが掴めない…まるで雪ノ下さんみたいな感じが俺はどうにも苦手だ。

 

「キー坊の剣を買いたいって話……今日中なら、三万九千八百コル出すそーダ」

 

「………さ………」

 

キリトが叫びそうになっている。俺も驚いて、ミルクのカップを落としそうになる。

 

「おい《鼠》、それ詐欺だと思われてもおかしくないくらい上手すぎる話だぞ」

 

……まあ、そんな大金を払う奴の真意を確かめるのが依頼内容なんだがな……

 

「……アルゴ、クライアントの名前に千五百コル出すから、それ以上積み返すか、確認してみて」

 

「……わかっタ」

 

……ん?俺に依頼者の名前を教えるって言ってたから、キリトにもただで教えるのかと……

さすが《鼠》、守銭奴だ。スクルージ並みの。あれはあれ、それはそれってか。

 

「……教えて構わないそーダ」

 

何が何やらといった顔で、キリトは《鼠》に千五百コルをオブジェクト化して渡す。

 

「……で、アルゴ、クライアントの名前は?」

 

「……二人共、もう知ってるハズだヨ、昨日の会議で大暴れしかけたかラ」

 

そう言って《鼠》は俺の方を見てくる。

――まさか。

 

「……まさか、キバオウ、か?」

 

そう言うと《鼠》は頷く。

反ベータテスターのキバオウが元ベータテスターのキリトの剣を欲しがっている……?

考えすぎか、それとも……

 

「あれ?そういえば何でエイトも聞いてるの?」

 

その声で一旦思考を停止させ、疑問に答える。

 

「ん、ああ……《鼠》に依頼されて、そのクライアント……キバオウの真意を確かめることをしてんだ」

 

「アア、オレっちも気になったからナ。ハッチに依頼したんダ」

 

キリトは納得したのか頷いている。

 

「……さて、今回も、剣の取引は不成立ってことでいいんだナ?」

 

「うん……」

 

まあ、それが賢明だろう。明日ボス戦なのに、強い武器を手放すなんて自殺行為だ。

 

「そんじゃ、オレっちはこれで失礼するヨ。後は二人で仲良くやるんだネ…」

 

「うん……ってそんなことしないよ!」

 

……いい加減頭痛がしてきた…

 

「ニャハハ!ま、その攻略本、役立ててくれよナ」

 

「うん……」

 

「っと、帰る前に、悪いけど隣の部屋借りるヨ。夜装備に着替えたいカラ」

 

「うん……」

 

俺もキリトも考え事をしていたからだろうか……

少し考えたらわかったはずなのだ-----隣の部屋が風呂場のことくらい。

――まて、《鼠》の奴何て言った?隣の部屋?それって……

そーっと風呂場の方を見て、次にまたそーっとキリトの方を見る。

その視線に気づいたキリトが、

 

「な、何?エイト」

 

と問うてくるが内心冷や汗ダラダラしながら、

 

「な、なあキリト。」

 

「な、何?」

 

俺の真剣な空気に気圧されたのか、若干淀みながら聞き返してくるキリト。

しかし、そんなことを気にしている余裕は俺にはない。

 

「ね、《鼠》の奴『隣の部屋』って言ってたけど……まさか、風呂場じゃ……」

 

「あっ」

 

ようやく俺の言わんとすることがわかったのかキリトは間の抜けた声を発する。

しかし、気づいた時には時すでに遅し。

風呂場から

 

「わあア!?」

 

「きゃあああああ!」

 

という声が聞こえた。

それと同時に飛び出してくるプレイヤーを見て――

俺は、逃走もとい離脱を開始した。

――ヤバイ、あれはヤバイ。

捕まったら殺される、と錯覚するような凄まじい殺気の中走る。

窓まであと一メートルというところで、俺から――いや、俺の体からドゴッ!と体からは鳴ってはいけない音がした。

そこからの記憶はないが、最後にみたのは肌色のものだった、とだけ言っておこう。




今日の豆知識
アスナさんは怒るとこわい!

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