ソロアート・オフライン   作:I love ?

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明日は少なくとも夜まで投稿できないと言ったな?あれは嘘だ。
はい、スミマセン、最後八幡のキャラ崩壊酷いと思います。
理由は後書きで!


生き残るために、二人はクエストを始める。

俺逹は一層最強の片手剣である《アニールブレード》(キリトから聞いた)を獲りに《ホルンカ》から見て西の森に来ていた。

 

「で…捕食植物型モンスターって言ってるけど何を狩ればいいんだ?」

 

まあ、《リトルペネントの胚珠》とあるから、そのリトルペネントを狩ればいいと思っているが一応聞いておく。

 

「うん、リトルペネントっていうMobを倒せばいいんだけど…」

 

やっぱりか。

だけど何か含みがある言い方だ。

キリトは「でも…」と続ける。

 

「胚珠をドロップする花付きのポップ率が1%…ううん、正式版になってからはもっと低いかも…」

 

…マジか。1%って単純に考えたら百匹に一匹じゃねぇか。

 

「で、でも普通のリトルペネントを倒せば出現率があがるよ!」

 

その言葉で少しだけモチベーションを立て直す。

 

「はあ……正直めんどくせぇがリトルペネントを狩りまくればいいんだな?」

 

まあ、デスゲームとなった今の状況で自分の強化を怠るなんて選択肢はない。

…本当に渋々俺はリトルペネントを狩り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……いい加減飽きてきた」

 

そうぼやきながら俺はリトルペネントを《ソニック・リーブ》で倒すと、リトルペネントは断末魔を叫びながらポリゴンになった。

 

「未だに花付きが出ないとか確率おかしいだろ…」

 

そう、俺逹はリトルペネントを百体以上倒しているが、花付きは出ていない。

お陰様で俺はレベル3、キリトは俺とクラインにレクチャーしていたからか2になっている。

 

「あはは……でもやっぱり確率が下方修正されているのかもね」

 

冗談じゃない。一体あと何匹狩ればいいと思うんだ。

 

「こんなことなら二手に別れた方が効率的なんじゃないか?」

 

ほんの冗談のつもりだったが

「そうだね……充分対処できてるし、二手に別れる?」

 

俺もムチのようなつると、たまに来る溶解液を避けて弱点の蔦を攻撃するという繰り返しに、知らずイライラしていたのか了承してしまう。

 

「ああ、わかった。三時間後にホルンカでいいか?胚珠を手に入れたら、先に戻っててくれ」

 

「うん、わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、今二時間半。

俺は三匹の普通のリトルペネントと戦闘していた。

右下、左、上と同時にツルがくる。右下は軽く跳んで、左は右にステップ、上は右手の剣でぶった切った。

ツルを切られたペネントが怯んでいる隙に、範囲は狭いが、範囲攻撃である《スラント》で二匹をポリゴンに変える。

ようやくペネントが怯みから回復した時には既に

目の前に立ち、

 

「ちょっとは学習しろよ?AI」

 

そう言って縦に振った剣は、既にレッドゾーンだったペネントのヒットポイントを削りきった。

と、その時、

 

パァァァァァン!

 

と、初めて聞く音なのに妙に嫌な音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリトside

 

(どうしてこんなことに…)

 

私はいま大量のリトルペネントに囲まれていた。

数時間前にエイトと別れてから一時間半後に《コペル》というプレイヤーから一緒に《森の秘薬》クエストをやろうと言われ、承諾した。

一時間で百五十匹以上狩ったのに、まだ花付きがでないと思っていた矢先だった。

花付きが出たのだ、それも、三体。

ただし、実付きも一緒に。

実付きの実を割ってしまうとたちまちリトルペネントが集まってきて、囲まれてしまうのだ。

コペルが実付きの担当、私が花付きを速攻で倒すことにした。

だけど、私が花付きを倒してコペルのところに行った瞬間-------------

コペルは実を爆発させた。

 

「え…?」

 

何で?何で実を爆発させたの?

しかし、考える間もなく、リトルペネントの大群が押し寄せて来た。

コペルは隠蔽スキルで逃げようとしたのだろう。

だけど、隠蔽スキルは視覚がないリトルペネントには効果がない。

五匹程倒したところでコペルはSAOからも、現実からも永久退場した。

あれから三十分。

エイトはもうホルンカに帰ってしまっただろうか。

武器も限界が近い。

そして次にペネントを倒した時、遂に武器が限界を迎えて、ポリゴンになる。

目の前には大量のペネント。

待つのは------死。

 

「嫌ああぁぁぁぁ!」

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁぁぁ…」

 

聞こえた。

あれから俺は嫌な予感がし、隠蔽スキルと索敵スキルを入れ替えて、キリトを捜していた。

 

(いた……!)

 

およそ三十近くの敵に囲まれている。

俺は片手剣突進系スキル《ソニック・リーブ》を発動させ、三匹程倒してキリトのところへ行く。

キリトは泣いていたが、俺には泣き止ませる手段がないので、自分の頭をガシガシ掻いて、

 

「あんまり俺を働かせないでくれよ?キリト」

 

慰めにもならない台詞を言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、キリトが泣き止んだとはいえ、事態は好転していない。

取り敢えず、予備に買っておいた初期武器をキリトに渡す。

 

「流石にこの数は一人じゃキツイから、その……手伝ってくれ」

 

まさか家族以外で初めて頼った人が会って二日かそこらの人だとはな…

キリトはくすりと笑って、

 

「わかった、エイトもよろしくね?」

 

「できることならよろしくされたくない…がそうも言ってられないんだよなぁ…」

 

「そこは『任された』って言うところじゃない?」

 

「バッカ、お前、それ言うと何か死亡フラグっぽいじゃねぇか」

 

とそこまで言ったところで敵も痺れを切らしたのか襲い掛かってくる。

それを両断しつつ、俺は言う、

 

「実付きを倒してきてくれ。また実を割ったりしたらいたちごっこだ」

 

とキリトから聞いた知識が混じったことを言う。

 

「わかった……でも大丈夫?」

 

「なるべく早くしてくれ。ボッチが多数の視線に晒されるのはかなりキツイ」

 

「そっちなんだ……ていうかリトルペネントには目ないけどね……それじゃ、頑張って」

 

言った瞬間キリトは駆け出した。

さて、ボッチは意外に高性能ってところ、見せてやりますか。

………働きたくないけど。

まず俺は、極振りにしている敏捷度にものをいわせて、全てのペネントに攻撃を当て、ヘイトを集める。

……さて、ここからがキツイ。

無数にあるかのようなツルの攻撃を回避し、いなし、受け止める。

…盾を装備しておけばよかったと思う今日この頃。

なんて、アホなことを考えている間にも攻撃はくる。

剣の耐久も考えて、回避優先にするも完全には避けられず、少しずつだが、ヒットポイントが減っていく。

それでも負けじと、範囲攻撃である《ソニック・リーブ》や《スラント》を中心に戦いを組み立てる。

俺のヒットポイントがレッドゾーンになろうかというときに――

 

「スイッチ!」

 

という声が聞こえて、半ば反射的に全力で後ろに下がる。

光るライトエフェクトを纏わせた片手剣を持つキリトは《バーチカル・アーク》で最後の敵を倒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死ぬかと思った……」

 

俺はそう言ってポーションをがぶ飲みする。

 

「あはは……ごめんね」

 

「でも……ありがとう」

 

そう言って、キリトが初めて見せた心からの笑顔は、黒い髪と夜の暗さと月の光が合わさって、どこか幻想的で……

―――不覚にも、可愛いと思ってしまった。

 

「別に助けたわけじゃなくて、経験値が多く手に入りそうだったから戦っただけだ」

 

キリトはクス、と笑って、

 

「エイトって結構捻くれものだよね」

 

「うっせ」

 

――そんな会話をしながら、俺逹は帰途についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クエスト達成報告の時、キリトは泣いていた。

改めて現実が、家族が恋しくなったのだろう。

俺も、柄にもなく思った。

----ああ、本当に、今日は、

 

「月が…キレイだな……」

 

そう言って俺は、人知れず……泣いた。

 




いくら八幡が理性の化け物といっても、家族に会えない悲しさや死の恐怖は隠せないと思ったからです。
そもそも、現実に本当に何の未練もなければ《帰る》とも思わないと思うので。はい、長文失礼しました。

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