緋弾のアリア~二丁拳銃の猛犬~   作:猫預かり処@元氷狼

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Re:EpisodeⅡ‐Ⅱ

――――――――――――白眉の雪は酒に酔う。

 

 

 

 

 

 

 

 

星伽白雪、由緒ある星伽神社の巫女であり昔から遠山家とは縁があり灯央家ともそれなりに面識があった家の七人姉妹の長女。少し性格と恋愛方向に難があるが……日本が誇る大和撫子。

黒髪のべっぴんさんだ、少し恋愛方向に癖のある……

勉強、教師からの受けもよく生徒会長でもある……ただ少し恋愛方向でおかしくなってしまう。

つまり……

 

 

天ちゅ(天誅)ぅ――――――――――ッ‼」

 

 

普段はおとなしいのだが、キンジの事となると俺の様に二丁拳銃を構える神崎に臆することなく、日本刀を振り上げて鬼の形相で襲い掛かるなどという行為をしてしまうような子なのだ。

要するに、キンジの傍に女が居たりましてや女が一緒に住んでたりでもしたら力の鍵が外れて……

 

 

あいア(アリア)殺ひて(殺して)私も死に(死ぬ)ゅぅ―――――――ッ‼」

 

 

こうなる。

それに今回は白雪は酔っている。

言葉はそのまま、先程まで俺が飲んで、泡も収まっていたビールを麦茶と思って飲んでしまった。

そして白雪は酒に弱い、ものすごく、滅茶苦茶。俺が白雪の酒耐性を奪ってしまったのか、というほど弱い。ノミの心臓とよく言うが、白雪の酒耐性は細菌の心臓。

ペロリとビールを舐めるだけで顔が赤くなり、自我を失う。そしてどんどん酒を体内に取り入れて凶暴化していく。そして今回は神崎がキンジの部屋に居たためいつもより暴走。

最初は我慢していたものが一気に爆発するような感じだ。で、今は想定外の超新星爆発中。

 

「な、なんであたしなのよぉー‼」

 

すっかり日本に来てから俺達への態度を除けば不幸ばかりだったので、ついに俺の前ではさん止めぐらいの涙を見せた。これには確かに俺も罪悪感と同情が生まれる……が、残念だがそれを表に出すと此奴は絶対調子に乗るのでやめておく。俺は今から荒れそうなこの部屋のベランダに出て煙草を咥える。

 

「はー……」

 

溜息と共に白い煙が風に流される。

白雪と神崎の声をBGMにしながら煙草を吸ってポケットに入れていたビール缶を開けて飲む。

後ろからドアが開いて、ボンっ‼っと何かが転がり込んでくる。

当然正体は

 

「ドンマイだなキンジ」

 

「くそっ、まさか酒を飲むとは」

 

「諦めろ、仔ライオンとダー〇ベイダーの決戦だ」

 

「仔ライオンは星をも越えたか」

 

そして、部屋の中はついに銃弾のハリケーンが起きる。

流れ弾が、白雪が斬った(・・・)銃弾がこちらに飛んでくる。

 

「おわっと、アイツにライ〇セイバー持たせたら宇宙制覇してきましたキンちゃん様!みたいな感じで帰ってくるんじゃね?宇宙人連れて」

 

「止めてくれカズ、俺を現実にとどめておいてくれ」

 

そう言ってベランダに置いてある防弾性の物置に隠れるキンジ。

俺はというと……

 

「それじゃあ帰るわ」

 

「おぉー」

 

腰のベルトに命綱をひっかけて。飛び降りて丁度二階真下の俺の部屋に入る。

さっきキンジの寮室に来る前にベランダの鍵は開けておいたため、普通に入れる。

 

「ん?なんか部屋がおかしいな?」

 

少し自分の部屋に違和感を覚える。何か……

 

「部屋が動いてる?」

 

そう、何か部屋自体が動いてるような、そんな違和感。

 

「気のせいか?」

 

既に酔っている俺は少し何か(・・)に勘付きながら深い眠りに落ちた。

次の日、白雪はとうとう昨日の事で自我を失い暴れまくったせいか反動でキンジを避けるようになり、何故か、何故か俺の部屋に生活用具を持ってきた。

理由はというと「何かあった時キンちゃんの元にすぐ駆けつけられるように……と言いたいところだけどカズ君の部屋が一番見つかりにくい所だから……」という事らしい。

いや、結構俺の所に来るからばれるんじゃね?と言ったら何故か分からないが白雪は「それはないよ」と言った。何が何だかわからなかったが、何かおかしいと感じた。

それと、俺の第六感も悲鳴を上げるように腹痛を訴える。そして俺は……

 

「頭痛い」

 

風邪を引いた、衛生科の友人に見てもらったところ食あたりだそうだ。

昨日夜に冷蔵庫に入れてたから揚げ弁当らしい。確かにあれ、二週間ほど冷蔵庫入れてたもんなぁ……

そして俺は今、キンジが買ってきてくれた特濃葛根蕩を投与しながら寝ている。

さすが特濃葛根蕩、俺の43.1度あった熱は今では平熱の39度にまで落ちている。

灯央家は代々平熱が高い、それは『送り者』の影響だという。

『送り者』発動時の体温はまさかの45度、そりゃあぶっ倒れるわという感じだ。

使えば人体に影響があるのか、確かにあるはある。けれどそれは一時的なもので俺の曾爺ちゃんは150年生きたらしい。逆に長寿するくらい。

何故かというと、『送り犬』の影響らしい。昔(ちぎり)を結んだ妖怪『送り犬』の影響で俺達は此の高い熱でも生きられるという訳だ。それと体温が常時高いためか俺等灯央家の者は寒さにとても耐性がある。曾爺ちゃん、名前は『灯央楓延(ひおうふうえん)』は南極に薄着でいても生きられたらしい。俺はこんな人外にはなりたくないが曾爺ちゃんの言葉があり『送り者』を高めた奴はでっかい犬になれる。という物だ。だが、俺は絶対にそんな人外を認めたような進化はしないつもりだ。

ちなみにもう一つ、今は俺を残して消えた灯央家には『言い伝え』がある。それも曾爺ちゃんすらたどり着けなかった境地。笑える話だが、灯央家の始祖『灯央山久之流延亥仙(ひおうやまひさのりゅうえんいせん)』は約2000年前、所謂『送り犬』と契を交わした始祖は妖怪を従える妖獣となったらしい。

言い伝えはこうある、確か……【臆里狗交らば灯王妖にならん、妖を従す妖獣とならん】臆里狗とは『送り犬』の事。灯王とは『灯央』の事。妖とは『妖怪』の事。チィッ、嫌なこと考えたらまた頭痛くなってきた。中二過ぎる、妖怪を従えるってなんだこのヤロォ……

 

「だいじょーぶ?」

 

横で看病をしている貴希が俺を心配する。

今の時間は午後5時47分、武藤に聞いてきたらしい。

 

「ああ、水、くれるか?酒でもいい」

 

「水じゃないと駄目」

 

「……それでいい」

 

貴希は立ち上がって台所に行って冷蔵庫を開けて俺が寝ているソファーに戻る。

 

「はい」

 

「助かる」

 

ペットボトルを開けてミネラルウォーターを浴びるように飲む。

喉に冷たい水が入り、生き返る。ペットボトル一本は一気に無くなってからとなった奴を俺は握り潰す。

ペットボトルはぐちゃぐちゃに捻れたり破れたり潰れたりして原型が無くなっている。

 

「熱、下がってるか?」

 

「ん?ちょっとまって」

 

貴希が俺の額に手を当てて熱を確認する。

昔武藤の家に行ったときも川で遊んで遊びに言ったキンジと、武藤と、俺三人が風邪をこじらせてしまい、武藤実家に泊まったことがあった。

あの時に貴希は何故か俺だけの看病をしていたので平熱が高いという事も分かっているため、手でも俺が大丈夫かどうかがわかる。最初熱計った時に42度3分だったのだが、それを見た武藤母は勢いで119を押してしまったりもした。

 

「うん、大丈夫かな」

 

「そうか……」

 

「けど、一応今日は寝ててね」

 

「ああ、了解」

 

「それじゃあ私帰る。一応焼きそばパン買って机の上にあるから」

 

「さんきゅー」

 

俺の好物の焼きそばパンは風邪を引いた時にキンジが買ってくる特濃葛根蕩並みに効く。

それを医者に言ったらそれはない、と言われたが本当に効くのだ。

 

「バイバイ、和久」

 

「おう色々とありがとな」

 

「戦妹なら当然だよ」

 

最後ににこっと笑った貴希は走って帰って行った。

 

「ったく、良い後輩を持ったな俺は」

 

次の日、熱はすっかり引いて好調だ。

同じ日に買ったから揚げ弁当たち9個を泣く泣く冷蔵庫から取り出してゴミ箱に捨てて生ごみとカップラーメンと割箸が溜まりに溜まったゴミ袋と共に捨てて今日はキンジを置いてハーレーで登校した。白雪は既に登校しているらしい、生徒会長は忙しいな。ちなみに、今日の朝は味噌ラーメンだ。

しかし違った、何が違うのかというとキンジが俺より最初に武偵高に登校していたことだった。

何というか、珍しい。当然、理由は神崎にあるのだろう。キンジは今サルのシンバルを鳴らすおもちゃのように手を頭の上でぱちぱち叩いている。

 

「何してんの、キンジ」

 

「お、カズか。風邪治ったんだな」

 

キンジが俺に気付いて手を降ろした刹那。

 

「サボるの禁止‼」

 

何処からともなく表れた神崎が持っていた気の棒を投げてそれはキンジの頭にスコーンと決まった。

 

「あ、頭がぁぁぁぁッ‼」

 

痛みに悶絶するキンジだが、手を止めるとまた神崎が木の棒を投げてきそうだ、と呟いてまた手をぱちぱちし始める。

 

「神崎、何してんのコレ?」

 

「え、えーっと。エ、エッジ・キャッチングの練習」

 

エッジ・キャッチング。所謂真剣白羽取りだ。

頭に落ちるように振られた真剣を両掌で刃を挟むようにして止める事。

 

「へぇー……」

 

まったく無謀な事を、ヒステリアモードのキンジならすぐにやり方とコツさえ覚えれば簡単にできるだろう。しかし、今のキンジはヒステリア・モードでもなく、言うなれば強襲科Bランク程度の技術しか持っていない。そんな奴にイメージトレーニングではできるものもできない。

 

「カズ‼」

 

キンジが頭で手を叩きながら俺に向かって叫ぶので後ろを見ると、神崎がさっきの気の棒を持って俺に斬りかかって来たので……

 

パシンッ‼

 

「お望みの、真剣白羽取りだぜ神崎」

 

真剣白羽取りをした。

昔これは、金一さんに教えてもらったしな。

金一さん曰く挟みにいくな、手の平で受けに行けという事。最初はそれじゃあ掌切れるじゃん、と思ったのだが案外やってみると挟めた。こう、なんというのだろうか。

親指と人さし指の間の溝に刃をすべり込ませて手の平ではの勢いを抑えて、溝で止めるという感じだ。要するに、掌でピタリと挟み込むというのは難しい。

 

「まあ、頑張れ」

 

同じ要領で金一さんは片手の人さし指と中指だけで真剣白羽取りをした。

 

「クソッ、カズがやると神崎がッ」

 

「カズもできるんだからアンタもできるでしょ‼」

 

「…………はぁ」

 

俺のせいで少し特訓が過剰になったことに心の中で謝りながら俺は教室に行った。

アドシアードの準備も始まり、学校もいつもとは違う意味で騒がしくなってきた、魔剣デュランダルも少し気になっている。そのため俺は今日からはなるべく情報収集に取り組むことにした。

情報科(インフォルマ)に魔剣について今日は聞いたりしたが、ハッキリ言うと全然ダメだった。アイツらマジで魔剣が都市伝説だと信じ込んでいるため、ある情報と言ったら誘拐魔(仮)という物だけ。信用性がない人物に罪をなすりつけていることと同じことだと情報科の先輩に笑われた。

という事で、教務科に聞くとする。さて……誰に聞こうか。一番いいのは綴だが最近世話になってばっかしだし……と考えながら教務科前の掲示板をちらりと見ると。

 

『 生徒呼出 二年A組 装備科 灯央和久

       二年B組 超能力捜査研究科 星伽白雪 』

 

と出ていた。なので、教務科に顔を見せる。

 

「うぃーっす。なんかよばれたみたいなんすケド……」

 

「おうおう、灯央。ちょっとコイや」

 

なんかまたギャロップ先生が近づいてきたので、らんらんが居たためコイツ?と聞いたら違うと首を振ったのでスルーして。

 

「誰っすか?」

 

「おい灯央無視すんなや」

 

「梅ちゃんや、尋問科行け。いつもの場所や」

 

「ええーまたぁ?」

 

「はよ行け、あとギャロップ。嫉妬はキモイで」

 

「なんだとゴラァ⁉」

 

教師の戦闘音を後ろに聴きながら俺は最近ほとんど毎日行っている尋問科の綴の担当教師室に入る。

 

「失礼しまーす」

 

「おぉー灯央」

 

「カズ君⁉」

 

「「……カズヒサ?」」

 

白雪はどうやら先に来ていたようだ。

途中ボソッと何か聞こえたが、予想は出来るので触れない事にしよう。

 

「遅れた、何か用か綴」

 

「いいから座れ」

 

パイプ椅子を指さしてきたので、俺はその椅子に座って窓を開けて綴が吐き出した大量の煙を外に出して換気する。煙草を取り出して俺も火をつけて吸う。

 

「話再開するけどさぁー、単刀直入に聞くよォ?星伽、――――アイツにコンタクトされた?」

 

魔剣(デュランダル)、ですか」

 

俺はそれに妙な納得と危機感を覚えて、煙草を落とす。

 

「どうした灯央?」

 

「いや、なんでもない」

 

不思議そうに見る白雪と、にやりと顔を歪める綴。

 

「そう言えば灯央。マークされている可能性があるのは白雪だけじゃない。お前もだ、灯央」

 

「俺が……ね」

 

「なぁーんだ、知ってたみたいな態度だなぁ」

 

「俺は、超偵じゃないからな」

 

「あまり自分を卑下するなよォ、灯央。星伽も、アンタ等は武偵高の秘蔵っ子なんだぞぉ?」

 

その言葉に白雪は恥ずかしそうに顔を下げる……が

 

「灯央はともかく、星伽ィ。何度も言ったけどそろそろボディーガード付けろってば、諜報科も魔剣がアンタを狙ってる可能性が高いってレポートだしたんだ。SSRも同じような予言したんだろぉ?」

 

SSRとは白雪が所属している超能力捜査研究科の呼称だ。

白雪と同じような超能力者が集まっている学科。

 

「……でも……ボディーガードは……そのぉ」

 

「にゃによう」

 

変な葉っぱを紙で丸めて吸おうとし始めたため、俺は一応その葉巻よりはマシだと思う俺の煙草を一本差し出す。

 

「んにゃ、どうもぉー」

 

ライターで火をつけて綴がまた吸い始める。

試しに俺がその葉巻吸おうと撒いて火をつけて吸うと……

 

「ゲホッゲホッ!!??」

 

思いっきり(むせ)た。こ、これキツ過ぎる……!

 

「それはなれてない奴はきついよぉ?、灯央」

 

「そ、それを先に言え……!ごほっごほっ……し、白雪。ボディーガードは付けた方がいい」

 

「か、カズ君?」

 

「魔剣は……いる……たぶん」

 

「そう言うなら灯央、お前もだぞォ?」

 

「俺は……一人でいい」

 

「そうかぁ?」

 

「ああ」

 

一人で行動したいってのが一番の心情だが。

魔剣、デュランダルが実在するのは俺の中では決まっている。

現にアイツは俺の部屋に盗聴器を仕掛けてきた、盗聴器を仕掛けたのは当然一昨日の夜だろう。

俺がキンジの部屋に行ったとき、魔剣は俺の部屋に侵入して盗聴器を仕掛けた。

俺の第六感舐めんな、何か不自然な事が起きればすぐわかるんだよ。

 

「まあ、気を付けろよぉー」

 

「へいへい」

 

「それじゃあ、星伽のボディーガードなんだが……」

 

そう、綴が言ったとき。尋問室の上の通風口がガシャンッと開いてピンクが落ちてくる。

 

 

「――――――そのボディーガード(・・・・・・・・・)私がやるわ(・・・・・)‼」

 

 

神崎だった、分かってはいたがもうちょっと登場の仕方を考えようか。

お前が外した通風口のカバーが、俺に飛んできたので俺はそれをキャッチする。

めんどくさいので、これはスルーにしとく。

そして神崎に続いてキンジも通風口から落ちてくる、ニュートンの林檎の奴……えっとなんだっけ。

こんな時に武偵高の勉強能力の低さを呪う・・・・・・そうだ、万有引力の法則によってキンジは必然的に神崎の元へと落ちる。

 

「うおっ⁉」

 

「むきゅ⁉」

 

むきゅ、ってなんだ、むきゅって。

壁でコントを始めるバカップル二人に綴が近づき、片手で一人づつ襟首を持って壁に投げる。

そう、綴も一応力はヤバい。こんな蘭豹と比べると細い体の何処にこんな力だ?と思うがそれは俺も体験していることだ。だってこの前『ジョン・ドゥ』に飲みに行ったときにコイツ座ってたソファーを持ち上げて蘭豹とまくら投げ的なノリでソファー投げ始めようとしたからな?俺が責任持って止めたけど。

 

「なんだぁ?この前のハイジャックのカップルじゃん」

 

「わかってたくせに」

 

俺がそう言うと綴は斜め上を見てコキ、コキっと首を鳴らして笑う。

 

「神崎・H・アリア――――二丁ともは灯央の一丁と同じガバメントの二丁拳銃と小太刀の二刀流。二つ名は『双銃双剣(カドラ)』。欧州で活躍した武偵……けどお前の活躍全部ロンドン武偵局の手柄になってるぞ、マヌケぇ」

 

「き、貴族は自分の手柄を自慢しないの⁉例え他人がそれを自分の手柄だと吹聴しても‼」

 

「かぁー貴族様はお優しいねぇ……まったく損なご身分だ。私は平民でよかったよかったぁ」

 

「平民じゃねえよ、人外(モンスター)だ」

 

調子にのって言った俺は熱い熱い煙草とのキスを右腕に貰う。

 

「熱――――――――――――ッ‼」

 

「神崎の欠点はあれだ。お前およ――「わぁ――――――――‼」うるさいなァー」

 

およ?なんだ……ったく、神崎が叫んで聞きとれなかった。

 

「私だって浮き輪があれば……」

 

あ、なるほど。

 

「神崎お前泳げないのか」

 

「んにゃ――――――――――――!」

 

いいこと聞いたな、また一つ神崎対策のレパートリーが増えた。

 

「次に遠山キンジ。昔灯央のパートナーで強襲科Sランクであったが現在は探偵科Eランクへと落ち、性格は非社会的。決めた友人以外からは距離を置く癖があり」

 

これは一年の最後の方の担任評価で見たのだろう。

 

「――――しかし、強襲科内には一目置いている者も多く。灯央もその一人「嫌だからなんで俺を絡ませるの?」……潜在的には一種のカリスマ性を持っている、灯央もカリスマ性は持っているなぁ「いや、だから今はキンジでしょ?」完全解決(コンプリート)は青海のネコ探し、そしてこの前の灯央も関係しているANA600便のハイジャック……なんでアンタこんなにやること極端なのさ」

 

だから、なんで俺の名前を一々出すの?意味が解らん

 

「俺に聞かないでください」

 

「獲物はベレッタM92Fの違法改造。三点バーストどころかフルオートもできる、通称、キンジモデルってやつだよなぁ?」

 

「ハイジャックで壊されました。今は米軍の払い下げで間に合わせてます、当然合法の」

 

「へぇーけど装備科に改造の予約入れてるよなァ?」

 

綴はキンジの手の甲に煙草を押し付ける。

 

「熱っ‼」

 

「灯央ぉー、もう一本」

 

「後二本しかないんだけど」

 

俺が箱を見ると残りは二本。一応帰りも吸いたいしなぁ……ッと考えてたら横から一本取って俺のポケットからパクったライターで火をつける。

 

「ええー」

 

「でぇー?『ボディーガードをやる』ってどーゆーこと?」

 

「言葉通り、あたしが白雪のボディーガードを24時間体制で無償で引き受けるわ‼」

 

神崎が勢いよくない胸を張って宣言する。

 

「……何か知らないけど、Sランク武偵が無料でボディーガードしてくれるってぇ」

 

「カズヒサの分もやってあげるわ‼」

 

「別に俺はいらねえよ、白雪を守れ。二人の護衛を一人でやる気か?やるからには責任持てよ」

 

「き、キンジがやるわ‼」

 

「キンジは足手まといだ」

 

俺のその言葉に結構傷つき膝を付いているキンジは放っておく。

 

「という事だ、俺は一人でいい」

 

「……分かったわ」

 

しかし白雪が少し不機嫌となる。今結構キンジにまとわりついている女が?汚らわしい!とかでも思ってんだろ、この頑固撫子め。

 

「白雪、今はやってもらえ。キンジもボディーガードして貰えばいい」

 

瞬間的に顔色が変わって嬉々とした表情となる白雪。

 

「わかりました、けれどあともう一つ条件があります‼」

 

はて、なんだろうか

 

「私も――――――私もキンちゃんの家に住みますぅ――――ッ!」

 

キンジの顔が絶望的に歪んだ。

 

 




現在の強さ基準です
『送り者』の和久>ヒステリアノルマーレ時のキンジ>普通の和久>アリア>普通のキンジ』
送り者でなぜ理子を倒せなかったのは途中で外れてしまったからですね。

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