メディアさん奮闘記   作:メイベル

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第八話

 電気ポットでお湯が沸くのを待ちながら棚の中のお菓子を探す。あのくらいの年頃の子はどんなお菓子を喜ぶのか。お茶請けに定番の和菓子より、ケーキのような洋菓子が良いのだろうか? そもそも和洋の前に、アインツベルンの姫君に出すにはちょっとしたお茶菓子程度ではダメな気もするが。

 

 悩んでいるとピピっと沸騰を知らせる機械音が鳴ったので、自分なりに手際よくお茶を淹れる。淹れ方はまだまだ上手ではないから最高級の茶葉の力を信じて頼ったりしている。

 

 部屋への案内を任せたライダー共々待たせては悪いので、そろそろ持っていくお菓子を決めなくては。

 

「和洋折衷で、金平糖やお煎餅とミニロールケーキでも持っていきましょうか」

 

 

 

 

 

 お盆から湯呑み茶碗を持ち上げイリヤスフィールとライダー、そして自分の前にコトンと置く。それからお菓子類を乗せた菓子皿を中央に置き、自らも腰を下ろして一息ついてからイリヤスフィールを見ると、形容しがたい顔で私を見ていた。

 

「キャスター、貴女の真名ってメディアなの?」

 

 その一言には少し驚いた。彼女には私の正体を明かしていなかったから。

 

「そうよ。よくわかったわね」

 

 さすが小聖杯の魔術師だわ。と、関心しながら湯飲みを手に持ち傾ける。口の中にお茶の味が広がり、同時に予想よりも刺激的な熱さも感じた。慌てて湯飲みを置いて見えないように手で口を覆い、舌を冷やす為にふーふー息を吐く。

 

「信じられない! 無関係の一般人に自分の真名を教えているなんて!」

「ふぁい?」

 

 はい? と言ったはずが熱さから立ち直ってないお口の事情でおかしな返事になってしまう。それを気にせずイリヤスフィールが可愛らしい不服顔で言葉を続けた。

 

「さっきここに来る途中に、住職代理って人に挨拶されたの」

 

 通りすがりの零観さんに挨拶をされたらしい。今度は言葉を出さずに続きを待つ。

 

「その時にこう言ってたわ。『メディアさんのお客人なら身内も同然。何かありましたら遠慮なく言って下さい』って」

 

 丁寧な物言いは住職としての顔で挨拶したからかお堅い感じだけど、内容はとても嬉しいものだった。これは柳洞寺の方々にも認められたと言う事かしら。こっそり魔術で舌の熱さを癒しつつ嬉しさを噛み締める。

 

「マスターどころか魔術師でもない一般人に真名を教えるなんて、何を考えているの?」

 

 ドンッとテーブルを叩いて気持ちを表す。彼女の前の湯飲みが揺れてお茶が零れそうになるが、すかさずライダーが手に持ち零れぬようにし、すぐさま元の位置へと戻していた。

 

 私の真名をイリヤスフィールが知った理由は理解した。彼女が怒るのも、聖杯戦争に参加する魔術師であれば当然のことかもしれない。普通は真名を隠すものだし。でもねぇ。

 

「一緒に住んでる人達にキャスターさんとか言われるのは嫌よ。私には父アイエテスと母エイデュイアより名付けられた、誇るべきメディアという名があるんですもの」

 

 普通に生活している空間で、セオリー通り聖杯戦争のクラス名で呼ばれるのは嫌だった。だからと言って別の偽名を名乗るくらいなら、誇るべき真実の名を名乗りたい。それが宗一郎様を始めとした柳洞寺に住む人達に対する、何も持ちえぬ私のせめてもの敬意だ。

 

「大体、貴女だってバーサーカーの真名を隠してないでしょ?」

「……む。ん~」

 

 私の反論に腕を組み悩む姿すら愛らしい。イリヤスフィールの可愛らしい容姿と動作は年上に好かれるのではなかろうか? 証拠にライダーが金平糖を手に取り餌付けしようとしていた。

 

「言われてみればそうね。実力に自信があれば堂々と名乗るべきよね」

 

 金平糖を舐めながらうんうんと首を縦に振っている。彼女の場合は私と違い、自分のサーヴァントであるバーサーカーは大英雄ヘラクレスで凄いのよ! と自慢したいからの同意であろう。

 

「あ、それとライダーから聞いたわ。マキリが偽りの聖杯を用意してた事。貴方がそれを使えないようにしたらしいからお礼を言っておくわね」

 

 待っている間にライダーから間桐――マキリの顛末を聞いたらしい。イリヤスフィールは私に頭を下げた後に、視線を横たわる間桐桜へと向ける。

 

「マキリがここまで歪んでしまうとは思わなかったわ。驕ったものね。聖杯の器が務まるのは私だけなのに」

 

 言葉だけを聴けば、勝手に別の聖杯を生み出そうとしていた間桐を蔑む傲岸不遜と思うかもしれない。けれど哀愁を帯びた横顔は、同じ役目を押し付けられた間桐桜に同情しているように思えた。

 

 

 

 

 

 イリヤスフィールの黙祷を待ってから次の話題へと移行する。むしろやっと本題に入ると言うべきか。お互いに踏み込む前の準備が終わり、聖杯の担い手と聖杯を狙う魔術師としての会話を始める。

 

「さて、イリヤスフィール、今回の聖杯戦争での貴女の立ち位置を明確に教えて欲しいわね。マスターの一人として参戦するのか、それとも……」

 

 目を細め相手の出方を窺う。もし彼女がマスターとして参戦すると言うなら、私の神殿内に居る今この場で戦うのも辞さない。そんな思いを視線に乗せたのだけど。

 

「アレがアインツベルンの行いで発生したと知ってて、平然とマスターとして参加する事は出来ないわ。私は勝ち上がったマスターの望みを正しく叶えさせる為に行動する。それがアインツベルンの魔術師、何よりも聖杯の担い手としての義務だと思ってるわ」

 

 それが当然と言わんばかりのイリヤスフィールの態度に、私は複雑な気持ちになってしまった。敵対はしないと言う望んでいた回答ではあるが、既に彼女は自分を犠牲にする覚悟があると知って。

 

 聖杯の器を身に宿しているのだから、冬木に来る前から覚悟が出来ていたのかもしれないが、実際に本人の口から聞くと悲しさや痛ましさと憤りを感じてしまう。

 

 とは言え、自分の感傷に流される訳にもいかないので魔術師らしい態度で会話を続ける。

 

「では貴女は最後まで中立と言う事でいいのかしら?」

「ええ」

「仮に、貴女の弟と戦う事になり殺してしまっても?」

 

 さすがにこの質問には即答しなかった。が、思ったよりもすぐに返事が来た。それも逆に私が返事に困る感じで。

 

「そうね。シロウが死んだとしても貴女と敵対はしないわ。でもキャスター、貴女、シロウを殺す気はないでしょう?」

 

 自分の望みの為には他者を平然と犠牲にするのが魔術師だ。私の時代はそうではなかったが、この時代の魔術師はそうだと言う事を知っている。だからこの会話が始まってからはそれに相応しい空気を纏い、いざとなれば何でもする非情な雰囲気――目を細め鋭くしたり――を演出していたつもりなのだけど……。

 

「貴方が来るのを待ってる間にライダーの話を聞いたけど、ライダーが襲ってた一般人を助けたり、見逃す必要も無いサクラのお兄さんを見逃したり、支配下に置いたライダーを令呪で縛らなかったり」

 

 イリヤスフィールからライダーの方へ顔を向けると、さっと顔を逸らされた。口止めしていなかったからって間桐の聖杯の事だけではなく、何を何処まで話しているのかこの元女神は。

 

「そんな貴女がシロウを殺すなんて考えられないもの」

 

 言ってから湯飲みを両手で持ちズズズとお茶を啜っている。彼女は私がそうである事が当たり前のように言うが、ここは正しく訂正しなくてはいけない。私はそこまでお人好しでも善人でもないのだから。

 

「悪いけど、最悪の事態となれば衛宮士郎には死ぬよりも辛い目に遭ってもらう事になるわよ。彼だけではなくライダー、貴女もね」

 

 私の事を勘違いしてる二人に冷たく言い放つ。実際に衛宮士郎やライダーには最悪の事態の時、結果死ぬと分かっていてもやってもらう事がある。

 

 心の内にある残酷な魔術師としての本音を見せ付けた……のだけれど。

 

「らしいわよ、ライダー」

「そうですか。その時は仕方ありません。それよりも貴女の方は良いのですか?」

「ん? キャスターが『最悪の事態』って言うならしょうがないわよ」

 

 気軽な調子で私の言葉を受け入れる二人。解せない。何故この二人はこうも和んでいるのか。イリヤスフィールは中立を宣言したのでまだわかるが、ライダーは直接死刑宣告をしたようなものだと言うのに。

 

 お菓子を取って世話するライダーと、それを平然と口に入れ美味しそうに食べているイリヤスフィールを見て、自分でもよくわからない敗北感に襲われる。現代の魔術師っぽく振舞っていた私がまるで馬鹿みたいではないか。

 

 私の時代の魔術師と言えば、知恵ある識者や神の代弁者などがいた。民の指導者である彼らは現代の魔術師ほど冷酷ではなかったし、神秘の秘匿も大らかだった。もちろん、月の女神に仕える巫女だった洗脳される前の私も含めてだ。

 

 何かに負けた気分を盛大なため息と共に吐き出し、心中で「よし」と声を出し気持ちを改める。

 

「イリヤスフィール、立場を明確にした貴女に今度は私が応えます」

 

 赤い瞳が私を射抜く。真剣な眼差しが心地良い。彼女が食べている最中のバリボリと鳴るお煎餅を齧る音が台無しにしているが。

 

「私はキャスターのクラスで招かれたコルキスの王女メディア。此度の聖杯戦争で聖杯に託す私の願いは――――」

 

 話を聞いてイリヤスフィールとライダーの表情が驚きに変わる。その後に怪訝な顔へ。話し終わると呆れた気配を二人から感じた。

 

「貴女って欲張りなのね」

 

 イリヤスフィールに心底呆れた風に言われてしまう。自分でも強欲かもしれないと思っているので否定はしない。でも私が生きていた時代、神代であってさえも望外な奇跡である聖杯。それに見合う願いではないかと思う。私が恨む女神に対する復讐に十分だと思うくらいには。

 

 マスターの宗一郎様やアサシンにも伝えていない私の願いを言ったせいか、体が軽くなった気がした。宗一郎様を大切に思うからこそ伝えられない願い。伝えれば、きっとあの人は私が居なくなっても命を賭けて叶えようとしてしまうから。

 

 アサシンは私の願いを知れば予定外の行動に出るかもしれないから伝えていない。教えたら宗一郎様に言いそうな気もするし。

 

 求めていた答えを得られ満足したのか、イリヤスフィールに在った微かな緊張が霧散していく。自らの手でお菓子を選び取る姿は見た目相応に微笑ましい。まるで聖杯戦争とは無縁なただの女の子に見えた。

 

 そうね。折角彼女が柳洞寺に来たのだし、聖杯戦争とは関係ないけどあそこに連れて行きましょうか。

 

「私の方はまだ伝えたい事があるのだけれど、話も一区切りしたし、少し散歩でもどうかしら? 貴女を連れて行きたい場所があるの」

 

 

 

 

 

 ライダーと霊体化していたバーサーカーを部屋に残し、イリヤスフィールと二人で柳洞寺の裏手にある墓地へとやって来た。最初は騒がしかった彼女だったが、進むにつれ口数が減り、ある墓石の前に来るとぴたりと口を閉ざした。

 

 道中で私が何処に連れて行こうとしているか悟っていたのだろう。イリヤスフィールは目の前に在る墓石に刻まれた文字を見たまま動かない。私も何か言うでもなく、黙ったままの彼女を静かに見守る。

 

『衛宮家之墓』

 

 幼き日に別れ、誤解したまま半生を過ごし憎んでいた相手。その憎しみは心からの憎悪ではなく、娘として愛情を求めていたからではないかと思っている。

 

 イリヤスフィールは真っ直ぐ墓石を見ていた。時が止まったかのように動かず、世界から彼女だけが切り取られた光景がそこにあった。

 

 ここに連れてくれば怒るか泣くか、彼女が感情を激しく露にすると思っていた私は段々と不安を感じてきていた。亡くなった父親と対面させるべきだという思いは、私の身勝手な大人の理屈だったのかもしれない。

 

 慙愧の念に堪えない私の耳に小さな声が届いた。

 

「キリツグ、死んじゃったんだ……」

 

 喋ったと言うよりは零れ出たと言うべきか。本人も言った自覚があるか怪しい。だって彼女は変わらずただ前を見たままだったのだから。

 

 その姿を見て、私は堪らずイリヤスフィールを抱きしめた。立っていた彼女は抵抗どころか反応すら示さずに私の胸の内に収まる。

 

「イリヤスフィール、こういう時はね、怒っていいのよ。どうして自分に会う前に死んじゃったのって。そして泣いていいの。また会いたかったと」

 

 言葉をかけても初めは反応はなかった。しかし徐々に腕の中の少女の体が震えていく。そうして少女の嗚咽が聞こえてきて、少しだけ抱きしめる腕に力を入れた。

 

 冬の曇り空の下、暫くの間、涙を流す少女を抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 お墓参りを終えて柳洞寺へと戻る道すがら、イリヤスフィールに話しかけた。

 

「貴女には私が事を成せなかった時の後を託すつもりでいるわ」

 

 私の右手の先に居るイリヤスフィールは、真面目な話だと察して微笑みを消し表情を引き締め私を見上げた。それでもどことなく柔らかな顔ではあったが。

 

「私を含めたサーヴァント全員の詳細を教えてあげる」

 

 私自身の事も教えるのは、聖杯に潜むモノに私が取り込まれ駒にされた場合に備えてだ。私の宝具『破戒すべき全ての符』は魔術儀式である聖杯戦争において、使い方次第では状況を覆す一手と成り得る危険な宝具。私の奥の手ではあるが、教えない訳にもいかない。

 

 それとは別に彼女には特に念を押して伝えておかなくてはいけない事がある。

 

「バーサーカーは強いけれど天敵と言うべきサーヴァントが一人居るわ。受肉を果たし前回の4次から生存する8番目のサーヴァント。もし彼の王、英雄王ギルガメッシュと対峙する事があれば逃げなさい」

 

 言葉に乗せた私の想いを感じたのか、イリヤスフィールはしっかりと頷いた。バーサーカーを最強と信じて疑わない彼女の、その素直すぎる反応をどうとればいいのか。

 

「まぁ詳細は戻ってから教えてあげるわ。ライダーやバーサーカーにも教えておきたいし」

 

 ライダーは協力者として。バーサーカーは狂化されているが、それでも彼の理性の芯は残っているはずなので教えておくべきでしょう。女神ヘラすら手を焼いた彼の理性を、人間の魔術師が施した術式ごときで全て奪えるとは思えない。

 

 問題は英雄王に対して臣下の礼をした私は、仮初とは言え彼の臣下に他ならない。その私が英雄王の事を他者に教えるのは裏切りかもしれないが、最古の王がそんな狭量ではないと信じたい。自らの王の偉業や生き様を伝えるのは臣下の務めだと許して欲しいものである。

 

 様々な言い訳を思い浮かべつつ右手の先、手を繋いで歩くイリヤスフィールを見た。

 

 もしイリヤスフィールと英雄王が敵対する事になれば、私はどうするだろうか。単純な戦闘力ですら圧倒的に劣っているし、神の血を引く私はバーサーカーと同じく『天の鎖』を使われれば為す術がない。だからこそ臣下の礼をとったわけだが――――。

 

「あっ」

 

 小石に躓いたのか、体勢を崩したイリヤスフィールが私の右手をギュっと強く握った。反射的に私も彼女が倒れないようにしっかりと握り返し軽く腕を持ち上げた。

 

「大丈夫?」

「う、うん。大丈夫」

 

 声を掛けると顔を赤くして俯いてしまった。その反応を見て自然と笑顔になってしまう。

 

 亡き父親のお墓参りの後に、後を託すからと言って真面目な話ばかりでは良くない気がした。私らしくないなぁと思いながらも、努めて明るく軽い調子で声を出す。

 

「そう言えば、私とヘラクレスはアルゴー船で一緒に冒険をした事もあるのだけど――その時の話に興味はあるかしら?」

「あるある。あるわ。バーサーカーの伝承は調べたけど、実際にどうだったかは興味あるわ」

 

 子供そのものとしか見えない、目を輝かせた彼女の姿にクスッと笑ってしまう。私が笑ったのが分かったのか、今度は「む~」と不機嫌そうにしたのを見て再び笑ってしまった。余計に怒った彼女を宥める為に、望みの話題を提供した。

 

「ふふ、アルゴー船にはヘラクレスにも負けない英雄達が沢山いたわ。その中でも彼は第一の英雄と言っても過言ではなかったけれど、そんな彼に同じ弓の名手と言う事で絡む困った娘も居たりして――――」

 

 彼女も子供好きだったわね。なんて昔を思い出しながら話を進めた。話を聞くイリヤスフィールは本当に楽しそうな笑顔だった。

 

 

 

 

 

 聖杯戦争とは関係ないヘラクレスの英雄譚やイリヤスフィールの侍女自慢、果ては私の生活の愚痴やライダーの間桐に対する辛辣な悪口等で盛り上がり、気づけばかなり時間が経っていた。

 

 ちゃんと全てのサーヴァントの事も伝えたので問題ないとは思うが、後から考えると少し心配だ。

 

 イリヤスフィールのセイバーに対する恨みは、アルトリアと言う少女の願いを知って解消出来ただろうか。義弟の未来であるアーチャーの事を教えたら、色々な物事に対してプンスカ怒っていたが大丈夫だろうか。

 

 その後に帰宅した宗一郎様の「こんな時間だ、良ければ夕食を食べていってもらえばどうだ?」と言う発言で、宗一郎様を含めた4人で夕飯を食べた。ライダーやイリヤスフィールが居たからか、気を使い一成君はお寺の人達と食べたようだ。

 

 夕食を終えイリヤスフィールを見送って自室へと戻り、「娘を送り出す母親の心境か」と楽しそうに言ったアサシンへのお仕置きを考えていると、当のアサシンから念話が入った。

 

『セイバーのマスターがお主に話があるらしい』

 

 昼に箒で躾けた成果として――1発も当たらなかったが――アサシンがまず連絡してきた事に満足感を得て立ち上がる。

 

 衛宮士郎が話があるとやってきた。敵対した覚えはないが、私の行動の内の何個かはあの正義の味方には耐え難い事だろう。来るのが予想よりも早いが、特に問題もありはしない。

 

 時刻は既に夜。ラフな私服からキャスターのサーヴァントに相応しい姿へと変わり、転移の魔術を発動させる。向かう先で待ち受けるのは聖杯戦争と言う名の闘争の場。戦う覚悟を求められるのは坊やか、それとも私か。

 

 転移し石段に出るとアサシンとは別の4つの気配を感じた。眼下に並ぶ少年と少女、彼等を守る様に立つ二人の英雄。

 

「ふふふふ、こんな夜分に訪ねて来て、私に聞きたい事とは何かしら? 坊や」

 

 己が正義を持つ彼等に、冷酷なキャスターの仮面を被り相対した。

 

 

 

 


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