光纏え、閃光の騎士   作:犬吉

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いよいよ5巻突入です。原作ではちょっとしか出番のないあの人が出張ったりなんだりとしております。


ストレンジャー・ツインテールガール


 陽月学園は一学期の終業式を終え、明日からいよいよ夏休みへと入る。濃厚すぎる約4ヶ月。振り返ると碌な事がなかったような気がする。特にエレメリアン関連で。

 ツインテール部も明日からの活動方針を決めた。今後のアルティメギルトの戦いを見据えての強化合宿。表向き文化系の部活だが、その実は世界を守るために戦う秘密組織なのだから、とは慧理那の言だ。

 その後、理事長である神堂慧夢が部室に来襲したり、その際に余計なことを言って女性陣を焚き付けたり。男性陣は聞き耳を立てるなとばかりに塞がれたが、正直口元の動きで丸わかりだった。

 仲の進展。あわよくば婿の選定。あからさまな挑発にしかし女性陣は大いに反応していた。知らぬは総二ばかりだ。

 かくしてツインテイルズは強化合宿を行うわけだが、まだ行き先は決まっていない。明日からはその辺りの話し合いを行う予定だ。

「それにしても暑いな……」

 青空には雲ひとつなく、太陽がこれでもかと熱を放出している。コンビニで買ったアイスクリームもまたたく間に溶けてしまいそうだ。

 鏡也は途中の公園にある木陰にあるベンチに腰を下ろした。袋から取り出したアイスは、値段も学生の財布に優しいながら食べごたえのある、ソーダ味の氷菓子だ。

 一口齧れば、またたく間に口内が南極のように冷える。ガリガリと齧るには頭痛がするが、それもまた、夏の楽しみの一つである。

「平和だ……実に平和だ」

 セミがミンミンと鳴きじゃくる公園に、自分以外の人影はない。さすがの遊び盛り世代も、この熱波の中では公園で遊ぶわけには行かないようだ。しかし、この人気のない公園も、日常的な騒々しさから比べれば、実に魅力的だ。特にバイオレンスと無縁なのが良い。

「あら、きょー君じゃない」

 鏡也がしばし平和を享受していると、不意に声が掛けられた。ふんわりとした穏やかな声。その方を向けば、白を基調としたワンピースに、フリルのついた上品な日傘。艷やかな長い髪と隠し知れないスタイルの良さ。その立ち姿一つとっても上品で、どこかの避暑地で見かけたならば、どこのご令嬢かと思ってしまう。

「げっ」

 しかし、その顔を見た鏡也の表情は途端に曇った。目が座り、眉をひそめ、心底嫌気な顔になった。

「……どうもこんにちわ。恋香さん」

「あらやだ。もうちょっと言葉と表情を近づける努力をしてくれないの?」

「これでも精一杯の努力なんですけどねぇ~」

 イヤミたっぷりに言ってみるも、相手は意にも介せず近づいてくる。

 鏡也は基本、社交的だ。どんな相手にでも基本、礼儀は守る。それにも当然例外がある。それがこの人物。

 名前を津辺恋香。陽月学園大学部に通う、愛香の実姉である。

 

 津辺恋香を表すとすれば、『明眸皓歯』、『窈窕淑女』、『雲中白鶴』。平たく言えば理知的でたおやかな美女。

 その美人ぶりは途方もなく、初等部に通っていた頃、何度となく告白を受けている姿を目撃していた。

 中等部に上がった頃からは更にその量は増え、高等部時代はバレンタインデーなどに、毎年伝説を作り出していた程だ。

 まさに完璧。まさに無欠。それがこの津辺恋香という人物である。

 

 ――もちろん、そうでないことを鏡也は知っている。完璧完全な人間などこの世に存在しない。それはこの恋香をしてもそうだった。ただ、恐ろしいまでに隠蔽しているのだ。そのダメっぷりを。

 恋香を可憐な花と喩える男は多い。しかし、その花がラフレシアのような腐臭を放っていることに気付いている男は鏡也以外にはいない。

 

 そう、彼女は――性根が腐っているのだ。ただし、妹である愛香に限定して。

 彼女は妹の愛香をとても可愛がっている。その幸せを心から願ってもいる。愛香の笑顔を見れば心から顔を綻ばせる。

 ただ、同時にそれを悲嘆の色に染め上げ、泣きじゃくり、自分にすがりつく様を思う存分愛でたいという、倒錯極まった性癖の持ち主でもあるのだ。

 その為ならば、妹の想い人を寝取るぐらい――彼女はヤる。そういう凄みを持っている。

 鏡也がそれに気付いたのは偶然だった。愛香が恋香に対してとある心情を吐露した時だった。

 恋香がどこかの男子に告白を受け、それを断ったのを愛香と目撃してしまったのだ。

 その後、愛香が恋香に「自分のせいで恋人を作らないのか?」と、泣き声混じりに尋ねた。その頃の愛香は既に小魔王姫(サタンプリンセス)として、その悪名を学区外にも知らしめていた。そんな自分が敬愛する姉の足を引っ張っているのではないかと言うのは、当時の愛香の深い悩みであった。

 そんな愛香に、恋香は優しくこう答えた。「そんな事ないわ。可愛い妹が邪魔なものですか。ただ、彼氏とかそういうのに興味がないだけよ?」と。そして優しく、愛香を抱きしめた。

 なんと心温まる姉妹愛であろうか。鏡也もそう思った。ほんの一瞬、恋香が本性を覗かせなければ。

 愛香を抱きしめた恋香の顔に、ドロドロに歪んだ喜悦の色が浮かんだのだ。それは今まで鏡也が抱いていた、聖母のような恋香像とは明らかにかけ離れたものだった。

 一目した瞬間、背筋を走る怖気。あまりにも仄暗いその笑顔に鏡也は戦慄した。これが、恋香の本性なのだと。

 それはすぐに消えたが、見間違いなどではない。恋香の三日月のように細まった瞳が、鏡也を捉えていたから。

 

 それ以来、鏡也は恋香との距離を取るようになった。もともと、愛香との接点以外で関わることもない相手だったので問題ないと思われたのだが、時折こうやって予期せぬ遭遇をしてしまうことが増えた。

 というのも、恋香が愛香との約束で総二との接点を極力減らすようにした結果だったらしい。

 それならそれで挨拶だけで通り過ぎれば良いのに、恋香は毎回、わざわざ鏡也のところまでやって来るのだ。

「それで、実のところどうなのかしら?」

「何がですか?」

「総ちゃんと愛香のことよ。どれぐらいの仲になったかなって。一緒にいるんだから、アレなところとかソレなところとか、目撃しちゃたりしてるんじゃないかな?」

 真夏の昼とは思えない程の寒気を感じさせる、恐ろしい微笑み。最早、隠す気すらないそれに、鏡也は自然と距離を離した。

「全然そういうのはないんで。じゃ、俺は帰りますんで。恋香さんもとっととどっかに行ってください。ブラジルあたりが良いんじゃないですか。日本のちょうど裏側ですからお薦めですよ」

「あら。相変わらず冗談が上手ね」

「冗談と思うんですか?」

「違うの? 違わないわよね? そうでしょう?」

 何が楽しいのか、コロコロと笑う恋香。彼女に恋し、慕う者達が見たならば、とても同一人物とは思えないだろう。むしろ宇宙人か異星人かドッペルゲンガーと入れ変わってしまったのではという方が説得力があろう。

「はいはい。そうですね。それじゃあ、俺はこれで」

「じゃあ、行きましょう」

「は?」

 気付けば、恋香の腕が鏡也のそれに絡まっていた。愛香とは新月と満月程に差がある胸が、遠慮なく押し付けられる。髪からはシャンプーの良い匂いが漂い、覗く首筋から鎖骨のライン一つとっても白磁の芸術品だ。この仕草一つだけで、男性は軒並み陥落するだろう。

「帰るんでしょう。じゃあ、暇ってことよね? ちょうど今日の夕ごはんの買い物に行くところだったからお姉さん、助かっちゃうな~」

「そうですか。じゃあ、さようなら」

「ごめんねー。荷物持ってくれるなんて優しいわねー」

「あだだだ!? どこにそんな怪力が……っ?!」

「人聞きが悪わね。ちょっとしたコツがあるだけよ」

 笑顔でギリギリと腕を捻じり上げる恋香。愛香ほどではないが、彼女もまたそれなりに鍛えているのだ。

「さあ、今日は男手があるからいっぱい買うわよー!」

「いたたた! 引っ張るなぁ!!」

 かくして、鏡也の穏やかな午後は終わりを告げるのであった。

 

「で、何を買うんですか?」 

 駅前のデパートの地下食品売り場。新鮮な生鮮品はもとより、多種多様な惣菜も並んでいる。

「そうねぇ。ここのところ暑いし、夏バテしないようにガッツリしたもののほうが良いかしら。このところ愛香も妙に忙しいみたいで寝不足っぽいし、今度部活の合宿もあるって言ってたから、いざという時にスタミナが無いと困るものね」

「はあ」

「ああ、でもスタミナをつけるなら男の子の方が良いかしら? 未春おばさんに言ってみるべきかしら……ううん、未春おばさんなら言う必要もないわね」

「はあ」

「それじゃ、何にしようかしら。夏だし、うなぎの蒲焼に山芋下ろし? それとも王道な豚の生姜焼き? あまり重すぎるのは駄目かしら? きょー君はどう思う?」

「知りませんよ。何だって良いじゃないですか」

「もう。なんでも良いとか一番困るんだけど」

「だって俺、食わないですし」

「じゃあ、今日うちで食べていく?」

「遠慮します」

「なら、愛香を食べてく?」

「馬鹿じゃないですか?」

「じゃあ……私にする?」

「帰ります」

「あ~っ、ちょっと待って! 冗談だから」

 などとやり取りをしながら、鏡也は恋香の買い物に付き合わされた。端から見れば、イチャついてるカップルにしか見えない光景であり、いささか嫉妬のこもった視線が送られていた。

 

 買い物を終えて、津辺家へと帰ってきた。荷物持ちゲットの言葉に恥じぬ大量の荷物であった。キッチンまで荷物を運び込み、大型の冷蔵庫の中に食料品を詰めていく。

「ごめんね。助かっちゃったわ」

「それじゃ、俺はこれで」

「ああ、待って。今、冷たいお茶入れるから飲んでいって」

「いや結構です」

「それじゃ、そこに座ってて」

「人の話聞いてます?」

 恋香によってソファーに半ば強引に座らされた。少しすると、アイスティーが出される。

「ごめんね。少しお話したいと思って」

「何でしょうか?」

 恋香の真面目そうな雰囲気に、アイスティーを一口して口を湿らせると鏡也は返した。

 

「きょー君。テイルレッドちゃんとお付き合いしてるの?」

「なに? 熱射病にでもなった?」

 

「私だって、冗談めかして言ってるんじゃないのよ?」

「冗談以外の何物でもないなら、その方が問題ですけどね。なんでそんな話が出てくるの?」

 本当に、冗談であって欲しい話だ。

「今迄だったらね、総くんと愛香の付かず離れずな距離感もそれなりに見守ってあげてて良かったんだけど……このところ色々あるでしょ。アルティメギルっていう異星人とか、ツインテイルズとか」

「あ……ああ、うん、そうですね」

「特にツインテイルズ。あのツインテール、私の目から見てもすごく素敵だったわ。ツインテール大好きな総くんにはたまらないんじゃないかしら。特にテイルレッドちゃん。あの子のツインテールはブルーやイエローと一線を画する凄さがあったわ。実際に逢ってるきょー君には言うまでもないと思うけど」

「……そうだね」

 元々、ツインテールに並々ならぬ思いを抱いていた総二だったが、この4ヶ月で途方も無い成長を遂げていた。たしかに、総二とテイルレッドの関係を知らない人間から見れば、総二がどれだけあのツインテールにご執心かと思うだろう。

「愛香が頑張って磨いてきたツインテールだけど、それだけじゃ危ないかも知れない。ただでさえ、最近の総くんってば、格好良くなっちゃってるもの。総くんの魅力に気付いちゃう子も出てくるんじゃないかしら?」

 どうだろうなあ。と、鏡也は考える。出てこない、とは言わないが、それはそれで相当癖が強そうな気がした。

「だからね、きょー君がテイルレッドちゃんとくっついちゃえば愛香も安泰かなって。それに今度の合宿はいい機会だと思うの。普段と違う環境になれば、奥手な愛香も、きっとヤッてくれると思うの」

「言いたいことは分かるけど、そのフィンガーサインは自重しろ!」

 指三本で示すサインに、鏡也もツッコまずにはいられなかった。

「とにかく、きょー君には期待しているからね。男らしくキメてね?」

「やっぱ、熱にやられてるんじゃないの?」

 この自重を失った大学生を、世界のためにどうにかした方が良いのではないかと本気で思う鏡也だった。

 

 ◇ ◇ ◇

 

 一日の終わりというのは、やはり安らぎに満ちていて欲しいと思う。寝床に入り、瞼を閉じる。充実した睡眠は一日の疲れ、特に精神的な部分を癒やしてくれるのだ。

 特に今日は環境音をそこはかとなく聞こえるように流し、アイマスクまでして、快眠を得られるように仕込みも十分だ。

 だというのに、である。

 

「やん。お兄ちゃん、ツインテールの触り方、とっても上手だね。ロロリー、どきどきしちゃうよ」

「そ、そうかな? ありがとう」

 

 何故、どうして、夢の中で幼馴染が幼い少女を胸に抱いて、ツインテールを撫でているのだろうか。

 そして、そんな様子をなんで夢に見なければならないのか。鏡也は無性に腹が立った。

 

「おらっ」

「いでっ!」

 

 だから、そのケツを蹴り上げてしまうのも仕方のない事なのだ。尾てい骨の良い辺りに当たったのか、夢だというのに総二は尻を押さえて悶え苦しんでいる。

「きょ、鏡也……!? なんで俺の夢の中に出てくるんだよ……?」

「馬鹿言うな。お前が、俺の、夢の中に出てるんだろうが」

「いや、だって……」

 夢だというのに、えらくリアルな反応をする総二。鏡也は自分の頭の中がどうなってるのか、いささか心配になってしまった。

「だいたい、人の夢に出てきてまでツインテールを愛でるな。お前がいくらツインテール好きと言っても限度があるだろう」

「何を言ってんだ! 俺のツインテール愛に限界なんてないに決まってるだろ!」

「お前のそれが不治なのはもう今更だ。自重しろという意味でだ」

「病気みたいにいうなよ……」

 総二はいささかげんなりしたように言った。夢だというのに本当にリアルだ。

「それで、これは何だ?」

 鏡也は未だ、驚きの表情のままに固まっている謎の少女を指差した。

「あ、ああ……この子はロロリー。なんでも別の世界のツインテール戦士だって」

「別の世界の? 夢にしたって、何でツインテールが……俺の夢ならそこは眼鏡だろう」

「いや、だからこれは俺の夢なんだって」

 鏡也は頭を振る。もしかしたらアルティメギルやらテイルレッド信奉者やらソーラファンの襲撃など、度重なるトラブルによるストレスが原因なのかも知れない。一度、全てを忘れて湯治にでも行こうか。そうだ、草津に行こう。

「な……な……っ」

 などと夢の中ですら現実逃避する鏡也に向かって、謎の少女ロロリーが震える指を指してくる。

「何で此処に別の人が来るの!? ここはロロリーとお兄ちゃんだけの世界の筈なのに!?」

「知らん。別の世界でもなんでも良いから、早く帰れ。眼鏡じゃないなら用はない」

 ヒラヒラと手を振って、元の世界へと帰れと促す。するとロロリーはハッとしたようにそのつぶらな目をこれでもかと見開いた。

「まさかお兄さん……」

 

「噂に聞く間男さん!?」

 

「おい総二。本当に何なんだこれは?」

「いたたた……! こめかみ……こめかみがイヤな音を立ててるぅ……!」

 あまりに惚けたことを言うもので、鏡也はついその顔面を鷲掴みにしてしまった。相当の苦痛なのか、逃れようと必死な余り、シャチホコ並みに反り返っている。

「おい、鏡也! 離してやれよ!」

「安心しろ、ツインテールには傷一つ付けん。心配するな」

「あ、なら安心かな……?」

「お、おにいちゃん……だまされ……てるよぉ……!」

 ロロリーにしっかりと制裁をくわえたところで、鏡也は改めて尋ねる。

「それで、異世界の戦士とやらが何で、俺の夢に総二と一緒に出てくるんだ?」

「はうぅ……お兄ちゃん、ロロリーの頭大丈夫? ひょうたんみたいになってない?」

「ああ、大丈夫。問題ないぞ………異世界にひょうたんってあるのか?

 人の話を聞かず、メソメソしながら――嘘泣き臭いが――ロロリーが総二に擦りつくように甘えている。ゴキッと指を盛大に鳴らしてやれば、ロロリーの肩がビクッと震えた。

「さ、さっきも言いましたけど、ここはロロリーとお兄ちゃんだけの世界なんですぅ。だから本当は”誰も来ることは出来ない筈”なんですぅ」

 へそを曲げたような口調で、口をとがらせながらロロリーは答える。

「なのに、ここに来られたってことは……お兄ちゃんとスゴく深いところで繋がってるって事になっちゃうんですぅ! つまりお兄ちゃんの間おとk」

「そこから先を僅かでも口にしたら、本気でやるぞ?」

 何をやるのか。さっきのフェイスクローより恐ろしい事か。想像もできない恐怖にロロリーは「ひっ」と短い悲鳴を上げた。

「だって、だって……ロロリーの声は世界で一番ツインテール属性が強い人にしか届ないんだもん! ツインテール属性がない鬼畜眼鏡お兄さんがここに来られる可能性は、それしかないんだもん!」

 逆ギレ気味に叫ぶロロリー。そこまで言うのなら、そういう事なのだろうかと鏡也は思った。が、それはやはり無い、と改める。その理屈なら、同じツインテール属性の愛香のほうが先に来る筈だからだ。

(凄く深いところ……か)

 脳裏に一瞬だけ過る幻を振り払うように頭を振る。ロロリーの体が淡い光りに包まれているの気付き、顔を上げた。

「とにかく、これでお兄ちゃんとロロリーは本当に繋がったから! 絶対に来てね! お城で待ってるから!」

 ロロリーの体がフワッと宙に持ち上がる。そのままゆっくりと高度を上げていく。

「あと、鬼畜眼鏡お兄さんは絶対に来ちゃダメだからね! べーっ、だ!」

 これでもかと言わんばかりのアッカンベーをして、世界が光に呑み込まれる。光はあっという間に視界を染め上げる。

 

 

 気がつけば、鏡也は目を覚ました。アイマスクを外し、枕元の眼鏡を掛けて今の時刻を確認すれば、午前6時。

「何だったんだ、あれは……?」

 つい、トゥアルフォンで『男友達 幼女 ツインテール 夢』で検索を掛けてしまう。当然、該当はなかった。

 眠気は多少あるが、二度寝する気にもならないし、今日は夏休み初日であり、ツインテール部の夏休み活動の初日でもあるのだ。

 制服に着替えた鏡也は、ふと窓の外を見やった。雲一つない快晴である。その晴天に誓った。

 

 

 あのロロリーというツインテールには、鬼畜眼鏡お兄さんという不名誉極まりない呼び名を絶対に修正させる、と。

 

 




※検索結果は本当にそうなります。

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