「おかえりなさい、総二様」
「ああ、ただ今トゥアール」
変身を解いた時、ソーラ・ミートゥカは消え、観束総二に戻っていた。これで全ての問題は解決したと安堵する一同。
「お疲れ様。大変だったようだな」
と、鏡也が部室備え付けの冷蔵庫からジュースの缶を取り出して渡してきた。自分も相当に消耗しているだろうに、それを
「ありがとう。はい、そーじ」
「お、おう……」
「何だよ一体? 総二が元に戻ったからって、がっつき過ぎだろう?」
「そんなんじゃないわよ。いいからほら、さっさと飲んで行くわよ。もう授業始まってる時間だし」
そう言って、ドアを開けた瞬間、完全防音から解き放たれた雑音が部室内に流れてきた。同時に、ドアがバシン! と閉めた。
「どうした愛香?」
尋ねる総二に、愛香はただ首を振って、ドアを開けてみろと視線を送った。首を傾げて少し開けてみる。
「ソォオオオオラァアアアアタアアァアアアアアアアアアアン!」
「お願いだから出てきてよぉおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ウォンテッドソーラ――――――!!」
学園を挙げてのソーラ大捜索が行われていた。いや、これは最早、極秘に来日したプリンセスが脱走して、それを山狩りのように捜索している程の規模だ。
そっとドアを閉じ、総二はうなだれていた。
「……また、ソーラにならなきゃダメなのかな」
「冷静になれ」
混乱する総二をどうにか思いとどまらせるために、その日は全ての時間が使われるのだった。
◇ ◇ ◇
「アラクネギルディが倒されたか。流石はわらわの嫁。そうでなければ拍子抜けよ」
アルティメギル基地の自室において、報告を受けたダークグラスパーが嬉しそうに独りごちる。
「せやけど、進化したスパイダギルディはんを倒すやなんて、いや強うなっなぁ」
テキパキとお茶の用意をしたメガ・ネプチューン=Mk.Ⅱがやってくる。
「そんで、次はどうするん? やっぱりビートルギルディはんにするん?」
「いや。その前に一つ片付けねばならんことが出来た」
ダークグラスパーはご丁寧に封蝋された便箋を取り出し、メガ・ネに見せた。
「読んでみよ」
「えーと、なになに………ほうほう。封印されていたけど脱走した裏切り者を捕獲せえと。久しぶりに”処刑人”としての仕事かぁ。あんまイースナちゃんの教育に宜しくないんやけどなあ」
「オカンか貴様は!? とにかく最後まで読め!」
「はいはい。えーと………”なお、この指令書は全文を読むと自動的に消滅する”………は?」
ボシュン!!
「やはり、そんな事ではないかと思っておったわ」
「ひどくない、イースナちゃん!?」
顔が程よく煤けたメガ・ネの文句も聞く耳持たずと、ダークグラスパーはお茶を口にする。
「それで……すぐに行くん?」
「いや、
「やらなあかん事って?」
問いかけるメガ・ネに、ダークグラスパーのレンズの向こうの瞳が鋭く細まった。
「あやつとの―――ナイトグラスターとの決着をつける!」
これにて4巻は終了です。
次回からはオリジナル展開です。