ペルソナ4 the K.C.   作:黒城優輝

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ギリギリセーフ!どうもです。黒城です。
今回はアンケートの結果を踏まえて、島風、龍田、金剛のコミュ回。
と見せかけて何故か陽介の説教回でもあります。

ちゃんとコミュが進んでるようにかけてるか不安…。




第十六話 待ちに待った給料日!後編

〜〜佐伯港・佐伯市漁業組合事務所〜〜

 

 

悠「というわけで、無事に敵の指揮艦を沈めることが出来ました。ですが、残党がいないとも限らないので、これから1週間は夜間にも哨戒と偵察を行います。

漁の再開は安全を確認できてからということでお願いできますか?」

 

豪旗「ああ!本当に、本当にありがとう!

感謝するぞ鳴上提督!」

 

皆に今後の予定を伝えた悠は、依頼の完遂を伝えるために漁業組合に来ていた。

これに、組合長の豪旗は大変喜び、電話を手に取り漁師仲間に片っ端から電話をかける。

 

豪旗「おい!漁の再開の目処が立ったぞ!

ああ、あの若いのがやってくれたわ!ガッハッハッ!おう!船や網の手入れをしとけよ?

1週間後だ!間違えるんじゃねえぞ!」

 

本当に嬉しそうに笑いながら電話をかける豪旗。悠もそれを見て嬉しくなる。

 

悠「では、俺はこれで失礼しますね?また何かあったら鎮守府の方に連絡下さい。」

 

豪旗「ん?おぉっと⁉︎お前さんのことを忘れとったわ!うむ、また何かあったら頼らせてもらうからの!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮・談話室〜〜

 

 

金剛「Hmm…」

 

足柄「何よ、難しい顔しちゃって。どうしたの?ライバルのよしみで聞いてあげてもいいわよ?」

 

 

所変わって寮の談話室。ソファーに座る何やら思案顔の金剛を見かけた足柄は、何事かと声をかける。

2人は悠を巡るライバルではあるが、足柄は元々気さくで世話焼きな性格なため、少しくらいは話を聞いてあげようと思ったようだ。

 

 

金剛「Ms.fryerデスか。実は最近、悠に避けられているんじゃないかと…」

 

足柄「…話が進まないから私の呼び方についてはとりあえず不問にしてあげるわ。

それで、避けられてるって?何かしたの?」

 

金剛「ま、まぁ…causeの心当たりはありますネ。」

 

足柄「一体何したのよ?彼に避けられるって相当よ?」

 

金剛「You want to hear my story?」

 

足柄「分からないわけじゃないけど、ちょいちょい英語で話すのやめてくれる?正直面倒よ。」

 

金剛「Oh sorry. 」

 

足柄「はぁ…まあいいわ。話してもらえる?」

 

 

金剛回想中…

 

 

金剛「というわけデース…」

 

足柄「うん。避けられて当然。欲望に身を任せてはいけないといういい事例ね。」

 

金剛「そこまで言う必要ありますカー?」

 

足柄「あるわよ?とりあえずあなたのおかげで過度な性的アプローチは逆効果ってことが分かったわ!」

 

金剛「What⁉︎」

 

足柄「貴重な情報ありがとう!よーし!これで戦えるわ!」

 

金剛「ちょっ!」

 

金剛はしまったと思った。

足柄は相談に乗るふりをして、悠の情報を自分から聞き出そうとしていたのだと。

そう彼女は考えたのだが…

 

足柄「さあ!作戦を考えるわよ〜!

あ、そうだ。ねぇ金剛?今のあなたに出来るのは、地道に信頼を取り戻すことよ。

まずは鳴上提督に謝ることから始めたらどうかしら?

話を聞く限り、提督にはまだ謝ってないんでしょ?」

 

金剛「!!」

 

足柄「敵に塩を贈るのはこの辺にしときましょうか。じゃあね金剛!最後に笑うのはこの足柄よ!」

 

足柄はきちんとアドバイスを残して去っていった。なんだかんだ言って狼は身内には優しいのだ。

 

金剛「Thank you 足柄…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市・駅前商店街〜〜

 

 

 

悠「うーん、佐伯市はあんまりおっきな街じゃないみたいだな。」

 

陽介(阿武隈)「商店街はしっかりしてるが…俺らが遊ぶようなとこじゃねぇな。」

 

 

あれから時間が飛んで1週間。

当初の予定通り鎮守府から街に遊びに来た鳴上提督一行。(ちなみに皆の服装は島風のみジャージ。他の皆は普段の制服である。)

哨戒任務も滞りなく終わり、何故か鎮守府前まで延びていた市営バスの路線をありがたく使わせてもらい、とりあえず駅前に来てみたが…

 

 

島風「ゆ〜う〜、つまんなーい!」

 

 

そう、若者の琴線に触れるものが少ないのだ。

 

八百屋に魚屋、精肉店、金物屋から駄菓子屋まで、昔ながらの商店街といった趣であり、オサレな雑貨屋やカフェなんてものはもちろん、ゲーセンなんかも残念ながら無いようだ。

悠個人としては、昔からありそうな老舗っぽい洋食屋や、ハイカラな喫茶店、いかにもな町のケーキ屋さん、怪しい骨董屋など、行ってみたいお店もあったのだが、今回は集団行動な為、フラリと立ち寄るなんてことも出来ずに、内心歯痒い思いをしていたりもする。

 

悠(後で1人で来るか…)

 

とりあえず一通り商店街を見て回った一行は駅前に戻り、どうしたものかと悩んでいると…

 

 

天龍「おーい!」

 

天龍が何か見つけたのか、手を振りこちらを呼んでいる。

 

龍田「どうしたの天龍ちゃん?」

 

天龍「おう!これ見てくれよ!」

 

吹雪「ワオンモール行きのバス停ですね。」

 

悠「ワオンモール?」

 

龍田「確か…大型商業施設の名前だったような…」

 

陽介(阿武隈)「ふーん、そこなら色々あるんじゃね?」

 

クマ(球磨)「てきじょー視察クマね!」

 

陽介(阿武隈)「お前はジュネスの回し者か…」

 

悠「じゃあここに行ってみるか。」

 

島風「さんせー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ワオンモール〜〜

 

 

島風「うお〜!大っきいね〜!」

 

悠「確かに…かなりの敷地面積だ。」

 

吹雪「鎮守府より大きかったりするんですかね?」

 

バスに揺られること15分。

駅から離れた郊外に作られた商業施設、『ワオンモール』に着いた一行。

手近な入り口から中に入り、まずはパンフレットを探す。

 

悠「お、あったあった。」

 

島風「悠、最初はどこに行くの?」

 

悠「そうだな。まずは腹ごしらえしたいんだが、みんなはどうだ?」

 

午前中は商店街を散策していたため、ワオンモールに着く頃にはちょうどお昼時となっており、それなりに歩いてもいた一行は、皆お腹が空いているのか、特に反論もなく悠の持つパンフレットを全員で覗き込んで、どこ行く?何にする?などと姦しく騒ぎ始める。

 

悠「ちょっ⁉︎ほら!近いから⁉︎自分らでパンフもらってこい!」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜フードコート〜〜

 

 

なんだかんだ騒いだが結局意見がまとまらず、フードコートで各々好きなものを食べようということになった。

 

悠「島風は牛丼でいいのか?」

 

島風「うん!テレビで速いって言ってたもん!どれくらい速いのかな〜?」

 

悠「速さ基準なのか…」

 

天龍「あん?速さなら蕎麦の方が速いんじゃねーの?」

 

島風「えー?でも蕎麦って茹でるじゃん。」

 

天龍「ばっかお前、蕎麦茹でんのなんてチョチョイのチョイだっての。」

 

龍田「正直どっちでもいいわ〜。私は何にしようかしら?」

 

ある程度フードコート内は混んでいたが、無事に席を取ると、皆それぞれが食べたいものを求めて散り散りになる。

 

島風「悠!牛丼行こ!」

 

悠「え?俺も牛丼なのか?」

 

島風「ほら、早く早く!」

 

 

お昼チョイス中…

 

 

「「「いただきまーす!」」」

 

各々好きなものを買ってきて、全員揃ってから食べ始める一行。

悠と島風は牛丼。悠はフライドチキンのお店をチラチラと見ながらも、島風に引きずられ仕方なく同じメニューに。

陽介はビフテキ。ここなら里中に食われずにすむとのこと。

クマはラーメン。はがくれのラーメンの方が美味しかったクマー、と余計なことを言いながらズルズルと麺を啜っている。

吹雪はハンバーガー。普通だ。

龍田はS◯UW◯Y的なサンドイッチ。エビとアボカドメインで野菜たっぷりヘルシー。

天龍はてっきり蕎麦かと思っていたが、パスタにしたようだ。アサリが入っているのでおそらくボンゴレだろう。

 

 

 

「「「ごちそうさまでした〜!!!」」」

 

 

食事を終え、これからどうするかと、再びパンフレットを開き話し合う。

 

悠「島風に服を買ってやらなきゃなんだよな〜。」

 

陽介(阿武隈)「確かにあの痴女みたいなのとジャージだけじゃマズイよな。」

 

悠「あとは参考書も買わないとだし。」

 

陽介(阿武隈)「え?」

 

龍田「あら、じゃあ私たちが島風ちゃんの服を見繕っておくから、提督と花ちゃんは本屋に行ってきていいわよ?」

 

陽介(阿武隈)「ちょっ!なんで参考書⁉︎」

 

悠「だって俺たち受験生だし。」

 

陽介(阿武隈)「いや、今は俺艦娘…」

 

悠「元の世界に帰った時に今まで勉強した分忘れても知らないぞ?」

 

陽介(阿武隈)「…いや、まあ、そうだけどさ、え?マジで言ってんの?」

 

悠「泣き付かれても俺は知らないぞ?」

 

陽介(阿武隈)「だーッ!分かった!勉強すりゃいいんだろ!はぁ…」

 

悠「まあ、面倒と思うかもしれないがやっておいて損はないしな。じゃあ島風を頼んだぞ?」

 

龍田「任せてください。」

 

天龍「うっし、じゃあ俺も島風に服選んでやるよ!」

 

吹雪「私も何か買おうかな〜。」

 

陽介(阿武隈)「クマはどうする?」

 

クマ(球磨)「勉強はクマ分かんないから島風ちゃんの方に行くクマ。」

 

悠「よし、じゃあ俺たちは書店に向かうか。集合はどうする?」

 

天龍「この中央広場でいいだろ。」

 

悠「分かった。ここに…そうだな買い物が終わってなくても3時に一旦集まろう。」

 

 

 

 

 

〜〜凸屋書店〜〜

 

 

一旦皆と別れ、陽介と共に書店にやってきた悠。参考書を手に取り元の世界の物と比較し、役に立つかどうか品定めしていく。

 

悠「どうやら理数系の科目と現国は使えそうだな。」

 

陽介(阿武隈)「やっぱ歴史は完全に別モンだな。これ見ろよ、こっちの世界じゃアーサー王が実在してたらしいぜ?」

 

悠「あはは、んな馬鹿な…マジだ⁉︎」

 

衝撃の世界史である。

 

悠(読み物として買っていくのもありかな…)

 

2人で見て回ったため、あまり時間はかからずに使えそうな参考書をピックアップできた。

だが、これはあくまで建前だ。悠は陽介に、確実に2人だけで話したいことがあったため、このような手段を選んだのだ。

 

悠「なあ、陽介。」

 

陽介(阿武隈)「ん?どした?」

 

悠「こっちの世界に来てから仲良くなった子はいるか?」

 

陽介(阿武隈)「ん〜…そうだな、チビたちもそうだけど、フブキチとはよく連んでるな。」

 

悠「そうか。…じゃあ陽介はフブキチのことをどう思ってる?」

 

陽介(阿武隈)「どうって…友達とか同僚とか?そんな感じだけど?」

 

悠「じゃあ恋愛感情は?」

 

陽介(阿武隈)「はぁ?別にねーけど?てかなんだよ?急に変なこと聞いてきて。どした?」

 

悠「…俺たちはいつか元の世界に帰るだろ?」

 

陽介(阿武隈)「まあ、そりゃな。」

 

悠「その時、仲よかった子と別れる時どうなる?」

 

陽介(阿武隈)「は?まぁ、泣きながらお別れ言ってさようなら?」

 

悠「それが恋人だったら?」

 

陽介(阿武隈)「そりゃあ………ああ、そういうことか。」

 

悠「ああ、今生の別れになる。

俺が八十稲羽からまた都内に戻った時…あれも確かに『別れ』だったが、あれはまた会えるっていう確証があった。

だが、この『別れ』は2度と会うことが出来ない。間違いなく悲恋になるだろう。」

 

陽介(阿武隈)「あれか?金剛のアプローチを上手くかわしてんのも…」

 

悠「あまり仲良くなりすぎても別れが辛くなるからな。なら、最初から一定の距離感で接すれば…」

 

陽介(阿武隈)「おい、ちっと歯ぁ食いしばれ。」

 

悠「は?」

 

パァンッ!

 

悠「痛ッ!急に何するんだ⁉︎」

 

陽介(阿武隈)「お前なぁ!それじゃあ金剛の想いを踏みにじってんのと同じだぞ!

適当にいなして、気持ちに気付かないフリして!それでもあいつが諦めずに向かってきても、まともに向き合わない!それこそ悲恋じゃねーか!」

 

悠「別にそこまでは言ってないだろう!」

 

陽介(阿武隈)「言葉にしてないだけだろうが!向き合えよ!俺と殴りあった時みたいに!

真っ正面から今俺に言ったことぶつけてみろよ!別れが辛くなるからお前とは付き合えないって!」

 

悠「だが、それで金剛がショックで戦えなくなったらどうする気だ!今の俺は学生じゃないんだ!海軍提督という責任ある立場なんだぞ!戦力の穴はどうする?」

 

陽介(阿武隈)「責任なんて言葉使って逃げてんじゃねーよ!いいぜ、もしそうなったら俺が金剛の分まで戦う。それでいいだろ?」

 

悠「陽介…なんでそこまで…」

 

陽介(阿武隈)「…今のお前は少なくとも、俺が憧れた『鳴上悠』じゃない。

海軍提督なんてもんに自分らしさを潰されたただの学生だ。

俺が憧れた、尊敬した『鳴上悠』は、人の気持ちに正面から向き合って、他人の悩みを自分のことのように悩んで、そいつの想いを全部受け入れる。そんな人間だ。

海軍?提督?それがどうした!

悠!そんなんに惑わされて真実を、自分らしさを見失うな!

お前がその責任を背負いきれないなら、俺も一緒に背負ってやる!だから真実から逃げんな!」

 

悠「…陽介、ありがとう。そうだな、俺らしくなかった。知らないうちに責任に潰されかけてたみたいだ。金剛ともちゃんと向き合ってみるよ。」

 

陽介(阿武隈)「へへっ!気にすんな!それよりだな…周りの目が〜…」

 

悠「あ…」

 

 

さっさと参考書を買って、逃げるように書店を出た。

 

悠(どうしよう、もうあの店使えない…)

 

 

 

 

 

 

〜〜中央広場〜〜

 

 

書店であんなことがあったため、予定よりずっと早く集合場所に来てしまった悠と陽介。

どうしたものかと、とりあえず手荷物を近くにあったコインロッカーに入れ、話し合った結果、島風たちがいるであろうショップに行ってみることにした。

 

 

〜〜ファッションエリア〜〜

 

 

悠「うーん…たくさんショップがあるな。」

 

陽介「あいつらもそんな金持ってねーだろうし、ファストファッションの店に行ってみようぜ。」

 

パンフを頼りにお目当の店に行くと、店内から聞き慣れた声が聞こえてくる。どうやら当たりのようだ。

 

島風「あれ?悠どしたの?」

 

悠「買い物が早く終わっちゃってな。こっちの様子を見に来たんだ。」

 

龍田「あら鳴上提督、丁度良かったわ。今何着か選んで試着して貰おうと思ってたとこなの。提督も見てもらえるかしら?」

 

悠「ああ、もちろんだ。」

 

図らずも島風のファッションショーを見ることになった悠。

2人は試着室へと入っていく。

 

待ってある間はヒマなのだが、陽介の声が聞こえた方に視線を向けると、

 

 

店員「彼氏さんにですか〜?」

 

陽介(阿武隈)「いや、自分のですから。」

 

店員「あら!こちらはmen'sの売り場ですよ!ボーイッシュなのが好みならちゃんとこちらにご用意してありますからね!」

 

陽介(阿武隈)「いや⁉︎いいですから⁉︎」

 

店員「さっ!行きましょう!お客様は可愛らしいですからね!きっとなんでもお似合いですよ!」

 

陽介(阿武隈)「ちょっ⁉︎ほんといいですから⁉︎おい、引っ張るんじゃねぇよ!話聞けよ!」

 

 

 

悠「そっとしておこう。」

 

 

 

それから程なくして、試着室のカーテンが開き、ジャージから着替えた島風が出てくる。

 

島風「どうかな悠?」

 

1着目はTシャツにホットパンツ。

元気で活発な島風に良く似合っている。

 

悠「うん、良く似合ってる。島風は足が綺麗だからな。いいんじゃないか?」

 

島風「へへっ!ありがとっ!じゃあ次ね!」

 

再び試着室に戻ると、次の服に着替える島風。

 

島風「じゃーん!どう?」

 

お次はフリルの付いたブラウスにロングスカート。普段の島風とは違う、清楚なお嬢様スタイルだ。

 

悠「へぇ、こういうのも良いな。よそ行きの服にぴったりだ。」

 

島風「ふへへ///ありがとっ!」

 

褒められて照れる島風は、三度試着室に戻り着替える。

 

島風「これで最後なんだけど、どうかな?」

 

最後に着てきたのは白のワンピースだ。

なんて言うかもう、素材が良いから何着ても似合うんだね。

 

悠「一緒に浜辺を散歩したい。」

 

島風「えっ?」

悠「えっ?」

 

島風「そっか///じゃあ…次のお休みに一緒に行こうね!」

 

悠「お、おう!」

 

悠(しまった!声に出てた!)

 

龍田「提督〜?」ジト目

 

悠「な、なんだ龍田?」

 

龍田「お触りは禁止されています〜。その手、落ちても知りませんよ〜?」

 

悠「濡れ衣だ!」

 

 

 

 

〜〜中央広場〜〜

 

 

あれから他のメンバーとも合流し、一旦ロッカーに荷物を預ける。ちなみに先ほど島風が試着した服は全部悠が買った。島風も自分のお金を出そうとしたが、いつの間にか会計が済んでいた。

悠は、妹を甘やかすのは兄の義務だとか言っていたそうな。

そして、適当に冷やかして回ろうということでみんなで色々見て回っているのだが…

 

 

悠「…あれ?みんなは?」

 

天龍「ん?どうした鳴上?」

 

悠「いや、どうやらはぐれたらしい。」

 

龍田「あら〜…どうしましょう。」

 

混雑する店内を行き来するうちにはぐれてしまったようだ。

店内はかなりの人口密度で、油断するとぶつかってしまいそうになるくらいには混んでいた。

 

 

そんな時、

 

ドンッ!

龍田「ッ!」

 

「おっと!ごめんよお嬢ちゃん。こら!待ちなさい!」

 

龍田が家族連れのお父さんにぶつかってしまった。その男性は龍田に一言謝ると、勝手気ままに走り回る子供を追いかけていった。

 

龍田「あ…あ…⁉︎」ガクガク…

 

悠「ん?龍田⁉︎どうした⁉︎」

 

突如龍田が自身の肩を抱いて震えだした。顔からも血の気が引いている。

 

天龍「マズい!しっかりしろ龍田!ほら、ベンチまで歩けるか?」

 

龍田「」コクコク

 

天龍がすぐに肩を貸し、龍田をそばのベンチまで連れて行く。

悠はそれを見て、近場の自販機にダッシュで向かい水を購入する。

 

悠「大丈夫か龍田?ほら水だ。」

 

悠は龍田に水を差し出すが、

 

悠(あっ!しまった!龍田は男に触れないんだった!)

 

だが龍田は…

 

龍田「あ、ありがとうございます。」

 

龍田は悠から水を受け取り(・・・・・・・・・)、それを飲み始める。

 

天龍(はぁ⁉︎今鳴上の手から直接受け取ったぞ⁉︎)

悠(まるで訳がわからんぞ⁉︎)

 

 

しばらく龍田が落ち着くまでその場で休憩し、その間に悠が皆を探しに行くことに。

付き添いで龍田のそばに残った天龍は、龍田の心境を測りかねていた。

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮・自室〜〜

 

 

 

またまた時間が飛んで夜の10時。

あれからみんなとなんとか合流し、龍田が体調を崩したと説明。(男性恐怖症についてはもちろん伏せてある)

さすがに調子の悪い仲間をそのまま連れ回すわけにもいかないので、今日はそのまま帰投という流れになった。

 

街の情報をまとめるのは吹雪に押しつ…いや任せて、居間で寛いでいる悠。

そんな彼に声をかける女性が1人。

 

武蔵「おう、ヒマそうだな。」

 

悠「ん?武蔵か。どうした?」

 

武蔵「なに、約束を果たしてもらおうと思ってな。今から出られるか?」

 

悠「ん?ああ!そういえばBARに連れて行くって約束だったな。ちょっと待っててくれ。着替えてくる。」

 

 

番長着替え中…

 

 

悠「お待たせ…って金剛?」

 

悠が着替えを終え再び居間へ戻ると、そこには金剛も来ていた。

 

金剛「アハハ…good evening 悠。」

 

武蔵「ほら、ビビってないで自分で言え金剛。」

 

悠「?」

 

金剛「あのー…私もtogetherしてもいいですか?その…話したいこともあるので。」

 

悠「…ああ、分かった。武蔵はいいのか?」

 

武蔵「構わんよ。既に事情も聞いてしまったしな。これで突き放せというのも無理だ。」

 

悠「そうか。じゃあ案内するからついて来てくれ。」

 

 

 

 

 

 

〜〜BAR・Velvet〜〜

 

 

悠「ここがBAR・Velvetだ。」

 

武蔵「建造工廠の裏にこんなものがあったとは…」

 

悠「昼間は何故か跡形もなく消えてるからな。じゃあ入るか。」

 

 

カランカランッ

 

 

早霜「…あら?あら!いらっしゃい、お久しぶりね。大体3週間ぶり、くらいかしら?」

 

悠「そうだな。友人を連れてまた来ると言っていたのに、遅くなってすまない。」

 

早霜「別に、いいわ。それよりも、ご紹介、してくれる?」

 

悠「ああ、ここの鎮守府に所属している艦娘の…」

 

武蔵「戦艦・武蔵だ。よろしくたのむ。」

 

金剛「私はイギリスからの帰国子女で、金剛型1番艦・戦艦の金剛デース!よろしくお願いシマース!」

 

早霜「私は、早霜。ここのバーテンダーよ。よろしく、お願いするわ。さあ、掛けて頂戴?」

 

 

 

 

 

武蔵「さて、今日は悠の奢りだからな!財布を気にせず飲めるな!金剛も遠慮無く頼むといい。」

 

悠「まて!気にしろ!それなりに買い物したから無尽蔵に飲まれても困るぞ!」

 

金剛「アハハ…では私はワインをお願いシマース。」

 

武蔵「早霜、何かいいウイスキーはあるか?」

 

早霜「そうねぇ…」

 

早霜は後ろの棚から赤ワインの瓶とウイスキーの瓶を取り出し、グラスに注いでいく。

 

早霜「ウイスキーの、飲み方は、どうする?」

 

武蔵「ストレートで。」

 

早霜「あら、いける口?」

 

武蔵「なに、明日は出かけるからな。少量で済ます為さ。」

 

 

程なくして、武蔵と金剛の前にお酒が出される。

 

早霜「ワインは、世界最高峰のシャトー

『シャトー・ラフィット・ロートシルト』の2010年。当たり年の、ものね。

ウイスキーは、『ラガウーリン』の12年ものよ。」

 

金剛「What⁉︎」

 

悠「なんか高そうなんですけど!」

 

早霜「グラスでなら、そう、値は、張らないわ。そうね…シャトーが、2800円。ラガウーリンは1250円、でいいわ。」

 

悠「一杯でか⁉︎」

 

早霜「これでも、だいぶ、オマケしてるのよ?」

 

悠は高級ワインとウイスキーの値段に戦慄し、顔を青くしている。

 

悠「よし2人とも、大事に飲めよ!」

 

武蔵「グビグビ…プハァッ!美味い!もう一杯!」

 

悠「ウワァァァ〜!!!」(泣)

 

 

悠がいいと言っていないのにも関わらず、すぐに2杯目が武蔵に出される。

今度は一気飲みはせず、ポケットにでも忍ばせていたであろう文庫本を読みながら、チビチビと舐めるようにしている。

金剛は何か言いたげにしているが、なかなか口を開かない。

 

しばらくペラペラと本のページをめくる音だけが響いていた店内だが、意を決したのか、金剛は悠に向き直り…

 

金剛「その…悠、鎮守府に着任した夜の事なんだけど…」

 

悠「ああ…俺の部屋に忍び込んで勝手に寝てた…」

 

金剛「…不快な思いをさせて申し訳ありませんでした…」

 

金剛は鎮守府に着任した初日の夜の事件の事を悠に謝罪した。

 

金剛「私もあの時は功を急ぎすぎたというか、魔が差したというか…」

 

悠「…そうか。」

 

金剛「ですから…その、私は悠のことを無理矢理手篭めにしようとかは思っていないから…もし、この件が原因で私を避けているのなら…もう避けないでくれますか?」

 

悠「…あんなことがあったから、俺も少々過敏になってたんだ。不安にさせたなら謝る。すまなかった。」

 

金剛「…悠!」

 

悠「でも、今日のしおらしい金剛もこれはこれで可愛いから、ちょっとくらいイジメるのもありかな?」

 

金剛「あー!そういうのはNo thank you デース!ちゃんと構ってくれなきゃ No なんだからね!」

 

悠「あははっ!」

 

金剛「ふふっ!」

 

お互いの非を認め、仲直りをして笑い合う2人。

 

武蔵(全く…世話がやけるな…)

 

 

 

こうして、初めての休日の夜は更けていくのだった。




大山大佐「うーん…カタログスペックは問題ないはずなんだけど…」

霧島「すごい被弾率ですね…データを越えています。」

大山「困ったな…戦力がある程度揃ってるうちじゃあ、彼女の居場所が無いぞ…」

霧島「そうだ!司令!こういう作戦はいかがでしょう?」

かくかくしかじか

大山「あ〜…でも大丈夫かなぁ?」

霧島「大丈夫かと、彼…鳴上提督は私の計算によると100%お人好しです!」


次回 ペルソナ4 the K.C

欠陥戦艦更生計画

?「左遷だなんて…やっぱり私は欠陥戦艦なのね…」



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