ペルソナ4 the K.C.   作:黒城優輝

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2月・3月は忙しかったのよ…どうもです。黒城です。
お久しぶりの本編更新。今回はヲーちゃん編の後日談的な話。この話で第3章が終わりかな?まあ、前後編に分けちゃうんですけどね!間開けすぎてヤバいからね!(泣)
2月と3月は艦これの光作戦とリアルのケ号(決算・研修)作戦でした…ちゅらいね…。
最低月一投稿のペースを取り戻したいですね…
ではお楽しみ下さい。


第十六話 待ちに待った給料日! 前編

〜〜陽介の精神世界〜〜

 

 

陽介「これは…夢か?思い出せ。あれからどうなった?

確か、敵のカウンターを喰らって…爆撃されそうなところで助けが来て…

そうだ、それで安心して気絶したんだっけ…」

 

?「よ…け……君…」

 

 

陽介「しっかし、何だこりゃ?俺の姿は男に戻ってるし…まあ夢だからこれがむしろ普通か?

そんで?あっちにジュネス、こっちにゃ小西酒店、あれは八十神高校、堂島さん家に藍屋、完二ん家の反物屋にりせちーの豆腐屋、天城旅館、相棒と殴り合った鮫川の河川敷を挟んでずっと向こうは…昔いた街か?

そんで俺の現在地は…鎮守府の屋上か…」

 

?「よう…す…く…」

 

陽介「そんでもって…学校の方角から聞こえるのは俺を呼ぶ声。…まさかシャドウじゃねーだろうな?

…よっし!うだうだしてても仕方ねー!声のする方に行ってみっか!」

 

 

 

 

 

 

〜〜精神世界・八十神高校・武道館〜〜

 

 

陽介「ここは武道館か。そーいや柔道の授業でしか来たことねーな。」

 

?「むぅ〜…!遅いんですけど〜!早くこ〜い!」

 

陽介「なんか最近聞いた声だな…。し、失礼しまーす。」

 

?「あっ!やっと来た!ずぅ〜っと、あなたを呼んでたんだよ!」

 

陽介「お、お前は⁉︎」

 

?「でもようやく会えた。私は長良型軽巡洋艦・6番艦の阿武隈。よろしくね。」

 

陽介「あ、ああ。よろしく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿武隈「さて!今まで沈黙を守っていた私が、こうして夢の中であなたを呼んだ理由…分かる?」

 

陽介「いや、ちっとも分かんねーよ!つうか君は何なんだ⁉︎」

 

阿武隈「だから〜!私はあなたなの!あなたがこっちの世界に来る時、あなたの身体が阿武隈になった事で、私の魂も一緒に呼ばれたの!つまり、あなたと私は二心同体なの!」

 

陽介「ま、マジか…。つまり君は俺の新しいペルソナみたいなもんか?」

 

阿武隈「残念だけど、私はペルソナとしての力はおろか、艦娘の力も持ってないの。」

 

陽介「そりゃなんで?」

 

阿武隈「陽介君の心がパンクしちゃうから。ペルソナなんて大っきな力を抱えてるのに、そこに何百人っていう軍人と軍艦の力…要は艦娘の力をまるまる入れたら、陽介君の心は耐えられない。

だから今の私が持ってるのは、大戦での記憶と軍人としての経験だけなの。」

 

陽介「なるほど。」

 

阿武隈「ここまで言えば、なんであなたを呼んだか分かるでしょ?」

 

陽介「…ごめん。ちっとも分かんね〜。」

 

阿武隈「むぅ〜!つ・ま・り!あなたが怪我すると私も痛いの!陽介君、ヲ級に鼻折られたでしょ?あれ、私もものすご〜い痛かったんだから!」

 

陽介「俺が弱かったからだな…悪ぃ…」

 

阿武隈「…陽介君は弱い訳じゃないよ。君は、人との戦い方を知らないだけ。

陽介君は、スサノオのことをどれ位知ってる?」

 

陽介「えーと、確かイザナギの息子でアマテラスの弟。あとは…天の岩戸の原因ってことと、ヤマタノオロチを倒したってくらいか?」

 

阿武隈「それだけ知ってれば話は早いね。

今の陽介君は、スサノオに頼って剣を振ってるの。スサノオの剣技はきっと凄かったんだろうけど、天の岩戸伝説とヤマタノオロチ伝説の知名度が大き過ぎて、対怪物用の剣になっちゃってるの。

天の岩戸のお話は剣術関係ないし、ヤマタノオロチの時も酔わせて倒したせいもあって、スサノオの剣の腕は一般的には不明瞭なの。

それに、陽介君が今まで戦ってきたのもシャドウっていう化物でしょ?だから何とかなっちゃってて、ちゃんとした剣術を学ぶ機会が無かったってことだね。」

 

陽介「なるほどな。そりゃ負けても当然か。てか、何で俺のことをそんなに知ってるんだ?」

 

阿武隈「言ったでしょ?今の私はあなたでもあるの。だから、浅い所にある記憶とか知識は私でも観れたんだ。あ!心配しないで!人に知られたくないような大事な記憶や想いは観れなかったから!」

 

陽介「おい!てことは観ようとはしたんだな!」

 

阿武隈「えへへ…」

 

陽介「笑って誤魔化してんじゃねーよ!」

 

 

 

 

 

 

 

陽介「はぁ…で?途中で話が逸れたが、結局俺に呼びかけた理由は?」

 

阿武隈「あ、そうだった。今までの話を聞いて、陽介君は自分に足りないものが何か分かったかな?ていうか、分かってくれないと困るんだけど…」

 

陽介「あ〜…あれか?剣術の基礎?」

 

阿武隈「正解!というわけで、陽介君にはこれから毎晩夢の中で私と特訓です!」

 

陽介「………は?」

 

阿武隈「やっぱりこういうのは、口だけじゃなくてちゃんと型を見てもらった方がいいと思うの!百聞は一見に如かずって言うしね!」

 

陽介「ちょっ〜と待ってください阿武隈さん!睡眠っていうのは体を休めるだけじゃなくて、記憶の整理とか脳を休めるとか色々あるんですよ?」

 

阿武隈「なんで急に敬語?まあいっか、そろそろ起きる時間みたいだしね。

じゃあね陽介君!また夢で待ってるよ!」

 

陽介「おい!待て!ただでさえ忙しいのに夢の中まで特訓って!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・本棟・医務室〜〜

 

 

陽介(阿武隈)「ふざけんな〜!」ガバッ!

 

悠「うおっと!ビックリした!」

 

陽介(阿武隈)「ん?あれ?悠か。えっと、ここは…?」

 

悠「鎮守府の医務室だ。しかしいきなり飛び起きるなんて、なんか変な夢でも見たか?」

 

陽介(阿武隈)「いや、すまん。ちょっとな。」

 

陽介が飛び起きると、そこは鎮守府の医務室。傍には様子を見に来ていた悠がおり、叫びながら飛び起きた陽介を心配そうに見つめている。

 

陽介(阿武隈)「あ〜…どんくらい寝てた?」

 

悠「…大体21時間くらいだな。」

 

悠は時計を確認し、逆算する。ちなみに現在時刻は午前9時。

 

陽介(阿武隈)「ほぼ丸一日じゃねーか…任務はどうなったんだ?」

 

謝罪もそこそこに、現状の確認と事の顛末を悠に尋ねる陽介。

 

悠「ああ、無事に終わったよ。陽介以外はな。どうしてあんな無茶したんだ?一歩間違ってたら死んでたぞ?」

 

陽介(阿武隈)「すまん…無茶っつーか、最初は1人でどうにかなる計算だったんだけどさ…敵の指揮官がやたら強くてな…」

 

悠「陽介がそこまで言うか…」

 

陽介(阿武隈)「ああ、お前も気をつけろよ?今回の一件で分かったが、相手はシャドウでも化け物でもない。

確固たる意志を持った''ヒト''だ。」

 

悠「ああ、分かっている。だが、だからこそ話し合えば分かり合えるんじゃないか?」

 

陽介(阿武隈)「…本気で言ってんのか?」

 

悠「勿論だ。ちゃんと証拠もあるぞ?」

 

陽介(阿武隈)「証拠?」

 

悠「ああ、陽介が共闘した深海棲艦の戦艦がいただろ?あの人とその仲間の空母を非合法だが難民としてうちで受け入れる事にした。」

 

陽介(阿武隈)「ああ〜、ルーさんだったか?はぁ、マジか。まあ確かにあの人はなんか普通だったな。

はぁ…でもな?1つだけ言わせてくれ。」

 

悠「なんだ?」

 

陽介(阿武隈)「足立の時みたいに1人で突っ走るのだけはやめろ。あの時はあいつが見逃してくれたから良かったが…」

 

悠「分かった。約束する。」

 

陽介(阿武隈)「頼むぜ相棒?」

 

そうして2人はどちらともなく手を出し、指切りの代わりに握手をする。

 

 

 

 

 

悠「…こうして触ってみると本当に女の子の手なんだな。」

 

陽介(阿武隈)「はぁっ!アホかっ!気色悪い事言うんじゃねーよ!離せ!」

 

 

…締まらない2人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・寮〜〜

 

 

それから、「腹減った〜」と陽介が言うので、館内放送で皆に陽介が目を覚ました事と、今後の話し合いをするために会議室に集合するように伝えると、念のため2人で寮に向かう。

 

寮に着くと、寮の前に海軍ジャージを着た1人の女性が立っていた。

 

ルー「ヨッ。」

 

深海棲艦のルーだ。どうやら2人を待っていたよう。

 

陽介(阿武隈)「よっ。って、あんたは確か…仲間を探してた…ルーだったか?」

 

ルー「覚エテテクレタンダネ。」

 

悠「どうしたんだ?出迎えに来てくれたのか?」

 

ルー「マア、ソレモアルケド、一応オ礼言ットコウカナッテ。アイツラ倒スノハ1人ジャ無理ダッタ。アンタカラ見タラ私モ敵ノ筈ナノニ、手ヲ貸シテクレテアリガトネ。」

 

陽介(阿武隈)「なんだそんなことか。それならこちらこそだ。あんたがいなかったら嬲り殺しにされてた。サンキューな!」

 

お互いに礼を言い合い微笑む2人。和やかな雰囲気で何よりだ。

 

悠「よし、じゃあ俺は一旦執務室に戻って資料のコピーとか取ってくるから、陽介はみんなが集まる前に朝飯食べちゃってくれ。」

 

陽介(阿武隈)「おう、ここまで付き合わせちまって悪かった。じゃあ2人ともまた後でな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜鎮守府・本棟・会議室〜〜

 

 

時間が少し飛んで会議室。

皆席に着いているが、陽介とチビたち4人は未だにじゃれ合っている。(実際は陽介が一方的に髪を弄られているのだが)

あの一件で懐かれてしまったようだ。

 

悠「おーい?そろそろ始めるから着席してくれ〜。」

 

「「「「はーい!」」」」

 

悠「よし!じゃあ始めるか!天龍、龍田、これを皆に配ってくれ。」

 

仲良くするのは大いに結構だが、放っておくと会議が始められそうにないので一声かけてから、傍に控えていた天龍と龍田に指示を出す。

 

龍田「あら〜!これって給与明細ね〜!じゃあ、お名前呼ぶから呼ばれた人は取りに来てね〜。」

 

悠「ヲーちゃんとルーさんは給料は無いが、日常生活に必要な物を揃えさせたから、会議が終わったら天龍と龍田と一緒に酒保に行ってくれ。」

 

「「「「!!!!」」」」

 

給与明細という言葉に過剰反応する約4名。

言わなくてもわかると思うが、まあ、中高生組だ。

大人組は慣れているのか、特にリアクションは無し。

チビたちは「給与明細ってなにピョン?」みたいな感じでイマイチ分かっていないようだ。

 

天龍「よーし!呼ぶぞ〜!まずは武蔵!お疲れ!」

 

武蔵「うむ、貰っておこう。」

 

龍田「フブキチちゃーん?」

 

吹雪「はい!ありがとうございます!」

 

天龍と龍田が給与明細を皆に配っている間、悠はホワイトボードに何かを書いている。

 

しばらくして、給与明細を配り終えると同時に、悠の作業も終わったようだ。

 

悠「配り終わったな?今日集まってもらったのは給与明細を配るだけじゃない。

今後の予定なんだが…」

 

悠は、ホワイトボードに書いた今後の予定を順に説明していく。

 

悠「まず、今回の任務で瀬戸内海を脅かす深海棲艦の部隊を潰すことができた。

が、残党がいないとも限らないし、また別の部隊がいるかもしれない。

なので今日から一週間は特別哨戒として、日中だけでなく夜間の哨戒も行うことにしようと思う。」

 

吹雪「夜まで哨戒ですか…また何で?」

 

龍田「んー、フブキチちゃん?統率力と兵力を失った残党たちが昼間に活動したらどうなりますか〜?」

 

吹雪「えっ?えーと、哨戒してる私たちと戦闘ですか?」

 

龍田「半分正解。多分戦闘と呼べるものにはならないわ。あえて言うなら…''駆除''かしら?」

 

吹雪「あはは〜…そうですか…」

 

龍田「つまり、それだけ戦力に開きがあるの。ルーさんの話だと、敵の部隊の主力は軒並み潰したそうよ。

そんな状態で、指揮を取れるレベルの深海棲艦が生き残ってたら、発見されやすい昼間に動くかしら?」

 

吹雪「なるほど。私たちの目をかいくぐるために夜に動くわけですね!」

 

悠「正解だフブキチ。

と言うわけで…日中の哨戒は、龍驤を旗艦として、フブキチ、暁、夕立、睦月、卯月の6名で。

夜間の哨戒は、俺を旗艦に、金剛、足柄、天龍、龍田、陽介で行う。

島風とクマは、みんなの疲労や怪我などの状況によって適時交代してもらう。

武蔵は、夜間の哨戒中の間は提督代理として権限を委託させてもらう。

ここまでで何か質問はあるか?…特に無いなら次にいくぞ。」

 

 

いつの間に決めていたのか、悠はこれから一週間行う特別哨戒の人員の割り振りを皆に伝える。

日中は敵との遭遇率が低いことを考慮し、艦載機による索敵の可能な龍驤をメインに、経験値の少ない駆逐艦たちを。

夜間は戦闘が予想されるため、悠を筆頭とした戦闘経験のある主力メンバーで固めてある。

状況に応じて柔軟に対応するために、強力なユニットである島風とクマをあえて控えに回し、夜間に悠が不在の間、万が一の際に指揮を執ることのできる武蔵を提督代理に据える。

皆もこの人事に不満は無いようで、特に質問なども無く、会議は次へ進む。

 

 

悠「この一週間はキツイだろうが、みんなで頑張ろう。特に夜間の哨戒担当は、生活のリズムが崩れてしまうかもしれないが何とか乗り越えていこう。

そして、この一週間を越えたら…」

 

悠は皆に檄を飛ばしながら、クルリとボードを回転させ、面を変えると…

 

悠「やーすーみーだあぁぁぁ!!!」

ババーン!!

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Hey!悠!どういうことネー⁉︎」

 

悠「そのまんまの意味だ!この鎮守府に来てから、今までみんな休み無しで頑張っていたからな!給料も入ったことだし、一週間後、哨戒が終わった翌日から二日間、完全に休みとする!

もちろん外出もいいぞ!」

 

「「「「「「「イェーイ!!」」」」」」

 

金剛(お出かけeventキター!)

 

悠の休み宣言に皆が歓声を上げる!

特に未成年組のテンションがスゴい。

 

悠「ただし!外出についてはちょっと条件をつけさせてもらう。

先ず初日は、中高生組…俺、陽介、クマ、島風、フブキチ、天龍、龍田で街の情報を集め、2日目はその情報を基に大人組と子供組で出かけてもらう。大人組は子供たちの世話を頼んだぞ?」

 

金剛(What!)

 

夕立「あれ?もしかして私も子供組っぽい⁉︎

ちょっと待って提督さん!」

 

悠「ならそのぽいぽい言うのをやめなさい。」

 

夕立「私のアイデンティティと引き換えっぽい⁉︎」

 

 

 

ギャーギャー!

ポイポイ!

 

 

 

 

金剛(…確かにこの組分けは一見するとefficientデース。でも乙女の Six senseだとどうも釈然とシマセーン…。

駆逐艦のお世話なら、very attachedな花ちゃんが妥当なはず。

…もしかして…avoid me(避けられてる)⁉︎)

 

悠と夕立が年齢について口論する中、金剛は、休日の組分けについて考えこむ。

果たして、悠の考えには裏があるのか?

金剛の推測は当たっているのか?

彼女の恋路に霧が立ち込める。

 

金剛(考えれば考えるほどthink negative デース…こうなったらdirectに…!)

「Hey!悠!お出かけのcastingなんだけど…

 

悠「とにかく!これについては、万が一の際の為の戦力の確保も兼ねてるんだ!異論は認めないぞ!

俺はこれから漁協に報告に行くからこの件について話があるなら帰って来てからにしてくれ。」

 

夕立「むぅ〜!夕立子供じゃないのに!胸のカップサイズだってC寄りのBっぽい!」

 

悠「聞いてないから!だいたい胸のサイズなんて言ったら…」チラッ…

 

龍驤「あぁ?なんや?なんでこっち見たんや?」

 

悠「いや!なんでもない!今話したことはプリントにまとめてコピーしたのがあるから各自持っていってくれ!解散!」

 

 

 

 

 

 

 

金剛「Oh…sit…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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