ペルソナ4 the K.C.   作:黒城優輝

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あけましておめでとうございます!(遅刻)どうもです。黒城です。
このお話で第2章の鎮守府着任編が終了です。
本当は大晦日か元日に上げたかったのですが…お飾り材料を膝に受けてしまってな…。
では第十三話お楽しみください。


第十三話 観艦式

〜〜佐伯湾鎮守府・本棟・応接室〜〜

 

 

県知事「どうも、私は別府県知事の高橋義昭(たかはしよしあき)と申します。」

 

悠「俺…じゃなくて、私はこの佐伯湾鎮守府を任された鳴上悠と言います。これからよろしくお願いします。」

 

 

悠が天龍と龍田を秘書艦に指名してから3日が経ち、当初の予定通り別府県知事が鎮守府を訪ねてきていた。ジェントルマンな風貌で、スーツがよく似合う。

 

 

高橋「はっはっはっ。いや、話には聞いていましたが若いですね。」

 

悠「まあ、色々事情がありまして。」

 

龍田「どうぞ。粗茶ですが…」

 

高橋「おや、すまないね。ありがとう。」

 

天龍と龍田がお茶を持ってくる。やはり龍田の動作には気品がある。まるで何処かのお嬢様のようだ。

 

悠(龍田に秘書艦を頼んで正解だったな!)

 

 

悠は心の中で、俺の眼に間違いはなかったとガッツポーズ。

ちなみに天龍は、ボロを出さないようにお盆を持って大人しくしている。

 

 

しばらく世間話をしていると、ふと高橋県知事が腕時計を見て一言呟く。

 

高橋「…ふむ、市長さんが来ませんね。」

 

悠「市長?佐伯市の市長さんもいらっしゃるんですか?」

 

高橋「えぇ、観艦式の設営、運営は市の方と協力しなければですからね。担当者と一緒にそろそろ来るはずなのですが…」

 

コンコンッ、

 

悠「どうぞ〜」

 

ガチャッ、

 

マーガレット「失礼します、佐伯市市長がいらっしゃったわ。市長、こちらです。」

 

部屋に入ってきたのは、作業着に身を包んだハゲ頭の初老の男性と、セミロングの茶髪にスーツの若い女性だ。

 

市長「遅くなって申し訳ない!資料を纏めるのに時間がかかってしまってね!」

 

担当者「市長が落っことして散らかしたからでしょうが!」

 

市長「渚君…。そんなに怒らなくてもいいじゃないか。それより!君が提督か!いや!なかなかイケメンじゃないか!はっはっはっ!」

 

悠「ど、どうも。鳴上悠と言います。」

(市長まで来るのか⁉︎聞いてないぞマーガレット!)

 

市長「私は佐伯市長の木下聡(きのしたさとし)だ。よろしく頼むよ。で、彼女が…」

 

担当者「私は海鳴渚(うみなりなぎさ)です。この鎮守府と市政のパイプ役ですね。」

 

高橋「これで役者は揃いましたね。では早速観艦式について、概要だけでも纏めましょうか?ああ、予算は県の方からも、多少なら融通しますが、基本は市と鎮守府の方で設営と運営を行って下さいね?」

 

皆の自己紹介が終わり、観艦式についての会議が始まる。

 

 

 

 

悠「では、会場は佐伯港で、2週間後に。」

 

会議は、悠が思っていたよりもすんなりと進み、小一時間ほどで終わる。

 

渚「ええ、鎮守府のすぐそばですし、一般の方の受け入れも楽です。」

 

悠「…ですが、本当に大丈夫ですか?2週間後だと、まともに準備出来るとは思えないのですが。」

 

ここで悠はもっともな質問をする。この手のイベントはかなり前から準備を行わなくてはならない筈だ。学校の文化祭でさえ、準備期間を2カ月以上、規模によってはもっと取るだろう。

 

渚「あー、まあぶっちゃけると、大分前…鎮守府が出来ると決まった時から市の方で計画を練ってましたからね。いわばこの会議は鳴上提督へのプレゼンです。」

 

木下「はっはっはっ!だから心配しないでくれ!いい観艦式になるようにお互い頑張ろう!」

 

高橋「当日は私もお邪魔させてもらいますよ?いや、今から楽しみです。」

 

話がまとまったという事で、皆は荷物をまとめ、帰り支度を整える。

 

高橋「では、また2週間後に。では。」

 

木下「じゃあ鳴上君!また会おう!よーし、戻ったら最後の詰めだ!」

 

渚「では、詳しいスケジュールは後でFAXします。予定の変更などがあったら私の方から連絡しますんで、鳴上提督の方でも何かあったら、私に繋ぐように言ってくださいね?では失礼します。」

 

悠「はい、また2週間後に。」

 

 

ガチャッ、バタン…

 

 

 

 

悠「………寝耳に水だ。」

 

龍田「2週間後ですか〜。結構ハードなスケジュールになりますね。」

 

天龍「………」

 

悠「天龍?」

 

龍田「あっ、天龍ちゃん、もう喋って大丈夫よ?」

 

天龍「…ん?そうか、いや〜…疲れた…」

 

悠「お前は立ってただけだろう…」

 

龍田「とにかく、一旦皆を集めて話し合いましょう。」

 

 

 

 

 

 

〜〜会議室〜〜

 

 

悠「…というわけなんだ。」

 

悠は皆を会議室に集め、先程の会議の内容を皆に伝える。

 

武蔵「また急だな…」

 

島風「予定はっやーい!」

 

吹雪「梯形陣での艦隊運動の訓練が必要ですね。」

 

陽介(阿武隈)「面子はどーすんだ?」

 

悠「とりあえず、礼砲を撃てない俺、島風、陽介、クマは除外だな。」

 

武蔵「そして私も燃費の都合上無理だ。」

 

悠「つまり、金剛を旗艦として、龍驤、天龍、龍田、吹雪…どうやってもあと1人足りないんだ。」

 

金剛「New face を建造デスカー?」

 

悠「ああ、イゴールさんに駆逐艦を1人召喚してもらおう。」

 

 

マーガレット「いえ、4人にしておきなさい?」

 

悠「マーガレットさん⁉︎何でですか?」

 

陽介(阿武隈)「てか、今どっから出てきたんだよ…」

 

 

新艦建造の話を進めていると、どこからともなくマーガレットが現れ、4人召喚しろと言う。

 

マーガレット「理由はこれ。本部から任務のオーダーが来ているわ。鎮守府近海の哨戒と琉球王朝からの輸送船の護衛よ。」

 

龍田「輸送船護衛任務のスケジュールはどうなってますか?」

 

マーガレット「ちょうど観艦式の予定日と被るわ。護衛任務に出撃する艦は観艦式には出られないわね。ついでに言うと、哨戒任務を行う艦は練習量が足りなくなるからこちらも厳しいわ。」

 

悠「そればっかりは仕方ないな。えっと…ペルソナはなるべく人目に晒す訳にはいかないから、輸送船の護衛は天龍、龍田、龍驤にやってもらって…哨戒はペルソナ組に頼むと。」

 

龍驤「カツカツやな〜、こら新人さんを建造せなあかんわ。」

 

悠「よし、ペルソナ組、陽介、クマ、島風は鎮守府近海の哨戒任務!

天龍、龍田、龍驤は輸送船護衛任務!

金剛、フブキチは新艦の召喚が済み次第、その4名と共に観艦式の練習を頼む!

まずはベルベットルームに行こう!」

 

「「「了解!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ベルベットルーム〜〜

 

 

イゴール「確かに…。駆逐艦4隻の召喚、承りました。」

悠「はい、お願いします。」

 

ベルベットルームに来た一行。悠は書類をイゴールに渡し、召喚の手続きを済ませる。

 

イゴール「駆逐艦のレシピはAll30。さぁ、いきますよ…!」

 

イゴールは、前回と同じようにカードを資材にかざし、資材をカードに込めると、魔法陣を描き、そこに投げ入れる。

 

龍驤「は〜、綺麗やね〜。うちの時もこんなんやったん?」

 

悠「ああ、ちょっとしたトラブルもあったが大体こんな感じだったよ。」

 

そして、光が溢れ、一枚目のカードから艦娘が召喚される。

 

パァァ…

夕立「こんにちは、白露型駆逐艦夕立よ。よろしくね!」

 

続けて2人目。

 

パァァ…

睦月「睦月です。はりきって、まいりましょー!」

 

3人目

 

パァァ…

暁「暁よ。一人前のレディーとして扱ってよね!」

 

そして…

 

 

 

 

 

 

ビー!ビー!ビー!

 

悠「またかよ!」

龍驤「なんやなんや⁉︎何があったん?」

武蔵「魔法陣がうさぎに⁉︎」

 

 

 

ウサミンパゥワアァァー!

 

卯月「やったぁ! でたっぴょん! 卯月でっす! うーちゃんって呼ばれてまっす!」

 

 

イゴール「おお!どうやら、本来なら建造では出会うことの出来ない艦娘が召喚されたようですな。」

 

悠「よかった…また誰か来たらどうしようかと…」

 

クマ(球磨)「心臓に悪いクマね。」

 

悠「よし…気を取り直して自己紹介だ。みんなも頼む。」

 

 

 

自己紹介中……

 

 

 

 

悠「トラブルもあったが無事に仲間が増えたな。」

 

龍田「自己紹介も済みましたし、私たちは打ち合わせに行ってきま〜す。天龍ちゃん、龍驤さん行きましょう?」

 

天龍「おう!」

 

龍驤「なんや?妹さんの方が仕切るんか?いいんかい天龍?」

 

天龍「ああ、頭脳労働は龍田担当だからな。」

 

自己紹介が終わると、龍田は天龍と龍驤を連れて、護衛任務の打ち合わせに行った。龍田が仕切るのならば間違いはないだろう。

 

悠「じゃあこっちは観艦式予行練習と哨戒任務だな。これが哨戒ルートだ。頼んだぞ。」

 

悠は、予めマーガレットから預かっておいた、哨戒ルートの書かれた海図を島風たちに渡す。

 

島風「……花ちゃん、これ読める?」

 

陽介(阿武隈)「なんだ?島風貸してみ?……海図なんて読めねーよ!」

 

クマ(球磨)「ヨースケ、ツッコミが雑クマ。」

 

金剛「oh…そういえば中身はnormal high school student だったネー。」

 

卯月「え〜!海図、読めないっぴょん⁉︎ダメダメっぴょん!」

 

夕立「阿武隈さん海図読めないっぽい?」

 

睦月「武勲艦…だったよね?阿武隈さん。」

 

暁「しょうがないわね!レディーな私が代わりに見てあげるわ!」

 

陽介(阿武隈)「好き勝手言ってんじゃねーよ!自己紹介聞いてなかったのかよ!俺は阿武隈さんじゃないの!花村陽介っていうの!中身は普通の高校生なの!」

 

卯月「でも読めないのは事実っぴょん。」

 

陽介(阿武隈)「くっ、それは追々勉強するっての!」

 

卯月「今読めなきゃ意味ないんですぅ〜!」

 

吹雪「あー、2人とも落ち着いて、こんな事で喧嘩しないでください。」

 

卯月「別に喧嘩してないぴょ〜ん!事実を言っただけですぅ〜!」

 

陽介(阿武隈)「くっ、こいつ…!」

 

どうやら卯月は人をからかうのが好きなようだ。

悠(これは要注意だな…)

 

武蔵「仕方ない、新艦の肩慣らしの為にも、これからここにいる全員で哨戒ルートを一周しよう。ほら、準備するぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜出撃ゲート〜〜

 

 

金剛「Standby OK!」

 

吹雪「皆さん大丈夫ですか?」

 

夕立「大丈夫っぽい!」

睦月「平気にゃしぃ!」

卯月「いけるぴょん!」

暁「も、問題ないわ!」プルプル…

 

吹雪「金剛さーん!暁さんがプルプルしてまーす!」

 

金剛「Hey 暁!relaxデスヨー!」

 

マーガレットさんに艦娘カードを作ってもらい、出撃ゲートで艤装を装着して着水。

暁以外は問題ないようだ。

 

陽介(阿武隈)「よっし!じゃあ行くか!」

 

クマ(球磨)「クマも準備オッケークマ!」

 

悠「……ちょっと待て⁉︎クマ⁉︎それはなんだ!」

 

クマ(球磨)「何って…愛くるしきクマの真の姿クマ。」

 

出撃準備が完了し、皆艤装をつけるが、何故かクマは艤装ではなくクマ皮に身を包んでいた。

 

悠「それ…大丈夫なのか?」

 

陽介(阿武隈)「あぁ、3日前に実証済みだ。」

 

武蔵「悠といい、このクマといい、お前らの世界はどうなっているんだ…」

 

陽介(阿武隈)「多分俺たちがズレてるだけです…」

 

暁「…あっ!うわぁ〜!みんな!見て見て!クマさんがいるわ!」

 

夕立「本当っぽい!でも何でここにいるの?」

 

睦月「睦月はクマよりネコが好きにゃしぃ。お呼びでないぞよ?」

クマ(球磨)「ガーン⁉︎」

 

卯月「うーちゃんもクマよりうさぎさんが好きぴょん。」

クマ(球磨)「グハァッ!」

 

夕立「私もクマよりわんちゃんの方が好きっぽい!」

クマ(球磨)「もう止めて!クマのライフは0よ!」

 

暁「そ、そうよ!クマさんが可哀想よ!」

クマ(球磨)「あ、暁ちゃん!」

 

哀れクマ、子供達の素直な意見にクリティカルを頂戴しまくる。まぁ暁が味方についてくれているのが唯一の救いか。

 

島風「悠の仲間って変な人ばっかりだね。」

 

悠「島風もその1人だぞ?」

 

島風「えっ⁉︎」

 

悠「う・そ!」

 

島風「もーう!バカにしてるでしょ〜!」

 

悠「はははは!」

 

武蔵「おい、そろそろ行くぞ。」

 

悠「おっと、そうだな。じゃあ武蔵は留守番を頼む。」

 

武蔵「は?私も行くぞ?」

 

悠「やめて下さい資材が無くなってしまいます。」

 

武蔵「大丈夫だ艤装は使わん。悠、もうちょっとこっちに来い。」

悠「?」

 

お喋りもほどほどに出撃しようとするが、武蔵もついて来るつもりらしい。

 

悠(どうするつもりだ?)

 

とりあえず言われたままに岸へと近づく悠。

 

武蔵「よし、じゃあ剣はこっちに置いとけ。そしたらこちらに背を向けて屈め。」

 

悠「こうか?」

 

武蔵「ああ、落とすなよ?」ノシッ!

 

悠「!!!」ポヨン!

 

…武蔵は屈んだ悠におぶさった。おんぶである。

 

悠(今、俺の背にはとても幸せな2つのお山が当たっている。まるでマシュマロのようなそれは、武蔵が俺の背の上で姿勢を直すたびにムニュムニュと形を変えるのが背の触覚を通して伝わってくる。つまりなんというか…)

「ここが天竺か!!」

 

武蔵「うおっ⁉︎急に大声を出すな!」

 

悠「いや、エルドラドか⁉︎」

 

天竺とエルドラドに謝れ。

 

武蔵「まあいい…。ほら、しっかり支えろ。落としたら…怖いぜ?」

悠「あ、ああ。い、いくぞ?」

 

ムニュ

 

悠(今、俺の掌には武蔵の太ももがやわらか戦車している。しっかり鍛えているから硬いと思っていたその太ももは、程良い柔らかさを持ち、軽くしか力を込めていない筈の指が優しく沈みこんでいく。まあ要するに…)

「極楽浄土!」

 

武蔵「…ふむ。悠、私の胸と太ももはどうだ?」押し付け〜

 

悠「!!!」

 

武蔵「ほーら、なんか言ったらどうだ?ん?」ムニュムニュ

 

悠「ちょっ!おまっ!」

 

結論・武蔵はエロい。

 

金剛「Stooooooop!何いちゃついてやがるネー!やっぱり武蔵はむっつりデース!」

 

武蔵「ん?なんだ?羨ましいか?だが仕方がないのだ…。私も一緒に行くには悠におぶさるしかないのだ。許せ…金剛。プッ…クククッ…」

 

金剛「〜〜〜〜!!」

 

悠(え⁉︎もしかしてこの2人、あんまり仲良くない⁉︎)

 

武蔵「さあ行くぞ悠!はいよー!」

 

悠「ちょっ!脇腹蹴るな!」

 

金剛(ちっ…、まさか武蔵がこんなdrasticなactionをとるとは…。本人は悠と私をからかっているくらいにしか思ってないみたいなのがsaving grace デース。秘書艦の件もありますし、このままではtoo late ネー。何か手を打たないとまずいデース。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾・鎮守府周辺海域〜〜

 

 

武蔵を背に乗せた悠を先頭に、海を進む一行。

時折、武蔵が海図を見ながら指示を出し、索敵を進めていく。

 

武蔵「ふむ、ここまで敵影見ズか。」

 

クマ(球磨)「クンクン、クンクン。」

 

陽介(阿武隈)「ん?どーしたクマ?」

 

クマ(球磨)「海の匂いに混じって嫌な匂いがするクマ。シャドウみたいな匂いクマ〜…」

 

悠「シャドウみたいな?」

 

クマ(球磨)「そー。でもでも、シャドウとは違う匂いクマ。でも気をつけるクマ。」

 

悠「おそらく深海棲艦だろう。みんな!気を引き締めて行くぞ!」

 

どうやらクマの鼻センサーに、深海棲艦が引っかかったようだ。全員に警戒を促し、先に進む。

 

クマ(球磨)「匂いが近いクマ!近くにいるクマ!」

 

金剛「偵察機より入電!find enemy!」

 

索敵を密にし、再び先に進む一行。しばらくして、クマの鼻センサーと金剛の偵察機が敵を探知する。

 

悠「よし!先ずは航空戦!」

 

金剛「Let's go 悠!」

 

悠「……」

 

島風「…?どうしたの?早くペルソナ出さないと!」

 

悠「両手が塞がって無理だ!」

 

全員「「「はぁーー!!」」」

 

幸せの重みの代償は、思ったよりも大きかったようだ。

 

武蔵「悠!なんとか片手くらい離せないのか⁉︎」

 

悠「無理だ!波で足元が不安定だから、両手でバランスをとらないとまずい!」

 

陽介(阿武隈)「仕方ねぇ!クマ!いくぞ!」

クマ(球磨)「ガッテンショウチ!」

 

「「ペルソナァ(クマァ)!」」

 

卯月「なんか出たっぴょん!」

暁「はにゃぁぁ!」

 

悠の様子を見かねて、2人がペルソナを召喚し、航空戦を行う。

 

陽介(阿武隈)「くそっ!遠隔操作なんて初めてなんだよこっちは!」

 

クマ(球磨)「あいたたた!めっちゃ撃たれてるクマ!」

 

航空戦の都合上、どうしてもペルソナとの距離が開いてしまう為、自身の感覚をペルソナとより深くシンクロさせなければならない。

深くシンクロする事で、ペルソナの視界から物を見れたり、より精密な挙動もとれるが、その間はダメージのフィードバックもいつも以上に発生する上に、かなりの集中力が必要な為、使い手が無防備になってしまう。また、SPの消費も激しくなる。

出来るなら制空権争いは、空母系の艦娘に任せたい。

 

悠「陽介!クマ!制空権を確保出来たのならすぐに戻れ!」

 

陽介(阿武隈)「おう!」

クマ(球磨)「りょーかい!」

 

敵艦の対空砲火により多少のダメージを受けたものの、無事に制空権を確保する。

 

悠「相手は⁉︎」

 

陽介(阿武隈)「デカい魚のバケモノが2匹とメカっぽいのが一体だ。」

 

金剛「駆逐艦と軽巡洋艦ネ!次は私のturn!」

 

航空戦が終わり、砲撃戦が始まる。

金剛は主砲を構え…。

 

金剛「全砲門!fire!」

 

敵の旗艦と思われる、軽巡洋艦に向け主砲を放つ。

 

金剛「sit!イ級が庇ったネ!」

 

武蔵「だがそのイ級は落とせたようだな。よし!駆逐艦隊!金剛に続けー!」

 

睦月「主砲…撃て〜!」

 

卯月「うーちゃんの攻撃〜!」

 

夕立「素敵なパーティーっぽい!」

 

暁「あわわわ⁉︎ちょっと待って!」

 

ドゴン!ドゴン!と、12㎝単装砲と12.7㎝連装砲が砲撃音を響かせ、敵艦に砲撃を浴びせる。

が…。

 

へ級「」ヒョイヒョイ

イ級「」ホイホイ

 

夕立「外れたっぽい!」

 

睦月「敵艦、未だ健在にゃしぃ!」

 

吹雪「敵艦から砲撃!来ます!」

 

敵艦隊は、砲撃を躱しながらこちらとの距離を詰め、砲撃を行おうと試みる。が、

 

陽介(阿武隈)「させるかよ!」

 

敵艦隊の詰めた距離を、陽介がさらに詰め寄り…。

 

陽介(阿武隈)「おりゃぁぁっ!」

 

ザシュ!ザシュ!

 

一瞬でイ級に肉薄し、側面を斬りつけ…

 

イ級「ギイィィィ!」

 

陽介(阿武隈)「まだまだぁ!タケハヤスサノオ!」パリィン!

 

陽介(阿武隈)「ブレイブザッパー!」

 

怯んだ隙にブレイブザッパーを放ち、イ級を両断する。

真っ二つになったイ級は、断末魔を上げる間もなく沈んでいった。

 

陽介(阿武隈)「うっし!こいつら見た目ほど強くないぞ!」

 

吹雪「花ちゃんさんが強過ぎるんです!」

 

クマ(球磨)「ヨースケ!後ろ後ろ!」

 

陽介(阿武隈)「ん?うおぁ!」

 

イ級を倒して、気が緩んだ陽介にへ級の砲が向けられ…

 

島風「ツクヨミ!」パリィン!

 

島風「お願い!ジオ!」

 

バチィン!

 

へ級「!!」

 

るも、島風がジオでへ級の動きを止める。

 

陽介(阿武隈)「ナイス!サンキュー島風!」

 

金剛「今がchance!皆さん!ボッコボコにしちゃってクダサーイ!」

 

吹雪「酸素魚雷!いっけー!」

睦月「主砲も魚雷もあるんだよ!」

卯月「うーちゃんボンバー!」

夕立「二次会は無いっぽい!」

暁「そ、それー!」

 

駆逐艦による雷撃が、ジオで動けなくなっているへ級に迫り…

 

陽介(阿武隈)「は⁉︎まっ⁉︎俺まだ離脱してねーよ!う、ウオォォッ!」

 

ついでに陽介にも迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴーン!

 

 

 

モクモク…

 

金剛「………oh…」

 

悠「やっちゃったな…」

 

吹雪「ご、ごめんなさい!その場のテンションに任せて攻撃してしまいました!」

 

夕立「阿武隈さんも一緒にボコボコっぽい?」

 

睦月「大丈夫かなぁ?」

 

やがて煙が晴れ…

 

陽介(阿武隈)「何さらすんじゃボケー!死ぬかと思ったわ!」

 

陽介だけが姿を現わす。どうやらへ級は沈んだようだ。

 

卯月「意外とピンピンしてるぴょん。」

 

悠「大丈夫か陽介?」

 

陽介(阿武隈)「ああ、見た目が派手なわりに大したダメージは受けてないぜ。」

 

武蔵「まだ駆逐艦たちの練度は低いからな。魚雷の威力もそれ相応だ。」

 

悠「よし、陽介の無事も確認できた。この調子で哨戒を進めよう。」

 

 

 

この後、皆で哨戒を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・帰投ゲート〜〜

 

 

悠「ふぅ、ただいまー!」

 

金剛「艦隊帰投デース!」

 

武蔵「よし、悠、下ろしてくれ。」

 

哨戒を終え、鎮守府に帰ってきた一行。

 

悠「陽介、航路は大体分かったか?」

 

陽介(阿武隈)「まあ、なんとかな。」

 

悠「じゃあ当初の予定通りに頼むぞ。」

 

陽介(阿武隈)「ああ、任しとけ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして皆が各々の役割をこなし…

 

 

 

陽介(阿武隈)「島風!そっち行ったぞ!」

島風「まっかせて!」

クマ(球磨)「サポートは任せんしゃい!」

 

 

龍田「天龍ちゃんだめよ?艦攻の射線に入っちゃ。」

天龍「分かってんだけどな〜…」

龍驤「うちのコース取りが悪いんかも知れへん。戻ったら卓上演習やな。」

 

 

金剛「one・two・three・four!」

駆逐艦’s「ファイブ・シックス・セブン・エイト!」

金剛「Very good ネー!」

 

 

悠「ニャア〜」

ネコ「にゃう?」

悠「」つ猫じゃらし

ネコ「にゃふ〜!」

武蔵「ゆ〜う〜?書類は片付いたのかな〜?」

悠「ひ、ヒエェ〜!」

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に2週間が過ぎた。

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート〜〜

 

龍田「では、行ってきますね。」

 

観艦式当日の早朝、総員起こしの放送も鳴らない午前4時。龍田たちは護衛任務の為に出撃ゲートに来ており、悠も見送りに来ていた。

 

天龍「あーあ…俺も観艦式に出たかったぜ。」

 

悠「そう拗ねないでくれ。戦闘を行う可能性がある任務だからな、新人に任せるわけにもいかないだろ?」

 

龍驤「その理屈で言うと、うちには任せられんみたいに聞こえるんやけど?」

悠「龍驤は日本海軍の最古参なんだろ?そんな艦を新人扱いするなんてとんでもない。」

 

龍驤「期待されてるって事でええんやな?」

 

悠「ああ、頑張ってこい!」

 

龍驤「そかそか〜、まっ、うちに任せとき〜や!」

 

龍田「帰投予定時刻はフタマルマルマルです。戦況により多少の前後はあると思いますので、少し遅くなっても心配しないで下さいね〜?」

悠「分かった。」

天龍「よっしゃー!久々の任務だ!腕が鳴るぜ!じゃあ行ってくる!」

 

龍田「では、また後ほど。待ってよ天龍ちゃ〜ん!」

 

龍驤「提督、吉報待っとってな!」

 

悠「いってらっしゃーい!」

 

3人が出撃し、ゲート内は静寂に包まれる。

 

悠「……よし!こっちも頑張らないとな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯市・佐伯港〜〜

 

 

悠「本日は佐伯湾鎮守府観艦式にお越しいただき、ありがとうございます。」

 

現在の時刻は午後1時半。軍服に身を包んだ悠が鎮守府着任のスピーチを行っている最中だ。

このスピーチの終わった後に艦隊の御披露目が行われる手筈である。

 

悠「…この海の平和を取り戻す為に、粉骨砕身努力する所存です。どうか皆様よろしくお願いします。」

 

パチパチパチパチ

 

悠のスピーチが終わり、やや控え目な拍手が鳴る。

 

渚「鳴上提督、ありがとうございました。では、これより艦隊の御披露目を…」

 

?「ちょっと待たんかい!」

 

司会を務めている渚が進行を行っている所に、筋骨隆々な1人のお爺さんが、来賓席から大声をあげて割って入る。

 

渚「ちょっ…!おじいちゃんっ…!」

 

?「渚!止めるんじゃないわい!こんな若造が提督?ふざけるな!大体こいつはうちの(たけし)と同じくらいではないか!」

 

渚「はーい!警備員さーん!連れてってー!」

 

?「なっ!何をする⁉︎離さんかい!くそぉ!ワシはこんな若造認めんぞ〜!」

 

渚「…はいっ!申し訳ありません!では気を取り直して艦隊の御披露目と参りましょう!」

 

どうやら渚の祖父は、悠の提督着任に反対のようだ。彼が座っていた来賓席のパネルには『佐伯市漁協組合・組合長 海鳴豪旗(うみなりごうき)』と書かれている。

 

悠(やっぱり快く思ってない人もいるみたいだ。早く皆に認めて貰えるように頑張らないとな。)

 

 

 

程なくして、金剛たちが港内に入ってきて観艦式が始まる。

一糸乱れぬ艦隊運動。2週間という短い期間でここまで統率がとれた航行が出来るのも、金剛の指揮能力と指導力の高さの賜物である。

 

 

 

金剛「礼砲構えー!…撃てー!」

 

 

ドゴン!ドゴン!

 

観客席に主砲がよく見えるように静止し、金剛の号令と共に礼砲が放たれる。

 

金剛「一同、敬礼!」

 

礼砲を撃ち終えると、観客席に向き直り敬礼をして、そのまま帰投する。

 

 

 

 

渚「…ではこれにて、観艦式を終了とさせていただきます。佐伯湾鎮守府の皆様、ありがとうございました。」

 

 

 

金剛たちが帰投した後、市長や県知事の講評を聴き、それで式は閉幕となった。

もっとも、一般の方は金剛たちが帰投した後直ぐに散ってしまい、まともに話を聴いているのは関係者のみだったが。

 

 

悠(ふぅ、トラブルもあったが無事に終わったな。留守番している陽介たちと頑張ってくれた金剛たちに何か買って帰るか。)

 

悠が身支度を整え、出店の出店しているエリアに行こうとしたその時。

 

木下「やあやあ!鳴上提督!お疲れ様!」

 

渚「お疲れ様です。」

 

悠「市長さん、海鳴さん、お疲れ様です。」

 

木下市長と渚が話しかけてきた。

 

渚「いやぁ、スピーチの時はうちのおじいちゃんが…すみませんでした。」

 

悠「いえ、大丈夫です。ああいった反感を買うのも織り込み済みです。」

 

木下「いやぁ、若いのにしっかりしてるなぁ!うちの娘の婿養子にほしいくらいだ!」

 

悠「あははは…」

 

2、3、言葉を交わし、満足した木下市長は、

 

木下「じゃあ私はこれで失礼するよ。渚君、後は頼んだよ?」

 

渚「はい、お疲れ様でした。」

 

悠「お疲れ様でした。」

 

席を外す。どうやらそのまま市役所に戻るようだ。

 

渚「改めて、ごめんなさい。うちのおじいちゃんも本当は、ようやく鎮守府が出来るってすごい喜んでたの。立派な軍人さんが佐伯の海を守ってくれるって。」

 

鳴上「そこに俺みたいな若者が来たら、確かにがっかりしますね…」

 

渚「うん、本当にごめん。おじいちゃんには私からも言っておくから。」

 

?「あっ!おーい!姉ちゃーん!」

 

悠と渚が2人で話していると、大きな声で姉、(おそらく渚のことだろう)を呼ぶ声が響く。

 

?「はぁはぁ…」

 

渚「ちょっ!武!そんなに息切らしてどうしたの⁉︎」

 

どうやら渚の弟らしい。

 

武「いや、大変なことになって…ん?そっちの人は?姉ちゃんの彼氏?」

 

渚「違います!この人が鎮守府の提督さんよ。ほら!ちゃんと挨拶しなさい!」

 

武「えっ!マジで⁉︎あんたが提督なのか⁉︎」

 

悠「あ、あぁ、鳴上悠だ。よろしくな。」

 

武「ちょうど良かった!頼む!じいちゃんを助けてくれ!」

 

悠「落ち着け。まずは何があったか話してくれないか?」

 

渚「そうよ武。おじいちゃんがどうしたのよ?」

 

武は、自己紹介もせずに捲したてる。一体何があったのだろうか?

 

武「じいちゃんが…じいちゃんが漁に出ちまったんだ!」

 

悠「なっ!」

 

武「俺は止めたんだけど…聞いてくれねーんだ…。もう待てないって…あんな若造には何も変えられないって…」

 

渚「ち、ちょっと⁉︎どーすんのよ!このままだと、おじいちゃんもお父さんみたいに…!」

 

悠「えっと、武っていったか?」

 

武「あ、ごめん、名乗ってなかった。俺は海鳴武(うみなりたけし)、佐伯第一高校の3年…って!自己紹介してる場合じゃないんだよ提督さん!」

 

悠「俺のことは悠でいい。どうやら同学年みたいだからな。武、君のおじいちゃんが向かった方角は分かるか?」

 

武「え?同学年?って、そうじゃない…。多分あっち。深海棲艦が出る前によく行ってた漁場に行ったと思うんだ。」

 

武は、祖父が向かったと思われる方角に向かって指を指す。

 

悠「そうか。渚さん、鎮守府に救助の要請を出しといてください。俺は先に行ってます。」

 

渚「え?分かったけど、先に行くって…?」

 

悠「本当はマズイんだろうが…、人命には代えられない!」

 

 

 

悠「ペルソナ!」パリィン!

 

 

 

セイテンタイセイ「ウキー!さっさと行くぜ!乗りな!」

 

悠「頼むぞ!」

 

渚「な、な、さ、さる?」

武「は?え?」

 

 

人命が最優先。悠はセイテンタイセイを呼び出し、共に筋斗雲に乗り…

 

セイテンタイセイ「ヒャッハー!」

 

海へと飛び立つ。

 

渚「は、ははは…」

武「夢でも見てんかな、俺…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾〜〜

 

 

豪旗「ふんっ!」

 

武の制止を振り切った彼の祖父、豪旗は海上で漁を始めていた。

 

豪旗「久しぶりじゃな…こうして網を張るのも…」

 

現在、海はとても穏やか。豪旗はタバコをふかしながら空を見上げる。

 

豪旗「(つよし)のやつがあの化け物どもに殺されちまったのも、こんな日だったなぁ…」

 

ギャオオォォ!

 

豪旗「ッ!!」

 

物思いに耽っていた豪旗を、深海棲艦の咆哮が現実に引き戻す。

 

豪旗「ちっ…ワシもここまでか…」

 

 

いつの間にか、駆逐艦イ級、ロ級が視認できる距離にまで迫っていた。

イ級とロ級の口が開き、砲身が露わになり、砲撃の用意が整い…

 

豪旗「渚…武…すまん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「謝るなら直接謝ってください!」

 

 

 

 

豪旗「声⁉︎どこから⁉︎」

 

 

 

悠「セイテンタイセイ!」

 

セイテンタイセイ「分かってるての!空間殺法!ウキー!」

 

空から、セイテンタイセイの空間殺法が深海棲艦を蹴散らし…。

 

 

 

シュタッ!

 

 

悠「無事ですか⁉︎」

 

漁船の甲板に悠が着地する。

 

豪旗「なっ⁉︎お前さんは…⁉︎」

 

悠「話は後!早く離脱を…!」

 

ドゴン!ドゴン!

 

悠「新手か⁉︎」

 

セイテンタイセイが向かった逆方向から砲撃が飛んでくる。軽巡へ級を旗艦とした水雷戦隊のようだ。

 

悠「チェンジ!アタバク!」パリィン!

 

悠はすかさずペルソナを変え、

 

悠「船を守れ!」

 

物理無効を持つアタバクを盾代わりにして砲撃を受け止め、

 

豪旗「こ、これは仏様⁉︎」

 

悠「ブレイブザッパー!」

 

そのまま接近してきた艦を叩き斬るが、

 

悠「くっ!数が多い!」

 

戦況は不利なようだ。悠は艤装を装備せず、ペルソナを使ってここまで来たため、結構な量のSPを消費しており、しかも周囲を囲むように複数の敵艦、約10隻が陣形を組んでいる。

 

悠「陽介たちが来るまで持つか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「あーもう!結局妙高姉さんに見つかって遅れに遅れたわ!うぅ…まだ大丈夫よね?鳴上提督がもう彼女を作ってたら全部がパーよ!

…ん?あれは…深海棲艦!となに⁉︎仏像⁉︎

よく分からないけど、漁船が襲われてるみたいね!今助けるわよ〜!砲撃戦…よーい!撃てー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「くっ!アタバク!」

 

ドゴン!ドゴン!

 

比較的体が大きいアタバクで敵艦の砲撃を受け続ける悠。物理的なダメージは受けずとも、爆発によって発生する熱によるダメージが、悠の体に蓄積していく。

 

悠(魔法を使いたいが、ここに来るまでにSPを使い過ぎた!メギドラオンは船を巻き込む恐れがあるからどのみち使えないが、回復も満足に出来ないのは辛いな…だからと言ってレベルの低いペルソナに切り換える隙もあるか怪しい…)

 

?「砲撃戦…よーい!撃てー!」

 

悠「ッ!陽介たちか⁉︎いや、違う⁉︎」

 

この劣勢を覆す為に悠が策を練っていると、聞き慣れない女性の声とともに砲撃音が響く。

 

 

ドゴーン!

 

その砲撃は、漁船に迫っていた1隻の敵艦を沈める。これで残りは9隻。

 

?「大丈夫ですか⁉︎」

 

悠「あなたはっ⁉︎」

 

足柄「私は重巡洋艦の足柄よ!って、鳴上提督⁉︎」

 

悠「俺のことを知ってるんですか?って、今はそんなことはどうでもいい!とにかく助かりました!」

 

足柄「どういたしまして!ゆっくり自己紹介したいところだけど、まずはこいつらを片付けるわよ!」

 

悠「よし、これなら…!チェンジ!ヨシツネ!」

 

ヨシツネ「守りは俺たちに任せな!ヒートライザ!」

 

足柄「ッ!これは!よーし、いけるわ!さぁ、かかって来なさい!」

 

たまたま近くを通りかかった、足柄という艦娘に助けられた悠。

緊急事態の為、言葉を交わすのは最低限にし、共同戦線を張る。

海上を自由に動ける足柄に、なけなしのSPを使いヒートライザをかけ、守りに専念する悠。

 

足柄「撃てッ!撃てッ!撃てー!」

 

突然現れた増援に浮き足立つ敵艦隊。漁船を囲んでいた包囲網が瞬く間に崩れていく。

が、敵も馬鹿ではない。

 

足柄「チッ!陣形を組み直してきたわね!」

 

どうやら敵艦隊は、漁船を沈めるよりも足柄を片付ける方が先と判断したようだ。

足柄にヘイトを集中させるため、敵艦は陣形を複縦陣に組み直し、足柄と撃ち合いを続ける。

だが、それが命取りとなる事を深海棲艦たちは知らない。

 

悠(この船を中心に円陣を組まれていては、全ての艦を攻撃の範囲内に収めるのは難しい。だが!複縦陣の今ならまとめて倒せる!)

 

悠「これならいける!足柄さーん!」

 

足柄「なに⁉︎」

 

悠「敵を一網打尽にします!一旦下がってください!」

 

足柄「了解よ!」

 

悠「一発勝負だ!ヨシツネェ!」パリィン!

 

ヨシツネ「応!秘技・八艘飛び!」

 

 

ヨシツネが宙を舞い、深海棲艦の陣の中心で、目にも留まらぬ速さで刀を振るう。

 

ドゴォーン!

 

ヨシツネに切り刻まれた複数の駆逐艦が爆発し、砕け散る。弾薬にでも引火したのだろうか?

 

 

足柄「やったわ!私たちの勝利よ!」

 

悠「いや!まだだ!」

 

へ級「ガガッ…ピー!」

 

他の艦に庇われたのか、旗艦である軽巡へ級を討ち漏らしたようだ。

 

ヘ級「コレハタイヘン!ツヨイニンゲントカンムス!ヲーサマニホウコク!ホウコクー!」

 

足柄「し、喋った⁉︎」

 

ヘ級「スタコラサッサー!」

 

1隻だけ残ったヘ級は、いきなり喋りだしたかと思うと、古臭いセリフとともに逃げていく。

 

足柄「待ちなさーい!」

 

悠「待って下さい!もう脅威は去りました!深追いするよりも、漁船を港に送り届けなければ。」

 

足柄「そ、そうね。ごめんなさい。」

 

豪旗「あ、貴方様は…」

 

悠「あ!海鳴さん!大丈夫ですか?…海鳴さん?」

 

今まで、船内に隠れていた豪旗が出てきた。だが、様子がおかしい。

 

豪旗「誠に申し訳ございませんでした!」

 

悠「は?どうしました⁉︎」

 

豪旗「貴方様が仏の御使いだとは!存じ上げなかったとはいえ、数々の非礼、心よりお詫び申し上げます!」

 

悠「え⁉︎いや、俺はそんなんじゃなくて…」

 

豪旗「何卒、何卒御慈悲を!」

 

悠「え、えーと…、許します。」

 

豪旗「おお!なんと慈悲深い御心!有り難や…有り難や…」

 

悠「え、えぇ〜…」

 

熱い手のひら返し。どうやらペルソナを見て、悠の事を神様か何かと勘違いしているようだ。

 

足柄「あははは…まあ、下手に反感を買うよりはいいんじゃない?」

悠「ですね…」

 

 

「おーい!相棒〜!」

 

 

悠「おっ!陽介!おーい!こっちだ〜!」

 

足柄「これにて一件落着ね!」

 

悠「はい、港に帰りましょう!」

 




島風「平和だった佐伯の海に突如として現れた深海棲艦!」
龍驤「奴らは漁船や輸送船を襲ったりでやりたい放題や!」
天龍「だが俺たちは、あいつらのアジトを突き止めることに成功したぜ!」
悠「さあ!覚悟しろ!海賊ヲー!」

次回 ペルソナ4 the K.C.
対決!海賊ヲー!

海賊ヲー「ゴムゴムノー!艦載機!」
悠「その技名は止めろ!」

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