ペルソナ4 the K.C.   作:黒城優輝

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未成年の飲酒、ダメ!絶対!
どうもです。黒城です。
後編は、特にキャラ崩壊が激しくなっております。
シリアスなんて居なかった。


第九話 ぼくのかんがえたさいきょうのちんしゅふ 後編

「「「ごちそうさまでした〜!」」」

 

カレーを食べ終え、食器を片す一同。

 

悠「ごちそうさまでした、荒垣さん。美味かったです。」

 

荒垣「そうか。そりゃ何よりだな。」

 

金剛「Hey!Mr.荒垣!curry very Deliciousでした!それで!よかったらrecipeをもらえたらな〜なんて!」

 

礼を言う悠と金剛。金剛はついでにレシピがもらえないかと尋ねる。

 

荒垣「レシピ?ああ、別に構わねえが…」

 

金剛「thank you 荒垣!promiseデスヨ〜!」

 

金剛は、約束を取り付けると皆の元へと戻っていく。

 

荒垣「テンションの高い奴だな…」

 

悠「あはは、ああいうのは苦手ですか?」

 

荒垣「まあな…」

 

悠「そうですか。悪い子じゃないんで、あんまり邪険にしないでくれると嬉しいです。」

 

荒垣「善処する。」

 

悠「頼みますよ?あ、そうだ。俺も料理出来るんで、何かあったら呼んでください。手伝いますから。」

 

荒垣「ああ、何かあったら頼むわ。」

 

 

 

悠「で、次はどこを案内してくれるんだ?」

 

昼食を食べ終えた悠達は、次に行く場所をマーガレットに尋ねる。

 

マーガレット「次は鎮守府本棟…の前に酒保の店主に挨拶していきましょうか。」

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・酒保〜〜

 

 

マーガレット「ここが酒保よ。生活に必要な最低限の物は揃うようにしてあるわ。」

 

食事を終えた一行は酒保に案内される。

店内はコンビニ程の広さで、そこかしこに陳列途中と思われる商品の段ボールが置かれている。

と、悠達に気付いたのか、奥から人が出てくる。

 

?「あっ!いらっしゃいませ〜!でもごめんね〜!まだ準備中なの。」

 

一行を出迎えたのは、派手なメイクの妖精。だが、この世界の妖精とは大きさがまるで違う。というか、人間サイズである。

 

マーガレット「トリッシュ、自己紹介を。」

 

トリッシュ「はいはい、言われなくてもやるっての!私はトリッシュ!このお店の店主よ。よろしく〜!」

 

悠「ああ、よろしく。この店は、どんな商品を扱ってるんだ?」

 

トリッシュ「基本はそこらにあるコンビニと変わんないわ。

で・も!あんたみたいなペルソナ使い向けの、スペシャルなアイテムも取り扱ってるわよ!」

 

悠「へぇ、どんなアイテムなんだ?」

 

トリッシュ「ちょっと待ってて!とってくるわ!」

 

そう言うと、トリッシュは商品を取りに奥へ戻る。

 

 

武蔵「おい、マーガレット。あの妖精のコスプレ女はなんだ?本来なら酒保は、本部のスタッフが管理する筈だが?」

 

マーガレット「ペルソナ使いの為のアイテムは、この世界では手に入らない。

だから、そのアイテムを生成することの出来る存在が必要だったのよ。」

 

武蔵「信用出来るんだろうな…」

 

マーガレット「ええ。品質は問題無いわ。品質はね…」

 

 

ほどなくして、トリッシュが奥から段ボールを一つ抱えて戻ってくると、レジカウンターの上に中のアイテムを広げ始めた。

 

トリッシュ「まずは、定番の傷薬、軟膏薬、ヒールゼリーに緊急医療セット。体力回復はこれね!

まだまだあるわよ!ソウルドロップ、スナフソウル、チューインソウル、ソウルフード。

ペルソナ召喚の為のSP回復はこれでばっちりよ!」

 

中から出てきたのは、1年前にもお世話になった、懐かしい回復アイテム。

 

悠「中々の品揃えだ。SP回復アイテムがあるのは嬉しいな。」

 

トリッシュ「でしょでしょ!でもね、まだ目玉商品を出してないんだなこれが!」

 

悠「目玉商品?」

 

トリッシュ「フッフッフッ…それはね…これよ!」

 

トリッシュが取り出したのは、美しい装飾が施された一本の瓶。

 

悠「これは…⁉︎まさかソーマ⁉︎」

 

ソーマ、それはパーティ全員のHP・SPを全回復させる奇跡の薬。だが、その貴重さ故に、使うのを躊躇いがちになる。そんなアイテムである。

 

トリッシュ「おぉ〜!お目が高いねお客さん!で・も!これはただのソーマじゃ無いんだなこれが!」

 

だが、どうやら普通のソーマとは違うようだ。

 

トリッシュ「これはね、普通のソーマの効果に加え、艦娘の艤装の修復、更には燃料と弾薬を一瞬でマックスまで補給してくれる奇跡の薬だよ!

その名も『ソーマ・トリッシュブレンド』!開発期間は多分10年!」

 

とんでもないチートアイテムである。

 

悠「そいつは凄いな!いくらなんだ?」

 

トリッシュ「20万。」

 

悠「………は?」

 

…参考までに言うと、装備していた艦娘が、轟沈する程のダメージを受けた際、耐久値・燃料・弾薬をマックスまで回復してくれる装備品、『応急修理女神』は、一回使い切りで、艦これゲーム内でのお値段は、おひとつ500円である。

 

トリッシュ「20万円だよ!ほんとは倍とったっていいんだから!さぁ!買いなさい!ほら!買いなよ!買えッ!」

 

悠「…よし、みんな!次に行こう!」

 

トリッシュ「はぁ!何それ!あんた軍人だろ!金で勝利が買えるんだよ!これくらい安いでしょうが!くそっ!ばーか!貧乏人!」

 

…酒保を後にした一行だった。

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・本棟〜〜

 

 

マーガレット「ここが鎮守府の本棟よ。」

 

寮を後にし、鎮守府本棟へやってきた一行。

裏手の職員玄関と思わしき入り口から中に入る。

 

マーガレット「本棟は三階建てで、一階は受付、応接室、海軍の外向けの資料の展示、甘味処間宮もテナントではいってるわ。」

 

悠「なるほど。」

 

マーガレット「この一階だけは、一般開放もされているから、一般のお客様に失礼の無いように。」

 

悠「わかったか?天龍?」

 

天龍「なんで俺なんだよ、島風に言えよ。」

 

悠「いや、お前が一番口が悪いからな。」

 

天龍「仕方ねーだろ!敬語なんて柄じゃねーんだよ!」

 

島風「天ちゃんは敬語使えないの?」

 

龍田「そうなのよ〜、天龍ちゃんおバカだからね〜。何度か教えようとしたんだけど、どうしても不良みたいな感じの敬語になっちゃうの。」

 

天龍「こらそこ!俺は馬鹿じゃねー!ちょっと勉強が苦手なだけだ!」

 

吹雪「それを馬鹿って言うんじゃ…」

 

天龍「なんか言ったか!」

 

吹雪「いえ!何も!」

 

 

マーガレットの案内は続いていく。

 

マーガレット「二階は会議室と資料室が主よ。任務のブリーフィングは会議室でお願いするわ。」

 

天龍「なんでだ?別に会議室じゃなくたっていいんじゃね?」

 

金剛「Yes.こんな堅苦しい場所でやらずに、tea timeの出来る場所でやるべきデース。」

 

武蔵「馬鹿者、情報の漏洩を防ぐ為だ。どこから情報が漏れるかわからないんだぞ?」

 

天龍「はぁー…深海棲艦がわざわざスパイを送ってくんのか?」

 

武蔵「敵は深海棲艦だけでは無い。反戦を掲げる過激な団体にも気を配る必要がある。わかったか?」

 

天龍「なるほどな、念には念をってわけか。」

 

 

マーガレット「三階は執務室、艦隊司令室、放送室があるわ。普通は提督が司令室で艦隊の指揮をとるのだけど…」

 

龍田「鳴上提督は使う機会が少なそうですね〜。」

 

悠「前線で直接指揮をとれるからな。」

 

吹雪「やっぱり出撃する気なんですね。」

 

悠「ああ、みんなは俺が守ってみせる!」

 

吹雪「本当は私たちが守る側なんですけどね〜…」

 

マーガレット「さて、こんなものかしらね。さぁ、次に行きましょう。」

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・出撃ゲート前〜〜

 

 

マーガレット「ここが出撃ゲートよ。ここは、本部のものと大差ないから飛ばすわね。場所だけは覚えておいて。」

 

出撃ゲート前に来た一行だが、どうやらここには用はないようだ。

 

マーガレット「そして、あっちに見える建物が補給棟と艤装の工廠(こうしょう)よ。」

 

マーガレットが指し示す先には…

 

島風「エム…オー…イーエル石油?」

 

悠(もう嫌な予感しかしない…)

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・補給棟〜〜

 

 

悠(うわー…MOEL石油まんまだー…)

 

悠達は、ガソリンスタンド・MOEL石油…もとい、補給棟に来ていた。

正直、ガソリンスタンドの設備で、艤装に補給が出来るかはかなり怪しいが、わざわざこんな風に作り変えているのだから大丈夫だろう…多分。

そして、中から赤い帽子の店員が出てきて、こちらに駆け寄ってきて…

 

?「らっしゃーせー!燃料満タンで?」

 

悠「ウンシッテタ。MOELセキユノカンバンミタトキカラシッテタ。」

 

?「おや、つまらないですね。もっと驚いてもらえると思っていたのですが…」

 

武蔵「なんだ?また知り合いか?」

 

イザナミ「どうも、私は補給棟の管理を任されたイザナミと申します。」

 

武蔵「イザナミ?また大仰な名前だな。」

 

イザナミ「大仰…ですか。この名に恥じぬ力は持ち合わせているつもりですがね。」

 

武蔵「ほう…」

 

悠「やめろ武蔵。イザナミ、いくつか質問をさせてもらうぞ。いいな?」

 

正気を取り戻した悠は、武蔵を諌め、警戒しつつも情報を手に入れようと、イザナミに質問をする。

 

イザナミ「ええ、構いませんよ?」

 

悠「…お前は、間違いなく俺が倒したはずだ。なぜここにいる?」

 

イザナミ「ああ、確かに私は貴方に倒されました。ですが、殺すまではいかなかったようですね。

まぁ、貴方に倒された事によって、力は霧散し、一時期は実体を持てないレベルまで弱体化しましたが。」

 

どうやら悠は、イザナミを完全には倒せなかったようだ。

 

イザナミ「それから半年程で、ようやく実体を持てるまでに回復しましてね。」

 

悠「…そしてまた、人の望みを見極める為に現れたのか?」

 

イザナミ「いえ、それについてはもう結論は出ていますよ。他ならぬ貴方が…その答えを示したではないですか。」

 

悠「なら何故!今再び俺の前に現れた⁉︎」

 

悠は、イザナミの目的が読めずに声を荒げる。それに対し、イザナミは…

 

イザナミ「…暇だったのですよ。」

 

悠「………は?」

 

イザナミ「本当は、力がある程度戻ったら黄泉に帰る予定だったのですが…。

ほら、私、MOEL石油でバイトしてたじゃないですか?」

 

悠「…そういえばしてたな。」

 

イザナミ「それでですね、貴方達を監視していた間は、特にお金を使う事もありませんでしたし、余ってたんですよね、バイト代。

正直、このまま黄泉に帰ってもバイト代が無駄になってしまうので、どうせなら見聞を深めようと、1人の人間として、旅に出る事にしたのです。」

 

悠「そうか…」(イザナミも正面から人と向き合おうと思ってくれたのか…)

 

イザナミが人の事を理解しようとしてくれたことに、悠は感銘を受けた、が…。

 

イザナミ「それでですね…最初はディズ◯ーランドに行ったんですよ!あ、シーも行きました!」

 

悠「………え?」

 

イザナミ「ランドとシー、どちらもとても楽しかったです。ところで、なんで千葉にあるのに名前に東京が入るんでしょうね?知ってます?」

 

悠「イエ、シラナイデス。」

 

どうやら、ただ旅行に行っただけのようだ。もう色々と台無しである。

 

 

 

 

イザナミが行ってきた旅行のお土産話に付き合った…

 

 

 

イザナミ「それで、久慈川さんのライブに行ったのですが…」

 

マーガレット「イザナミ様、そろそろ本題に入らせていただいてもよろしいかしら?」

 

30分ほど、一方的に話を聞かされてウンザリしたのか、マーガレットが口を挟む。

 

イザナミ「…そうね。でもまだ、話し足りないのだけれど…」

 

マーガレット「イ・ザ・ナ・ミ・様?」

 

イザナミ「…仕方ありません。続きはまたの機会にしましょう。」

 

どうやら、ようやく本題に入るようだ。

 

イザナミ「ここでは、燃料と弾薬の補給や、艤装の修理を行っています。

艤装の修理については、お代の代わりに、燃料と鋼材を、艦種と破損具合に応じて頂きます。」

 

天龍「あんたが修理すんのか?出来るようには見えねーけど、大丈夫か?」

 

イザナミ「ええ、私が行うのは修理というより、復元なので。」

 

吹雪「復元?」

 

イザナミ「はい、そうですね…少々お待ちください。」

 

そう言うと、補給棟の隣に建っている建物、(恐らくは艤装の工廠だろう)に入っていく。

しばらくすると、小さめの主砲を持って戻ってきた。

 

吹雪「あっ!私の12.7㎝連装砲!」

 

どうやら吹雪の艤装のようだ。ご丁寧に名前シールまで貼ってある。

 

イザナミ「では、こちらの主砲で実演しましょう。」

 

イザナミは、そう言うと…

 

イザナミ「それっ!」

 

連装砲を上へ投げ…

 

イザナミ「フッ!」バチィンッ!

 

雷を落とした!

 

吹雪「うわぁ〜!!私の連装砲がぁ〜!」

 

憐れ、吹雪の連装砲は完全に壊され、無残な姿を晒す。

 

吹雪「うぁ〜…そんな〜…」

 

吹雪は涙目になりながら、連装砲を拾い上げる。

 

イザナミ「あの…大丈夫ですから泣かないでください。」オロオロ

 

吹雪「だってぇ…もうグチャグチャで…ヒッグ…」

 

武蔵「おい、どうするつもりだ?」

 

イザナミ「今から、破損した艤装を復元します。さあ、貸してください。」

 

吹雪は震える手で連装砲をイザナミに渡す。

 

イザナミ「いきますよ…ハアァァッッ!」

 

イザナミが念を込めると、連装砲が霧に包まれていく。

 

イザナミ「………ふぅ、終わりましたよ。」

 

時間にして僅か1分程。イザナミは、息を吹きかけ霧を散らすと…

 

吹雪「直ってる!直ってますよ!うわぁ〜!よかった〜!」

 

武蔵「バカな!一体どうなっている!」

 

悠「まさか…」

 

イザナミ「さすがに鳴上君は気付きますか。」

 

悠「あの1年間の無限ループの応用か?」

 

イザナミ「御名答。時間を巻き戻し、壊れる前の状態に戻しました。機械の寿命が破損の原因でない限りは復元可能です。」

 

武蔵「…なるほど。修復にかかる時間はどうなっている?」

 

イザナミ「大体はさっきの主砲と同じ時間で復元出来ますよ。」

 

吹雪「すごいですね!これなら、反復出撃も楽になりますよ!」

 

武蔵「これが他の鎮守府に知れたらちょっとした内乱になりそうだな…」

 

龍田「ちょっと待ってもらえますか〜?」

 

ここで、龍田が口を挟む。

 

龍田「これって、艤装は直りますけど、私達の怪我はどうすればいいのかしら?」

 

マーガレット「ああ、それなら私達スタッフに言ってもらえれば回復するわよ。

ただし、トリッシュはダメよ。彼女も回復魔法は使えるのだけど、法外な料金を請求されるわ。

必ず、彼女以外のスタッフに頼んでちょうだい。魂が天に召されていない限りは、どんな怪我でも治してあげる。」

 

悠「俺も回復魔法は使えるからな。遠慮なく言ってくれ。」

 

龍田「は〜い♪でも、これだと高速修復材が必要なくなっちゃいますね〜。」

 

マーガレット「そうね、必要の無いアイテムは買い取りも検討させてもらうわ。」

 

 

 

悠「ていうか、イザナミはどうやってここに来たんだ?」

 

イザナミ「旅を終えて、黄泉に帰る途中に三途の川に寄ったのですが、そこでたまたまマーガレットさんと会いまして…」

 

悠「ソウナノカー」(多分、荒垣さんのついでに連れてきたな…)

 

 

 

 

補給棟を後にした。

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・艤装工廠〜〜

 

 

イザナミに別れを告げ、隣の艤装工廠に向かう一行。

入口の手前では、マーガレットの着ている服とそっくりな青い服の上に、多機能エプロンをつけたイケメンが、ソワソワしながら待っていた。

 

マーガレット「…ここは後にして建造工廠に向かいましょう。」

 

?「そんなっ!姉上っ!無視しないでくださーい!」

 

マーガレットは、そんな声を無視して次に行こうとする。

 

悠「マーガレットさん、さすがに無視は可哀想じゃ…」

 

マーガレット「仕方ないわね…」

 

 

 

テオドア「初めまして。(わたくし)、マーガレットの弟のテオドアと申します。どうぞ、お気軽に『テオ』とお呼びください。」

 

悠「テオさん、よろしくお願いします。」

 

テオドア「ここ、艤装工廠では、艦娘の艤装の開発と改修を行っています。

御入用の際は是非ご相談ください。最高の艤装をご提供させて頂きます。」

 

マーガレット「それと、テオは雑用もやってくれるわ。何かあったら頼んでも構わないわよ。」

 

テオドア「姉上っ⁉︎」

 

悠(…そっとしておこう)

 

どうやら、力関係はマーガレットの方がずっと上のようだ。

 

マーガレット「さあ、次で最後よ。建造工廠で主が待っているわ。」

 

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・建造工廠〜〜

 

 

マーガレット「着いたわ。ここが建造工廠…いえ、ベルベットルームと言った方が貴方には馴染みが深いかしら?」

 

着いたのは、一見すると倉庫の様な建物。

だが、問題はその扉。

 

悠(ベルベットルームへ続くドアと同じ…青く光るドアか…)

 

島風「なんか光ってるね。」

 

マーガレット「さあ、開けてちょうだい。」

 

悠は、意を決して扉を開け、皆と中へ入る。

 

 

 

 

〜〜ベルベットルーム〜〜

 

 

イゴール「ようこそ、ベルベットルームへ。」

 

ベルベットルームの中へ入る一行。

内装は、以前のリムジンの車内の様なものから、大きく様変わりしており、部屋の中央に円形のテーブル、イゴールの座っているソファー、それと向かい合う様に置かれたL字のソファー、弾き手のいないピアノ。そして、イゴールの真後ろのステージ。

そして、相変わらず全てが青い。まるで深海にいるかのようだ。

 

悠「どうも、イゴールさん。」

 

島風「うわぁ!すごい鼻だね!」

 

イゴール「お褒め頂きありがとうございます。さぁどうぞ、お掛けください。」

 

天龍「スゲー部屋だな、真っ青だ。」

 

金剛「Yes.一面 deep blue デース。」

 

龍田「でも、なんだか落ち着くわね〜。」

 

イゴール「ここは、夢と現実、物質と精神の狭間にある部屋。この青は、心の海を表しており、心をリラックスさせる効果があります。」

 

吹雪「心の海、ですか?」

 

イゴール「左様でございます。この部屋は、ペルソナの召喚を行う部屋。

心の海から新たなペルソナを呼び出す際に、精神が乱れていると、ペルソナが暴走する危険がございますので。」

 

吹雪「ということは、私達にもペルソナが⁉︎」

 

イゴール「いえ、申し訳ありませんが、今回はペルソナ召喚は行いません。」

 

吹雪「あっ…そうですか。」

 

イゴールの説明を聞き、自分もペルソナを持てると思った吹雪だったが、イゴールはペルソナ召喚を行わないそうだ。

 

悠「ペルソナ召喚をしない?」

 

イゴール「左様でございます。今回の私の役目は、在りし日の戦いの記憶を、この世界に呼び寄せ、新たな生命として生み出す…

そう、艦娘の建造…いえ、『艦娘召喚』を執り行います。」

 

悠「艦娘召喚?」

 

どうやらイゴールは、艦娘の召喚を行ってくれるようだが…

 

武蔵「艦娘を生み出すだと?建造技術は妖精しか知らないはず。どうする気だ?」

 

そう、艦娘の建造技術は妖精が独占しているはずなのだ。

 

イゴール「ペルソナ召喚の際には、心の海から、神魔の類の記憶・記録・知識を呼び寄せ、ペルソナとして契約者の心に宿らせます。

艦娘召喚を行う際は、呼び出す記憶を軍艦のものに変えることで、艦娘召喚を行います。

幸いにも、術式の殆どはこの世界に、一種の法則として直接刻み込まれている様子。媒介となる資源があれば、召喚することは容易でしょう。」

 

どうやらペルソナ召喚と手順が似ているらしい。

 

武蔵「随分と簡単に言ってくれるな。」

 

イゴール「この技術や術式を生み出した妖精が、手順さえ理解していれば、構造や概念を、深く理解せずとも使えるレベルにまで作り込んでくれたおかげですな。

艦娘建造を生み出したMr.バミューダは間違い無く天才でしょう。」

 

武蔵「…貴様は艦娘についてどこまで知っている?私自身でさえ、全ては知り得ないそれを。」

 

イゴール「海軍に勤める妖精と同程度でございます。方々に手を尽くし、調べては見たものの、この術式の根源に至ることは出来ませんでした。」

 

悠「イゴールさんにも分からないんですか?」

 

イゴール「左様でございます。」

 

どうやら艦娘建造には、イゴールにも知り得ない秘密があるよう。

 

イゴール「さて、ここで召喚を行えれば良いのですが…どうやらお疲れのご様子。」

 

悠「うっ!えぇ、まぁ、色々ありまして…」

 

イゴール「今日はもうお休みなさった方がよろしいかと。艦娘召喚は明日に行いましょう。」

 

悠の疲れを見抜いたイゴールは、艦娘召喚を明日に見送ることにするようだ。

 

イゴール「それでは…また明日。御機嫌よう。」

 

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・寮・悠の自室〜〜

 

 

悠「疲れた…」

 

悠は、自室で布団を敷き、倒れこむ。

鎮守府の施設を見て回った後、食堂で夕飯を食べ、今に至る。どうやら精神的にかなり疲れている様子。

 

悠「今日は色々あり過ぎた…特にイザナミ…なんでいるんだよ…

駄目だ眠い…まだ風呂にも入ってないんだ…

………ZZzz…ZZzz…」

 

 

 

 

 

悠「ZZzz……う、うーん、あれ?」

 

部屋で布団を敷いた後、そのまま寝てしまった悠。だが、どうやら目を覚ました様子、

 

悠(どうやら少し寝てしまったみたいだ。今は…午後11時か、皆寝てるだろうか?風呂は…万が一大浴場で誰かと鉢合わせたらまずい。部屋の風呂で済ませよう。)

 

 

番長入浴中…

 

 

悠(ふう、サッパリした。だが、中途半端に寝たせいで目が冴えてしまった…少し散歩にでも行くか。)

 

 

 

 

〜〜佐伯湾鎮守府・建造工廠裏〜〜

 

 

悠は、夜の散歩と洒落込み、鎮守府内を散策する。

だが、外灯が必要最小限しか付いてないらしく、中々に暗い。

 

悠(ベルベットルームの扉は相変わらず夜でも光ってたな。ここから先は資源倉庫だったか?先に行っても何もなさそうだ…ん?)

 

工廠の裏に回った所で、戻ろうかと思っていたが、その工廠の裏手に、ベルベットルームと同じ光を放つ扉を見つける。

 

悠(裏口か?)

 

悠は、近付いてよく調べてみる。

 

悠(看板がある…『BAR・Velvet』か。)

 

どうやらバーらしい。

 

悠(うーん…変な事してたらあれだし…マーガレットさんには前科もあるからな…入ってみるか。)

 

カランカラン

ドアを開けるとベルが鳴り、店主に来客を告げる。

 

悠(ベルベットルーム…じゃないな。中は青いけど…)

 

?「あら…いらっしゃいませ。」

 

中に入ると、店主らしき女性から挨拶を受ける。

 

悠「あ、どうも。」(子供?マーガレットさんじゃない?中学生くらいか?)

 

?「ふふ…貴方はここ、BAR・Velvet の初めてのお客様よ。さっ、座って?」

 

悠「ああ、そうさせてもらうよ。所で君は…」

 

早霜「私は、早霜(はやしも)。ここのバーテンダーよ。」

 

悠「えっと、この店は君が1人で?」

 

早霜「ええ、お酒は、イゴール様が仕入れて来てくれます。店の方は、私が1人で、切り盛りしてるの。」

 

どうやら、彼女とイゴールで店を経営している様子。

 

早霜「ねぇ、貴方、名前は?教えてもらえるかしら?」

 

悠「ああ、すまない。自己紹介がまだだったな。俺は鳴上悠、ここの提督だ。」

 

早霜「ふふふ、提督でしたか。あんまり若いから、迷子かと、思ったわ。」

 

悠「迷子?」

 

早霜「そう、迷子。自分を見失い、人生に迷ってしまった、迷子。」

 

悠「人生に迷った覚えは…あるが、もう解決してるからな、見当違いじゃないか?」

 

早霜「あら、そう。見当違い、ごめんなさいね。

ふふ、お詫びに、一杯奢ってあげる。お酒は、イケる口?」

 

悠「すまない、未成年だから飲酒はNGだ。」

 

早霜「なら、ノンアルコールのカクテル。作ってあげる。」

 

そういうと、早霜はシェーカーを取り出し、ジュースを注いでいく。

 

早霜「オレンジ、レモン、パイナップル。ふふふ、もしかしたら、飲んだ事が、あるかもしれないわね。」カシャカシャカシャ

 

悠(早霜さん、すごくシェーカーが似合うな。バーの雰囲気も相まって、ミステリアスでハイカラだ。)

 

ジュースを注ぎ、シェーカーを振る。その姿は、とても様になっており、悠は思わず見惚れてしまう。

 

早霜「さあ、『シンデレラ』。お口に合えば、いいのだけど。」

 

悠「いただきます。」

 

悠は出されたカクテル、『シンデレラ』を一口飲む。

 

悠「うん、美味いよ。ありがとう。」

 

早霜「それは何より。」

 

悠「ところで、この店は君1人で大丈夫なのか?見た所、中学生くらいの年だと思うんだが。」

 

シンデレラを飲んだ悠は、入ってきた時から気になっていたこと。そう、子供が何故バーテンダーなんてやっているのか、を聞いてみた。

 

早霜「はい?」

 

悠「いや、君みたいな子供が、夜中にバーで仕事なんて大丈夫なのかって…」

 

 

早霜「…私、24よ。」

悠「は?」

 

 

早霜「ふふふ…酷いわね。お姉さん、ちょっと、傷ついたわ。」

 

悠「いや、その、すみません…」

 

どうやら早霜は、年上のお姉さんだったようだ。

 

早霜「そうね…」

 

早霜は、少しの間何かを考え、カクテルを作り始める。

 

早霜「ビーフィータージン…シャルトリューズ ヴェール…3/4、1/4…」カシャカシャ…

 

ほどなくして、一杯のカクテルが出来上がる。

 

早霜「お姉さんを、子供扱いした罰よ。ふふふ…それを飲み干せたなら…許してあげる。」

 

悠「…このカクテルは?」

 

早霜「『グリーン・アラスカ』と言うのよ。味は、飲んでからの、お楽しみ。」

 

ハーブの香りのするそれは、綺麗な緑色をしている。だが、今の悠には、それがとても毒々しく見えた。

 

悠「い、いただきます。」

 

悠は、恐る恐る口をつける。

 

悠「……ハーブの香りとシトラスの風味…そして…ゴファッ!」

 

一口飲み、味わおうとするも、あまりの度数の高さに耐え切れず吹き出してしまった。

 

悠「」

早霜「ふふふ、さすがに、無理だったわね。グリーン・アラスカは、度数40度越えの、上級者向け。お子様の貴方には、まだ早かったかしら?」

 

悠「…俺は………」

 

早霜「これに、懲りたら、私のことを、子供扱いしてはダメよ。」

 

悠「…俺は、負けん!」ガッ!

 

早霜「負けない?…ちょっと!」

 

悠は、先ほど吹き出したにも関わらず、グラスを掴む。

 

キング・鳴上「俺が…キングだ!」←場酔い

 

早霜「待ちなさい!まさか、一口で酔いが、回ったの⁉︎」

 

キング・鳴上「ウオォォッッ!!」

 

一気飲み、ダメ!絶対!

 

キング・鳴上「ゴブフゥ!ゴフェッ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生は真実、片時も夢ならず。

 

もとより誰もが知る・・・

 

真実とは、選び取るもの・・・

 

眼差しと意志とで、見出されるもの。

 

それを得てこそ、己も真実となる。

 

過去と未来を結ぶ糸たりうる。

 

けれど今、客人の定めは途切れ、

 

未だ真実は、闇深き海の底の中・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悠「」チーン

早霜「これ、どうしましょう?」

 

to be continue…

 

 

 




鎮守府に着いた初日から、色々ありすぎてお疲れな悠。
悠「頭がガンガンする…やらかしてしまった…あれ?俺、ベットになんて寝てたのか?」
早霜「あら?目、覚めた?」←同じベット
悠「アィエエエ!」


次回ペルソナ4 the K.C.
初めての建造!


早霜「昨日は、凄かったわね…」
悠「建造って…こっち⁉︎夢だ!夢だと言ってくれー!」







ここから先は、オマケと言う名の幾月理事長の作品解説となります。
読まなくても、何ら問題はありません。

やあ!久しぶり!夏休みはどうだったかな?幾月だよ。
今回は、第七話の足立戦で、もしかしたら艦娘が勝ってたかもしれないっていう裏設定があることが、キャラ紹介で明らかになったけど、それについて、細かいことを説明していくよ。
では、一体どのような行動をとればよかったのか、箇条書きでまとめてみるよ。

1.仲間が死んでも冷静でいられること。
2.陣形に拘らず、固まらないようにばらけること。
3.アウトレンジで攻めること。

大体はこの3つだね。じゃあ、1つずつ解説してくよ?

まず一つ目、仲間が死んでも冷静でいられること。
これは、いきなり翔鶴さんが殺されて、パニックになった瑞鶴さんと、旗艦としての責任と勝ちを急いだあまり、自爆した陸奥さんに言えることだね。
パニックになって、隊の統率を乱すのは問題外だし、砲撃が通用するにも関わらず、安易な自爆で、頭数を減らすのも愚策だね。

二つ目、陣形に拘らず、固まらないようにばらけること。
これは、足立さんの使用するスキルに対抗する策の一つだね。
足立さんのスキルは、基本的に攻撃範囲が円形を描くものだね。
空間殺法は、多少融通は利くと思うけど、とにかく、的を絞らせないようにするのがポイントだね。
P4のゲームとは違って、広い海上が舞台だから、距離を開けるのは比較的容易になってる。それをうまく使おう!
この際に、足立さんを中心に囲むようにすればもっといいね。周囲360°に気を配らなきゃならなくなるから、かなり有利になるよ。

そしてその3、アウトレンジで攻めること。
これは、近接攻撃を喰らわないようにする為。スキル発動の予備動作を見切る為。何より、ペルソナ魔法による攻撃よりも、砲弾のスピードの方が早いから(一部例外有り)、比較的安全な遠距離から集中砲火すれば、反撃を封殺しつつ、テトラカーンも破って一方的に攻撃出来るよ。

大体こんな感じかな?
当然分かってくれてると思うけど、これは、あくまでもこの小説内に限ったことだからね?他所様のところでは、この設定を引き合いに出しちゃダメだよ?
さて、アイギスは…
当然いますよ?
…やっぱりいるんだね。
さあ、お前の罪を数えなさい!
…はっはっは、僕だってやられっぱなしじゃないよ!今回は用心棒を雇ったんだ!先生!お願いします!
俺の名は天龍、フフフ、こわ、
ルシファー!ゴットハンド!
ドゴオ!
先生〜⁉︎なんでルシファーが⁉︎
今回はワイルド仕様のスペシャルな私、彼との絆の力!受けてみなさい!
ひえぇぇ〜!

島風「……………………………次回もよろしく!*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*」







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