ペルソナ4 the K.C.   作:黒城優輝

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分かりやすく、簡潔にまとめられるようになりたい…orz
所々強引に話を進めてる感もありますが、勘弁してくだぁしゃ〜…


第八話 新たな出会い!新しい旅立ち! 中編

〜〜海軍本部・元帥執務室〜〜

 

 

場面は変わり、元帥執務室。

コーヒーの香りが漂う室内。三嶋元帥は夕食を取らずに、自分でコーヒーを入れ、書類に目を通している。

 

コンコンッ

 

ふと、部屋のドアがノックされる。

 

三嶋「入れ。」

 

青葉「失礼します。」

 

三嶋「青葉か。」

 

部屋を訪ねてきたのは青葉だった。

 

青葉「報告します。鳴上悠は本日ヒトサンヒトマルに目を覚ましました。

その後、大山大佐等と共に昼食。その際に取材と称し、体調の確認を行いましたが、問診では特に異常は見られませんでした。歩き方などの立ち振る舞いにも不自然な点は見られませんでしたので、健康状態は特に問題は無いかと。

大山大佐等と別れた後は、工廠を見に行こうとして倉庫で迷い込つつも、武蔵と会い、その際に一悶着ありましたが無事に解決、その後、武蔵の案内で工廠の見学を行っています。

その後、ヒトハチサンマル頃に食堂に夕食を取りにくるも、お金が無くお困りのようでしたので、取材のお礼として現金一万円を渡しておきました。

この時点で特に問題は無いと判断、監視を終了。報告は以上です。」

 

青葉はどうやら一日中悠のことを尾けて監視しており、その報告に来たようだ。

 

三嶋「御苦労。では予定通り明日から鳴上悠の短期提督研修を実施するとしよう。」

 

悠の体調に問題無しと判断した三嶋元帥は、悠の提督着任に向け、次のステップに進めるようだ。

 

青葉「期間はどのくらい設けるおつもりで?大体…一月くらいですか?」

 

三嶋「一週間だ。」

 

青葉「は?一週間⁉︎いやいやいや、さすがに無理でしょう⁉︎正直スケジュール詰め込み過ぎだと思いますよ!武蔵さんとの演習のときだって、一週間くらいの猶予をあげるのかと思ったら翌日にやるとかおっしゃいますし、少し焦りすぎじゃないですかね?」

 

青葉は、三嶋元帥の無茶とも思える日程に苦言を呈するが…

 

三嶋「演習は、大規模作戦の直後で人が多いうちにやるべきだと思ってな。デモンストレーションのタイミングを逃すわけにもいかんだろう。

それに、提督の仕事自体はそう難しいものではない。書類の作成や資源の管理などの事務仕事や、戦略論、戦術論は基本を抑えておけば問題無い。そして、最後にモノを言うのは経験と勘だからな。

必要最低限の知識を詰め込むだけであれば、あやつなら一週間もあればなんとかなるだろう。」

 

青葉「はぁ、さいですか…分かりました。では、もう一つ報告したいことが…」

 

三嶋「…それは私の秘書艦としてか?それとも特務師団長(・・・・・)としてか?」

 

青葉「特務師団長としてです。」

 

三嶋「聞かせてもらおうか?」

 

青葉「例の輸送船と、その護衛の艦娘の反応がロストしました。」

 

三嶋「…ふむ。それで?」

 

青葉「あらら、驚かれないのですね?」

 

三嶋「想定の範囲内だ。敵の指揮官を拉致したようなものだからな、深海棲艦の奴らが取り返しに来るだろうとは思っていた。」

 

青葉「いや〜、それがですね今回の件、少し、いや、かなりおかしいんですよ。まず、先に反応がロストしたのは輸送船の方。普通ならば艦娘が護衛についているので、真っ先に輸送船が沈む何てことは無いはずなんですが、艦娘は全艦健在、そんな中で輸送船の反応だけがロスト。

その後、艦娘達も次々と沈められて全滅。

極め付けは救援要請の通信ログですね。

これを聞く限りでは、どうやら船内に何者かが潜伏しており、機を見て破壊工作を開始したと考えられるのですが…この何者かが問題なんですよね〜…」

 

三嶋「どういうことだ?」

 

青葉「それが…ログによると、それは黒い鎧の巨人のバケモノ。意味不明です。パニックになってたみたいで、言ってることがめちゃくちゃなんですよ。」

 

三嶋「…よし、青葉特務師団長。その輸送船の反応がロストしたポイントに向かい、調査を実施せよ。隊の編成は任せる。」

 

青葉「了解です、青葉にお任せを。では、失礼します。」

 

ガチャ、バタン。

 

青葉が退室した後、三嶋元帥は大きく溜息をつく。

 

三嶋「ふぅ…」

 

?「お疲れのようね。」

 

三嶋「ッ⁉︎何者だ!」

 

一人しか居ないはずの部屋に、突然女性の声が響く。

 

?「鳴上悠の関係者…と言えば分かるかしら?」

 

三嶋「なんだと⁉︎」

 

?「フフ、そう警戒しなくてもいいのよ。あなたに危害を加えるつもりはないわ。むしろいい話を持ってきたのだけれども。」

 

三嶋「…フッ!」

 

ガタンッ!

パァン!

 

三嶋元帥は素早い動作で机の引き出しに隠し持っていた短銃を侵入者に向けて発砲する。

だが…

 

 

?「無駄よ。私には効かないわ。」

 

三嶋「チッ…」

 

?「お話、聞いてもらえるかしら?」

 

三嶋「…嫌だと言っても聞かせるのだろう?勝手にしろ。」

 

?「物分かりがよくて助かるわ。さて、何から話しましょうか…」

 

 

 

 

〜〜海軍本部・地下・???〜〜

 

 

青葉(はぁ〜…彼は大丈夫なんでしょうか?無理なスケジュールで身体を壊さなければいいですけど…

ま、今は目の前の問題を片付けないと…)

 

青葉は元帥への報告を済ませたあと、海軍の人間でも殆どの者が知らない秘密の地下室へ来ていた。

 

ガチャ、

青葉は扉を開け、中に入る。

中はバーカウンターにビリヤード台などが設置された少し薄暗い部屋。危ない人間の集まりに使われそうな部屋である。

 

青葉「皆さーん?いますか〜?」

 

168「あら?団長?遅かったわね。」

 

雪風「だんちょー!お帰りなさい!」

 

どうやらこの部屋は特務師団の溜まり場のようだ。

 

青葉「はい、ただいま!いい子にしてましたか?」

 

雪風「はい!雪風はいい子にしてました!だからお仕事ください!」

 

青葉「すみませんねぇ。暗殺の仕事は今は無いんですよ。」

 

雪風「む〜…雪風つまんないです。」

 

青葉「拗ねない、拗ねない。あれ?シオイは部屋の隅で何やってるんですか?」

 

401「ブツブツ…ブツブツ…」

 

168「ああ、あれね。折角サルベージした大物に逃げられてショックだったみたいよ。そっとしておきましょ?」

 

青葉「なるほど。その件でイムヤ、あなたは私と一緒に調査に行ってもらいますよ?いいですね?」

 

168「えっ?あたし?まぁいいわ。いつ出発するの?」

 

青葉「明日朝一で出ますよ?準備しといてくださいね?」

 

168「了解よ。」

 

雪風「雪風はどうしましょうか?」

 

青葉「あー…適当に訓練でもしててください。間違っても通り魔事件なんて起こさないでくださいよ?」

 

雪風「ひどいですだんちょー!雪風、そんなことしません!」

 

青葉「はいはい、雪風はいい子ですもんね〜。」ナデナデ

 

雪風「むふふ〜。雪風、ナデナデされるの大好きです!」

 

青葉「じゃあ私は部屋に戻りますよ。皆さんも夜更かしはほどほどにしといてくださいね。」

 

168「あら、もう帰るの?一杯くらい付き合いなさいよ。」

 

青葉「遠慮しておきます。新聞の記事を書かなくてはいけないので。」

 

168「もぅ、ツレないわね。」

 

青葉「調査が終わったら付き合ってあげますよ。では、おやすみなさい皆さん。」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・艦娘寮・武蔵の部屋〜〜

 

 

再び舞台は移る。

時刻は深夜、武蔵は窓から月を眺め、今日一日の事を思い返しているようだ。

 

武蔵(…説教されたのなんて久しぶりだったな。一体何時以来だろうか…

しかし…今日は楽しかったな…ん?楽しかった?ふっ、そういえば、楽しいなんて思うのも久しぶりだな。)

 

武蔵は、今はもう主のいないベットを一瞥した後、一枚の写真が入った写真立てを手に取る。

 

武蔵(あいつなら、鳴上悠なら、私の心に空いた、この穴を埋めてくれるのだろうか…

しかし、私は海軍最強の戦艦。私情での異動は許されないだろうな…)

「姉さん…」

 

武蔵は写真を見ながら小さく呟いた。しかし、その声に応える者はいない…

 

 

 

そして夜が明ける。

 

 

 

 

〜〜海軍本部・港〜〜

 

 

早朝、悠と島風は大山大佐の見送りのために港に来ていた。

なかなか大きな客船が停まっており、多くの艦娘と提督達が慌ただしくそれに乗り込んでいく。

 

大山「悪いね。見送ってもらって。」

 

悠「いえ、この4日間ありがとうございました。お世話になりました。」

 

島風「お世話になりました!ヤマヤマ!またね!」

 

大山「どういたしまして!これからも何かあったら頼ってくれていいからね?

そうだ!もし時間が出来たら佐世保に来るといいよ。歓迎するよ!」

 

悠「はい。その時はよろしくお願いします。」

 

 

ピィー!

どうやら出航が近いようだ。あたりに汽笛の音が鳴り響く。

 

 

霧島「司令〜!早くしてくださーい!」

 

大山「おっと!今行くよ〜!じゃあ悠君、島風君、頑張るんだよ?」

 

悠「はい!」

 

島風「もっちろん!」

 

 

そう言葉を交わすと、大山大佐は船に乗り込んでいく。

 

ピィー!

再び汽笛の音が響くと、タラップが片付けられ、船が出航する。

 

悠「ありがとうございました〜!」

 

島風「また会おうね〜!」

 

悠と島風は大声をあげ、手を振り、最後の挨拶を力一杯する。

それに、大山大佐とその艦娘達が手を振り応える。

悠と島風は、船が見えなくなるまで見送っていたのだった。

 

 

 

〜〜海軍本部・元帥執務室前〜〜

 

 

悠「元帥に会うのは三日ぶりか…」

 

島風「なんだか緊張してきた…」

 

大山大佐の見送りを終えた悠と島風は、元帥執務室前に来ていた。

食堂で朝食を食べていた際に、館内放送で呼び出されたのだ。

指定された時間に間に合うよう食事を済ませ、部屋の前へ向かうと、そこには先客がいた。

 

武蔵「ん?なんだ、お前らか。」

 

悠「武蔵か、おはよう。」

 

島風「おはようムサしゃん!」

 

武蔵「ああ、おはよう。」

 

悠「武蔵も呼び出されたのか?」

 

武蔵「…まあな。とにかく、さっさと中に入ろう。」

 

ガチャ、

 

武蔵「来たぞ、元帥。」

 

悠「ちょっ!ノックはどうした!あ、三嶋元帥、おはようございます!」

 

島風「おはようございま〜す!」

 

三嶋「三人ともよく来た。早速だが、鳴上悠、貴官の提督着任についてなのだが、まずは研修を受けてもらう。」

 

悠「研修ですか?」

 

三嶋「ああ、本来なら海軍学校にて3年間学ばなければならないのだが、そんな余裕はないのであろう?」

 

悠「はい。さすがに3年はちょっと…」

 

三嶋「期間は一週間だ。教鞭は武蔵、お前がとれ。」

 

武蔵「なんだ?そのために呼ばれたのか?」

 

三嶋「いや、お前にはもう一つある。」

 

武蔵「もう一つ?なんだ?」

 

三嶋「ああ、最近のお前は出撃しても覇気が無かっただろう?だが、どうだった?鳴上悠との一戦は?久しぶりに本気で戦えただろう?」

 

武蔵「…そうだな。確かにあれだけ気分が高揚したのは久しぶりだな。」

 

三嶋「ふむ、武蔵よ、お前はどうしたい?」

 

武蔵「……私は…どうするもなにも、私は大和型二番艦だ。姉の大和亡き今、私は海軍の切り札としての役目を果たさなければならない。」

 

三嶋「……聞き方が悪かったな。お前のそれは建前だろう?本心はどうだ?」

 

武蔵「本心だと?話して何になる?何か変わるのか?変わらないだろう!責任ある立場の私が私情を押し通す訳にはいかない!」

 

島風(なんだか私、空気だね…)ヒソヒソ

悠(安心しろ、俺もだ。)ヒソヒソ

 

三嶋「…そうか。ならばこちらにも考えがある。

大和型戦艦2番艦武蔵、貴艦は此度の特別演習において、規則を破り、実弾を使用したな?」

 

武蔵「なっ⁉︎それは元帥の命令で…!」

 

三嶋「言い訳はいい。武蔵よ、罰として貴艦は佐伯(さいき)湾鎮守府に左遷だ。鳴上悠の下で己を鍛え直すんだな。」

 

武蔵「……は?」

 

悠「ひ?」

島風「ふ?」

 

三嶋「なんだ?不服か?」

 

武蔵「ふふっ…ハハハッ…ハァーハッハッハッ!まさか、こうなる事を見越して私に実弾を使わせたのか?」

 

三嶋「さて?どうだろうな?鳴上悠よ、武蔵を頼んだぞ。」

 

悠「はい!任せてください!」

 

島風「え?ムサしゃん一緒に来るの⁉︎」

 

武蔵「ああ!これからよろしく頼むぞ!ビシバシ鍛えてやるからな!」

 

島風「お、オゥッ…お手柔らかにお願いします…」

 

悠「よろしくな、武蔵。」

 

武蔵「ふっ、この私が仲間になるんだ、研修といえど容赦はせんぞ?私に相応しい提督になれるかな?」

 

悠「望むところだ!」

 

 

 

三嶋「それと、もう一つ。」

 

悠「なんでしょうか?」

 

どうやら研修の件以外にも話があるらしい。

 

三嶋「新人提督には、始めに当面のパートナー、いわゆる初期艦となる艦娘を本部で斡旋しているのだが、その艦娘も一緒に連れて行って研修を受けてくれ。」

 

そう言うと、三嶋元帥は館内放送で、その艦娘を呼び出す。

 

 

『吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!至急元帥執務室に来られたし!繰り返す!吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!至急元帥執務室に来られたし!』

 

 

………しばらくすると廊下を走る足音が聞こえ、この部屋の前で止まった。が、すぐには入って来ない。呼吸を整えているのだろう。

 

「スゥ〜、ハァ〜、よし!」

 

ガチャン!

 

吹雪「吹雪型一番艦駆逐艦吹雪!只今参りました!」ピシッ!

 

入ってくるなり、ピシッと敬礼をする。真面目な性格のようだ。

 

吹雪「もしかして、私の配属先が決まったんですか⁉︎そうなんですか⁉︎」

 

三嶋「そうだ。そこの少年が貴艦の提督だ。鳴上悠よ、この艦娘が貴艦の初期艦となる『吹雪型一番艦駆逐艦・吹雪』だ。」

 

吹雪「あなたが私の司令官ですね?はじめまして、吹雪です!よろしくお願いいたします!」

 

悠「鳴上悠だ。よろしく。それでこっちが…」

 

島風「疾風迅雷!鳴上島風でーす!よろしくね!」

 

吹雪「えっ?あっ、はい!よろしくお願いします!」

 

武蔵「大和型二番艦戦艦・武蔵だ。よろしくな。」

 

吹雪「………ふえぇッ!大和型って…えぇ⁉︎うわぁ!はじめまして!吹雪です!」

 

悠「これで4人か。鳴上ハイカラ艦隊がいつでも出撃出来るな!」

 

どうやら、いつも四人でテレビ探索してたので、色々勘違いしているようだ。

しかも、テンションが上がっているのか、持ち前の天然センスを如何なく発揮した艦隊名を披露する。しかし…

 

島風「えぇ〜…何その名前〜、ダサいよ〜!」

 

悠「なっ!」

 

非情な宣告である。

 

島風「うーんとね…最速島風艦隊がいいと思う!」

 

武蔵「どっちも大差ないわッ!そんなものを考える前に研修だ!」

 

ここで武蔵のツッコミが炸裂するが、悠は食い下がる。

 

悠「くっ、だが、艦隊名は重要だと思うぞ!」

 

武蔵「確かにそうだが気が早い!」

 

悠「しかし…そうだ!吹雪さん!君は何かないかな?」

 

分が悪いと判断した悠は、あろうことか吹雪にキラーパスを出す。

 

吹雪「ふぇっ⁉︎わ、私ですか⁉︎」

(なんですかそれ⁉︎そんなの急に振られても困りますよ!)

 

悠「ああ!かっこいいのを頼むぞ!」

 

武蔵「吹雪、こんな馬鹿なことに答える必要は無いぞ?」

 

吹雪(えぇ〜…いきなり板挟みなんですけど〜…)

「え、えーと…」

 

三嶋「おい、貴様ら!下らん話は後にしろ!」ドンッ!

 

悠「す、すみません…」

 

怒られた…馬鹿である。

 

武蔵「ほらみろ!お前のせいで怒られたではないか!」

 

三嶋「武蔵!お前も黙れ!まったく…研修には第3会議室を手配しておいた。それと参考書だ。持っていけ。」

 

悠「ありがとうございます。」

 

島風「オゥッ…なかなか分厚いね…」

 

武蔵「必要最低限の要点をまとめてやるしかないな。まあ、任せておけ。」

 

悠「ああ、頼む。」

 

吹雪(この人が司令で大丈夫かな〜…)

 

悠達は参考書を受け取り、部屋を後にしようとしたそのとき、

 

 

コンコンッ

 

 

三嶋「ん?誰だ?まあいい、入れ。」

 

天龍・龍田「失礼します。」

 

入ってきたのは天龍と龍田だ。

 

悠「ん?確か、天龍に龍田だったか?」

 

天龍「おお!鳴上じゃねーか!こいつはちょうどいいな。」

 

龍田「私たち、転属届を提出しにきたのよ。」

 

三嶋「そうか。なら書類はこちらで預かろう。ふむ…ついでだ、お前達も一緒に研修を受けてこい。」

 

天龍「…へ?」

 

三嶋「へ?ではない。お前達も研修を受けろ。秘書艦になったときに役に立つだろう。」

 

天龍「……あー!俺、これから用事があったんだったな!悪いがちょっと行けねーわ!いやー、残念だなー!(棒)」

 

龍田「天龍ちゃん…はぁ…」

 

どうやら天龍は勉強があまり好きではないようだ。テキトーな言い訳で誤魔化そうとしており、龍田はそんな姉を見て、呆れ顔で溜息をついている。

 

龍田「申し訳ありません元帥。天龍ちゃんは私が責任をもって研修に連れて行きますんで…」

 

天龍「おい!龍田!おまっ!裏切るのか!」

 

龍田「裏切るも何もサボりはよくないよ〜?」

 

三嶋「そうか。手続きはこちらで進めておく。行ってこい。」

 

武蔵「よし。お前達、会議室に行くぞ。」

 

悠「そうだな。では元帥、失礼します。」

 

島風「失礼しまーす。」

 

天龍「勉強かよ〜…マジか〜…」

 

吹雪「あの…」

 

天龍「あん?…誰だお前?」

 

吹雪「あ、私、吹雪型一番艦駆逐艦の吹雪といいます。よろしくお願いします。」

 

天龍「ふーん、俺の名は天龍。まっ、仲良くやろうや。」

 

龍田「私は龍田よ〜。よろしくね〜?」

 

吹雪「はいっ!よろしくお願いします!」

 

武蔵「おい!自己紹介は後にしろ。さっさと行くぞ。」

 

吹雪「は、はーい!」

 

天龍「しゃーねー…行くかぁ〜…」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜海軍本部・第3会議室〜〜

 

 

武蔵に連れられやってきたのは、第3会議室。各々適当に腰掛け、武蔵はホワイトボードを準備している。

 

武蔵「よし、早速始めたいところだが、その前に改めて自己紹介をしておこうと思う。互いの名前くらいは覚えるように。」

 

どうやら研修を始める前に自己紹介を行うようだ。

 

武蔵「まずは私からだ。私は大和型二番艦戦艦・武蔵だ。左遷という形で悠の艦隊に加わることになった。よろしく頼むぞ?」

 

天龍「……はぁ!マジかよ!大和型っつったら建造例があんたも含めて2件しかないんだろ!よく元帥が手放す気になったな…てっきり教官役として来てるもんだと思ってたぜ…」

 

吹雪(武蔵さんと同じ艦隊…うわぁ〜、もしかして私、期待されてるの⁉︎期待に応えられるように頑張らなきゃ!)

 

武蔵「よし、次は…悠、お前だ。」

 

悠「ん?俺か。俺は鳴上悠。ついこの間まで普通の高校生だったんだが、色々あってこの世界に迷い込んでしまったんだ。元の世界に帰るまでの間だがよろしく頼む。」

 

天龍「へー、てことは…別の世界の人間なのか。」

 

悠「ああ、そうなる。」

 

吹雪「へー、じゃないですよ!軽く流しちゃダメですよ天龍さん!」

 

龍田「提督の世界では、みんな武蔵さんと戦っていた時のを出せるんですか?」

 

吹雪「うわっ!スルーですか⁉︎そうなんですか⁉︎」

 

武蔵「落ち着け吹雪。私たちも似たようなものだろう。」

 

吹雪「そうですけど〜…」

 

悠「あはは…。多分ほとんどの人は出せないだろうな。俺もこの力、ペルソナって言うんだが、神様からの貰い物なんだ。元々素質はあったらしいから、力の覚醒を促されたって感じだな。」

 

龍田「貰い物ですか?」

 

悠「ああ、長くなるから詳しい説明は省くが、まあそんなとこだ。」

 

島風「じゃあ次は私ね!私は『疾風迅雷』鳴上島風でーす!よろしくね!」

 

吹雪「鳴上?そういえば島風さんは、司令官とはどんな関係なんですか?」

 

島風「うーんとね…なんだろ!ねえ悠わかる?」

 

悠「俺がこの世界に迷い込んで、海に落ちた時、隣にいたのが島風なんだ。まぁ…妹みたいなものか?」

 

島風「だってさフブキチ!妹だって!」

 

吹雪「ちょっ、フブキチって…」

 

武蔵「よし、次は天龍型の2人!」

 

天龍「よっしゃ!俺の名は天龍。よろしくな!」

 

龍田「天龍型二番艦の龍田よ。よく私が姉だと間違われるんだけど、私が妹だからね〜?天龍ちゃんがお姉ちゃんよ〜?」

 

天龍「なんだその嫌味たっぷりな自己紹介は…まるで俺が頼りないみたいじゃねーか…」

 

龍田「そんなことないわよ〜。頼りにしてるわよ、お姉ちゃん♪」

 

天龍「調子のいい奴め…まっ、とにかく、俺たち2人は世界水準軽く超えてっから、頼りにしてくれていいぜ?」

 

悠「ああ、頼むぞ!」

 

島風「よろしくね!天ちゃん、タッちゃん!」

 

天龍「お、おぉ、よろしくな。」

 

龍田「ねぇ鳴上提督?島風ちゃんはニックネームを付けたがる癖でもあるのかしら?」

 

悠「あぁ、どうもそうらしい。嫌なら言ってくれていいぞ?なんとか止めさせてみるからな。」

 

龍田「いえ〜、大丈夫ですよ?このくらいなら可愛いものです♪」

 

武蔵「最後は吹雪!」

 

吹雪「はっ、はいっ!吹雪型一番艦駆逐艦・吹雪です!

吹雪型のネームシップを務めさせていただいております!

吹雪型の名に恥じぬよう、精一杯頑張りますので、どうかよろしくお願い致します!」

 

悠「よろしくなフブキチ!」

島風「これから一緒に頑張ろうねフブキチ!」

天龍「足引っ張るんじゃねえぞフブキチ!」

龍田「仲良くしましょうねっ♪フブキチちゃん♪」

武蔵「吹雪型1番艦の力…見せてもらうぞフブキチ!」

 

吹雪「なんでもうそのアダ名が定着してるんですか〜!」

 

 

武蔵「よし、全員自己紹介終わったな!では早速授業を始めよう!」

悠「よろしく頼む。」

 

 

※ここから授業を行うのですが、その様子はダイジェストでご覧下さい。

 

その1〜〜資源〜〜

 

武蔵「鎮守府の運営で最も大事なのは資源の管理だ。燃料、弾薬、鋼材、ボーキサイト。

普段から節約を心がけ、ここぞという時に使おう。

特にボーキサイトは採れる量自体が少ないからな。艦載機を使う空母の運用は計画的に行うように。」

 

悠「ボーキサイト…空母…うっ、頭がっ!」

 

島風「ボーキサイトは食べ物じゃないよ〜!」

 

武蔵(何か悪い夢でも見たのか?)

 

 

 

その2〜〜陣形〜〜

 

武蔵「縦一列に並ぶ攻撃重視の陣形。これは何という陣形だ?島風?」

 

島風「えっと…前へならえ陣?」

 

武蔵「島風…予習はしてないのか?」

 

悠「すまん。難しい言葉だと覚えにくいと思って、そう教えてしまったんだ。」

 

武蔵「はぁ…わかった。後で正しい名称を教えとけ。

じゃあ…天龍!かわりにお前が答えろ!」

 

天龍「えっ⁉︎俺かっ!えっと…た、たんたてじん?」

 

悠「……」

 

武蔵「…フブキチ、正しい答えは?」

 

吹雪「…単縦陣(たんじゅうじん)です。」

 

天龍「////」

 

龍田「天龍ちゃん…(呆れ)」

 

武蔵「天龍、お前は今日居残り補修な。」

 

天龍「ちくしょー!」

 

 

その3〜〜艦種〜〜

 

武蔵「いいか?艦娘には、艤装によりいくつかの種類に分けられるんだ。

私なら戦艦、天龍は軽巡洋艦、フブキチは駆逐艦だな。」

 

吹雪「もういいです。諦めました。フブキチでいいです。」

 

悠「なら俺は何になるんだ?」

 

武蔵「お前はな…司令艦だ!」

 

悠「」

島風「」

天龍「」

龍田「」

吹雪「」

 

武蔵「………なんだ!私がボケてはいけないのか!おいっ!何とか言え!」

 

悠「あー…その、すまない。」

 

武蔵「謝るなっ!余計惨めになるわっ!」

 

 

 

こんな感じで1週間、真面目に授業を進めつつ、ボケを交えながら研修を受けたのだった。

 

 

 

 

 

〜〜北方海域〜〜

 

 

青葉「ここが例のポイントですね。」

 

168「ふーん、じゃあ私は海底の捜査に行くわ。見張りよろしくね?」

 

青葉「了解ですよ〜。些細なことも見逃さないでくださいね〜。」

 

168「はいはい。イムヤ、潜水開始!」

 

悠達が研修を受けている間、青葉は潜水艦の艦娘、伊168を連れて、例の輸送船のロストしたポイントへ調査に来ていた。

 

青葉「さーて、待ってる間暇ですね〜。何してましょうか?」

 

168が潜水し、一人になった青葉は早速暇を持て余し始める。が、

 

青葉「んー?偵察機が敵影を見つけたみたいですね。丁度いい。暇つぶしに付き合ってもらいますか!」

 

青葉はそう言うと、敵艦のいる方向に向き直り…

 

青葉「さぁーて…どう痛ぶってあげましょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ペルソナ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

168「ふぅー。青葉〜!」

 

青葉「お帰りなさいイムヤ。何か見つかりましたか?」

 

168「海底には艦載機の残骸と空薬莢ばかりだったわ。だけど、その空薬莢の中に一つだけ、変なのがあったのよ。」

 

そう言うと、168は小さな空薬莢を青葉に渡す。

 

青葉「んー、小さいですね。どれどれ…」

 

青葉はバックからノギスを取り出しサイズを測る。

 

青葉「直径9ミリ、ケース19ミリ。艦娘のものではありませんね…」

 

168「えっ⁉︎それって…」

 

青葉「お手柄ですよイムヤ。さぁ、深海棲艦が来る前に帰りますよ。」

 

青葉は空薬莢をバックにしまい、168と共に北方海域を後にするのだった。


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