幻想高校の日々   作:ゆう12906

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第六十話 どんでん返し

「勝者、いや、勝妖精リリー!」

 

 だがその笛は、文と椛が想定していたそれとは正反対だった。

 

「ちょっと、どういうことよ!」

 

「しっかりピチュらせましたよね⁉ どう見ても私たちの勝ちじゃありませんか!」

 

 2人そろって、審判の幽香に詰め寄る。

 

 幽香は左手で傘をくるくるしながら、右手は文たちに突き付け、

 

「あなたたち……ルール違反よ」

 

「どこかです?」

 

「場合によってはあることないこと書きますよ」

 

「はあ⁉」

 

 理解の悪さに若干顔が引きつったが、ため息でストレスを吐き出して説明し始める。

 

「いい、これは弾幕ごっこよ! 物理攻撃禁止に決まってるでしょ! これ以上説明を求めるなら……成績下げるわよ」

 

 先端を光らせた傘を勢いよく向け、鋭い眼光を光らせる。

 

「なっ、これは横暴です! 教師という立場を悪用して1組を不利な状況にさせようという魂胆ですね!」

 

「何のメリットがある! 私は2年の担任よ‼」

 

「そもそもあれは物理攻撃に入りません! みねうちですっ‼」

 

「思いっきり刃物向けた時点でアウトなのよ!」

 

「ああ、もうこれは何言ってもだめですね! 椛、書きに帰りますよ!」

 

「いつもはロクなこと書かない文々。新聞ですけど、今回はお手伝いします!」

 

「勝手にやってなさい」

 

 

 

 

 

「ごめんなさい、負けてしまいました」

 

「あの分からず屋教師が……すみません」

 

「まあまあ、こればっかりはしょうがないわ。私たちは運よく勝てたので、相殺してると思うわ」

 

「うまく私のキュウリが刺さったんだ! 遅くて普通なら避けられちゃうんだけど……雛の能力とうまくかみ合った!」

 

 雛とにとりのコンビは、うまい具合に連携が決まったようだ。パチン、と軽やかにハイタッチして喜びを表現する。

 

 雛は再び文たちに向き直り、

 

「ただ一つ奇妙なことがあったのよ」

 

「なんです?」

 

「審判がさとり先生だったんだけどねー、なんか途中でどっか行っちゃったんだ」

 

「『むむっ、これはからかいチャーンス!』なんてよくわからないことを放って、飛んで行ったのよ」

 

「まあよくわからない性格してますからね」

 

 記者モードに入った文がいろいろとメモを取る。この大会の様子は、文々。新聞で大特集を組むので、ネタは多く集めておきたいところだ。

 

「ほかに何か面白いことありませんか?」

 

「ああ、そういえば優斗は来てないみたい。まだ熱があるらしいよ」

 

「きっと大妖精さんに釘を刺されたんでしょうね。……優斗さんなら強引にでも来そうな気がしますが」

 

「まさか、それはないわよ」

 

「さすがに大丈夫ですよね。――じゃあ私たちはゆっくり観戦しますとしますか」

 




第六十話でした。幽香先生なんて何十話ぶりでしょう? 

雛も相当出てないですよね……運命のダークサイドは個人的に大好きなのですが。

では!




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