幻想高校の日々   作:ゆう12906

56 / 63
第五十六話 運命のジャンケン

 アリスとパチュリーのやり取りから数十分後、

 

「よっし、学級会始めるぞ~」

 

「待ちわびてたんだぜ!」

 

「相手は見つかったのか魔理沙?」

 

「はっ、よく考えてみろ。霊夢は禁止されてて、アリスも姿が見えない。他に誰かいると思うか? まったく短慮だな」

 

「よーし、あとで職員室で頭突きな」

 

 1年1組では、弾幕ごっこ大会のペア決めが行われていた。といっても、叫んでる魔理沙や、無言で青い顔をしている霊夢以外は、ほぼ決まっているようなものなのだが。

 

「えっと、それでどこまで決まってるんだ? ――ペアが決まってる2人は、黒板に書いてくれ!」

 

 慧音の支持でわらわらと黒板の前に殺到する。

 

 全員が席に着くと、7組の名前が書かれてあった。

 

「なるほどなるほど……ルーミアとリグル、大妖精と小悪魔。お燐とお空にヤマメとキスメ、レミリアフラン。文と椛。それと、雛とにとりでいいか?」

 

 はーい、と元気な反応が14人から聞こえてくる。

 

 残されたのは、6人。

 

「じゃ、残った奴は決めとけよ」

 

「ま、待ってください!」

 

 声を張り上げたのはミスティア。彼女はリグルあたりと組もうかと思っていたが、夜に開いている八目鰻屋台の準備に忙しく、あぶれてしまったのだ。

 

「チルノ、一緒にやらない?」

 

「え? ――うん、いいぞ!」

 

「私、チルノとやるのでいいですよね!」

 

「別にかまわないが。書いておくぞ」

 

 黒板に、ミスティアチルノと整った字で書かれる。

 

 正直なところ、ミスティアはバカなんかとではなく、常識人と組みたかった。例えば大妖精やリグル。しかし、霊夢や魔理沙などの鬼強いものと組んで、足を引っ張るのはもっと嫌だった。

 

「あと残ったのは、霊夢と魔理沙と小傘とアリスか。あいつどこ行ったんだ? ――まあいい。さっさと決めておけよ」

 

「私アリス!」

 

「まて、アリスは渡さん!」

 

 霊夢と魔理沙が同時に挙手をして、慧音に訴えかける。

 

 別に小傘が嫌いというわけではない。ただ、小傘は所詮からから傘お化けだ。霊夢と魔理沙とでは、明らかに実力が違う。

 

 一方アリスは体力こそないが、その火力は非常に魅力的だ。二人が所望するのも当然であろう。

 

「わかったわかった。じゃあ公平にジャンケンで決めろ」

 

 2人は立ち上がり、お互いをにらみつけてけん制しあう。

 

「負けねえぞ霊夢……」

 

「そうね。弾幕ごっこは私のほうが強いんだから勝つしかないわよね?」

 

「いいやがるぜ……」

 

「さっさとやるわよ。ジャン、ケン、」

 

「「ポン!!」」

 

 気合を込めて出したお互いの手は、

 

「やった!」

 

「な……嘘だろ……」

 

 魔理沙がグーで、霊夢がパーであった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。